金星の日面経過 (その2)

このblogの6年前の水星の日面経過の記事で、その2年前には金星の日面経過があったが曇天で見られなかったと書いた。その金星日面経過が昨日、8年ぶりに見られるはずだったが、私の住む関東地方では発生当日は何日か前の週間予報では曇りの予報。当日が近づいてきても予報が好転しそうな気配はなかった。他の地域の天気予報をみても、結構日本全国天気の悪いところが多く、晴れの予報が出ていたのは九州北部と中国地方くらいだった。

どうしても見たければ天気予報がはずれないことに賭けて晴れの予報の地域に行くしか無い。見逃せば次は105年後だから、もう一生のうちに見ることはない。幸い、仕事は当日1日休んでもそれほど支障はなさそうだった。現象は朝早くから始まるので、前日のうちに現地に行っている必要があるし、朝早くから撮影できる場所に行ってスタンバイしないといけない。交通の便と、行ったことがあって多少の土地勘があるところとすれば、福岡がベストの選択と考えた。前々日の夜遅くに、飛行機代が当日運賃でしか乗れなくなってしまう前に前日の最終便を予約。前日は機材の準備を整えてから出社、休暇届も出して、退社後急いで羽田へ向かった。

撮影場所は東から南の方向の開けた場所。事前にあちこち行ってみるわけにいかないので、確実なのは広い公園のようなところ。福岡の人にtwitterでどこがいいかきいてみたら、志賀島の展望台はどうかと言われたが、市内のビシネスホテルのようなところに泊まるつもりでいたので、現地まではかなり遠くなってしまう。市内の公園中心に、Googleマップの写真を見て、あまり木の茂っていない広い場所を探した。大濠公園なら確実に開けてそうだったが、宿を探すのに見ていたら、それほど大きくはないが天神中央公園でも十分見られそうで、そこだとすぐ近くの歩いてすぐの場所にアルティ・インというホテルがあるのでそこに決定。写真で現地の様子が仔細にわかるのは便利だ。公園の真ん中の部分は丸く木のないエリアがあるが、ここは芝生で三脚が立てにくそうなので、南東の角に噴水があって周囲がコンクリートになっている部分があって、そこがよさそうと思った。実際、現地に行ってみると思った通りの場所だった。南西にある病院の建物が高くて少し心配だったが、6月の太陽は高度が高いので大丈夫だった。

福岡に到着したらもう夜遅く、空港から地下鉄に乗って天神まで。福岡は空港が近くてありがたい。最初は場所の下見は一旦ホテルに着いてからでかけるつもりだったが、地下鉄の駅からホテルまでの途中で、公園に寄れるので、荷物を担いだまま下見がてら公園の中を通って行って、予想通りの場所であることを確認。南の空にはきれいな月が見えていた。

当日の朝は早起きして天気を確認。窓から太陽の位置を確認すると、水平に回転させて、あまり大きく開かない窓であるにもかかわらず、ちょうど朝の太陽の方向が斜めに開いた隙間から見通せる斜め横方向だったので、日面経過の始まる時刻にはちょうどカメラで狙えそうだった。これは予想外の幸運だった。少なくとも第1接触、第2接触のあたりは窓から見えることが確実だったので、朝からチェックアウトして公園にでかける予定を変更して、部屋で撮影することにした。これで落ち着いて撮影できるし、撮影直後に画像をPCで取り込んでネットに載せる作業もできる。そうでなければ、第2接触と第3接触の間は1時間おきくらいに撮影すればいいので、その間を利用して、近くのマクドナルドにでも行って作業しようかと思っていたのがその必要がなくなった。とはいっても、ビデオカメラで撮影中の画像を撮影を中断せずに取り出すことはできないので、カメラのモニタ画面をiPhoneで撮影してすぐにtwitterに流したりもした。もうひとつ、ホテルで撮影できたことで、朝のテレビ番組で立派な望遠鏡で撮影した画像を中継しているのを横で眺めながら撮影できたのもよかった。

結局、窓からの撮影の角度が限界になるのとチェックアウト時間の期限がほぼ同じくらいで、日面経過のちょうど半分の10:30まで撮影してから機材を片付けてチェックアウト、コンビニで弁当を買ってから、公園に行ってセットアップ。事前に確認していた噴水前のコンクリートのエリアの北の端に少しへこんだ場所があってベンチがしつらえてある。ベンチに座るとその後ろのある木陰になり、その前に三脚をセットするとちょうど太陽が狙えて、これまたなかなかいい環境だった。

公園の中で三脚を2つも立てて、しかもカメラが上を向いているという結構目立つ状態なのだが、少なからぬ人が公園の中を通り過ぎるにもかかわらず、声をかけてくる人は皆無だった。12時になってお昼休みの時間になると人がずいぶん増えたが、それでも構いに来る人はいなかった。その頃になると、かなり雲が出てきて、太陽が見えなくなるくらいだった。12:30頃になると、私から少し離れたところで、一人三脚を立てて割りと小さ目のカメラ (コンパクトデジカメかミラーレス一眼か遠目にははっきりわからなかった) で撮影を始めた人が現れた。会社の昼休みを利用して撮影しに来たという感じだ。私もこの間は各時30分ころに撮影をしていたが、ちょうどその頃になると結構雲が薄くなって、この人もラッキーだったようだ。

もうひとり、こちらはもう少し近く、私のいたベンチの並びの反対側の端に、日食メガネをかざして肉眼で見ている人がいた。その人も最初は私の方には特に構わず、ベンチでひとりでずっと上を見ていたが、そろそろ、日面経過も終わりに近づいてきたかという頃、たぶんもう端に近づいたので肉眼ではわからなくなってきた頃に、私のところにやってきて話しかけてきた。これが初めて私に話しかけてきた人だ。カメラのモニタで見てもらったりして、しばらく話しながら、第3接触を過ごした。

そうやって二人でしゃべっているところだと話しかけやすいのか、もう第4接触も近づいて肉眼はもちろん、カメラのモニタでもほとんど判別がつかなくなってきた頃に、他にも声をかけてきた人が何人かいた。それでもまだ初めの方に来た人はなんとかモニタで確認できたので喜んで帰っていったが、後の方ではまだ第4接触になっていなくてもモニタではわからなくなっていたので、もう数分早く来てくれればわかったのに…という感じだった。

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