NexStar 5SE に決めるまで

もともと望遠鏡を欲しいと思ったときは、セレストロンではなくてミードだった。

今からすればもうずいぶん前になるが、小学生時代以来の長いブランクの後に、ミード社のLX200という望遠鏡を知ったときは大きな衝撃を受けた。それまでは大口径の望遠鏡といえばそれこそ巨大な扱いに困るようなものだったのが、シュミットカセグレン式のLX200は鏡筒がやけに短く、架台もある程度以上のクラスの望遠鏡なら当然の赤道儀に乗っておらずフォーク式の経緯台に乗っていてコンピュータ制御で動くのだという。口径20 cm、25 cm、30 cmとモデルがあったが、これならベランダ天文家でも20 cmくらいのモデルなら結構お手軽に使えるのではないか、と思った。思ったはいいが、そうはいってもやはり相当値の張るものだし、実際に買おうまでは行かず、なんとなく憧れの存在という感じだった。

一度、もしかしたら本当に買ってしまうかもくらいのつもりで、望遠鏡屋を冷やかしに行ったことがある。実物を見ると、さすがに思ったほどコンパクトではない。これを自分の家の中に持ち込んだらと思うとやはりちょっと大変そうで、値段の方はふんぎりさえつけばなんとかなるものだけれど、実際これを買ったら、オチャラケ天文愛好家としてはきっと持て余してしまうだろうと感じた。持て余してタンスの肥やし状態になってしまうには、いくらなんでももったいなさ過ぎる値段だ。

一方、その後、その小型軽量版ともいえるETXシリーズが登場した。ETX-90は超コンパクトで持ち運びしやすく、値段もお手頃だが、さすがに口径9 cmはちょっと物足りなそうである。小学生の頃は買ってもらった6 cmでずっと我慢して、大人になったらきっともっと口径の大きないい望遠鏡を使うんだ、と思っていたのもあり、6 cmから9 cmでは進歩が少ない。後から、ETX-105やETX-125という少し大きめのものが発売され、ETX-125あたりなら口径もそれなりに大きくて、かつコンパクトさも保たれている範囲でよさそうである。

が、特に実際に購入に踏み切るきっかけもないまま時が過ぎるうちに、ミードの日本の代理店がなくなってしまって、日本国内で普通にミード製品を買うのが困難になってしまった。そんな中で、ネットオークションで出品されているのを見たりもしていたが、精密機器なだけに、どれだけ丁寧に扱われていたものか心配というのもある。ところが、また最近になって、ミード製品が日本でも売られるようになっている。しかし、もう少し高級機の方が主力でETXシリーズは注力されていないようだ。

そんな状況の中で迎えた、今年の天文現象オンパレードだが、天気が悪くて見られなかった金星食の後になってから、ETX-90の新型が今年の7月に発売になったというのを見た。駆動系などにも改良が加えられた新バージョンだが、名前がETX-90ポータブルといって、もともと可搬サイズなのが売りのETXシリーズだが、鏡筒と架台部分を収納する専用のトランクケースと、架台を収納するバッグが製品に最初からセットになっていて79,800円という値段はなかなか魅力的だ。

これを見て、一気に望遠鏡を買いたい熱が上がった。今度こそ本当に望遠鏡を買うつもりになってきた。だかしかし、一度通った道であるように、9 cmはちょっと小さいんじゃないの、という話に行き戻る。今回の新バージョンの、ETX-125版が出るといいのだが、そのあたりの口径は、ミードとしては少し上のクラスの製品でカバーしていきそうな感じで、待っていたとしても出てこなさそうだ。

そこに来て、やっとライバルメーカーのセレストロンの製品に目が行く。最初のLX200の衝撃があって、ミードだけがユニークだと思っていてあまり他のメーカーのものは目に入っていなかったのだが、セレストロンからもこのNexStarのシリーズのような製品が以前から出ている。デザイン的にも、ミードのものはかっこいいと思ったが、NexStarの曲線的な片持ちフォークは最初はあまりいいと思わなかった。しかし、よく見てみると、今や90しかないETXに比べて、NexStar SEは4、5、6、8 (それぞれ口径が10、12.5、15、20 cm)とラインナップが揃っている。色々調べているうちに、だんだん悪くない気がしてきた。デザインも見ているうちによく思えてきた。以前のNexStarの鏡筒は地味な色だったが、最新版のSEシリーズは、セレストロンのコーポレートカラーのオレンジ色になっていて目を引く。

そうして気持ちがNexStar SEに傾き、いつの間にかもうNexStar SEを買うつもりになった。後は、ラインナップのうちどの口径のものを買うかだ。4だけはマクストフカセグレン式で、残りの3つがシュミットカセグレン式なのとちょっと違う。いずれにせよ、口径10 cmは、ETX-90よりは少しは大きいものの、やはりまだ物足りないと感じる大きさで、少なくとももう一声欲しいところだ。一方、8の20 cmまで行くと、これはLX200で思ったように (LX200よりは架台がかなりコンパクトにできてはいるものの) 少々持て余しそうな感じである。そういうわけで、5か6で、ちょっと欲張って6にしようかなという気もないでもなかった。ところが、架台が4と5が共通、6と8が共通とのことで、鏡筒のサイズ差以上に全体のかさばり加減が違いそうであった。本当は大きめの架台に小さめの鏡筒が乗っている方が安定性の面からするといいのだろうけれど、ここではコンパクトさの方を優先した。もうひとつの理由は、4/5用の架台はウェッジというのがついていて本来経緯台式の架台を傾けて赤道儀として使えるようになっているが、6/8用の架台は上に乗せるものも重いので機械的強度の問題かその機能がないこと。眼視だけなら経緯台式のセッティングのコンピュータ自動追尾で構わないのだが、もし長時間露光の写真を撮るとすると、赤道儀にしないと追尾はできても視野内で像が回転していく (ちょうど先日の金星の日面経過で、ビデオ用の三脚で撮った金星の軌跡が太陽面上で見かけ上直線でなく逆さUの時のような形になってしまったのと同じ理由) ために、問題が起きてしまう。本来、この手の架台は写真撮影には向かないと言われそうだが、そうは言ってもいずれはこの望遠鏡で天体写真も撮ったみたいと思うので、このポイントは重要だ。

そういったことを考えて、最終的に口径12.5 cmのNexStar 5SEに決定した。もしETXを買うのだったとしたら、上限がETX-125だったのでそれを選んだことだろうが、こちらは一応こう検討した結果として、口径12.5 cmになった。

そうして、先日の記事に書いたように、Amazonマーケットプレイスの業者でほぼ最安値に近い業者から購入したわけだが、結局それがETX-90ポータブルの値段とほぼ同じというのも興味深い。NexStar 5SEにはキャリングケース類は付いていないが、その分口径が大きいということで。

長い話だったが、そんな経緯でNexStar 5SEの購入に至った。どうせ望遠鏡を買うなら、今年の天文現象続きの前に買っとけよ、という話だが、まあ、それらの現象を経験した結果もあって望遠鏡欲しさが増幅されたのだから、順序として仕方ない。今年は他にもそんなふうにして天文に目覚めた人が結構いるんじゃないだろうか。

それに、事前に買っていたとしても、買ったばかりで果たしてうまく使いこなせたかわからない。いきなり福岡に飛んで見に行った金星の日面経過も、望遠鏡をかついで行くとしたら行ったかどうか。まあ、これからぼちぼち使いこなすようにしていこうと思う。

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  1. #1 投稿者: ちくわ大明神 (2013年9月18日 - 18:34)

    こんにちは!子どもの頃から星が好きで、近所のプラネタリウムに入り浸っていた中年オッサンです。
    少し時間とお金の余裕が出来たので望遠鏡の新調を考えていて色々調べていてこのサイトにたどり着きました。

    >4/5用の架台はウェッジというのがついていて本来経緯台式の架台を傾けて赤道儀として
    >使えるようになっているが、6/8用の架台は上に乗せるものも重いので機械的強度の問題か
    >その機能がないこと。

    上記の情報だけでも大変参考になりました。ありがとうございます!これからもよい天文生活を送りましょうね!では!

    • #2 投稿者: Erlang (2013年9月19日 - 00:00)

      ちくわ大明神さん、はじめまして。コメントありがとうございます。
      自分も含めて、最近そういう方が多いみたいですね。
      簡易赤道儀用のウェッジですが、確かに、あまりただし、この記事ではかなり重要そうに書いていますが、まああんまり期待しすぎないで下さい。別の記事で書いてあるようにいちおうきちんと赤道儀になりますが、長時間露光の写真撮影に有効かというと、どうもそうでまなさそうです。そもそもこの架台の精度がそんなにないのか、15秒も露光すると急に大きく流れてしまうことが多くなって、ガイド撮影するにしてもうまくいくのだろうかという感じです。なので、そもそも視野の回転が気になるくらいの長時間露光の写真は撮ったことがありません。短時間露出をたくさん撮ってパソコンで合成するなら、そのときに回転も合わせることもできますし。まあ、そもそも私のところのような光害のひどいところではそんなに長時間露光もできないので、これはこれで、その程度のものと思って使っていますが。
      そんなわけで、むしろ利点は、カメラを接続した場合にカメラが架台にぶつかってしまうので天頂近くを狙えないのが、赤道儀モードで設置すれば回避できるということの方かもしれません。
      まあ、色々ご検討の上、納得したものをご購入下さい

      • #3 投稿者: ちくわ大明神 (2013年9月25日 - 18:16)

        フォローありがとうございます!天体観測出戻り組(笑)としては、取り回しや思い立った時に手軽に星を見ることが重要になりそうです。経緯台には正直、安かろうイメージがあったのですが最近のものは自動追尾装置もついて実用性が高いのですね。うーん、悩むなぁ~。(この悩んでいる時期が一番楽しいんですけどね!)

        ちくわ大明神

      • #4 投稿者: Erlang (2013年9月25日 - 18:41)

        ある程度お手軽さを求めるなら、やはり私と同じく5あたりがいいかもしれませんね。まあ、これで慣れてしまえば、もうちょっと大きくたって気にならないかもしれませんが、最初っからバカでっかいのだと、ついつい出し入れするのが億劫になりそうですよね。子供の頃は経緯台だけで苦労してたわけですが、赤道儀でなくてもきちんと自動追尾できるのはらくちんですし、自動導入も一度使ったらもう手放せません。どうやってたどっていったらいいかわからない天体にも一発で向くんですから

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