NexStar 5SEのピント位置

USBカメラを使って気になった、アイピース使用時とのピント位置の調整。一般的にシュミットカセグレン式の望遠鏡では、普通の 望遠鏡のようにドローチューブを出し入れして対物鏡の焦点の位置に接眼部の機器を持ってくるのではなく、鏡筒の中にある主鏡の位置を前後させることによっ て焦点の位置を移動させることによってピントを合わせている。どこの場所で焦点を結んでいるかはハタ目にはわかりにくいので、まず、いろいろな場合につい て、ピント合わせノブの回転数で、相対的に調べて見た。

Focus Knob

そもそもノブをどちらに回すとピントがどちらに動くのかさえわからない。見ると、ノブ のところに、反時計周りに回すと無限遠に向かうと書いてある。ピント合わせ操作をしなければ、遠くのもののピント位置は近くのもののピント位置より対象寄 りにあるはずだから、ドローチューブなら縮める方向である。こちらでは、そのために主鏡を対象に近づく方向に移動させる。すると、もし副鏡が平面なら、移動した分だけ焦点位置が観測者寄りに移動する。実際は副鏡は凸面鏡で、主鏡で急角度で集められた光を、どちからというと平行光線に近い角度に変えて観測者 側に導く働きをしているが、主鏡副鏡間の急角度な光路が減った分を平行光線に近い部分で補うために、焦点位置は観測者寄りに伸びる。ネジで微妙に前後させ た主鏡の位置よりもずっと大きな距離を、焦点の位置が移動する。こうして、観測者側は遠くのものに対するピントが、近くのものにピントを合わせていたのと同じ位置にいたまま得られることになる。

こ れを、ピントノブの動きから考えてみる。ツマミの先、鏡筒内部の奥の方はネジが切ってあって、ネジ自体は回転するだけで前後しない。ここに、それが主鏡につながった腕の先についているネジと噛み合っている。ノブを反時計回りに回すと、ネジは緩む方向でノブ側は固定されているから、主鏡の側が離れる方向に動いていく、すなわち対象方向に進んでいく。そんな仕組みになっているらしい。

ノブは少し回しただけで、焦点位置は結構動くので、何回転と数えるようでは粗すぎる。ノブの周囲にはつまみやすいように、8つの凹凸がついているので、これを何個分動かしたを数えることにする。まず、わかりやすいところで、25 mmの接眼レンズで眼視するのに、天頂プリズムを挿入しているときとしていないときの違い。天頂プリズムでピントを合わせてから、天頂プリズムをはずしてビジュアルバックに直接接眼レンズを取り付けた状態にする。必要な焦点位置は対象寄りに移動する (短くなる) ので、ピントノブを時計回りに回していく。3回転と5/8だけ回したところでピントが合った。天頂プリズムは、途中で光路を折り曲げているが、真っ直ぐに伸ばしたとして光路長はだいたい70 mm余りある。その分が、ノブのネジ3+5/8回転分ということだ。この回転数を覚えておけば、今度から天頂プリズムをつけたりはずしたりしたときに、ピントが合うまで像を見続けていなくても、必要な数だけ回転させて、最後の微調整だけ像を見てあわせればいいということになる。

接眼レンズで眼視しているときは、主鏡からの光が実際にどこに焦点を結んでいるのかいまひとつ判然としないので、次に、カメラを使った場合と比べてみる。カメラにはボディ上に撮像素子の受光面の位置を示す印が描かれているので、その位置を参考にすればいい。また、規格でもフランジバックの距離はきっちり定められている。今まであまり気にしていなかったのだが、実際に確かめてみると、天頂プリズムに接眼レンズでピントを合わせた位置のままビジュアルバックをTアダプターと交換してTリング経由でカメラと接続すると、カメラでのピント位置はほぼ無調整で合っていた。1/8回転以内の調整で合うくらいだった。

ビジュアルバックを外した鏡筒の口の部分から、カメラを装着したときの焦点の位置までは、実測で105 mm程度。これは、Tアダプターの長さが約50 mmで、Tマウントのフランジバックが55mmである。一方、眼視の場合は、ビジュアルバックが実測で約33 mm。天頂プリズムは実測しづらいが大雑把に見積もって70 mm余り。合計103 mm余りで、カメラの場合の焦点位置と接眼レンズ挿入部の口のところの面がおおよそ一致している。ということは、接眼レンズで眼視のときの焦点位置は、だいたい接眼レンズ挿入部の口のところあたりと考えてよさそうだ。これは、もちろん接眼レンズによっても違ってくるのだろうが。

また、ここで確信するのは、この望遠鏡は、ビジュアルバックに天頂プリズムを装着した状態が標準形だということ。これは、ハンドコントローラの矢印ボタンで動く向きが、望遠鏡を覗きながら動かすのが前提の低速度のときは、左右だけ反転した像に合わせてあることからもわかる。

さて、いよいよ肝心のUSBカメラ。これは工作結果から明らかなように、接眼レンズの口の部分よりまだかなり離れた位置にある。およそ30 mmくらい。天頂プリズムを取り付けないビジュアルバックに、25 mm接眼レンズを取り付けた場合と、USBカメラを取り付けた場合で、ノブの回転数は、1+7/8回。天頂プリズムの真ん中くらいで、だいたい合っている。いくらがんばっても、接眼レンズのための焦点位置と同じ場所にUSBカメラのCCD面を持ってくることは不可能なので、Tマウントのカメラと、天頂ブリズム付きの接眼レンズの関係のように、USBカメラも、天頂プリズムなしUSBカメラと、天頂ブリズム付きの接眼レンズでピントノブ操作ほとんど不要にできればありがたい。しかし、そのためには、USBカメラの首の部分を、もう40 mmくらい伸ばさないといけない。今回USBカメラに使用した31.7 mmの延長筒はこの用途には最適なわけだが、これの光路長は23 mmなので、1つ追加では間に合わず、2つ追加して合計3つつながった状態で少しカットして長さを合わせるということになる。しかし、せっかくコンパクトなカメラなのに、延長筒が長くなってしまっては邪魔っけな感じもするし、そこまでしないで、ピントノブの回転数を覚えておいて、ピントを一気に近くまでもって行くだけでもいいかなと思う。

そもそも、このUSBカメラは遊びで作ってみただけで、画角などから考えると、帯に短し襷に長し、的な感も否めないので、あまり役立てにくい。そんなもののために、どこまで一所懸命やるかという話である。やるならやるで、他にも、ズームアイピースで拡大撮影できるように、Tマウントで接続できるようにするとか、色々考えられることはあるのだが。まあ、後はぼちぼちやって行こう。

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