月のこと諸々

Moon
十六夜の月 (月齢15.2) 2013/09/21 00:30 Canon EOS 60D, Celestron NexStar 5SE (D125mm f1250mm F10) 直接焦点, ISO200, 1/250sec, トリミング

このblogの記事は深夜0時を過ぎて日付が変わってからポストすることが多いので、話題にしていることと書き込みの日付がズレることが多い。今夜の月も、0時を過ぎて日付が変わってしまってからも十六夜 (いざよい) と呼んでいいのかよくわからない。まあひと続きの夜なのだからそれで構わないのだと思うが。

コリメート撮影

さて、昨夜 (正確には一昨日の夜) 双眼鏡にiPhoneでうまくコリメート撮影できないのを目にしたので、自宅でもやってみた。モナーク7 8×42に三脚アダプタを取り付けて三脚に載せ、iPhoneで撮影してみたが、昨夜見たのと同じ状況だった。月の撮影では、周囲が真っ黒で月だけ明るいという、場所による落差の激しい画面で、露出を適切に合わせる必要がある。特に、双眼鏡では倍率が低いので、月は視野の中に比較的小さくしか見えないが、iPhoneのカメラはどちらかというと広角気味でレンズの画角は固定である。画面に大きくうつるようにデジタルズームはしてみるが、測光評価はデジタルズームしても撮像素子全体で行っているようで、月の明るい部分をタップしてそこに露出を合わせようとしても、ある程度以上は露出を落としてくれず、どうやってもこんな写真しか撮れなかった。iPhoneの場合は、露出をコントロールする方法がそれしかないというのもうまくいかない理由だ。

Moon
Nikon MONARCH 7 8×42 + iPhone 5

これを、コンデジ (CX1) でやると、まず測光モードをスポット測光にして月の明るい部分だけを測光対象にすることで、まずかなり改善する。更に、露出補正もこのカメラで設定できる-2.0EVまでかけてみた。ちょっとやりすぎだったかもしれない。それで撮れたのがこれ。いちおうそれらしく撮れていて、iPhoneの場合に比べればまともに撮れたと言ってもいいと思うが、よく見ると色収差がずいぶん出てしまっているようだ。双眼鏡を目で見てこんなに色付いているわけいではないので、レンズにレンズを重ねるコリメート法での撮影で相性が悪かったとでもいうことだろうか。

Moon
Nikon MONARCH 7 8×42 + CX1

これだけではちょっとダメな例ばかりになってしまうので、望遠鏡 (NexStar 5SE) にiPhoneで撮ったものが次の写真。さすがに全然違う。恐らく倍率の違いによって、月が視界いっぱいに見えているかそうでないかの違いという要因がかなり大きいものと思う。

Moon
Celestron NexStar 5SE, 25mm eyepiece + iPhone 5

これの代わりに、CX1ではどうかというと、これはおよそ1年前に望遠鏡を買ってまだそれほど経たない頃に4通りの撮影方法を比較した記事のうちのひとつにある。

月のみかけの大きさ

昨夜のレクチャーの中で、月のみかけの大きさは、腕を伸ばした先に持った五円玉の穴と同じくらい、という話が出たので、試しに撮ってみた。カメラの位置と腕を伸ばした自分の目の位置がだいたい同じくらいになるようにして撮影した。なんとなく月の方が大きいように見える。完全に光が溢れてしまっているわけではなくいちおう輪郭にピントは出ていると思うのだが、やはり黒を背景に光っているものは周囲ににじむ光の分大きく見え、暗い穴は逆に小さく見えるということが原因だろうか。まあ、オーダーとしてはおおむね当たっているということでよしとしよう。

月と五円玉
月と五円玉

「中秋の名月は必ずしも満月ではない」

これも、昨夜のレクチャーの中に出てきたネタでもあるが、ネットを見ていると、今年の中秋の名月では、中秋の名月が必ずしも満月ではない、という蘊蓄がやけに目についた気がする。今年はその一致しない場合というわけでもないのに一体どういうわけだろう。ひとつのネタが急拡散するのは、SNS時代の所以か。「次に中秋の名月と満月の日が一致するのは8年後。」 これがマスコミ好みの常套句か。しかし、今回の中秋の名月ではむしろ、満月の日と一致しているどころか、みなさんがお月見をしているちょうどいい時間の、20:13にちょうど満月の瞬間を迎えるということの方が取り上げられてしかるべきだったのではないかと思う。

そもそも、満月の日と十五夜が一致しないのは、日付の数え始めと実際の新月、満月の瞬間の端数処理の問題なだけで、そんなに騒ぎ立てるほどのことでもないと思う。そして、この「満月の日」というのがまた曲者だ。満月の日というのは、満月の瞬間がある日、のことで、午前0:01に満月の瞬間を迎えたとしても、その日の夜に月を見ながら、今日は満月の日だ、と言うことになる。あるいは、その前日23:59、あと2分後に満月の瞬間を迎える月を眺めていても、その日は満月の日ではないのである。日常会話で、「今日は月が丸いねぇ、満月かなぁ」といったようなときに、この「満月の日」の概念を持ち出すと現実とそぐわず支障をきたす。

天体を見られる「夜」は日付の境目をまたいでひと続きになっているのがこういうことになる原因であろう。この記事の冒頭に書いた件も同じようなことである。現実に即した「今見ている月を満月と呼んでいいかどうか」の判断方法としては、

  • 満月の瞬間が現在から前後12時間ずつの間にあるかどうか
  • 正午を境とした24時間の期間内に満月の瞬間が含まれるかどうか

といったやり方が考えられるかと思うが、私としては後者を採用したい。「ひと続きの夜」の中に満月の瞬間が含まれる、というのが重要だろうと思うからである。しかし、これは月が日没の頃に昇って、日の出の頃に沈む満月だからの話であって、これが「上弦の月」だとかそういったことに一般化しようとすると話はややこしくなるだろう。だからこそ満月の日の定義もそうなっているのだろうし。

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