水星食残念記

アイソン彗星騒ぎで注目されていなかったかもしれないが、昨日未明に水星が月に隠される水星食があった。が、今年8月のスピカ食に続いて、またもやうまく見ることができなかった。といっても、今回は天候のせいではなく、そもそもの観測条件がきつかったことと、どうやら自分の大ポカもあったようだ。

天候は、季節柄もあって、このところアイソン彗星を見たりするのにも好都合だったと同じような晴天だった。月は月齢28.3と非常に細い月で、隠される方の星の邪魔にならない明るさという意味では好条件である。しかし、逆にそれは太陽に非常に近い位置にあるということでもあり、見られるのはその天体が地平線から昇ってから日の出前の薄明で見えなくなるまでの短い間ということになる。運良く食が発生するのはそのわずかな時間の付近であるとはいえ、地平線近くの空気や雲の影響や、薄明による影響などが観測条件を悪くする。

当地では、水星が月の裏に入り始める潜入は月の出のほんの直後で、事前に他の星で位置合わせをした望遠鏡で地平線上のその位置を狙っていたが視野内は真っ暗なままだった。望遠鏡がズレているのかとも思って多少振ってみたがわからず。潜入時刻を過ぎて少ししてからやっと、もう地平線から少し上がった位置に細い月が暗く見えてきた。地平線ぎりぎりでは、空気の汚れや霞などのせいで暗い月は全く見えなかったようだ。太陽の強力な光ならば、弱まりつつも地平線ぎりぎりから見えはするのだが。確かに地平線ぎりぎりの空は少し黒っぽい層をなしていて、その上に出たところでやっと月が見えてきたようだ。

現れた直後の月
水星潜入後に見え始めた月

次は約一時間後の出現まで待つ。ここで、話は前後したが、今回の機材。スピカ食の際と同じでNwxStar 5SEに、直焦点でEOS 60D。ピギーバックマウントに自由雲台を介してテレコンバータ付きビデオカメラ。ビデオカメラが荷が重すぎで、アライメントを取るのに高度の高い星に向けようとしたら、重みでクラッチがスリップしてしまったが、まあ、地平線近くを狙っている分には中心に重さがかかっているだけなので大丈夫そうだった。今回はスピカ食のようにあわただしいことはなく、暗いうちからセッティングも済み、じっくり待ち構えていることができた。

IMG_0035
待っている間に撮った月

水星食
水星食中の空の様子

しかし、出現の時刻には月の高度は充分高くなってきて地表付近の大気の影響はほとんどなくなっているが、もう日の出の寸前で空はどんどん明るくなっている。肉眼ではもう背景に溶けこんで認識不可能なレベルである。幸い、望遠鏡はきちんと月同期の速度で追尾しているので、うっすらながらもビデオカメラ、一眼レフ双方のモニタ画面で捉えられている。双眼鏡でもなんとか月の姿はわかる。

しかし、水星の光点は撮影データには残ってもモニタ画面で判別できるかわからないので、出現時刻少し前から、ビデオは回しっぱなし、一眼は定期的にシャッターを切るのを繰り返し始めたが、一向にそれらしいものが現れて来ない。双眼鏡でのぞいてもわからない。あれれー、というまま出現時刻からずいぶん過ぎてしまい、更に空はますます明るくなってやがて日の出となってしまった。

とりあえず機材を撤収して部屋に戻って、一眼の撮影画像をパソコンで見てみるが、やはり水星は写っていない。階調を調整してみてみダメだった。会社に出社しないといけないので、この朝はここまで。敢えて階調調整しないままの画像はこんなふう。

水星出現後の月
水星出現直後時刻の月

日の出
日の出

後はスピカ食のときのようにビデオに写っていないかどうかである。ネットにアップされている各地で撮影された画像を見ると、結構きれいに撮れてるものがある。当地では出現時刻が日の出直前だったが、もっと西の方では日の出時刻は遅く、潜入時は月が地平線下で見られなかったものの、出現時は月の高度はいくらか低いかもしれないが、空がまだ暗くて観やすかったのだろうと思った。しかし、こちらでは明るくなりすぎて条件が悪く見えなかったのかもしれないと思った。実際、出現時刻前後には肉眼では月が見えなくなっていて、自動追尾している望遠鏡のカメラのモニタでなんとか月がわかる程度だった。ところが、中には関東地方の画像もある。しかも、月の面積のあるぼんやりとした絵に比べて水星は結構くっきり輝いている。月自体はこちらのカメラにも写っているので、そうするとそれで水星が写らないはずがない。

さて、当日帰宅後ビデオをそのまま見てもあまりよくわからなかったが、階調補正をかけてみると、水星がちゃんと写っているではないか。元のコントラストが悪く極端に補正をかけないとよくわからないので、見苦しい画面になっているが、この通り。確認することはできる。YouTubeの画像では高解像度にして画面を大きくして見ないとわからないかもしれない。

出現直後でわかりやすく写っているコマの静止画で切り出しておこう。あまり違いないだろうか。動画も静止画も何か筒の中からのぞいたような画像になっているが、これは周辺減光しているのが、階調補正した結果こうなっただけである。

水星の出現

いずれにせよ、ビデオカメラではこのくらいにしか写らなくて、かなり物足りない。本当は望遠鏡+一眼で撮った静止画ならもっときれいに写るはずと思っていたのだが、写らなかったのはどうしてか。実はなんと私の大ポカで、出現時の撮影画像は月の上端が画面の外に出てしまっていたようだ。NexStar 5SEにAPSサイズの一眼の組み合わせでの直焦撮影だと、月が画面の短辺結構ぎりぎりいっぱいの大きさになる。月を撮るのに具合がいいといえばいいのだが、ちょっと中心をはずれるとどちらかの端が画面から出てしまう。今回の月は、上側が欠けて見えないのでどこまで月があるのかよくわからない。空が暗ければ上の2枚目の写真のように地球照でフチがわからなくないのだが、ここまで空が明るくなってコントラストが低いと全然わからない。月全体が画面に入ってるつもりで撮影していた。しかも、出現時刻よりも前に撮っていた写真ではちゃんと月全体が入っていたのに。もうひとつ、赤道座標で北が上の説明図を見て、出現位置が月の右上の方と思い込んでいたので、そんなに月の上端がはみ出ていることに注意を払っていなかった。望遠鏡を赤道儀に乗せていたらそうなのだが、経緯台で見ている分には、当然ほぼ黄道に沿って傾いて見えるので、地上座標からすると運の悪いことに出現位置がちょうど真上に見える位置に来てしまったということだった。一眼で撮影できなかったのが、返す返すも残念で悔やまれるが、自分の失敗なので仕方がない。

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