陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS) を撮影

「だいち2号」の打ち上げが近いからか、最初の方の「だいち」も一部では注目をあびているようで、先日、宇宙かふぇに行って、キャプテンに比較明合成の星空写真の取り方を伝授していたところ、Nさんがやってきて、これから「だいち」の可視パスがあるという。たまたま、既に連続撮影を開始していたキャプテンのカメラはちょうど衛星の見える方向を向いていたので、そのまま通過の時間まで撮影を続けることに。私も、説明用に持って行っていた自分のカメラと三脚で、パスがうまく入るようにセットして、こちらは衛星の通過時間内だけ撮影。

しかし、予想光度は2.3等とあまり明るくなく (まあ一般の衛星の中では明るい方ではあるが)、しかも、明るさは周期的に変化するという。北斗七星もよく目を凝らさないといけなかったこのときの宇宙かふぇ付近での光害だか薄曇りだかの環境では結構きびしそうだった。いちおう、衛星を少し明るく写そうと、通常、4秒ぐらいに設定しているシャッタースピードを短く2秒に設定して撮影しようとしたら、なぜか連続撮影がすぐに止まってしまった。これは今までにもたまに出ていた症状なのだが、シャッタースビードを短くしたことと関係あるのかないのかわからないが、とりあえず無難に4秒に戻して撮影した。

結果、肉眼では確認できなかったし、私が撮影した画像もその場でカメラの液晶モニタで見た限りではまるで写っているかわからなかったが、帰宅して画像を合成し、明るさをめいっぱい持ち上げてみると、なんとかまるでイリジウムフレアのような軌跡が一ヶ所だけ写っているのがわかった。それがこちら。左上角の太い線は、写り込んでしまった電線。その右下の方に写っている。

ALOS 20140507
だいち 2014/05/07 20:54 Canon EOS 60D, EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS II (18mm F4), ISO200, 4sec × 47, KikuchiMagick, Photoshop 7.0

しかし、これではちょっと納得いかなかったので、同じくらいの光度のパスがあった昨夜、自宅付近で再挑戦してみた。カメラは、EOS 60Dだけでなく、画角が広いのとF値が小さいという2つの点で有利なので、PowerShot S120も使って、両方で同時に撮影してみることにした。

画角が広いといいのは、今回、ちょうど南中している北斗七星の端をかすめていくので、その北斗七星を画面に入れると下の方があまり入らなくなる。60D用のレンズの最広角は18mmで35mm換算すると、約29mm相当。一方S120の最広角は24mm相当なのでちょっと広い。といっても、S120の画角でも北斗七星を入れると地平線には届かない。しかし、地上風景が入らないと、衛星が通過していって地平線に向かっていく感がわかりにくいので、樹木の上の方だけ画面に入る構図で撮ることにした。

いつも明るいISSを撮るようなときは、先に書いたように4秒かそれ以上のシャッタースピードで撮っている。しかし、暗い衛星を撮るには、同じ露出量になる設定の組み合わせの中で、シャッタースピードを短くして、絞りを開けるか、ISOを上げる方が衛星が明るく写る。背景の星の方は日周運動で動いているとはいえ、1枚の写真の中ではほぼ点像なのに対して、衛星の方は1枚の中で動いていくので、同じ露出量だとシャッタースピードが長くて画面内の移動距離が長いとその分だけ光が薄まってしまっているということになる。つまり、シャッタースピードを短くした方が短い軌跡の中に光が濃縮されて明るく写る。また別の言い方をすると、衛星は画面上を動いていくので静止物のようにひとところに当たった光を貯めて明るく写るということがないためにシャッタースピードは写る明るさには関係なく、先に言ったようにシャッタースピードを短くして同じ露出量にするためには絞りやISOの設定を明るく写る方向に設定するわけなので、そちらの効果だけが効いて明るく写る、という説明もできる。

そんなわけで、シャッタースピードを短くして撮るわけだが、60Dで撮っている場合は既にレンズのF値が開放に近いところで撮っているので、残るはISOだけだが (もちろん、開放F値の小さいいいレンズを持ってくればいいのだが)、S120は開放F値が小さいのでその分ISOをあまり上げなくてもシャッタースピードを早く設定できる。ここでは0.4秒で撮影した。普段のISSの10分の1である。衛星が通過している間だけの撮影だからいいが、日周運動の撮影でこれをやったら、恐ろしい枚数撮影しないといけないことになる。

そうやって撮影したのが下の写真。撮影の少し前まできれいに晴れていたのに、セッティングしている途中から少し雲が出てきてしまったが、なんとか雲を通して星も見える程度におさまっていてよかった。

ALOS 20140509 S120
だいち 2014/05/09 20:35 Canon PowerShot S120, 5.2mm F1.8, ISO800, 0.4sec × 533, PhotoShop 7.0

見た通り、明るくなったり暗くなっりしていて、明るくなっているときは結構明るいが、暗いところは全くわからない。しかも、一定に明暗を繰り返すのではなく、周期的に明るくなっている部分でも明るいときもあれば暗い時もある。右上から順番に、1番目が観測地近いときだが2番目の方が明るい。そして3番めは一気に暗くなった後、4番めはあるのかないのかわからず、その後もうだいぶ遠くなっているのにまた3番目よりむしろ明るく見えているのが3つ続き、そのうち最後は特に鏡面がちょうどこちらを向いたのか、一瞬非常に明るく光っている。

このように光度変化が出るのは、実はこの衛星がすでに運用を終えているために、姿勢制御が行われておらず、勝手な状態に回転してしまっているためだ。実は先日の246COMMONでの観望会で見たロケットボディもやはり回転してしまっているために明るさの増減をしていたが、もっとゆっくりおだやかなものだった。この衛星はかなり大きな太陽電池パネルがついているので、向きによって光の反射の仕方がかなり違うのだろう。しかも、必ずしも単純に1軸中心に回転しているわけではないだろうから、不規則な光度変化をするのだろう。

この軌跡、1番目のものの前に更に右上にも写っていてよさそうだが、これは単に手間取って撮影開始が間に合わなかったため。せっかく広角で撮っていたのに、その部分を衛星が移動している間はまだ撮影できていなかった。ちょっと失敗である。

次はEOS 60Dで撮影した方。S120で手間取ってしまったため、こちらの撮影開始も遅れてしまって、S120の方の写真では最初に光っている部分が終わった後からの撮影開始となってしまった。こちらはF値は変えずにISO値だけでシャッタースピードの短さを補っているのでノイズっぽくなっている。シャッタースピードを短くするのはS120より少し控え目にして1秒。その違いの分、こちらは衛星があまり明るく写っていないのと、衛星の軌跡の破線の間隔が荒い。

ALOS 20140509 60D
だいち 2014/05/09 20:36 Canon EOS 60D, EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS II (18mm F4), ISO1600, 1sec × 180, KikuchiMagick, Photoshop 7.0

  1. だいち2号 | 世事不可强求

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