だいち2号

去る2014年5月24日に予定通りALOS-2 (陸域観測技術衛星2号「だいち2号」) が種子島から打ち上げられて無事軌道に乗った。

早速ISSを見たりするのと同じように地上から見て (写真に撮影して) みようと思い、Heavens-Aboveで可視パスを探そうとしたが、「明るい衛星の日毎の予測」には見当たらない。少し前に打ち上がったGPM主衛星もそうだが明るさ(等級)の情報が入っていない衛星もあって、そうだと「明るい衛星の日毎の予測」に出てこない。そういう衛星も、「衛星データベース」の方から名前を入れて検索すると、可視パスを検索することができるが、ALOS-2とか、ALOS2とか、ALOS*とか入れてみても、該当する衛星がみつからない。軌道データが出てくるまでまだ時間がかかるのかなと思ってしばらく様子を見ることにしていた。

ところが、twitterで既に撮影した人をみかけたので、これはやはり既に軌道は確認できるのだなと思って、もう一度真剣に考えてみた。Heavens-Aboveの衛星データベースの検索は、衛星の名前だけでなく、衛星のID番号でもできる。Wikipediaを見ると、国際標識番号:  2014-029A、カタログ番号: 39766と載っていた。このカタログ番号を衛星の番号として検索条件に入れると、ちゃんと出てきた。衛星の名前は “OBJECT A” となっていた。B~Eは同時に打ち上げられた4つの小型衛星と思われ、FはH-IIAロケットの残骸だ。

さて、可視パスのリストを見てみると、これがちょっと変わっている。普通は衛星は、地上が夜だが上空の衛星には光が当たっているという条件の発生する日没後しばらくか、日の出前しばらくの間に見えるものだが、この衛星の可視パスの時刻は22時台から0時台の真夜中ばかりである。いくら夏至が近くて日没時刻は遅く、日の出時刻は早くなっているとはいえ、これはあまりに真夜中過ぎる。そして、その見える方角はというと、いずれも北方向のあまり高くない高度で影から出てそのまま地平線に向かって見えなくなるという軌道ばかりだ。

それで思い当たったのだが、だいち2号の軌道は極軌道だということ。しかも調べてみると、だいち2号のパンフレットに太陽同期軌道で「12:00(正午)@赤道上(降交軌道)」と書いてある。つまり、地球と太陽を結ぶ直線を含むほぼ垂直な面に沿って地球を巡っていて、北極上空から地球の真昼側を南下して行って、南極上空を通過し、地球の真夜中側を北上して北極上空に達して1周するという軌道。これだと地球上の中・低緯度地域の明暗境界線付近は通らないことになるので、軌道傾斜角の小さい衛星のように日没後や日の出前に見ることはできない。余談だが、同じ極軌道でもこれと90°違った面をめぐっていると、地球の影に入らず常に太陽に照らされている状態になる。

で、これだと中・低緯度地域では日没後や日の出前に見るということはできないわけだが、北極付近や南極付近でなら、地上が夜で上空の衛星に光が当たっているという条件が発生する。ここで、地球の地軸は傾いていることから、夏至近くだと明暗境界線は北極を通り越して地球の深夜側の方にやってきているので、日本程度の中緯度地域からすると、結構これが近くなっている。そんなわけで北方向にだけ見られるということになる。これが、夏至前後以外では、北極寄りの明暗境界線との距離が離れてしまうので見られなくなる。逆に冬至が近づくと南側で見られるかというと、日本は北半球にあるのだから、そうはいかない。

前置きが長くなったが、ともあれだいち2号は夏至前後に北の空の低い位置にしか見られないということははわかった。打ち上げがこの時期で、すぐに見られてよかった。夏至前後が条件がいいといっても梅雨で天気が悪くて見られないことも多いだろうから、今のうちに見られるときに見ておかないといけない。高度が低い中でもいくらか条件のいいパスが昨日今日とあったので、まず昨日撮影に挑戦したが、薄雲というか霞がかかったような空で、地上の光が盛大に散乱して、ほんのかすかにしか撮影することができなかったのでblogへの掲載はボツにした。今日はそこそこきれいに撮れたのでそちらを掲載しておく。

ALOS-2
ALOS-2 (陸域観測技術衛星2号「だいち2号」) 2014/05/29 23:18 Canon EOS 60D, EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS II (32mm F4.5), ISO1600, 1.3sec × 68, KikuchiMagick, Photoshop 7.0

写真上端右の方の明るい星が北極星。画面内には他にあまり明るい星がないが、ほとんどの領域がきりん座である。先代の「だいち」は既に制御を失って回転しているために光度の変化が激しかったが、こちらの軌跡はそういう変化はしていない。北の地平線にまっすぐ下っていく軌跡から、地球を縦に周っている衛星の軌道が想像できるだろうか。

失敗は、今までも時々発生している連続撮影が途中でつっかえてしまったこと。レリーズが悪いのかカメラが悪いのか、これまでも何度か発生している。星の日周運動の軌跡の写真ならあわててレリーズを動かしなおせばなんとか続いて写ったかもしれないが、速い速度で動いている衛星の軌跡はほんの少し余計に間が空いても軌跡が乱れてしまうので、まあ既にある程度進んだところだったのでもうその先を撮るのはあきらめてそこで撮影を中止した。結果を見てみると、地平線近くの明るくなっているところに暗くなっていく衛星が溶け込みそうなところくらいで終わっているので、まあそんなに不自然でもなく済んだようだ。続きが撮影できていればその先微妙に薄くなりながら消えていくところも写っていたはずではあるのだが。

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