12K MEGASTAR-FUSION

Megastar Fusion

これまた行ってから1週間以上経ってからの報告だが、千葉県立現代産業科学館で行われていた大平技研の最新のプラネタリウム、12K MEGASTAR-FUSIONの上映を見に行ってきた。どうも私にはメガスターは鬼門で、これまで何度か残念な目に遭ってきた (1, 2, 3) のだが、話題になっているので今回また懲りずに行ってきた。

このシステムのウリは12Kの解像度ということと、地上風景や雲や飛行機などの映像と星の重ね合わせ処理がうまくできますということ。詳しい仕組みは技術解説資料(PDF)に書かれているのを読むとよくわかる。 [togetter]

まず12K解像度の方は、デジタルプラネタリウムの投影を4K解像度のプロジェクターを17台使ってドーム内に分割投影することによって、12K相当の解像度を得ているという。細かいことを言うと、長方形画面でなくてドーム画面のxK解像度とはなんだとか、実は4Kプロジェクターは2K入力のアップコンバージョンだとか、合成されてる風景画像などの元解像度はもっと低いとか、色々あるが、単純には従来のデジタルプラネタリウムで使っているよりも高解像度を実現しました、ということで理解しやすい。そして、これはこれまで高精細な恒星原版を使って投影してきたメガスターに引けをとらないものをデジタルプラネタリウムでできてしまうようになってきたということでもある。

ただし、ここでデジタルプラネタリウムの欠点として挙げられているのが、非常に明るい星の再現性が悪いということ。プロジェクターの画面上では一定以上の星の明るさは輝点の大きさで表すしかなく、あまりに明るい星の明るさを出すためには星像がもはや点像に見えなくなるまで大きくしないといけなくなってしまうという問題があるという。しかしねこれはデジタルプラネタリウムに限った話ではなく、恒星原版を使ったプラネタリウムでも原版の穴の大きさでしか星の明るさを表現できず、大昔のカールツァイスの投影機でも、ブライトスター投影機を別途何十個か用意して明るい星だけ個別に投影していた。

この問題は将来全体の輝度がより高いプロジェクターが登場すれば解決する問題かもしれないが、ここで光学投影 (というのも妙な言い方だが、何と言ったらいいのかよくわかならい) にこだわる (?) メガスターとしては、プロジェクターで表現しきれない明るい星62個 (1等星以上と、一部を除く2等星) だけを専用の投影機で別途投影する。投影機は、一般の単球式の恒星投影機のような形をしているが、必要な星に対応した部分だけに穴が個別に空いている。この記事冒頭の写真の右側のものがそれである。世界一恒星数の少ない光学式プラネタリウム投影機だという。そして、普通の恒星投影機と違うのは、星の数が限られているために、ひとつひとつの星ごとに個別に明滅や明るさのコントロールができるという点。これが風景などと星の重ねあわせ処理がうまくできるという特長につながる。

さて、そういう予備知識をもって気にしながら見たせいかもしれないが、どうもその明るい星だけ見え味が明らかに違うように感じた。プロジェクターのみで投影した場合の不自然さを取り除こうとした結果が、異なる不自然さをもたらしてしまっているように思える。単純にこの12Kのデジタルプロジェクターだけで明るい星も全て表現しようとした場合と見比べてみたいものだと思った。

次に、別画像との重ねあわせ処理である。プログラムの内容を見てみると、確かにこの機能をことさら強調したような内容になっている。オープニングは天文台のドームのスリットが開いた隙間から星空が見えてそれがだんだん広がってくというもの。後は、雲が流れる中の星空だったり、各地の風景に重ねあわせた星空だったり、プロモーションにも使われている飛行機が星空にかぶって飛ぶシーンだったり。従来、光学式の恒星投影機と、デジタルプロジェクターで画像を投影するハイブリッド式のプラネタリウムでは画像に恒星像が重なってしまってうまく表現できなかったシーンである。普通の光学式恒星投影機では常に空全体の星を一斉に投影しているしかないからである。ところがこの12K FUSIONのシステムでは、恒星投影機が62個の星しか投影しないために個別に制御できることにより、デジタルプロジェクター側の画像情報に連動させて重なった部分だけ消すということができるので、このようなシーンの表現が可能になる。そして、それができるがゆえに、この能力を強調した番組づくりになっている。

ところが考えてみれば、ハイブリッド式でなくてフルデジタル式のプラネタリウムであれば、そもそもそのような映像も全部をデジタル画像として生成するため、なんのことはなく投影できたわけであるし、12K FUSIONの62個の星以外についてはそうしているわけである。これまでのフルデジタルプラネタリウムでは解像度や輝度的には足りなかったかもしれないが、そういった複合画像をつくることは特に造作もなくできたものの、特にそれを強調したくてわざとらしく星空に映像をかぶせるような演出の番組はあまりなかっただけではないか。

そして、12Kのデジタル投影ができていれば、先に書いた輝星の処理のことを忘れれば、デジタル部分だけで同じことをやるたけなら、光学投影機との同期だとか星個別の制御だとか面倒なことをしなくても済むわけでもある。そのあたり、デジタルの高精細だけなら追随者もすぐに出てきそうだし、また従来のメガスターの流れから光学恒星投影機をなくしてしまいたくもなかったということもあるのかもしれないが、そんなこんなで、こんな少々アクロバティックなシステムができたのかと想像してしまう。

と、まあ、なんだか今回もずいぶんケチをつけたような感じだが、前2回の残念感ほどのことはなく、全体で見れば非常によかったと思う。確かに大きく風景などと組み合わされた星空風景はダイナミックで迫力があったし、12Kの星々は緻密で美しかった。17台ものプロジェクターを個別に設置して、星像が境目で破綻しないものかと思ったがそういったことも全然感じられず。

その他には、気になったのは、プロジェクターのパイロットランプが点灯しているのが客席から目に入ったこと。これはいただけない。実は、全体の中で一番目を惹いたのは、空港のカウンターのシーンで、左右にはるか彼方まで伸びるカウンター列の奥行き感が半端なかった点。これは、単なるドーム映像の話だが。

それから、ドームに入る通路の途中に、大平氏が過去に製作した投影機や資料が展示してあったが、開場前から大行列で、そのまま入場してしまうし、投影後は別の出口から出るので、ゆっくり見ることができなかった。少し追い越されるのを承知で写真だけ手早く撮っておいたので、後でゆっくり見ようと思っていたら、ちょっとした手違いでそのときに撮った写真を全部削除してしまってがっくり。記事冒頭の写真は唯一たまたまデジカメからiPhoneに転送してあったので残っていたもの。

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