火星によるしし座χ星食

10月19日未明には火星によるしし座χ星の食という珍しい現象が見られた。普通「食」というと、月自身が地球の影に入って暗くなる月食以外は、日食を筆頭に、先日のアルデバラン食などのように、月「が」何か他の天体を隠す現象だが、ここでは月よりもみかけの大きさがはるかに小さい火星が恒星の前を通るというもの。このときの火星の視直径は4.1″で、月の400分の1以下。

事前に自分でも確認してみようと、その時刻付近をステラナビゲータで見てみると、確かに火星のすぐそばにしし座χ星が見える。ところが、付近の時間を細かく動かしてみても、火星はしし座χ星にかぶさらずに脇をかすめて行ってしまう。最接近する時刻も予報とは少し違う。月による食の場合は観測地によって月の見える位置がかなりズレるので地上の位置が少し違うことによって星食が見られたり見られなかったりするが、火星は地球からずっと遠くにあるので、多少地上位置が違ったとしてもそんなにズレるはずはない。何か自分のステラナビゲータの設定が違うようだ。

某非公式オンラインサポート (笑) に教えていただいたところによると、やはり少し設定が必要だった。[天体(O)]→[恒星(S)…] の設定画面で、恒星の固有運動計算がデフォルトでは4.0等以上にしかなっていなくて、4.62等のこの星が計算対象になっていないので、この設定値を大きくする必要がある。また、この固有運動の計算は、標準の恒星データにしか適用されない。食の様子をよく見ようと火星の形がよくわかるまでに画面を思い切りズームアップすると、恒星データを自動切り替えにしている場合、拡張データに切り替わって、固有運動計算の適用された星の位置に表示されない。「使用するデータ」に「標準」を選んで固定しておく必要がある。更に、固有運動の計算は短時間では反映されないので、わざと一旦日付を数年動かしてから戻ってくると反映されるという。

ステラナビゲータの恒星設定

上記の通りにすると、めでたく予報通りに火星がしし座χ星の真上を通って行くようになった。このやり方を覚えておけば次回も同様の現象があった場合にも安心だ。しかし、惑星によるそこそこの明るさの恒星食が次に見られるのは一体いつのことだろう? (笑)

さて、当日、雲行きは少々怪しかったものの、食の時刻になるとしっかり晴れていて無事観測できた。このところの明け方の東の空に惑星が集まっている中で、火星は前日に木星と最も接近していて、この日もまだずいぶん近くにいて、望遠鏡の直焦点で同一視野に入る距離だったので、木星も一緒に撮ってみた。

火星によるしし座χ星食火星によるしし座χ星食 2015/10/19 04:28 Canon EOS 60D, Celestron NexStar 5SE (D125mm f1250mm F10) 直接焦点, ISO400, 1/4sec

この写真を撮るのに、木星の衛星もちゃんと写るように、しかし食直前の火星としし座χ星がよく分離して見えるように明るく写りすぎないようにと露出を調節したりしていたら、あっという間に食の時刻が近づいてしまったので、潜入前はきっちり露出を合わせた状態で十分手前から等間隔で撮影するのが間に合わなかった。そんなわけで前半は撮影時刻や露出がバラバラになっているが、下の写真が連続撮影した食の潜入と出現の様子。

火星によるしし座χ星食

火星に恒星が隠されるというよりは、光が融合していくような感じだ。食の間ではなく、少し離れて火星としし座χ星が並んでいる様子は、火星の赤さと、しし座χ星との色の対比が美しく、まるでアルビレオを見ているかのようだった。

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