プラレア巡り(23) 宇部市勤労青少年会館

VENUS S-3

北九州市立児童文化科学館、スペースワールドと訪れた日は、小倉に宿泊し、翌日の1月8日は関門海峡を渡って山口県の宇部市勤労青少年会館に向かった。

ここは、学校の休み期間中など以外では、日曜日にしか投影を行っておらず、それも昼間に1度だけなので、それに合わせて行くしか無い。まあ実はこの前々日は冬休みの投影日だったのだが、こちらは普通に仕事をしていた。今年の年末年始はちょっと曜日の巡りが悪かった。

移動時間を考えても午前中は少し余裕があるが、スペースワールドをこの日の午前中に入れるにはちょっと余裕がない感じだったので前日の夜に行くことにしたわけで、そのまま特に考えていなかったが、ちょっと調べると、ゼンリン地図の資料館というのが泊まっていた小倉駅前から歩いて行けるところにあって、そこに伊能忠敬の大日本沿海輿地全図の原寸大レプリカが展示してあるということで、ぜひ行ってみたいと思ったら、土日祝日は休館だった。残念。しょうがないので、その近所の小倉城を眺めてから宇部に向かった。

移動中に、以前小野田のプラネタリウムに行ったときに現地合流したSGさんも宇部に向かっているという情報が入る。そして、33館達成者たちからは、投影が終わってから解説員の人に色々話を聞ける、いやむしろそちらが本番、というので帰りの交通には余裕を持っておくことという助言をいただくが、帰りはもう飛行機を予約してある。

ともあれ、現地に到着。外から見えるドームはプラネタリウムのではなく望遠鏡のドーム。プラネタリウムは展望フロアっぽく見える階にあって、ドームはそんなに大きくないので、建物のその上の部分の中に収まっていて、外に球状の形は露出していない。

宇部市勤労青少年会館宇部市勤労青少年会館

ここのプラレアポイントは、1967年設置の国産機では最古参プラネタリウム。手動操作で肉声による生解説。とある。今年でちょうど50周年とのこと。ここの投影機は五藤光学のVENUS S-3。まあ確かに古い機械である。そして、小さなドーム用なので、結構小ぶりだ。木製の家具のような台の上に載っている。

VENUS S-3VENUS S-3

投影機を見てまず驚いたのが、投影機中心部にむき出しになっているスリップリング。投影機の回転部分への電気の供給を全部電線でつないでしまうと、くるくる回しているうちに巻き付いてしまって困るので、回転盤をブラシがこすって電気通じるようなしくみになっているのだが、普通はカバーの中に入っていて目にすることはないものだが、ここはまるまるむき出しになっている。こんな投影機を見たのは初めてだった。

スリップリング

次は恒例の地上風景チェック。昔ながらのシルエットに切り抜いた黒い板がスクリーンの前に置いてあるタイプ。50年前に作ったままなので、実際の風景とかなり食い違ってきているところがあるとのこと。そしてここにも2方向切り替え式の方角表示灯。ドームの投影面はパネルや布地を貼ってあるのではなく、そのまま壁になっている。最近塗り直したそうで結構きれいだった。吸音とかは考えられていないせいか、声が反射して結構響く。

スカイラインと方角表示灯

コンソールの隅の方に星座絵スライドなどの補助投影機が少し。スライドのフィルムは35mmフィルムよりずっと小さい感じ。コンソールの手前の窪みは、おそらく以前は大きな矢印ライトが置かれていた場所だと思うが、レーザーポインターが置いてあった。

コンソール

投影開始時刻になって集まっていたのは、私と、もうひとりの巡礼者と、宇部天文同好会のメンバーの方1名と、男女連れ1組と、親子連れ1組。ここは投影時間が1時間15分あるというのも珍しい。1時間を超える投影時間のところというのは他ではみかけない気がする。

投影が始まるが、解説のスタイルはもう自由そのもの。ずっとコンソールから解説するのではなく、客席のところにやってきて、子供に直接語りかけたりしながらの解説で、ときどきコンソールに戻って投影を動かしたり、という感じ。

投影中の投影機を見て目についたのが、惑星棚の更に先端部に結構明るく光っている部分があること。投影が終わってから見ると、天の川の投影機だった。結構小さいせいか、ぼんやり光る感じではなく明るく見えるのだろう。投影後にまたドームを暗くして天の川投影機だけ撮らせてもらったのがこれ。これだけ撮ってもなんだかわからないな。

天の川投影機

神楽洞夢の回に少し触れたが、土星の形状が本来肉眼ではわからないくらいの大きさなのに、プラネタリウムでは肉眼でもよく見るとわかるくらいの大きさに投影しているものがある。ところが、ここはよく見るとわかるどころではなくて、それは立派な大きさの土星像が投影されていたのにもびっくり。そういえば、沈む太陽の大きさも実際に見える大きさよりも大きかった。

その惑星投影機だが、惑星棚にひとつずつおさまっているのは一般的なモリソン型や鉄アレイ型共通の仕組みと同じだが、渋谷に展示してあるカールツァイスIV型で見て学んだように、支持柱に隠れて惑星像が見えなくなってしまわないように投影機が2つ並べてあるものだが、これは小型だからかそれぞれ1つしかない。これも投影後に尋ねたら、やはり実際にときどき柱で隠れて見えなくなるそうだ。

惑星棚

恒星原板で投影するのとは別に、特に明るい星だけ別にブライトスター投影機で投影することが多く行われるが、ぱっと見見当たらない気がしたのに、ベテルギウスやアルデバランが他の星と違って赤っぽく投影されていたので、これも質問してみたら、私の見落としでブライトスター投影機はちゃんとあって、ベテルギウスとアルデバランはそれで個別に色をつけてあるのだが、アンタレスはなぜか赤い色がついていないのだそう。

下の写真ではどちらも画面の端で少し切れてしまっているが、本体主要部分の恒星球と惑星棚に劣らぬ存在感で飛び出て取り付けられている、パンパンになった手袋みたいなものが何かわからなかったので尋ねたら、これは天の赤道と黄道を投影する装置。そう言われると、架台の端のところに、同じような形をした子午線投影機もある。

黄道赤道投影機

投影機は小型ながらも、恒星球の各レンズの前には、地平線以下に星の光が行かないようにする重力式のシャッターはちゃんとついている。そうでない個別の投影機には、それぞれ水銀スイッチがついていて投影機が地平線以下を向くと電気が切れるようになっているが、その使われているスイッチの交換部品がもう製造されていなくてストックが切れたらおしまいらしい。箱のスヰッチの表記が時代を感じさせる。

水銀スヰッチ

まあ、こんな話を投影が終わった後も延々話してくれた。確かに事前情報の通り。解説員の方は、若い頃にここにプラネタリウムができるときいて、ぜひ自分でさわってみたいと思って、開設時の講習に参加したのだというから驚き。ずっとここで開設をやっていたわけではないが、歳を取ってからまたここで解説をすることになったが、市の職員としてやっていると勤務時間とかの関係で都合がよろしくないということで、宇部天文同好会を指定管理者にして請け負っている形にしているのだという。普通の科学館が指定管理制度を利用しているのとはなんだかちょっと違う。

飛行機の時間まではそんなに時間がないわけではないものの、それに間に合うようにJRに乗って行くには、距離は近いのに本数が少ないのでそれに合わせると結構早く出ないといけなかったのだが、宇部天文同好会の方が車で送ってくださるということで、時間に余裕ができて、ゆっくりお話をうかがうことができた。

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