航海三角

航海三角

一昨年にプラレア巡りのために初めて行って以来、毎年訪れていて今年が3回目になる、東京海洋大学の海王祭でのプラネタリウム公開。去年は適当な時間に行ってひとりだけだったが、今年はまた初日の第1回の時間に間に合うように行ったら、見慣れたメンツがたくさん揃っていた。

機器の不調もあって、長い間待っている間にみなさんとおしゃべりしている間に、その中では私は初対面だったSさんが、「航海三角」の話を持ち出した。航海三角とは聞いたことのない言葉だったが、確かに東京海洋大学海事普及会のプラネタリウムの「近代化改修工事」の記事の最後の方に「海事普及会では使い方が伝承されていない、航海三角機能」が改修で使えるようになったと書かれている。これは気が付かなかった。

一昨年に初めて見たときに、コンソールもじっくり見せてもらい、写真も撮っていて、それを見るとしっかり航海三角と書かれたツマミが写っている。その当時は使えない機能だったためか、人工衛星のツマミとともに赤色のラベルが貼られている。しかし、人工衛星には目が止まった覚えがあるが、航海三角には目が行かなかったのか、その意味不明な用語は何だろうと思った覚えもない。ちなみに、人工衛星投影機の方は、渋谷の旧東急文化会館で使われていたカールツァイスIV型にも装備されていたのを知っていたので、まあ、ここにもその機能があったんだろうな、と思っただけだった。

さて、その航海三角で盛り上がった一同、投影終了後の自由時間(?)に、係の学生さんたちにお願いして点灯させてもらった。投影されたのは、こんな2本の線。左下側には天の赤道と黄道が映っているが、右側の方と下の方にあるのが航海三角。三角というものの2本の線しかない。途中で途切れているが、天球上の大円に沿った線と思われる。像が流れているのは、説明で投影機をぐるぐる動かしていたため。

航海三角

そして、投影機を動かすと、この2本の線は恒星像と一緒についてくる。つまり地上からの高度とか方角とかによって決められる線ではなく、天球座標上に引かれた線ということになる。

投影機はどこについててるのか、恒星についてくるのだから恒星球のある本体のどこかにくっついているはずで、探してみると、小さな円盤状のものが2つ寄り添っているものがあって、これがその航海三角の投影機だ。

航海三角

ちょっとアップで撮りすぎて全体像が分かる写真を撮り忘れたが、一昨年に撮った写真の中にちょうどいい具合に写っているものがあったのでそちらも載せておく。

航海三角

投影機の首の部分は可動式になっているようで、固定するためのクランプのツマミがあるのがわかる。そしてこの投影機自体が、プラネタリウムの投影機本体をとりまくレールの上に取り付けられており、自由な位置に動かせるようになっている。試し投影では一部が途切れて映っていたが、おそらく近くにある天の赤道・黄道投影機の影になってしまっていただけで、本来はうまく影にならない位置に移動させるのだろう。このことから、この航海三角投影機は、事前に天球上の好きな位置に2つの大円を設定しておいて投影できるというもののようだ。

果たして、それで一体何の説明に使うものだったのか。使い方が伝承されておらず、修理した五藤光学の技術者も直しはしたけれどどういう使い方をしたのかは知らなかったのだろう。ネットで検索しても、なかなかこれといったものはヒットせず、出てきたのは、上で紹介した近代化改修工事の記事と、実は昨年の公開時に既にこの航海三角のことを取り上げていたblogが見つかっただけだ。いやしかし、よく見ている人がいるものだ。ちなみに、このblogのコメント欄の書き込みによると、今のプラネタリウムのある建物の、プラネタリウムに行く階段がなんだか妙な感じになっている理由が書かれていた。

少し話が脱線した。さて、「航海三角」というからには、何か天測航法に関係することに違いないだろうとは思うのだが一体何だろう。天測で三角(形)というと、1つの星の位置から地図上に1本の線を引き、2つの星で2本の線を引けばその交点が自分の位置だが、誤差があるので、3つの星で3本の線を引くと、3本がきっちり1点で交わらずに三角形がでて、誤差を考慮して自分はその三角形の真ん中。といったようなことしか思いつかないが、これは地図の上に描く三角形であって、天球に投影する話ではないので、関係なさそうだ。まあ私が考えていても埒が明かないので、どなたかこの謎を解き明かしてくれる人が現れるのを待ちたい。

ところで、コンソールの「人工衛星」のツマミにも赤いラベルはなくなっていたが、人工衛星投影機らしきものは見当たらなかった。

そして、コンソールの端に、旧来の大きな筒のポインターがあった場所が空っぽになっていたので尋ねたら、調子が悪くなって修理に出しているとのこと。それで、解説は赤いレーザーポインターでやっていたのか。ちゃんと直ってきて来年は古いポインターで解説してもらいたいものだ。

今回は他にも、事前に、補助投影装置が大活躍の予定と言われていたので、どういうことかと思ったら、解説のストーリー中で、説明用の地図やら写真やらをたくさん写していた。ON/OFFするしっかりしたトグルスイッチを切り替える音がバチン、バチンとドームに響いてるのが印象的だった。スライドは、リバーサルフィルムではなく、プリンタ用のOHPシートに印刷したものを切り抜いてマウントにしたとのこと。

それから、もうひとつ聞いた話は、コンソールの惑星のスイッチ。中央のOFFの両側にONがあって、土星の像は、片方は点像で、片方は輪のある土星の形がわかる像、と切り替えられるのだそうだ。惑星棚の柱にかぶって隠れたときに困らないように、それぞれ2本ずつある惑星の投影機を切り替えるようになっていて、片方ずつ投影する像を違えてあるということか?

そして、今回は最後に、自分のお願いしたタイミングで日周運動を回してもらい、PowerShot S120の4秒露出で軌跡写真を撮らせてもらった。三脚を使っていないので、コンソールの上にカメラを押し付けて撮影したが、上向きの角度を手で保持しての撮影だったので、やはり少しブレてしまった。ポケット卓上三脚でちゃんと固定して撮ればよかった。

M-1

今回は色々とおもしろい話が聞けて、収穫のあった訪問だった。

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  1. #1 投稿者: うっ (2017年7月9日 - 20:51)

    先日ツイート上で航海三角のことを教授頂いた うっ でございます。
    たまたま朝霞のプラネタリウムを見に行ったので、
    歳差運動の軌道円と航海三角の有無を確かめてみました。
    歳差はツマミと停止ボタンがありましたが三角はありませんでした。
    解説員の姐さんも歳差は知っていても三角の方は知りませんでした。

    • #2 投稿者: Erlang (2017年7月9日 - 21:04)

      うっ さん、コメントありがとうございます。
      そうですね。航海三角はおそらく天測航法を教えるためのプラネタリウムとして特別に追加された機能と思われますので、一般のプラネタリウムには搭載されているものはないと思いますし、解説員の方もご存知ないのも当然のことと思います。
      実際に使われていた当時の関係者の方などで詳しいことを知っている人がみつかればいいと思うのですが、昔のことなのでどうでしょうね。

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