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プラレアリウム巡り ― 達成報告

プラレアリウム33箇所巡りは、33箇所目の記事の最後に書いた通り、明石市天文科学館に33箇所達成の報告をしに行かないといけない。ただ報告のためだけに明石まで足を運ばないといけない。しかも、後に書く通し番号のこともあるので行く時期を見計らわなければならないのだが、大阪の星カフェSPICAさんの7周年の記念パーティーが7月15日にあるというので、それに合わせて行くことにした。予定を決めてからわかったのだが、ちょうど夏休み前の海の日の連休でもあることからか、プラネタリウムの番組はシゴセンジャーが設定されていた。明石には何度か行っているが今までシゴセンジャーの本物を見たことはなかったので、これもちょうどいい。

朝イチで明石に到着して、すぐに時間なので第1回の通常投影を見て、2回めがシゴセンジャーだが、第1回を終了して外に出たらもうたくさんシゴセンジャー回の投影のために行列ができているのでそのまま並んで、シゴセンジャーを見る。その終了後、やっと時間ができて1階の受付で達成の報告。これまで、11館目、22館目でも報告していてそこまでの達成のバッジはもらっているので、今回は23館目から33館目の分のリストとかかった費用などを記載した報告書を提出。33館達成のバッジをもらう。達成証は後で郵送されるとのこと。バッジにはそれぞれ最初のうちだけ通し番号が振られていて、11館バッジはNo,11まで、22館バッジはNo,22まで、33館バッジはNo,33までとのこと。私がこれまでもらったバッジは、11館のものはNo,なし。22館は結構ぎりぎりでNo,21だった。33館バッジは既にNo,30が発行されていることはわかっていたので、またぎりぎりの番号のものがもらえるか、既に過ぎて番号なしになっているか。できたらちょうど最後のNo,33が欲しいところだったが、もらえたのはひとつ前のNo,32だった。まあ、22館のときも最後からひとつ前のものだったから、それでいいか。

プラレアリウムバッジ

後で聞いた話で、この日のうちにNo,33の達成報告者が現れたとのこと。微妙な時間差だったようだ。

この後、夕方からのSPICAのパーティーまでは時間があるので、たまたまシゴセンジャーの回に来ていて一緒になった知人と、湯浅光則という人の星景写真展を見に行き、その後SPICAへ。そちらでも、また関西の知人に会い、関西以外からSPICAパーティーに来た知人に会い、新しく幾名かの方々と知り合いになった。楽しいプラレア報告の旅であった。

プラレアリウム巡りはまだこれでは終わらず、9月1日にイベントが予定されているので、また行かなければならない。

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ASI290MCで惑星撮影 (その6) ― ADC(大気分散補正プリズム)

ASI290MCでの撮影のオプション機材追加の話題はまだ続く。今回は以前の記事でも少し触れたADC (Atmospheric Dispersion Corrector: 可変式大気色分散補正ウエッジプリズム)。地上から惑星撮影のように天体を極端に高い倍率で拡大して見ると、大気層を光が斜めに通ってくる際に屈折してその屈折率が波長によって異なるために、惑星の像が色によって位置がズレて見えてしまうのがわかる。特に高度が低いときに顕著になるが、今の時期木星、土星、火星はいずれも黄道が赤道よりも南側にある領域にあって、南中したとしてもあまり高度が高くならないので、この色のズレが大きいということになる。

RegistaxにもAutoStakkert!にもパソコン上でRGBの3原色のデータになったものの互いの位置のズレを推測して補正する機能があるので、これで画像上の見た目の色ズレ感はほぼ解消できるが、RならRとして記録されている波長の範囲内で短いものと長いものではやはり違う位置に像を結んでいるわけでその分だけ画像データ的には同じ色でもボケた画像になってしまっているはずである。

ADCは大気によるわずかな屈折角のズレを元に戻す程度の非常に角度の浅いプリズムを2枚重ねてつくってあり、それらをの重ね合わせる向きを互いに回転させることによって、合成したプリズムの角度を可変できるようにしたものである。これで波長に対して連続的に補正ができるのでほぼすべての波長で元の位置が同じものは同じ位置に見えるようにできるはずということになる。

惑星撮影の標準装備として、長焦点望遠鏡、バローレンズ、ADC、惑星撮影用カメラ、というのが一般的な構成なのだが、上記のソフトウェアの機能によって、ADCはなくてもまあなんとかごまかせるし、こまかし切れないボケが気になるほど鮮明な画像が撮れるほどでもないだろうということで、まず最初にカメラとバローレンズを購入したときには購入しなかった。しかし、やはり実際に撮影を始めてみると、EOS 60Dで撮っていたものよりは結構よく撮れるし、いずれ鏡筒もいいものにグレードアップしたときにはきっと必要になってくるということも見越して購入したくなってきた。

手頃な価格で、性能も特に問題なく、定番になっているのがやはりZWO社のものだったが、今年の頭くらいにだったか、これまでは水準器がついていなかったのが、水準器がついたバージョンにモデルチェンジした。これはカメラと一緒に買っていなくてかえってよかったのかもしれない。ところが、いざ購入しようと思ったら、火星大接近が近づいてきたせいか、どこの販売店でも品切れとなっていた。惑星撮影用品の扱いでは老舗なエリクトリックシープや、馴染みのある販売店で比較的最近扱いだして自分がカメラを購入したKYOEIなどがみなまだ7月入荷予定という火星大接近にぎりぎりどうなのという入荷予定になっている中、ある日、スターベース東京の通販サイトの表示が「在庫なし」でなくなっているのを見つけて、急いで注文した (今日現在また在庫なしになっている)。

ADCを実際に使う状態が下の写真。これを望遠鏡のアイピースを挿すところに挿す。色々接続するとどんどん長くなってしまう。

Camera, ADC, Barlow Lens

さて、急いで入手したものの、しばらくお天気が悪くて1週間ほど待ったが、火星が見えた日に、シーイングはそれほどよくなかったし相変わらず火星表面の砂嵐はおさまっていないようだが、ADCありなしの比較撮影をしてみたが、どうも結果にびっくり。まずは写真を。最初がADCなしで、後がADCあり。

Mars w/o ADC
Mars 2018/07/09 23:05 ZWO ASI290MC, Celestron NexStar 5SE (D125mm f1250mm F10), X-CelLX 3x Barlow Lens, AutoStakkert!3, Registax6, Trimmed. Duration=180s, Shutter=15ms, Gain=237 (39%), 10% of 11,706frames

Mars w/ ADC
Mars 2018/07/09 23:23 ZWO ASI290MC, Celestron NexStar 5SE (D125mm f1250mm F10), X-CelLX 3x Barlow Lens, ZWO ADC, AutoStakkert!3, Registax6, Trimmed.  Duration=180s, Shutter=15ms, Gain=290 (48%), 10% of 11,111frames

まず、撮影時からすぐにわかったのは同じ鏡筒、同じバローレンズ、同じカメラを使っているのに、画像のサイズがずいぶん違うこと。これは「その2」の記事のバローレンズのところでテレセントリックが云々と言っていた件で、これまではバローレンズに直にカメラを接続していたのに対して、ADCはバローレンズとカメラの間にはさまる形になる。バローレンズからカメラまでの距離が変わることにより、このバローレンズでは拡大率が変わってきてしまうということのようだ。

FireCaprureでは、撮影した画像のサイズと実際に見えるはずの天体の大きさから、撮影した光学系の合成焦点距離を推算した値がログファイルに記録されている。それを見ると、ADCなしではおよそ4,800mm前後の値なのに対して、ADC使用時は6,500mmくらいの値になっている。本来は、鏡筒の1,250mmにバローレンズの仕様では3倍で、3,750mmのはずだが、それよりずいぶん拡大されている。

像が大きくなったことで、解像度の高い画像が得られてうれしい反面、面積あたりの光量は減ってしまうため、画像としては少し暗くなるので、適正露出にするために、Gainの値を少し上げる必要があった。大接近中の火星はとても明るいので、その点では問題はないが、暗い目の土星などの場合は光量的にはあまりうれしくない。ともあれ、このバローレンズを使う以上、このようになる。

ところで、実際の色ズレはどうかというと、ADCなしの画像ではRegistaxにRGB Alignをやらせると、R: +3、B: -4 ドットのズレになっていた。ADCを使用した場合は、補正量をどれだけきっちり合わせられるかによるのだが、多少補正ズレは残るだろうから、ADCで補正済の画像にやはりRegistaxのRGB Alignをかけると、修正量は、R: +1、B: -1だった。そして、各色内で波長の違う光の結像位置のズレによるボケが減っているかどうかは、画像を見ても実はよくわからない。

しかし、画像が大きくなったことによってなのかもしれないが、火星表面の模様はADCなしの場合よりとてもよくわかるようになっていると思う。画像の強調による擬似輪郭の出方が、画像全体のサイズが大きくなって目立ちにくくなっているのではないかとも思う。本当は、もっと細かい模様がくっきり見えるような条件のときに撮って比べたいかったところではあるが。

これまで惑星撮影時には大きさの比較がしやすいように、どの惑星を撮ったときも同じ画像サイズにトリミングしていた。EOS 60Dで撮っていたときはそれしかなかったので問題なかったが、ASI290MCで撮るようになって、EOS 60Dで撮ったものと直接比較できなくなった。前回の中接近のときはこのサイズだった、とかできないわけである。画像も少し大きめなので、トリミングするサイズも大きくしたが、ここにきてADCを使うとまたサイズが違ってしまう。ADCを使うことにした以上はいつも使うようにして使ったり使わなかったりが混在しないようにしたい。

 

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七曜巡り

最近、色々モノを買ったりしているのもあって、blogに書くことが溜まっていて、なかなか実時間に追いつけないのだが、こちらも時期を逸するとつまらないので、モノの話は1回休んで、惑星巡りの話。

火星大接近を控えて、他の惑星も割と片半球に集まってきており、水星も東方最大離角の付近におり (今日現在はもう最大離角を過ぎているが、この記事の内容は最大離角前の話)、5大惑星を同時には難しくても一晩でなら、お天気がよくて、水星さえ見えれば、後はかなり簡単に見ることができそうな状態になっている。これまでにも、

といった記事で紹介してきたが、今回は5惑星を全部、ASI290MCで撮影というテーマである。実行したのは7月1日。

まずは惑星ではないが七曜のひとつとして太陽を。山の向こうに日が沈む時間をはかり誤って、もう半分以上見えなくなってしまった夕日しか撮れなかった。

太陽
Sun 2018/07/01 18:49 Canon EOS 60D, EF-S55-250mm F4-5.6 IS II (250mm F8), ISO400, 1/4000sec, PhotoShopCC

さて、惑星のトップバッターは水星。水星は見られる時期も時間も限られることと、小さいので望遠鏡で見ても模様がわかるとかでもないので、これまで望遠鏡で拡大撮影したことはなかったのだが、カメラがASI290MCになって初めて水星撮影となる。

Mercury
Mercury 2018/07/01 20:02 ZWO ASI290MC, Celestron NexStar 5SE (D125mm f1250mm F10), X-CelLX 3x Barlow Lens, AutoStakkert!3, Registax6, Trimmed.  Duration=120s, Shutter=60ms, Gain=400 (66%), 10% of 2,000frames

最初から何だが、水星は初撮影だったこともあり、撮影後に処理してみてこれはどうも失敗だったとわかる。露出が多すぎたようだ。撮影時には、高度が低くて気流の影響を受けやすいこともあり、画面上で像は派手に踊っていて、ピントが合っているかどうかも、露出が適正かどうかもあまりよくわからず、適当に撮ってしまっていたため、結果は上にごらんのような、ぼてっとした光のかたまりになってしまった。

翌日も水星がしっかり見えるコンディションだったので、今度は露出量とピントにもよく注意を払って撮影しなおし、今度は、まだ薄く光が滲んだようにはなっているものの、最大離角前の半月形より少しふくらんだように見える形状が得られた。

Mercury
Mercury 2018/07/02 19:40 ZWO ASI290MC, Celestron NexStar 5SE (D125mm f1250mm F10), X-CelLX 3x Barlow Lens, AutoStakkert!3, Registax6, Trimmed.  Duration=180s, Shutter=15ms, Gain=380 (63%), 10% of 6,524frames

次に金星。金星は、もっと地球に近づいて三日月状になっているのは撮ったことがあるが、こちらもまだ東方最大離角前なので半月より少しふくらんでいる状態。三日月状のときは地球との距離が近くて大きく見えるのに対し、このくらいのときはまだ距離が遠くて小さくしか見えないので、これまで撮ったことがなかった。


Venus 2018/07/01 20:09 ZWO ASI290MC, Celestron NexStar 5SE (D125mm f1250mm F10), X-CelLX 3x Barlow Lens, AutoStakkert!3, Registax6, Trimmed.  Duration=120s, Shutter=7.5ms, Gain=140 (23%), 25% of 2,961frames

続いて木星。あまりシーイングがよくなく、前にきれいに撮れたときと比べるとぼんやりした画像になってしまったが、今回はとにかくそれぞれの惑星を撮ることが目的なので、質は気にしないことに。

Jupiter
Jupitrer 2018/07/01 20:25 ZWO ASI290MC, Celestron NexStar 5SE (D125mm f1250mm F10), X-CelLX 3x Barlow Lens, AutoStakkert!3, Registax6, Trimmed.  Duration=120s, Shutter=30ms, Gain=291 (48%), 25% of 4,000frames

土星もまあこんなところで。

Saturn
Saturn 2018/07/01 23:18 ZWO ASI290MC, Celestron NexStar 5SE (D125mm f1250mm F10), X-CelLX 3x Barlow Lens, AutoStakkert!3, Registax6, Trimmed.  Duration=240s, Shutter=60ms, Gain=365 (60%), 25% of 4,001frames

火星はこのところ砂嵐で模様がほとんどわからない状態になっている。

Mars
Mars 2018/07/01 23:26 ZWO ASI290MC, Celestron NexStar 5SE (D125mm f1250mm F10), X-CelLX 3x Barlow Lens, AutoStakkert!3, Registax6, Trimmed.  Duration=180s, Shutter=15ms, Gain=238 (39%), 10% of 2,585frames

月は直焦点撮影で。

Moon
Moon 2018/07/01 23:57 ZWO ASI290MC, Celestron NexStar 5SE (D125mm f1250mm F10), ISO400, 1/125sec, PhotoShopCC

以上、日月火水木金土とすべて撮影できた。惑星は望遠鏡を使って撮っているのだし、海王星も天王星も未明まで待てば同じ一夜のうちに見ることはできるのだが、ちょっと大変なので全惑星巡りではなく、七曜巡りということにしておいた。

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ASI290MCで天体撮影 (その5) ― 1.25″ レデューサで電視観望

1.25" GSO Focal Reducer

前の記事に引き続き似たようなアクセサリの話だが、今回はフォーカル・レデューサー。望遠鏡の焦点距離を短くしてF値の小さい明るい光学系に変換するもの。一般的には望遠鏡の接眼部近くで鏡筒寄りの部分に取り付けるものと思うが、これは先のフィルタと同じく、アイピースの31.7mmのスリーブのお尻の部分にねじ込むようになっている。

いくつか製品が出ていて、しかも全く同じ仕様と思われるものが複数みつかる、購入したのはそのうちのÁstrostrëetとロゴの入ったもの。価格も、比較的お手頃なものだ。製品の説明にGSO社 (Guan Shen Optical: 冠昇光學) の製品だと書いてあるがGSOの名前が入っているわけではない。しかし他の同仕様のものもおそらく同じGSO製で、それぞれ扱い業者に合わせてロゴを入れたものをOEMしているとかそんなことではないだろうか。

さて、これを何に使うかというと電視観望。惑星撮影用に導入したASI290MCだが、他にも何か使えないかということで色々見ていて目に止まったのがこの電子観望。要はカメラで録画するのが主目的ではなく、撮影時にパソコンでモニタしているカメラの画像を眺めることそのものを天体の観望とするということである。どうも、最近徐々に注目を浴び始めているようである。見る対象は惑星ではなくて、星雲・星団・銀河などの天体。観望会などでも、ひとりずつ望遠鏡のアイピースをのぞくのではなくて、多人数で一緒に画面を見られる。眼視では見づらい淡い天体も、リアルタイムの画像処理で、ある程度よく見られる。

惑星撮影に比べると、大きな違いは見た目が大きいのと明るさが暗いというのこと。惑星の場合は焦点距離の長いシュミカセを使っても更にバローレンズで焦点距離を伸ばし、また一眼レフなどの画像センサに比べれば実サイズの小さい撮像素子を使っていて、非常に狭い範囲だけを撮影するようになっているが、これらの天体はもっと大きいものが多いのでバローレンズとは逆に今回購入したようなレデューサーを入れて見える範囲を広くするというわけである。

明るさが暗いことに関しては、焦点距離が短くすることによってF値が小さくなって明るくなることに加え、単にシャッター速度を長くするだけではなく、直焦点で一眼レフなどでの撮影でも、何枚もたくさん撮影してスタックするという手法が使われるが、これをリアルタイムで行うということでその場できれいな画像が見られる。普段私は惑星撮影にはFireCaptureを使っているが、SharpCapというソフトがそういうライブスタックの機能を持っているということなので、そちらを使うことにする。

電視観望に関しては、ほしぞloveログの、特集記事のところにある電視観望関係の記事が参考になる。なんて思っていたら、ちょうど2018年8月号の星ナビのblog紹介のコーナーに載っていた。

さて、品物がAmazonから届いた日にちょうど晴れたので、夏の天体で見やすそうなものということでまずこと座の惑星状星雲M57に向けてみた。惑星撮影時は、バローレンズを入れてしまうと結構視野が狭くなって、画像の範囲をROIで狭くしないで撮像素子全体にしても、目標を画面内に入れるのにちょっと苦労するが、こちらは逆にレデューサーで視野を広げているので、低倍率アイピースでの視野と同じとはいわないまでも結構広い範囲が見えて、自動導入で向けた目標は割と簡単に画面にとらえられる。

M57は眼視で見るとまあかすかに光のシミが見えてそれとわかる程度なのだが、カメラを通した画面では、シャッター速度を長くすれば、そのままではも画像が荒いながらもそこそこ見える。一眼レフのモニタ液晶では、撮影のシャッター速度を長くしてもモニタの表示は変わらないので、試し撮りをしては再生画像を確認しないといけないが、これだとそんなことがない。更に、SharpCapのライブスタックを有効にすると、次々と撮影しては、自動的に位置合わせをして重ねた処理をした画像を表示してくれる。望遠鏡が揺れたりして流れてしまったりした品質の悪い画像は自動的に捨ててくれる。数十コマスタックさせると、生で見ているのに比べるとはるかにきれいになった画像になる。

そんな観望状況が下の写真。周囲の明るさと画面の明るさに差があるので、画面が白っぽくなっているが、実際はもっときれいに見えている。M57は小さいので、レデューサーを入れた状態では小さすぎるので画面をズームして表示している。じゃあレデューサーなくてもよかったんじゃないのとも思うが、導入時に周囲の星の並びを広い範囲が確認できるとかあるし、もっと大きい天体を見ることもあるので、まあこれでいいだろう。

電視観望風景

その場でライブスタックしながら表示している画面そのままを保存しようと思ったつもりが、まだSharpCapの操作に慣れていなくて、保存形式が16bitのfits形式で保存してしまい、処理しないとそのまま画像が見られないので、そのときの画面の見え方が再現できなくて残念だが、そのかわりにきれいに見えるように処理したのが下の写真。まあ、現場でも表示の調整をいじれば、ここまでとはいかなくともスタックさせっぱなしよりはきれいに見えるようにできたのかもしれない。

M57
M57 2018/06/29 21:00~ ZWO ASI290MC, Celestron NexStar 5SE (D125mm f1250mm F10), GSO focal reducer, SharpCap3 Gain=300, 4sec x 53, StellaImage8, PhotoshopCC

M57がいとも簡単にきれいに見られたのに気をよくして、近くにある同類の惑星状星雲M27にも向けてみた。が、こちらは生での表示ではほとんどわからないくらい。周囲の星の並びで位置を確認してもなんとなくあるのななぁという程度だで、ライブスタックするとそこそこ浮き上がってくるが、やはりM57に比べるとぼんやりとしか見えない。まあこちらの方が面積の広がった天体なので、面積あたりの明るさが少ないのは当然で、光害地では電視観望を使ってもこの程度なのだろう。下の写真は同様に事後処理したものなのでそこそこには見えているが。

M27
M27 2018/06/29 21:40~ ZWO ASI290MC, Celestron NexStar 5SE (D125mm f1250mm F10), GSO focal reducer, SharpCap3 Gain=300, 4sec x 40, StellaImage8, PhotoshopCC

上の2つの星雲については、実は3年余り前に一眼レフで撮っていたが、fitsファイルを処理した画像ではそれと比べても遜色ないくらいだ。画素数が少なめなことはあるが、それが事後処理でなくリアルタイムで位置合わせ、重ね合わせの処理がされているかと思うと驚かされる。しかも、CPUはWindowsタブレット機のAtomという結構非力なものだ。

しかし、M27で既に厳しかったように、光害地ではやはりある程度明るい天体でないと難しいかもしれない。球状星団だとか、明るめのものに限られるかもしれない。しかし、それにしても眼視で望遠鏡を見てもほとんどわからないような天体が、ずっとわかりやすく見える。観望会などで多人数で同時に見て楽しむという使い方もできるだろう。ただし、これが実際に望遠鏡で天体を見ているという体験になるのかどうかというと、微妙なところもある。が、まあできることは何でも色々試してはみたい。

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ASI290MCで惑星撮影 (その4) ― 1.25″ UV/IR Cut Filter

ZWO UV/IR Cut Filter 1.25"

私も火星大接近を見込んで惑星撮影をASI290MCに切り替えたわけだが、天文雑誌でもこのところUSBカメラでの惑星撮影の特集記事が掲載されていたりする。まあいちおう基本的な知識はそのういう記事を読む前に、主にネットや何やの情報で知った上で既に実行しているわけだが、やはりこれまで知らなかった情報もあってありがたい。

ASI290MCや他の多くの惑星撮影用カメラは撮像素子がむき出しなので、撮像素子面に簡単にゴミがついてしまいそうである。もちろん一眼レフカメラによく装備されているような、電源ON/OFF時に振動でゴミを落としたりする機能などない。ゴミがつかないように、なるべく下向きで扱ったり、すぐにきちんとキャップをするようにしたりしてはいたが、それもなかなか煩わしいと思っていた。

そんな折、天文雑誌の惑星撮影の記事の中で、カラーカメラでの惑星撮影にはUV/IRカットフィルターを使わないといけないという話を読んだ。赤外領域まで写ると、コントラストの悪い画像になってしまうという。そこで可視光領域のみを通す (紫外線と赤外線をカットする) フィルターを使う。ついでの効能として、このフィルタは、望遠鏡で眼視するときに使うフィルタやムーングラスと同様に、31.7mm (1.25″) のスリーブにねじ込むようになっている。カメラにフィルタを常用するかたちで装着しておくことで、内部にゴミが入らなくなるという利点もある。ゴミがついてもフィルタ面なので、撮像素子面についてくっきりゴミが写ってしまうより、距離のあるフィルタ面ならちょっとしたゴミくらいならボケてわからなくなるし、掃除するのも容易だ。

ゴミ除けのためだけにクリアフィルタを装着するというのだったら、あえてそうはしないところだ。よくカメラのレンズにも保護用に無色のフィルタを常に装着する人がいるが、余計な反射や減衰が起きるだけなのでいただけない。しかし、本来、機能としてUV/IRカットのためにフィルタの装着が必要なら、その副次効果としてゴミ除けになるのはありがたい。

さて、本題の紫外線/赤外線のカット機能であるが、まずはASI290MCの色別の感度曲線をみてみるとこんな具合である。

ASI290MC感度曲線
ASI290MCの感度曲線ZWO社のホームページより

R、G、Bそれぞれのピークはきれいにあるが、700nmより長い波長(赤外線域)での特性が赤の向こう側なのにGやBの感度もまた上がってきて、800より長いところではほぼ3色とも同じ特性になっている。そこらへんの波長の光が入ってくると、色が本来の色と違ったものになる。普通の写真を撮るデジカメでは、撮像素子の前に赤外線をカットするフィルタが入っているが、このカメラではそういうものはなくて、こういう特性になっている。また、これは後の記事で出てくるADCを使えば解消する話ではあるが、大気分散による色ズレが起きた場合に、画像のRGB成分をそれに合わせてズラして解消する方法があるが、波長の離れた領域の光が同じ色成分に含まれていると、その効果に悪影響を及ぼす。

そして、ZWO社製のUV/IRカットフィルタの特性がこちらで、その700nm付近からきれいにカットするようになって、RGBがきれいな特性になっている部分だけを使うようになっている。

UV/IR Cut Filter
UV/IRカットフィルタの特性 ZWO社のホームページより

お値段も、星雲の観察/撮影用のフィルタなどと比べると比較的安価なので、秋葉原近くにでかけた際に望遠鏡ショップに寄って購入してきて、実際に撮り比べてみた。

Mars w/o FilterMars w/ Filter
火星 (左: フィルタなし、右: UV/IRカットフィルタあり)

Jupiter w/o FilterJupiter w/ Filter
木星 (左: フィルタなし、右: UV/IRカットフィルタあり)

Saturn w/o FilterSaturn w/ Filter
土星 (左: フィルタなし、右: UV/IRカットフィルタあり)

いずれも色合いの調整は特にしていない状態である。これまでも、ASI290MCで撮影するようになってからフィルタなしの状態での画像をいくつか載せてきたが、こうして見てみると、確かにフィルタありの方が眼視で見たときのイメージに近い。火星、土星はフィルタなしだとどれもひどくピンクがかった感じで不自然な感じがする。木星はまあそれほどでもない感じだが、以前にEOS 60Dで撮影した画像と比べるとやはり、フィルタありの方が近い色をしている。あまりシーイングの条件のよいときに撮ったわけではないので、模様のくっきりさ、コントラストの違いがどのくらい出ているかはあまりよくわからないかもしれないが、ゴミ防止も含めて、まあとにかくこのフィルタはいつも装着しておいて撮影するのでよさそうに思う。

ついでだが、このフィルタとは逆に、カメラの特性がRGBとも同じになっている領域だけを通し、他の波長成分をカットするIR通過フィルタというのもある。下図のような特性 (重ね図はASI224MCのものだが、ほとんど違いはない) で、これをカラーカメラに使うことによって、赤外線波長だけで観測するカメラとなるとともに、この領域ではRGB各色の感度が同じことから、モノクロカメラと同じと考えることができて、その分、解像度の高い画像が得られるという。これも面白そうなので、いつか試してみたいものだ。

IR 850nm Pass FilterASI224MC+850nmPass
IR 850nm Passフィルタの特性 ZWO社のホームページより

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リーマンサット人工衛星受信キット講習会

リーマンサットという、普段はサラリーマンをしている人たちが人工衛星を開発して宇宙に上げようというプロジェクトがある。そこが資金集めのクラウドファンディングをしていて、そのリターン品として、色々なグッズなどがある中に、「人工衛星からの無線を受信できるキット作成&講習会」というのが人数限定であったのが目を引いた。そもそも学生の頃にアマチュア無線で少しだけ衛星通信をかじっていたし、最近ではISSからのARISSでの直接交信を144MHz帯のハンディ機で受信したり、同じくISSからのSSTVの送信をハンディ機で受信してスマホでデコードして画面表示とかもやっているので、背景知識はまあまあある。大学の研究目的などのこういった超小型の衛星では、アマチュア帯の電波が使われることも多い。受信キットが必要というので、単に無線機を用意するだけではいけない特別な復調回路の基板とかがいるものなのかなどと想像したが、具体的にはわからないままに、何であれおもしろそうだと思って申し込んだ。

さて、もう1ヶ月あまり前の話だが、そのリターンの実施がされるというので、リーマンサットの開発拠点まで行ってきた。各自パソコンを持参してくださいというので、パソコンというには非力かもしれないがDiginnosのWindowsタブレット (キーボード付き) を持って行った。他にうちにある持ち出せるパソコンは、これより非力なものしかない。まずは電波とは、から始まるレクチャーを聞いて、渡されたファイルをコピーして、自分のパソコンにインストールする。ハードウェアとしては、渡されたものはUSBメモリのようなUSBデバイスと、あとはケーブルのついたアンテナの組み立てキット。

RTL2832U 500円アンテナ

USBデバイスは、パソコン用のUSBテレビチューナーとして売られているものの本体のみ。これらしい。ハードウェアとしてはこれを利用して、パソコン上のソフトで無線機を実現するSDR (Software Defined Radio) という方法を使って、衛星からの受信機にする。このUSBデバイスは非常に安価で売られているので、パソコンさえあれば、アマチュア用機器にせよ専用の無線機を買うよりもずっと安くあがる。そういうものがあるのは知っていたが、実際に自分で試してみるほどではなかったので、こういう機会に実際に触れることができたのはいい経験になった。

アンテナの方は、これまた安価に済ませるためにデザインされた通称「500円八木アンテナ」というもの。430MHz帯用の6エレメントの八木アンテナ。リーマンサットの衛星からの電波はISSとは違って430MHz帯を使う。ISSからの電波は強力なのでハンディ機付属のホイップアンテナでも十分受信できるが、こちらの衛星からの電波はそんなに強くないので、指向性のあるアンテナで狙わないといけない。144MHz帯に比べれば波長が短いので八木アンテナもそんなにかさばらない。渡されたものは既に必要な加工は全部済ませてあって、移動時に邪魔にならないように分解組み立てできる状態になっていたので、材料費はともかく手間もかからなかった。組み立てた状態はこうなる。エレメントの長さと差し込む位置は色のシールが貼ってあって一目瞭然になっている。差し込んだ後に指でつまんで回せる固定ネジがつけてあったり、至れり尽くせり。受信機側は、一旦BNCコネクタをつけた上で、USBドングルについているアンテナ用のコネクタへの変換ケーブルを取り付けてある。

500円アンテナ 500円アンテナ

USBドングルをパソコンに挿入して、アンテナを接続する。ちょっとこの状態では不安定だし、アンテナコネクタ部に力がかかってすぐに壊してしまいそうだ。USB延長ケーブルでパソコン本体から離すようにした方がよさそうだ。

受信中

パソコンにインストールしたフリーソフト起動し、とりあえず部屋の中でも強力に受信できるFM放送を受信してみる。単に受信音声が聞けるだけではなく、色々なスペクトラム表示が出てきて、なんだかすごい。

画面コピーがこちら。

SDRSharp

わざわざこのためにやってくれていたのだと思うが、ちょうど、同じ部屋の中で衛星の送信実験をやっていて、その周波数に合わせてSSBモードで受信すると、ちゃんとモールスで送信されているビーコンの内容が受信できた。アルファベットや数字は普通に聞き取れて、コールサインなどが送られているのがわかるのだが、ひとつ聞き慣れない符号があるなと思ったら、コンマ “,” だった。アマチュア無線の交信ではコンマ記号はまず使うことはないのだが、この衛星のビーコンの文面にはコンマが使われているのだった。

これでとりあえず衛星からの電波を受信できる環境が整ったことになる。実際にリーマンサットの衛星が打ち上がる前に、暇を見つけて、430MHz帯で電波を出している衛星を何か受信してみて練習しておきたいところだ。

今回は、SDRにしろ500円アンテナにしろ、そういうのもがあるのは知っていておもしろそうだなとは思っていても、実際チャレンジしてみるまでに至るには腰が重いものだが、今回こうやって色々お膳立てしてもらって体験することができて、有益だった。

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ASI290MCで惑星撮影 (その3) ― WinJUPOS

時系列が前後してしまったが、プラレア巡りで愛媛から帰ってきた翌日の夜、予想よりもよく晴れて木星が見えていた。ステラナビゲータで見てみると、ちょうど大赤斑がこちらを向いて、衛星のイオが木星の裏側に隠れていき、ガニメデが木星面上通過から離れていくところだった。面白い絵になりそうなので、先日の5コマのアニメに気を良くして今回はこれをもっと長い動画ができるように、2分間の撮影を21回連続で繰り返し撮影した。また、前回はたった10分でも視野回転があきらかにわかるほどだったので、NexStarの架台を簡易赤道儀モードにして視野回転が起こらないようにした。

この日はシーイングもよかったようで、連続撮影のひとコマを静止画として見ても、前の記事でこれまでで一番いい写りと思った画像よりももっといい画像になったと思う。それを前回同様GIFアニメにしたのがこちら。

Jupiter GRS, Ganimede & Io
Jupiter, Ganimede & Io 2018/06/04 21:12~55 ZWO ASI290MC, Celestron NexStar 5SE (D125mm f1250mm F10), X-CelLX 3x Barlow Lens, AutoStakkert!3, Registax6, Trimmed.  Duration=120s×21 , Shutter=15.00ms, Gain=330 (55%), 50% of 4,000~5,000frames each

自分としては、なかなか満足な動画ができた。撮影は、イオが木星の後ろに隠れてしまって、ガニメデが木星から離れていったところで止めたのだが、このあと更に続けて撮っていれば、木星面から離れたガニメデの影が木星上に落ちるのが見えてくるのが撮れたはずだったのに後から気付いて少し残念。

この日の撮影はこの動画をつくるためにしたようなものだが、これだけの画像が撮れたことから、今まで気にはなっていたものの、なかなかそこまですることはないだろうと思っていたデローテーションという処理にもチャレンジしてみることにした。

木星は自転速度が早いので、このように連続して撮影すると動きのわかる動画がつくれるくらい。ということは、星雲などの撮影でするように、長時間露光を続けて画質を向上させるということをしようとしても画像が流れてしまってうまくいかないということになる。平行移動に見えるわけではないから、画像をズラして重ねてもうまくいかない。そこで行われるのがデローテーションという処理。ここで動画のひとコマひとコマを撮ったのと同じように、1枚あたりでは自転によるブレがわからない程度の時間にとどめた画像を連続して撮影したものを用意して、それを木星の球面上にマッピングした上で回転させて同じ向きから見たときにどのように見えるかの画像に変換してから重ね合わせるというもの。そんなことをしてくれるフリーソフトもちゃんと存在して、WinJUPOSというのがそれ。本来そのためだけのソフトではなくて、撮影画像から平面に展開した木星表面地図のようなものをつくったりといったことができるソフトなのだが、そのなかの1機能として、デローテーション処理がついている。使い方を探りながら作成したのがこちらの画像。

derotated
Jupiter, de-rotated

読み込ませるきに自動的に座標軸をあわせてくれるので、ちょうどまっすぐに見えるように位置調整されているが、それ以外、見た目は元の1枚画像とほぼ違いがない感じにしか見えない。元画像はAS!3でスタックして、Registax6でウェーブレット処理しているが、デローテーションをかけるのはウェーブレット処理の前か後かの選択肢があって前の方がいいらしいが、残念ながら私の画像ではウェーブレット処理前だとぼやぼやすぎてWinJUPOSで位置合わせがうまくいかなかったので、各コマをウェーブレット処理した後のものを読み込ませた。その結果がこれである。処理が破綻したりはしていなくてきっちり重ねてくれているのだろうけど、画質が向上しているわけでもないようで、いまひとつ効果がみられないという結果になった。何かもっとすごい画像になるのかと期待していたのだが、どうもそうはいかなかったようだ。しかし、まだうまく使いこなせていないだけなのかもしれない。もう少し研究してみる必要がありそうではある。

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