拡大撮影の木星をRegiStax

Tリング直結の8-24mmズーム・アイピースで拡大撮影ができるようになったので、早速、木星を撮ってみた。拡大撮影といっても、直焦の3.6倍になるだけなので、木星が画面いっぱいに写るわけではないが、まあ拡大しないよりはよっぽどいい。そのまま撮影したのがこれ (解像度は半分に縮小してある)。直焦で撮ったら、木星の直径がこの3分の1だから、非常に小さくなってしまう。

この画角でいえば、ちょどガリレオ衛星の並びが画面に収まるくらいだが、木星とガリレオ衛星の明るさの差が大きすぎて、木星の縞がわかるくらいの露出にすると、ガリレオ衛星の方ががわからなくなってしまう。RAWで撮っておけばもう少し調整のしようがあったのかもしれないが、どうもまだそのときそのときで設定を変えるのに慣れておらず、これはJPEGでだけ撮ったので、無理にトーンカーブをいじって、なんとか木星の縞模様が見えながらも衛星が見えるようにしたのが下の写真。といっても、サムネイル画像ではわかりにくいかもしれない。

画面の中にそれほど大きく写っていないとはいえ、画像は1,800万画素で撮影しているので、その部分だけ拡大して見れば、それなりの大きさになって見える。最初の写真の元画像から木星の部分だけdot-to-dotで切り出したのがこれ。画面上で直径250ドットくらいだ。

確かに大きくなったが、なんだかぼんやりしている。とはいえ、以前にコンデジでコリメート法で撮ったものよりは、ずっときれいに写っている。しかし、この画像をここから多少処理したとしても、あまり画期的に改善されそうにもない。

そこで、またRegiStaxの登場である。オリオン大星雲のときは、長時間露光が必要だったので、枚数は少なかったが、木星の場合は明るさは十分にあるので、動画で適当な時間の間撮影して、それらのコマを全部使ってスタッキングできる。

EOS 60Dの動画撮影機能の登場となるが、ここで更に強力な助っ人がいる。動画記録サイズの設定の中に、「クロップ640×480」というのがある。撮像素子の中央の640×480ドットの範囲をdot-to-dotで切り出してそれを動画の大きさとして撮影するもので、約7倍のデジタルズームで撮影しているようなことになる。その動画のひとコマがこれ。

トリミングしなくても最初からこれだけ画面に大きく木星が写るとうれしくなるが、逆に非常に高倍率で見ていることになって、望遠鏡のちょっとした揺れも画面に大きく響く。この状態でカメラの操作をしようとしてちょっと力を加えすぎると、すぐに画面から対象がはずれてしまうくらいで、また一旦画面から逃したら、視野に取り戻すのがまたひと苦労である。

上の画像はできるだけきれいに写っているコマを取り出したので、他のコマにはもっと写りの悪いのが多いが、まあスタッキング処理のコマ数はたくさんある。EOS 60Dで撮影した動画のMOVファイルを、そのままではRegiStaxが読んでくれないので、TMPGEncを使ってAVI形式に変換するついでに、撮影が安定している部分だけをカット編集で切り出す。全部で20秒弱、1200コマほどある。これをスタック処理した画像の、木星の部分だけを切り出したものが、これ。

ひとコマのみのときのザラザラしたノイズはなくなって、非常になめらかな画像になったにはなったが、1枚で撮った静止画よりも、一見情報が少なく見える。

さて、ここからは、RegiStaxのウェーブレット処理の出番で、まだこのパラメータをどのように設定するのが最適かが全然わかっていないのだが、とりあえず適当にそれらしくなるとようにいじってみた結果がこれ。

よく見るRegiStaxで処理した木星の画像ぽくなった。ひとつ前のなめらかな画像からこの画像が出てくるのは驚きだ。