2012年6月 のアーカイブ

金星の日面経過 (その4)

金星の日面経過で撮影してきたビデオを編集したものを2本、YouTubeに載せておいた。

全過程は6時間半以上かかるので、そのまま全部載せるわけにはいかないし、そもそも全部まるごと撮ったわけではない。ハイライトは最初の第1接触から第2接触付近と、最後の第3、第4接触付近。といっても、その前後ひと続きで30分ほどある。ところどころだけカットで見せたのでは、実時間では金星の動きはほとんど感じられず静止画と変わりないので、ここは早送り画像で見せたい。

ところが、撮影は赤道儀で追尾したりしていないので、カメラを三脚に固定したままでは、太陽は日周運動のせいでどんどん画面の中をを斜めに動いていく。撮影時は、画面からはずれそうになるたびに (あるいははみ出てしまってから) 少し角度を修正してまた画面におさまるようにしていたので、画面内にある太陽の位置はまちまちになっている。

まずは、これを手で切り出して、太陽が画面内の同じ位置になるようにして、それをもう一度つなげて動画にしてみた。しかし、これを手作業で行うには限度があるので、画像の数は1分に1枚にとどめ、それを1秒30コマのビデオ画像のうち連続4コマずつ使うようにした。これで、450倍速の計算になる。ほんの数秒で終わってしまって、出だしを見逃してしまいそうなので、最初のコマだけ3秒間表示しておくようにした。それが、こちらの映像。

4コマごとにしか画像が変化しないので、少しコマ落ちしたようなカクカクした映像になっている。位置合わせも手でだいたい重なるようにして切り出しているだけなのと、元の画面内の位置によって多少画像の歪み方が違うこともあって、太陽の像もふらふらして見える。

どうもこれだけではいまひとつなので、手作業なしでできる方法で、太陽が画面の上を動いていくのをなんとかするのはあきらめて、そのままの状態で使うことにした。単に速度を変えるだけなら動画編集ソフトの機能でできる。画面上を動いていくのを落ち着いて見られる程度の倍速ということで、60倍速に設定してみた。

撮影時に行き過ぎたところから元に戻すところは画面が落ち着かずに見られないので、カットして捨ててあるので、時間の流れは正確になっていない。途中の部分は1時間おきに少しずつしか撮影していないので、その中から数秒ずつを順次つなぎ、最後の部分はまた最初の部分と同様に処理した。

そのようにして作成したのがこちら。

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金星の日面経過 (その3)

今回の金星の日面経過に関して、昨日の記事に書かなかった話題をいくつか。

大きさ

小さいね、という感想の人が多かったように思うが、私としては前に水星の日面経過を見たのがあるので、それに比べるとずっと大きくしっかり見えるのが今回の期待のひとつであった。水星のときは使ったレンズのせいもあるが、ほとんどわかるかわからないかという感じだったが、金星は確かに大きくよく見えた。

肉眼で

先日の金環日食の際に、日食メガネは次の金星の日面経過でも使えるので捨てないで、と言われていたが、日食とは違って、これだけ小さいものが望遠鏡や望遠レンズのカメラを使わずに肉眼で一体どの程度見えるものかと少々疑念を抱いていた。実際に自分もカメラのモニタだけではなく肉眼でも見てみたが、まず一番のハイライトの各接触の瞬間といったものは、肉眼では全くわからなかった。太陽の端の方にいる間は判別できない。ある程度太陽面の奥に入っている状態にならないとわからないようだ。

また、まっすく太陽を見つめるようにするとなかなかよくわからず、視線をわずかにそらせるようにするとわかりやすい感じがした。暗い星を見るときも視線をはずすとよく見えるがそんな感じがした。といったアドバイスを書いても、次回それが役立つのは105年後だからあまり意味なさそうだ…

金星の軌跡

(その1) に載せた写真を見ると、金星は太陽面を逆さまのUの字のような経路を動いているように見える。しかし、たいていの金星日面経過の解説には太陽面をまっすぐ横切っていくような図が描いてある。

これは、撮影したカメラは普通の三脚に載せて撮影したので、画面の上下方向は常に地平線に対して垂直な方向になるように撮影しているため。北半球のち球場で見ると、太陽の北極は日の出の際には左上の方向になって現れ、天球上を進んでいって、ちょうど南中したときに太陽の北極が真上を向き、日没に向かってだんだん右に傾いてくる。この回転の動きが加わっているために、金星の軌跡が曲線のように見える。金星でなく太陽面上の黒点の模様に着目すると太陽が回転して見えている様子がよくわかる。

また、同じ時点の状態を地球上の別の場所で見れば、回転して見える角度も、その地のローカル時間によって太陽が空の上でどの位置にいるかに従うため、見え方が違ってくる。

カメラを経緯台式の三脚でなく、赤道儀式の架台に載せて撮影すれば、太陽の北極の方向が一定になって、金星の軌跡が直線になったはずだ。「つるちゃんのプラネタリウム」の金星の日面経過の説明のページにわかりやすい説明の図が出ている。

地球の日面経過

金星の日面経過で思い出すのが、地球の日面経過。地球の日面経過というのはどこから見るかというと、地球の外側の惑星、火星から見る。将来人類が火星に住むようになったときに、その現象が観測できるはずということである。これを題材にしたSF小説をアーサー・C・クラークが書いており、昔にそれを読んで金星や水星の日面経過という現象のことを初めて知ったように思う。

撮影機材

最後に、今回の撮影機材を紹介しておこう。といっても、金環日食の際に使用したのとほぼ同じ。まず、ビデオカメラのセットが、

  • ビデオカメラ Canon HV-10
  • 3.0倍テレコンバージョンレンズ RAYNOX HDP-7700ES
  • 大光量減少用NDフィルタ Kenko ND400 PROFESSIONAL 2枚重ね

(その1) で紹介したのはこちらで撮影した動画からキャプチャしたもの。そして、もうひとつが、コンパクトデジカメ。

  • コンパクトデジカメ RICOH CX1
  • MOOK「金環日食を見る」付録の減光フィルタ

こちらはいつも月を撮っているのとほぼ同じようにしたが、ビデオカメラの画像に比べるとあまりきれいには撮れていない。参考のために1枚だけ載せておこう。こちらはトリミングだけで、それ以外の画像の調整や、モノクロ化などはなし。

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金星の日面経過 (その2)

このblogの6年前の水星の日面経過の記事で、その2年前には金星の日面経過があったが曇天で見られなかったと書いた。その金星日面経過が昨日、8年ぶりに見られるはずだったが、私の住む関東地方では発生当日は何日か前の週間予報では曇りの予報。当日が近づいてきても予報が好転しそうな気配はなかった。他の地域の天気予報をみても、結構日本全国天気の悪いところが多く、晴れの予報が出ていたのは九州北部と中国地方くらいだった。

どうしても見たければ天気予報がはずれないことに賭けて晴れの予報の地域に行くしか無い。見逃せば次は105年後だから、もう一生のうちに見ることはない。幸い、仕事は当日1日休んでもそれほど支障はなさそうだった。現象は朝早くから始まるので、前日のうちに現地に行っている必要があるし、朝早くから撮影できる場所に行ってスタンバイしないといけない。交通の便と、行ったことがあって多少の土地勘があるところとすれば、福岡がベストの選択と考えた。前々日の夜遅くに、飛行機代が当日運賃でしか乗れなくなってしまう前に前日の最終便を予約。前日は機材の準備を整えてから出社、休暇届も出して、退社後急いで羽田へ向かった。

撮影場所は東から南の方向の開けた場所。事前にあちこち行ってみるわけにいかないので、確実なのは広い公園のようなところ。福岡の人にtwitterでどこがいいかきいてみたら、志賀島の展望台はどうかと言われたが、市内のビシネスホテルのようなところに泊まるつもりでいたので、現地まではかなり遠くなってしまう。市内の公園中心に、Googleマップの写真を見て、あまり木の茂っていない広い場所を探した。大濠公園なら確実に開けてそうだったが、宿を探すのに見ていたら、それほど大きくはないが天神中央公園でも十分見られそうで、そこだとすぐ近くの歩いてすぐの場所にアルティ・インというホテルがあるのでそこに決定。写真で現地の様子が仔細にわかるのは便利だ。公園の真ん中の部分は丸く木のないエリアがあるが、ここは芝生で三脚が立てにくそうなので、南東の角に噴水があって周囲がコンクリートになっている部分があって、そこがよさそうと思った。実際、現地に行ってみると思った通りの場所だった。南西にある病院の建物が高くて少し心配だったが、6月の太陽は高度が高いので大丈夫だった。

福岡に到着したらもう夜遅く、空港から地下鉄に乗って天神まで。福岡は空港が近くてありがたい。最初は場所の下見は一旦ホテルに着いてからでかけるつもりだったが、地下鉄の駅からホテルまでの途中で、公園に寄れるので、荷物を担いだまま下見がてら公園の中を通って行って、予想通りの場所であることを確認。南の空にはきれいな月が見えていた。

当日の朝は早起きして天気を確認。窓から太陽の位置を確認すると、水平に回転させて、あまり大きく開かない窓であるにもかかわらず、ちょうど朝の太陽の方向が斜めに開いた隙間から見通せる斜め横方向だったので、日面経過の始まる時刻にはちょうどカメラで狙えそうだった。これは予想外の幸運だった。少なくとも第1接触、第2接触のあたりは窓から見えることが確実だったので、朝からチェックアウトして公園にでかける予定を変更して、部屋で撮影することにした。これで落ち着いて撮影できるし、撮影直後に画像をPCで取り込んでネットに載せる作業もできる。そうでなければ、第2接触と第3接触の間は1時間おきくらいに撮影すればいいので、その間を利用して、近くのマクドナルドにでも行って作業しようかと思っていたのがその必要がなくなった。とはいっても、ビデオカメラで撮影中の画像を撮影を中断せずに取り出すことはできないので、カメラのモニタ画面をiPhoneで撮影してすぐにtwitterに流したりもした。もうひとつ、ホテルで撮影できたことで、朝のテレビ番組で立派な望遠鏡で撮影した画像を中継しているのを横で眺めながら撮影できたのもよかった。

結局、窓からの撮影の角度が限界になるのとチェックアウト時間の期限がほぼ同じくらいで、日面経過のちょうど半分の10:30まで撮影してから機材を片付けてチェックアウト、コンビニで弁当を買ってから、公園に行ってセットアップ。事前に確認していた噴水前のコンクリートのエリアの北の端に少しへこんだ場所があってベンチがしつらえてある。ベンチに座るとその後ろのある木陰になり、その前に三脚をセットするとちょうど太陽が狙えて、これまたなかなかいい環境だった。

公園の中で三脚を2つも立てて、しかもカメラが上を向いているという結構目立つ状態なのだが、少なからぬ人が公園の中を通り過ぎるにもかかわらず、声をかけてくる人は皆無だった。12時になってお昼休みの時間になると人がずいぶん増えたが、それでも構いに来る人はいなかった。その頃になると、かなり雲が出てきて、太陽が見えなくなるくらいだった。12:30頃になると、私から少し離れたところで、一人三脚を立てて割りと小さ目のカメラ (コンパクトデジカメかミラーレス一眼か遠目にははっきりわからなかった) で撮影を始めた人が現れた。会社の昼休みを利用して撮影しに来たという感じだ。私もこの間は各時30分ころに撮影をしていたが、ちょうどその頃になると結構雲が薄くなって、この人もラッキーだったようだ。

もうひとり、こちらはもう少し近く、私のいたベンチの並びの反対側の端に、日食メガネをかざして肉眼で見ている人がいた。その人も最初は私の方には特に構わず、ベンチでひとりでずっと上を見ていたが、そろそろ、日面経過も終わりに近づいてきたかという頃、たぶんもう端に近づいたので肉眼ではわからなくなってきた頃に、私のところにやってきて話しかけてきた。これが初めて私に話しかけてきた人だ。カメラのモニタで見てもらったりして、しばらく話しながら、第3接触を過ごした。

そうやって二人でしゃべっているところだと話しかけやすいのか、もう第4接触も近づいて肉眼はもちろん、カメラのモニタでもほとんど判別がつかなくなってきた頃に、他にも声をかけてきた人が何人かいた。それでもまだ初めの方に来た人はなんとかモニタで確認できたので喜んで帰っていったが、後の方ではまだ第4接触になっていなくてもモニタではわからなくなっていたので、もう数分早く来てくれればわかったのに…という感じだった。

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金星の日面経過 (その1)

まずは昨日撮影したビデオから切り出した写真をまとめて載せておく。

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