2014年8月 のアーカイブ

天文宇宙検定受験予定

宇宙天文検定2級

以前、星検 (星空宇宙天文検定) を受けようとしたときは、もうひとつの似たような検定であるこの天文宇宙検定と比べてみて、ネット上にはどうもこちらの方は色々と内容的に問題があるような声が多かったので星検の方にした経緯がある。しかしまあ、(実際どうなのかよく確かめたわけではないが) 回を重ねて改善もされているのだろうし、星検の方は運営が小規模なのか受験地が東京でしか開催されていないために、他の地域では選択肢がなくて天文宇宙検定の方を受けている人も多いようだし、自分もこちらも受けておこうかと思った。級は、星検は2級だし、こちらも2級が適当だろう。1級はやはりなんだかとんでもないらしいし。

ちょうどこれまでテキストしかなかったのが今年から問題集が出たので、先にそちらを買ってきてみた。2011年に始まった検定試験の過去問が3年分、回ごとに載っているのかと思ったらさにあらず。テキストの章立てに対応した10の分野ごとに問題をまとめてあって、各章20問。その中に過去問と模擬問題が混在している。全部で200問掲載されている勘定になるが、実際のテストの出題数は80問。過去問だけで合計240問あるはずなので、過去問でも掲載されていないものもある。ざっと眺めてみると、おおざっぱなとろこで過去問が各回20%ずつ、模擬問題が40%というくらいの比率だ。つまり、過去問のうち掲載されいるのは半分くらいということ。まあ、類似問題が繰り返し出ているようなものは省略すればいいのだろうけど。

で、問題集を買ってから改めて思い出したのだが、実は過去問と解答解説は全部天文宇宙検定のwebサイトに置いてあって無料でダウンロードできる。しかも、問題集に書かれている解答の解説は、webにあるものと同じ内容なだけで、それ以上詳しいことが書いてあるわけでもない。とすると、問題集の価値は模擬問題が掲載されていることだけか。あとはまあ、紙に印刷して書籍の形態をとっていること。webの問題解答解説では、1ページ内の左右に問題と解答解説が並べてあるので、解答に目が行ってしまって不便だが、問題集では見開きページごとに、問題と解答解説が交互になっているのでその点困らない。ぐらいか。あと、過去問は出題時の正答率が参考情報として付け加わっている。

ともあれ、webサイトの「天文宇宙クイズ」のコーナーで少し見ていた以外は、特にこの検定に特化した予備知識もなく問題集に掲載の問題を全部やってみた。合格基準は100点満点の70点ということだが、結果は全体の正答の比率での70%はある程度余裕をもって超えることができたのでひと安心。しかし、80問で100点満点というのは、問題によって1点のものと2点のものがあるのだろうか? それとも、1問1.25点?

章立てのタイトルを見てもわかるが、実際に問題をやっていて感じたのは、分野がずいぶん偏っているなということ。また、割りと新しい研究の成果も取り入れられているようで、私のような昔からの知識だけでいると、それはまだ諸説あってはっきりしないんじゃないかというようなことや、既に説が改められているものとかで誤答しいるようなこともあったので、そのあたりはテキストに書いてあることが基準なはずと、順序が逆だがテキストもやはり買い求めておこうと書店に行った。

公式テキストは、最初のものから昨年一度版が改められた (2013-2014版) が、今年は4級のみ新版 (2014-2015) が出ているが3級、2級はそのままだ (1級は少し別扱い)。書店でレジに持って行くと店員さんがペラペラめくりながら怪訝な顔をして、もしかしたら新しい版があるかもしれないからお調べしましょうか、とわざわざ言ってくれた。無いのはわかっているので、そう告げたが。テキストは毎年改訂するものでもないだろうから、第2版とかにしとけばよかったのにとも思う。それに、この年の記述もわかりにくい。2014年の秋に行われる試験のために買う最新版が2013-2014版というのはどうも妙だ。春に行われる試験のためのものが前年から発行されている、とかならわかるのだが。あるいは、2年毎に改訂する、というのが意図なのだろうか。あと、テキストに挟み込まれていた受験案内のパンフレット兼申込用紙ももちろん2013年のものだった。問題集の方には今年のものが挟み込まれていたが。

テキストを買うときに、他の級のテキストも見てみて、分野が偏っているようだと感じた理由がわかった気がする。この試験は全体に同じ分野で内容のレベルが上がっていくのではなく、級ごとにそれぞれ分野が設定されている。だから、星座の問題などは、下の級に含まれているので2級では全然出てこない。2級になると小難しい理論が必要なような分野が多くなっている。そういうことのようだ。

あと、懸念は、結構問題数が多いことで、時間的に厳しいのではないかということ。下手に1つの問題で引っかかって時間を費やしてしまったら、最後で全問終える時間がなくなってしまうことになったりしそうだ。半分の問題はもう一度見てしまっているが、やはりwebにある実際の問題をダウンロードして、紙に印刷し、解答を見ないようにしながら半分に折って、時間を計りながらやってみてペースの感覚をならしておく。

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タイマーリモートコントローラ不具合と修理

天体写真を撮る際の必需品のリモートレリーズとして、以前から中国製の安価なタイマーリモートコントローラーを使っている。今年の前半くらいだと思うが、天文雑誌で立て続けに別々の2つの連載記事の中で、使っていた互換品のリモートレリーズが断線した、やっぱり中国製の品質はそんなもんだ、みたいなことが書かれていたのを目にした。自分も使ってるもんだから、ケチをつけられたようで、中国製ったって、メーカー製と同じもの作って売ってるんだし、取り立ててそんなことないんじゃないの、と思っていたし、2つ目に見た記事に載っていた写真は、自分の使っているのとは違うもののようだったので安心していた。

ところが、どうやら自分も同じ目に遭ってしまったようだ。よく考えてみると、少し前から比較明用に連写している最中にたまに止まってしまったりすることがあった。カメラへのコネクタの差し加減だったりするのかと思っていたが、これが予兆だったようだ。そういえば、あまり支障はないのだがリモートレリーズからの半押しがうまく働いていないようにも思えた。これまではその程度だったのだが、実は入笠山で撮影している最中に、シャッターがうまく働かないことが何度か起きた。まだコネクタを疑っていて、端子をよく拭いたりしてみたが、それほど改善しなかった。そして先日金星と木星なんかを撮っているときに、ますます調子が悪くなってきた。

ようやく、こいつもそうかということで、コネクタの端子にテスタを当てて見てみると、確かに接触が安定しない。それではとネジをはずしてフタを開けてみると、中のケーブルはそのまま端が基板にハンダ付けしてあるが、ハンダ付け自身はあまりきれいではないが特に問題なさそう。ケースの中で一度ループにして衝撃を吸収するようにして、ブッシュを通してケースの外に出ている。特に問題はなさそうなのだが、ブッシュの付近でケーブルをクネクネさせると接触が変化するようで、外見的にはなんともなさそうなのだがその中あたりで断線しているようにも思える。

TC-2001分解

そんなわけで、不良箇所を切除するために、ケーブルは少し短くなってしまうが、ケースの外になっている部分でケーブルを切断してケース側に残ったケーブルはハンダをはずして取り外し、ブッシュはするりとは抜けなかったので外から割目を入れて取り外して、ケーブルの残った方の新しい位置にはめて、ケーブル先端を元のように基板にハンダ付けし、元と同じように中で一度ループにしてフタを閉める。これで修理完了。

調子よくなったではないか。これでしばらく様子を見てみよう。

考えてみると、コントローラをケーブルでぶらぶらさせたままにしていることも多く、その程度大したことないだろうと思っていたのだが、そのせいも多分にあるのかもしれない。また、基板や本体部分はメーカー品と同じだが、ケーブルのコネクタは各種取り揃えているところから、ケーブルだけ粗悪品が使われていたりするのかもしれないなどとも想像してみたりする。あるいは、使い方次第ではメーカー品でも同じように断線するのかもしれない。

まあ、これからはなるべくぶらぶらさせないように気をつけながら使うようにしよう。

そういえば、私の使っているのはキヤノン用のコネクタがついているが、本体はニコン用の純正のMC-36Aと同型のもので、私が買った当時はそれしか見当たらなかったのだが、最近は、別に、これより少し値段が高いが、キヤノンの純正のTC-80N3と同型の互換品も出回っているようだ。

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金星と木星の接近

2014年8月18日、昼間の14時過ぎに金星と木星が最接近。見えるのは明け方の東の空に昇ってきて明るくなるまでの間だけなので、最も近づいてた状態が見えるのはその日の明け方だが、翌19日の明け方でも位置が入れ替わっているものの距離的にはそれほど違いないくらいだった。そんな18日の夜から19日未明にかけては結構色々と写真が撮れた。

まずは18日夜、会社の帰りがけにちょっと土星と火星でも撮っておくかといつもの公園に行ったところ、PowerShot S120で撮影してみるとそれよりもむしろさそり座全体の形がきれいに撮れるので、それならばと方角的にもっとよさそうな場所に移動して撮ってみた。とはいえ、光害も多く、全体で見ると少しぱっとしなかったが、星空モードで撮影したもののうちさそり座の部分だけ切り抜いてみると、そこそこ良さ気になった。

Scorpius
さそり座 2014/08/18 19:41 Canon PowerShot S120, 5.2mm F1.8, ISO400, 1.3sec, 星空夜景モード, PhotoShop 7.0, trimming

帰宅すると、時々東の空に見える飛行機とおぼしき光点がよく見えていたので、これを星空軌跡モードで撮影。写真にはペガススの四辺形と、アンドロメダ座、カシオペヤ座などが写っているが、主題は右下の2本の太い光の線。軌跡写真にしたので線になっているが、一瞬間には、この線上に2つか3つの光点が並んで、線に沿ってゆっくり移動しているだけである。しかし、10機以上現れてもすべてきれいにこの線上に乗っている。前から気になっていたのだが、これは羽田空港で横風滑走路のB滑走路とD滑走路に着陸する飛行機がそれぞれアプローチする際のルートのようだ。2つのルートは少し離れて並行しているのだが、ちょうどその間の部分をまっすぐ伸ばした直線がぴったりこちらを向いているため、遠近法の原理で2本の平行線がハの字に見える。

Airplane Approach秋の星座の軌跡と羽田空港アプローチ 2014/08/18 22:16 Canon PowerShot S120, 5.2mm F5.6, ISO160, 30sec for 30min, 星空軌跡モード

夜半過ぎには月がヒアデス星団にかぶっているところが見られ、まだそこそこ欠けているので、あまりに月が眩し過ぎるということもなく、ヒアデスの星々と一緒に月を撮影することができた。ここで一旦仮眠。

Moon & Hyades ClusterMoon & Hyades Cluster 2014/08/19 01:34 Canon EOS 60D, EF-S55-250mm F4-5.6 IS II (146mm F5.6), ISO800, 2sec

そして19日未明、太陽の昇る前に起きて、接近した金星と木星がプレセペ星団とともに昇ってくるのを見る。既に地平線際は明るくなってきているので微妙だが、なんとかプレセペ星団の星々も一緒に写った。かに座の4つの星全部を画角におさめればよかったと後で気付く。下には東京スカイツリーも。

Venus & Jupiter
Beehive Cluster, Venus & Jupiter 2014/08/19 03:55 Canon EOS 60D, EF-S55-250mm F4-5.6 IS II (250mm F5.6), ISO3200, 2sec, Photoshop 7.0

この頃、ちょうど東の空には冬の星座が勢揃いして、冬のダイヤモンドの両側に月と、金星と木星という配置。明るくなりはじめた地平線際にそれに負けずに明るく輝く金星と木星に対し、まだ暗い空の高いところで細かくきらめくすばるなどとを一緒に同じ露出で画面におさめるのはなかなか難しい。

IMG_9561A
Winter Diamond 2014/08/19 04:13 Canon EOS 60D, SIGMA 10-20mm F3.5 EX DC HSM (12mm F4), ISO800, 8sec, Photoshop 7.0

きれいな朝焼けになって、空が青くなってきても、金星と木星は明るくてよく見える。

IMG_9572Venus & Jupiter 2014/08/19 04:20 Canon EOS 60D, EF-S55-250mm F4-5.6 IS II (55mm F4), ISO800, 1/4sec, Photoshop 7.0

その後、もう一度寝てから、いつもの時刻に起きて、会社に出勤。

この後、8月24日には、月が金星と木星の近くにやってきて、3つが三角形に並ぶのが見られるはずだったが、あいにく天気が悪くて見られなかった。

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12K MEGASTAR-FUSION

Megastar Fusion

これまた行ってから1週間以上経ってからの報告だが、千葉県立現代産業科学館で行われていた大平技研の最新のプラネタリウム、12K MEGASTAR-FUSIONの上映を見に行ってきた。どうも私にはメガスターは鬼門で、これまで何度か残念な目に遭ってきた (1, 2, 3) のだが、話題になっているので今回また懲りずに行ってきた。

このシステムのウリは12Kの解像度ということと、地上風景や雲や飛行機などの映像と星の重ね合わせ処理がうまくできますということ。詳しい仕組みは技術解説資料(PDF)に書かれているのを読むとよくわかる。 [togetter]

まず12K解像度の方は、デジタルプラネタリウムの投影を4K解像度のプロジェクターを17台使ってドーム内に分割投影することによって、12K相当の解像度を得ているという。細かいことを言うと、長方形画面でなくてドーム画面のxK解像度とはなんだとか、実は4Kプロジェクターは2K入力のアップコンバージョンだとか、合成されてる風景画像などの元解像度はもっと低いとか、色々あるが、単純には従来のデジタルプラネタリウムで使っているよりも高解像度を実現しました、ということで理解しやすい。そして、これはこれまで高精細な恒星原版を使って投影してきたメガスターに引けをとらないものをデジタルプラネタリウムでできてしまうようになってきたということでもある。

ただし、ここでデジタルプラネタリウムの欠点として挙げられているのが、非常に明るい星の再現性が悪いということ。プロジェクターの画面上では一定以上の星の明るさは輝点の大きさで表すしかなく、あまりに明るい星の明るさを出すためには星像がもはや点像に見えなくなるまで大きくしないといけなくなってしまうという問題があるという。しかしねこれはデジタルプラネタリウムに限った話ではなく、恒星原版を使ったプラネタリウムでも原版の穴の大きさでしか星の明るさを表現できず、大昔のカールツァイスの投影機でも、ブライトスター投影機を別途何十個か用意して明るい星だけ個別に投影していた。

この問題は将来全体の輝度がより高いプロジェクターが登場すれば解決する問題かもしれないが、ここで光学投影 (というのも妙な言い方だが、何と言ったらいいのかよくわかならい) にこだわる (?) メガスターとしては、プロジェクターで表現しきれない明るい星62個 (1等星以上と、一部を除く2等星) だけを専用の投影機で別途投影する。投影機は、一般の単球式の恒星投影機のような形をしているが、必要な星に対応した部分だけに穴が個別に空いている。この記事冒頭の写真の右側のものがそれである。世界一恒星数の少ない光学式プラネタリウム投影機だという。そして、普通の恒星投影機と違うのは、星の数が限られているために、ひとつひとつの星ごとに個別に明滅や明るさのコントロールができるという点。これが風景などと星の重ねあわせ処理がうまくできるという特長につながる。

さて、そういう予備知識をもって気にしながら見たせいかもしれないが、どうもその明るい星だけ見え味が明らかに違うように感じた。プロジェクターのみで投影した場合の不自然さを取り除こうとした結果が、異なる不自然さをもたらしてしまっているように思える。単純にこの12Kのデジタルプロジェクターだけで明るい星も全て表現しようとした場合と見比べてみたいものだと思った。

次に、別画像との重ねあわせ処理である。プログラムの内容を見てみると、確かにこの機能をことさら強調したような内容になっている。オープニングは天文台のドームのスリットが開いた隙間から星空が見えてそれがだんだん広がってくというもの。後は、雲が流れる中の星空だったり、各地の風景に重ねあわせた星空だったり、プロモーションにも使われている飛行機が星空にかぶって飛ぶシーンだったり。従来、光学式の恒星投影機と、デジタルプロジェクターで画像を投影するハイブリッド式のプラネタリウムでは画像に恒星像が重なってしまってうまく表現できなかったシーンである。普通の光学式恒星投影機では常に空全体の星を一斉に投影しているしかないからである。ところがこの12K FUSIONのシステムでは、恒星投影機が62個の星しか投影しないために個別に制御できることにより、デジタルプロジェクター側の画像情報に連動させて重なった部分だけ消すということができるので、このようなシーンの表現が可能になる。そして、それができるがゆえに、この能力を強調した番組づくりになっている。

ところが考えてみれば、ハイブリッド式でなくてフルデジタル式のプラネタリウムであれば、そもそもそのような映像も全部をデジタル画像として生成するため、なんのことはなく投影できたわけであるし、12K FUSIONの62個の星以外についてはそうしているわけである。これまでのフルデジタルプラネタリウムでは解像度や輝度的には足りなかったかもしれないが、そういった複合画像をつくることは特に造作もなくできたものの、特にそれを強調したくてわざとらしく星空に映像をかぶせるような演出の番組はあまりなかっただけではないか。

そして、12Kのデジタル投影ができていれば、先に書いた輝星の処理のことを忘れれば、デジタル部分だけで同じことをやるたけなら、光学投影機との同期だとか星個別の制御だとか面倒なことをしなくても済むわけでもある。そのあたり、デジタルの高精細だけなら追随者もすぐに出てきそうだし、また従来のメガスターの流れから光学恒星投影機をなくしてしまいたくもなかったということもあるのかもしれないが、そんなこんなで、こんな少々アクロバティックなシステムができたのかと想像してしまう。

と、まあ、なんだか今回もずいぶんケチをつけたような感じだが、前2回の残念感ほどのことはなく、全体で見れば非常によかったと思う。確かに大きく風景などと組み合わされた星空風景はダイナミックで迫力があったし、12Kの星々は緻密で美しかった。17台ものプロジェクターを個別に設置して、星像が境目で破綻しないものかと思ったがそういったことも全然感じられず。

その他には、気になったのは、プロジェクターのパイロットランプが点灯しているのが客席から目に入ったこと。これはいただけない。実は、全体の中で一番目を惹いたのは、空港のカウンターのシーンで、左右にはるか彼方まで伸びるカウンター列の奥行き感が半端なかった点。これは、単なるドーム映像の話だが。

それから、ドームに入る通路の途中に、大平氏が過去に製作した投影機や資料が展示してあったが、開場前から大行列で、そのまま入場してしまうし、投影後は別の出口から出るので、ゆっくり見ることができなかった。少し追い越されるのを承知で写真だけ手早く撮っておいたので、後でゆっくり見ようと思っていたら、ちょっとした手違いでそのときに撮った写真を全部削除してしまってがっくり。記事冒頭の写真は唯一たまたまデジカメからiPhoneに転送してあったので残っていたもの。

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ステラナビゲータのパノラマ地上画像

アストロアーツの天文シミュレーションソフト (いわゆるプラネタリウムソフト)、ステラナビゲータには、星空だけでなく地上風景のパノラマ画像を星空に重ねて表示する機能がある。パノラマ画像は必要なフォーマットに合わせたものを自分で用意して読み込ませれば、自分の好きな場所の地上風景を使うことができる。この機能を使うと、地上の目標物に対してどの位置に星が見えるかとか、見たい天体が地上の障害物に隠れて見えないかどうかといったことをシミュレーションで確認できて便利である。特に、建て込んだ都会で星を観る場合に障害物チェックは重要だ。

時々宇宙かふぇさんで星を観ることがあるが、ここも多分に漏れず周辺の建物がかなり星空を観る障害になっている。この日時・場所でイリジウムフレアが見られる、といっても建物が邪魔して見えない位置だと仕方ない。それを事前に調べておけるようにと、先日、宇宙かふぇさんの表でパノラマ写真を撮影してきて、ステラナビゲータ用のパノラマ画像にして読み込ませてみたので、紹介したい。

まずは撮影した素材。なるべく高い仰角まで写るように、広角のレンズを使う。少し前の記事に書いたシグマの10-20mm F3.5の10mmで縦位置にして撮影。左右方向も広角に写るからといって間隔を荒く撮ると、画面の歪が大きくてうまく画像がつながらなかったりするといけないので、できるだけ間隔は細か目に撮る。今回は30°間隔で合計12枚撮った。下はその一部。

パノラマ素材パノラマ素材パノラマ素材パノラマ素材

これを1枚のパノラマ写真に合成する。以前はキヤノンのカメラについてきたPhotoStitchというソフトを使っていた。EXIFデータから撮影したレンズの焦点距離を読み取ってパノラマに接続するときのパースペクティブの補正に利用しているようだが、今回はレンズが広角すぎて歪が多くなるのでダメだと言われて、合成してくれない。

そこで、今回はMirosoftが無償で提供している ICE (Image Composite Editor) というソフトを初めて使ってみたところ、何の問題もなくステッチの破綻もなく簡単にパノラマ合成してくれた。できたパノラマ画像を、ステラナビゲータの要求するドット数に合わせたものがこれ。サイズの規定で、あまりに仰角が高すぎる部分が切れてしまうのが少し残念。また、円周パノラマなわけだが、南が真正面になるように、少し左右を切り取って入れ換えたりしている。まあ方角は割りと適当だが。

昼画像

ステラナビゲータに必要な画像ファイルはこれだけではなくて、空の部分を切り抜くためのマスク画像も必要である。これは、元の画像を元にPhotoShopのマジックワンドとかを使ってうまく範囲選択しながら塗りつぶした画像を作成すればいい。別に電線などはきっちり抜く必要はないのでまとめて塗りつぶしてしまう。細かい隙間とかは処理し残しとかもあるが、まああまり細かいことは気にしない。

マスク画像

いちおうこの2つのファイルがあればいいのだが、ステラナビゲータでは地上風景を昼間と夜とで区別して表示して、昼画像だけだと夜の地上風景はマスクデータから作成したシルエットだけになってしまう。そうならないためには、夜の実写画像も用意する必要があるのだが、昼間とぴったり同じ位置になるように撮影するのは難しいし面倒なので、昼間の画像をそのまま使う。こちらは地上風景と星の位置関係が知りたいだけで、リアリティのある夜景を再現したいわけではないから、暗くなってしまった景色よりも昼間のはっきり写っている景色を使った方がむしろいい。

今回はパノラマ用画像の撮影を昼間とはいいながらも夕刻に行ったので、全体に薄暗く、建物の窓や看板には既に照明が灯っていて、夜景としても不自然さもなくちょうど具合がよかったかもしれない。そんなわけで、昼間画像に、マスク画像を重ねて空の部分だけを真っ黒にするだけで夜用画像のできあがりである。

夜画像

これら3つのファイルを、ステラナビゲータのメニューで [天体]→[パノラマ] のところから指定してやれば、こんなふうに星空のシミュレーション画面にパースペクティブを合わせた地上風景が重ねて表示される。

ステラナビゲータのパノラマ画像1

表示モードを変更すれば、こんな座標系での表示もできるので、よくある星空案内の図やHeavens-Aboveの衛星軌道の図などに重ねあわせるようにして見れば、どの位置に建物がかかっているか判断できる。

ステラナビゲータのパノラマ画像2

私は自宅で星を観るときには、対象の見える方角によって、マンションのベランダから見たり、玄関前の廊下に出てその両端にあるいずれかの非常階段の踊り場で見たりと、場所を選んで見ているが、そのどこで観るかの判断にも、部屋を出る前にそれぞれの場所で作成したパノラマ画像を表示して確認することも多い。

まあしかし、画像はそんなに精度よく作成できているわけでもないし、ある1点から見た場合だけのシミュレーションになるので、自分の位置を少し移動すれば障害物をクリアして見られることも多々あるので、実際に使用時にはあくまでも参考程度と思って使うのがいいと思うが、何もないよりは格段に便利なことは請け合いである。

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宇宙博2014

もう1週間以上前になるが、宇宙博2014に行ってきた。レポートは色々なところで書かれていると思うので、ここでは私が個人的にちょっと気になったりしたネタを思いつくままにいくつかだけ。

アレッジ・モーター

これは事前に公式カタログを通販で入手して予習していてのことだが、アレッジ・モーターという言葉を薄学にして今回初めて聞いた。液体ロケットが前段の燃焼が終了して切り離された後に次段が点火する際に無重量状態になってしまうと燃料がうまくエンジンに送り込めなくなるので、ロケットを少し加速させて重力を発生させるための小さな固体ロケット。そんな説明を読まずに、アレッジ・モーターと書かれた札だけがついている展示を見ても、何のことだろうと思ったに違いない。事前にカタログを読んでおくだけでも勉強になる。

同じことは一般の見学者の方にはもっと多く起こっていて、ちょうどそのアレッジ・モーターの展示されているところの付近で若者のグループが、アポロF1ロケットのジンバル・アクチュエーターと表示された棒状の物の展示を見て、ジンバル・アクチュエーターって一体何だ、ロケットのって書いてあるから何かロケットの部品なんだろうな、でもこれだけじゃ何のことかわかんないなー、と互いに言い合っているので、ジンバル・アクチュエーターについては多少の知識はあったので、簡単に説明してあげたら、えらく感動された。

ジェミニ宇宙船の姿勢制御エンジン

アポロのカプセルは遠く昔は大阪万博で、あるいはもっと経ってからスミソニアンで見たし、マーキュリーのカプセルは確かシカゴの博物館で見た (アポロのカプセルはここでも)。しかし、レプリカにせよ実物大のジェミニ宇宙船を見るのは初めて。目の前で見るまで気付いていなかったのは、姿勢制御用のエンジン。アポロだと機械船の周囲4個所に4方向にノズルの突き出したユニットがついていたり、スペースシャトルだと、ノーズ部分に埋め込まれていたり尾翼の脇のところについていたりするやつだが、ジェミニ宇宙船の場合は先端の円筒状になった部分の中に埋め込まれていた。

ジェミニ宇宙船

アポロ司令船の白いカバー

アポロ宇宙船が宇宙を飛んでいるところの写真を見ると、司令船の部分も機械船の部分も金属光沢をした銀色をしている。ところが、サターンロケット打ち上げの画像では先端部分は、ロケット本体が白と黒に塗られているのと同じように、白く塗られているように見える。以前からちょっと引っかかっていたものの、それほど深く考えたこともなかったのだが、今回、各段ごとに切り離して並べてあるサターンVロケットの1/10模型を見て気がついた。打ち上げ時の緊急脱出用ロケットが司令船の先についているのだが、このロケットを取り付ける骨組みのようなものは、司令船に直接取り付いているわけではなく、司令船全体を覆う笠のような形をしたカバーみたいなもの取り付けられていて、それが白く塗られているのだった。緊急脱出用ロケットが不要になって切り離すときは、このカバーごとはずれるわけだ。改めて打ち上げ時の写真で先端近くがアップになっている写真を見てみると、司令船の後ろの円筒形の機械船の部分だけは打ち上げ時も本体がそのまま見えていて銀色をしている。

アポロ先端部

アポロ司令船の座席以外の空間

マーキュリーやジェミニのカプセルは、宇宙飛行士が乗り込むシート以外の空間はほぼないといっていいが、アポロの場合は、カプセル自体が結構大きくて、3人分の座席をしつらえても実はまだ中に結構余裕がある。カプセル外部から出入りするためのハッチの部分から見るとすぐ座席と操作パネルで視界がほぼ全部塞がれているので、一見カプセル内の空間はそれで目いっぱいのように見えるが、そうではない。

これはたぶん子供の頃は気付いてなくて、たぶんアポロ13の映画を見て、座席でもない、着陸船内でもない空間に飛行士がいるシーンがあるので気付いたのだと思う。その空間は座席のおしりの下の方と、そこから先端にある着陸船とのドッキングハッチにもつながっているはずである。座席の前方は操作盤でふさがっているので、まっすぐドッキングハッチには進めないはずだ。その空間が宇宙飛行士がどの程度動き回れる広さのものなのか、今回実物を見て見極めたかったのだが、覗き込めるのは外部からのハッチと脇の小さな窓だけなので、結局いくら覗きこんでも中の空間の広さが実感としてよく把握できなかった。別に精密にできていなくていいから実物大模型の中に実際に入り込んで実感してみたいものだと思った。無重量状態でないと動きが不自由なのかもしれないが。あるいは、スケルトンモデル (?) か、カットモデルがあっても面白いかもしれない。

しかも、よくわからないのが、カプセル内の座席や操作盤の配置を想像してみると、一体どこを通って座席からその空間に移動するようになっているのだろうということ。座席の足元からすり抜けるようにするしかないような気がするのだが、それにしてもあまり隙間がないような気がする。

アポロ司令船

 きばうの船外実験プラットフォームと船外パレット

国際宇宙ステーションの中で、きぼうモジュールの特徴である船外に暴露して実験のできる、船外実験プラットフォーム船外パレット、なんだか似たようなものかと思う名前だが、別モノであることも今回初めて知った。きぼうの外に常時設置されているのが船外実験プラットフォームで、船外パレットというのは、船外で使う実験装置を後から運んだりするために使うパレットで、ISSで使用時には船外実験プラットフォームの外側に取り付けられるが、運搬時にはスペースシャトルの貨物室に積み込んで固定できるようになっている。ここで展示されているのは、実際にISSで使用されてた後にスペースシャトルで持ち帰った現物とのこと。

船外パレット

ピギーバック

ピギーバック衛星の展示のところに、ビギーパックと書かれていた。ブタの背中に載せるのが語源で Piggy Back なのだが、説明板の作成者がカタカナだけで書いてある原稿を意味もわからず衛星を何かに小さく詰めるとかそんなことと勘違い (ビギーって?) したのかもしれない。宇宙博のタグ付きでtwitterでつぶやいてみておいたが、今頃修正されてたりするだろうか? ルノホート3号の展示がルノホート2号と表示されていたのが訂正されたという例がある。

ビギーパック

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ジャック彗星 C/2014 E2 (その2)

Comet Jacques C/2014 E2Comet Jacques C/2014 E2 2014/08/06 02:21 Canon EOS 60D, Celestron NexStar 5SE (D125mm f1250mm F10) 直接焦点, ISO6400, 8sec×40, StellaImage 7 Metcalf composite

入笠山行き関係の記事を書いていたので後回しになったが、数日前の晴れた未明に、ジャック彗星を望遠鏡で撮影した。当然ながら前のポラリエに載せてカメラレンズで撮ったものよりずっと大きく写っているが、望遠鏡で拡大したためだけでなく、太陽からは離れながらも地球との距離は近くなっていることもあるかもしれない。明るさとしては両者が相殺して、少しだけ暗くなってきているくらいのはずだが。色は非常に鮮やかに出ている。

ネットで見る他の写真では大きく膨らんだコマに細い尾が結構長く出ているものをみかけるが、私の撮った写真では残念ながら光害に埋もれているせいだろうか尾は全く認識できない。せっかく尾が写る前提でコマを画面の少し下になるようにフレーミングしたのに (爆)。

望遠鏡写真では、尾は見えないとはいえこれだけ写っているのに、双眼鏡での眼視では今回も全く見つけられなかった。望遠鏡での眼視では、なんとか見えていたが。

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SIGMA 10-20mm F3.5 EX DC HSM

SIGMA 10-20mm F3.5 EX DC HSM

5月の終わり頃に購入していたこのレンズ、SIGMA 10-20mm F3.5 EX DC HSMのことをまだ記事にしていなかったのを、入笠山で撮影した記事のデータを書いていて、そういえば、と思い出した (実はレンズの写真は、結露防止ヒーターの装着例で既に登場していたのだが)。以前購入した18-250mm F3.5-6.3 DC MACRO OS HSMに続いて、SIGMA製の交換レンズ購入である。

以前からキットレンズの広角端の18mm (35mm換算で28mm超) はちょっと物足りなくて、もっと広い広角レンズが欲しいなとは思っていた。どうせならちょっとではなくて、かなり広角のものにしたかったし、そうすると魚眼はどうだろうかと色々迷ったりもする。とか思いながら、まあ思っているだけだった。

実際の購入につながる直接のきっかけは、このレンズではなくキヤノンが新しい広角レンズ、EF-S10-18mm F4.5-5.6 IS STMを発表したこと。焦点距離が既存のキットレンズにきっちりつながり、価格帯的にもお手頃な設定で、手持ちのダブルズームキットに加えるのにちょうどよさそうではある。実際、先日EOS Kiss X7iにこのレンズを合わせたトリプルズームキットの発売が発表されている。メーカー純正だし、これはぜひ買いたい気がしてきた。

ところが、このレンズ、F値がちょっと大きい。星を撮るのには少しでもF値は小さい方がうれしいので、これはちょっと困った点だ。しかし、もう買いたい気になったのは止まらない。そこで、レンズメーカー製で、お手頃価格の範囲でもう少し明るいレンズはないかと探してみた中で、最終的にこのレンズに決定して購入した。

キヤノンのレンズ発売がきっかけで欲しい熱が高まって購入したわけだが、これだけの広角での撮影は常日頃から必要なわけではなく、本格的なデビュー戦は、まさに今回の入笠山に行く時に広角で天の川を撮るのに使えればいいと思っていた。まあその前に、衛星の軌跡の撮影などに使ったりするぐらいかと。ところが、その前に5月末にブルーインパルスの国立競技場イベントでの飛行があって、当初、六本木ヒルズ屋上から、新宿の高層ビル背景の比較的望遠での撮影のつもりだったのが、前日の予行でヒルズから撮ってみたらあまりよくなかったので、急遽本番の日は宇宙かふぇさんで地上から宇宙かふぇのトレーラーを入れて撮影ということにした。上空だけ撮るのならどこかの航空祭で撮っても同じ絵が撮れるので、都心上空を飛ぶということで重要なのは都心に存在する地上風景と一緒に撮ることである。そこで、地上から上空まで画角に収められる広角レンズが必要ということになり、早々の出番となった。

Blue Impulse

そして、予定通り入笠山で天の川の撮影に役立ったことは既報の通り。

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入笠山 (その2)

今回入笠山に行くのに、色々用意していって、結局それらの効果の程はどうだったのかということを前の記事では多少触れたところはあるがあまり詳しく書かなかったように思うので、そちら方面を少し追補しておく。

ポラリエ

まず、ポラリエ自体はまあ普通に使えた。電源は、結局ケーブルだらけになるのを嫌って内蔵の電池ボックスにeneloop単三を2本セットして使った。使っているうちになくなるということはなかった。

最初、極軸を合わせてスイッチを入れて撮影したのに流れるな、と思ったら、1/2速の設定になっていた。スイッチを回転させる順番が電源OFF、設定モード、1/2速、恒星速、太陽、月、の順なのを、1/2速のところまでしか回していなかった。まあ、こういうのはすぐに慣れるだろう。それ以外には、そんなには長時間露出もしなかったし、追尾エラー的なことはなかった。

少し書いた通り、天頂近くに向けるのはフレーミングしにくいし、角度によってはカメラがポラリエに当たってしまう。極軸望遠鏡の抜き差しとは別にその意味でもテレスコ工作工房の雲台ベースがあった方がよいのだろうか。実は、マナスル山荘さんで貸し出してくれて自由に使っていいように用意されている機材の中にそのテレスコ工作工房のオプション付きのポラリエもあったので、使わせてもらえばよかった (そもそもそれなら自分で買って持って行かなくてもよかった?!)。

自宅ではとても見にくかった本体の極軸合わせ用の覗き穴は、ここでは最初から極軸望遠鏡を使ったので、星のよく見えるところでの覗き加減は試してみなかった。

あと、今回の入笠山行きとは関係なくて、最初のポラリエの記事のときに書き忘れていたのだが、ポラリエの取扱説明書は、製品としてのポータブル赤道儀の使い方だけでなく、星の撮り方を結構詳しく解説してあるのだが、なぜかそれとは別にまた「星景写真を撮る。」という撮影ガイドブックがついていて、かなり内容がダブっているようなのだが、どういうことだろう。最初は取扱説明書だけで十分余計に説明しているつもりだったが、もっと説明をしたくて、別冊子を付け加えたのだろうか。最初からそれがあるつもりなら、都立扱い説明書の方は本当に取扱説明だけでよかったのだけど、作った順序的にそうなってしまった、というところだろうか。それから、おまけに小型の星座早見盤がついていて、これまでにも何度かビクセンのイベントで普通サイズのものをいただいたりしているので、ビクセンの星座早見盤ばっかり貯まってしまっている。

極軸望遠鏡と視野照明

一度三脚にさわってまってズレたのと、ポラリエを三脚側ののクイッシューに留めているネジの締め付けが緩かったのか、カメラの位置によって重量バランスが片側に寄ってしまったときに、ネジの緩む方向に力がかかって緩んでしまったことがあって、その度に極軸を合わせ直すために雲台ベースをはずして、極軸望遠鏡を差し込んで、と確かに面倒だった。

加えて面倒だったのが視野照明で、最初は予定通り例の小さいライトをテープで貼り付けて使ったが、極軸望遠鏡を取り外す度にライトも取り外さないといけないのが面倒で、後で合わせ直しになったときは、結局作業用の赤色減光ヘッドランプをそのときだけ極軸望遠鏡の対物側にかざしたりした。

結露防止ヒーター

これは少し書いた通り、最初、広角レンズだけで使っている間はまだ冷えていなかったのか結露していなかった。フィルタを取り付けてからフィルタが結露。フィルタをはずしてレンズだけにしてヒーターで温め続けて結露せず。望遠レンズに取り替えてからはズームやピントを結構頻繁にさわっていたので、つけたりはずしたりしていたが結露せず。

プロソフトン・フィルタが曇りやすいだけなのか、ヒーターの効果があったのか、なかったのかあまりよくわからない。そもそも、効果があったのか見極めるには、同じ状況で使ったものと使わないもの並べて比べないとわからない。

が、まあ反省は、せっかくヒーターを持って行っていたのにそれを使っていなくてフィルタを曇らせてしまったことで、大丈夫そうに見えても面倒がらずに対策はしておいた方がいいということ。せっかくそのために用意したのだから。

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入笠山

マナスル山荘新館

そんなわけで、8月2~3日の土日に、地元の天文の同好会のメンバー一同で長野県の入笠山に行ってきた。天の川の見えるようなところに星を見たり撮ったりするのが主目的で行くのは今回が初めて。この山は山頂まで歩いて30分くらいのところまで道路が通じていて、宿泊するのはその場所にあるマナスル山荘新館。そこまで登ってくる道路は土日はマイカー規制があるが、ここの宿泊者は規制対象外になる。新館の建物の上にはドームがあって、大きな望遠鏡が設置してある。自分たちの天体の観望は、その脇の少し開けた場所で行う。

当日は、月が上弦少し手前で、夜中になるまでは沈まないので他の天体の撮影には不都合なことと、雲が多めなので少し心配していたが、夜になると雲も少し減って、そこそこ星空が見られるようになった。一方、月は半ば雲に隠されたりして輝きが失われ、これはこれで好都合だった。

とはいうものの、雲が月の場所以外すっかりなくなってくれるわけではない。せっかくこういうところに来たので、まずは夏の南天に垂直近くに立って見える天の川を広角で撮りたいと思っていたのだが、なかなか全体には雲がなくならず、このままずっとこのくらいの雲ならカメラを出しても仕方ないので、しばらくはセッティングもせずに、双眼鏡で星雲・星団をながめたりしながら待っていた。

ポラリエも今回はじめて本格的に使うわけだが、特に北の空は結構べったり曇ったままで、北極星が見えなくて極軸合わせもできなかった。南天を何枚か固定撮影で試し撮りしたが、雲だらけの写真しか撮れなかった。

やがて北の空の雲も少し減ってきて北斗七星がよく見え出したのでちょっと撮影してみた。ここで、持ってきていたが装着していなかったプロソフトン・フィルタを装着。

Big Dipper
Big Dipper 2014/08/02 21:36 Canon EOS 60D, SIGMA 10-20mm F3.5 EX DC HSM (20mm F3.5), ISO3200, 8sec, Kenko PRO SOFTON-A(W), Canon DPP

さて、北極星で極軸もあわせてまた南天を狙おうとするも、いまだに雲がなくならず。天頂の方は雲がなくなっているので、夏の大三角あたりを狙ってみる。が、ポラリエに載せた状態で天頂方向を狙うのにまたなかなかてこずってしまう。そんなこんなしているうちに、写真に星像がちゃんと写らなくなってきた。どうしたかと思うと、フィルター面に結露している。せっかく結露防止ヒーターを持ってきていたのに、当日は案外冷え込む感じがなくてなんともなさそうだったので、まだヒーターを取り付けていなかった。夜遅くなって冷え込みそうな頃につければいいかと思っていた。カメラのレンズよりも、ソフトフィルターの表面は細かいで凹凸があるので結露しやすいのかもしれない。レンズを上方向に向けていると結露しやすいともどこかで読んだ気がする。

泥縄式に横田さんのヒーターを取り出して巻き付けてみるが、冷えきってしまってからではすぐにあたたまらないのであろう、フィルター面の夜露を拭ってもまたすぐに曇ってくる。で、温めたまま、フィルターはあきらめて素のレンズの撮影に戻る。天頂方向の撮影もやりづらいので中止にして、少し雲が少なくなってきたので、南天の天の川を撮影する。きれいに雲はなくならなかったが、できるだけ雲が少なくなったときに撮影できたのが、下の写真。

Milky Way
Milkyway 2014/08/02 22:48 Canon EOS 60D, SIGMA 10-20mm F3.5 EX DC HSM (10mm F4.5), ISO3200, 60sec, w/ Vixen Polarie, Canon DPP.

まだ少し雲が残っているのが残念だが、まあまあ初めてにしてはそれなりの天の川の写真になったかと思う。

その後は、そろそろアンドロメダ銀河が昇ってきたので、これを撮ってみようと挑んだ。素人でも知っている有名な星雲といえば、オリオン大星雲とアンドロメダ銀河の2つだと思うが、自宅で撮ろうとすると、オリオンは結構写るのに対してアンドロメダはいくらがんばっても何だかわからない程度にしか写らない。ぜひ写してみたい対象である。

レンズを広角から望遠ズームに取り替えてアンドロメダ銀河を狙うが、ここでも問題が。長時間露光して初めて写る暗い天体をカメラレンズで撮影する場合は、ライブビューではその天体が見えないので、ピントをあわせることができない。一旦他の明るい星でピントを合わせて固定しておいて、目的の天体に向け直すわけだが、広角の場合はだいたい向ければいいが、長い焦点距離で撮影する場合は、狭い視野になかなかうまく捉えられない。先日のジャック彗星の場合にはすぐ近くにぎょしゃ座の明るい星があったので、それを基準に向ければよかった。そういうものがない場合は、自宅でやっているときはNexStarのピギーバックマウントに載せて、NexStarをアライメントして、NexStarで対象の天体に向けるという方法を使えば簡単に導入できる。ところが今回はカメラとポラリエだけなのでそれができない。目分量でレンズをアンドロメダの方向に向けて試し撮りするのだが、全然捉えられない。ズームを引けば捉えられるので、それで中心に持ってきてズームすればいいが、ズームを動かすとピントもズレてしまうので、そこからピントを合わせないといけない。今度は、明るい星でピントが合わせられないので、少しずつピントを動かしながら試し撮りして追い込もうとするが、この望遠ズームレンズのピントリングは遊びがありすぎてガタガタなので、とてもそんな細かいピント合わせができない。結局いくらやっても埒が明かず、全体像は明るさ的には写っているものの、ピンボケな画像しか撮れなかった。ピンボケ像が点になるまで縮小すれば、まあそんな写真かという状態にならなくもないが、やはりあまりにもヒドいので、ここに載せるのはやめておこう。

みなさん結構夜中撮影してたりするのかと思ったが、0時になる前から夜食休憩に行ったりしたままぼちぼちと脱落していったので、私もそのあたりで店じまい。翌朝はご来光を拝みに山頂に登るので、あまり遅くまでやっていると完徹になってしまうので、おしゃべりしている組もあったが、自分は部屋に戻って目覚ましをかけて布団に入る。

さて、数時間だけ眠ってまだ暗いうちに山頂に登って見た日の出前後の空の色の変化は素晴らしいものだった。星を撮影していたときは雲が全部すっかりなくなって欲しいと思ったが、このときは、適度な量の雲の存在が必要だ。

入笠山入笠山入笠山入笠山入笠山入笠山

 

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