2015年6月 のアーカイブ

手で空の角度を測る

星を見るときに、高度や方位、星と星との間隔を、それほど正確でなくおおまかに測るために、特別な器具などを使わずに、自分の体の一部分である手を使うことがある。物の寸法を測るときに指を広げたりするのと同じような感じだ。

天球上の天体の位置や間隔はセンチメートルやメートルのような長さの単位ではなく、角度の“°” (度)で測る。角度は自分を中心に一定の距離に置いたものの長さとして測ることができる。そこで、腕をめいっぱいに伸ばしたときの手の幅を用いると、これがおおよそ10° でちょうど都合がいい。物の長さを手で測るときは、例えば手のひらをいっぱいに広げた長さ、といってもその人の体の大きさによって違ってくるが、この角度の測り方の場合は、腕の長さと手の幅の比率で決まってくるので、あまり体の大小に関係なく誰でもおよそ10° になるので、これまた都合がいい。

ところで、ここでは「手の幅」と書いたが、私が子供に何かで読んでずっと覚えていたのは、手をまっすぐに指を揃えて伸ばした状態 (親指も開かずに揃える) の手の幅だった。この方法で星の位置を見定めるときは、天に向かって手刀でも切っているかのようなポーズになる。ところが、この数年、自分の天文活動が増えて改めて星見の案内の本などを読む機会が増えてみると、どういうわけか私の記憶と違ってどれを見ても「にぎりこぶし」の幅と書いてある。まあ、実際の幅はどちらでも同じわけだが、天に向かってにぎりこぶしを振り上げるというのは、天体観測をしているにしてはいささか勇ましすぎやしないか。特に、これを観望会などで、みんなで練習してみましょう、などと全員で一斉にやったりすると、ハタ目には何かシュプレヒコールでも聞こえてきそうにも見えて、あまりおだやかではない感じに思える。私としては、ぜひ手のひらをまっすぐに、とおすすめしたい。

もう一点気になるのは、そういう書物などには、よく、にぎりこぶしで10° だけでなく、指をこう開いたら15° とかこうだと20°、あるいは、指何本だけで何度、などと細かく書かれていることが多い。しかし、これは私は不要と思う。基準のものさしは10° のものがひとつだけあれば十分だ。長さのものさしでは、長い方はいくらでもあるので、手の幅だけを基準にしていたら、何メートルもあるものは何十回も手の幅を継ぎ足して測っていかなくてはならず現実的でなく、両腕を広げた長さとか、何段階かのものさしが必要になってくる。しかし角度の量には上限がある。地平線からの高度は90° までしかないし、方位もまず北から数えるとしても、そこからちょうど90° の東や西、正反対の南を見極めてそこから数え始めれば、45° まで測れれば十分だ。星と星の間隔だって、そんなに離れたものどうしを測ることはない。10° のものさしを何回か重ねていくだけで大丈夫だ。

一方、細かい方は、望遠鏡や双眼鏡の視界の中の話でもなければ、近づいて細かいところまで見るなんてこともないわけなので、ミリメートルのものさしも必要なくて、目で見ておよそ判別できる1° 程度までわかれば十分である。10° の基準があれば、目分量で10分の1くらいまではわかるものだから、手の幅の半分くらいで5°、10分の1で1° 、というように測ればいいわけで、余計なものさしをわざわざ覚えることもない。余計なものを色々出すと、かえって混乱するだけである。実際、ものによっては、指1本で2° と書いてあるものもあれば、1° と書いてあるものもあった。指が5本のうちの1本分なので10° の5分の1で2° と考えるのと、指先の細まっているところだけ見るともっと細いので、おそらく爪の幅ぐらいだけを考えて1° と言っているのだろうが、いう人によって基準が違っては混乱する。

角度の目安は腕を伸ばした先の手の幅で10°、これだけで十分だ。

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ISSの日面通過を望遠鏡で初撮影

これまでISSの月面/日面通過は、

2014/06/14 ISSの月面通過初撮影
2014/09/13 ISSの日面通過
2014/10/04 ISSの月面通過を望遠鏡で初撮影

と、行ってきた。月面通過は望遠鏡で撮影したが、日面通過は望遠鏡に太陽フィルタがなかったので撮影できていなかったが、その後、

2014/10/26 アストロソーラーフィルターと巨大太陽黒点

の記事で書いた通り、このときにもISSの日面通過を観測できるチャンスがあって、そのために望遠鏡用に太陽フィルタを用意したのだが、結局天気が悪くて見られなかった。それ以来なかなかいいパスが巡ってこなかったのが、やっと機会に恵まれた。

しかも、今回は夏至近くのお昼近くの太陽という、かなり天頂に近い位置での通過。すなわち、自分からの距離が近くてISSの見かけの大きさは大きく見える。そして、お天気は梅雨の時期なのに運良く晴天と、これ以上はないというくらい申し分ない条件だったので、期待もふくらむ。

今回は、太陽フィルタ付きの望遠鏡と、以前にも使ったNDフィルタ付きテレコン付きビデオカメラの2台を、通過の中心に近い場所の駅の近くの道路脇の空き地に運んで撮影に望んだ。望遠鏡の三脚の運搬には先日購入したマンフロットのバッグが初出動。

先に仮にポラリエに載せたビデオカメラのセッティングをしたが、その後望遠鏡の方で少し手間取ってしまい、試し撮りしているうちに、通過時刻が迫ってきてしまった。空はよく晴れてはいたもののところどころ雲がただよっていて、そのぎりぎりに試し撮りした際には少し薄雲がかかっていたので、ISO感度を一段上げておいて撮ったのが下の写真。

ちなみに少し大きめの太陽黒点が出ているが、日食フィルタで肉眼で見てみたところでは、私の目ではよくわからなかった。

ISS通過前
太陽 2015/06/24 11:02 Canon EOS 60D, Celestron NexStar 5SE (D125mm f1250mm F10) 直接焦点, ISO800, 1/2000sec, トリミング

さて、もう時間が迫っていたが、ビデオの方をあまり正確に極軸を向けないまま追尾させて放置してあったので追尾ズレしているのを修正していると、もう通過時刻。そんな中、よりによって雲が濃くなってきてしまったが、もうその時点で今さら感度を調整する時間はなく、そのまま望遠鏡の方のカメラの連写開始。結果、撮れたのは、そのままではほぼ真っ黒の画面にしか見えない写真になってしまった。

階調の調整で救うにも限度があるが、まあそれでもいちおうわかる画像にはなった。とはいえ、今回の条件から予想していたのに比べるとかなり残念だ。下の画像はそうして見られるようにした、ISSの写っていた2コマの画像を比較暗合成したもの。

ISSの日面通過
ISSの日面通過 2015/06/24 11:03 Canon EOS 60D, Celestron NexStar 5SE (D125mm f1250mm F10) 直接焦点, ISO800, 1/2000sec×2コマを比較暗合成, トリミング

2コマしか写っていないのは、天頂近いパスでISSへの距離が近くて大きく見える一方、みかけの速度も速くなるので、同じ連写速度で写るコマ数が少なくなるのは致し方ないのだが、そうはいってもうまくおさまれば3コマ撮れたはずなのに、運悪く太陽のギリギリ外側で一回シャッターが切れて、その次はだいぶ奥に入ってからになってしまったので、結果、2コマしか撮れてなかった。

いちおう、ISSの部分だけをdot-to-dotになるように拡大したものも載せておく。光量があればもっとくっきり写っていただろうか。ともあれ、これが私が今までで撮影した中で一番鮮明なISSの姿ではある。前に月面通過では結構近い距離の通過を望遠鏡では撮れていたが、ここまで近くはなかったし、欠けた月の頃だったので太陽電池パネルが斜め向いていた。今回は日面通過なので、太陽電池パネルは真正面 (真背面といった方がいいのか) を向いている。

拡大画像

そして、ビデオで撮った方からキャプチャした画像がこちら。なんだか火星の表面の模様でも見ているようだ (笑)。下の端がほんの少し切れているのは、通過前に時間がなくて、フレーミングをきっちり合わせきれなかったため。

ISSの日面通過

ISSの日面通過 2015/06/24 11:03 Canon HV10 + Raynox HDP-7700ES, ND400フィルタ×2, 1/2000sec, 30fps撮影の15コマを比較暗合成+インターレース分離, トリミング

動画はこちら。

今回の反省としては、まあ通過時刻ぎりぎりになって急に雲が厚くなったのは運が悪かったとしかいいようがないが、そうはいっても時間に余裕があればそれを見越して適正感度に合わせてもう少しはきれいな画像が撮れたはずである。機材を2セット持って行ってひとりで両方操作しないといけないからにはもっと余裕をもって準備していないといけなかったようだ。

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移動式プラネタリウムで八重山の空

プラレアリウム巡り関東地方編は前の記事で終了だが、引き続きもうひとつプラネタリウムネタを。

先の土日に、東京駅近くの丸の内オアゾ1階の◯◯広場(おおひろば)で、「日本最南端の八重山諸島を体験しよう!スペシャル2DAYS」という、八重山諸島の観光のプロモーションのイベントが行われていた。ここで目玉が、コニカミノルタの協賛による移動式プラネタリウムでの「星の島に、願いをこめて 美ら海に輝く南十字星」という番組の上映。

私は、2日目の終わり近くに訪れたが、移動式プラネタリウムゆえ、1回の収容人数が22人とあまり多くなく、各回1時間前に整理券配布開始とのことだったので、狙った回の整理券配布開始時刻の前に余裕をもって着くようにしたら、実はまだ前の回の整理券が結構余っている状態で、予定よりひとつ早い回を見ることができた。ビジネス街の商業施設なので、土日にはそれほど人が来ないのかもしれない。

丸の内オアゾ

移動式ドーム

ここで使われていたドームは、移動式といっても、よくある中に風を送り込んで全体をふくらませる式のエアドームではなく、非常に厚いボール紙のような素材でジオデジックドームの骨組みを作り、外側を透明なフィルムで覆って、内側には半球状に縫い合わせたスクリーンを置いて、スクリーンと外側との間の空気を抜くことによって形状を保っているもののようだった。半球部の下の壁も、同じような素材の板でできていた。全体にしっかりしたつくりで、ドーム内部は空調も効いており非常に快適だった。ドーム内はじゅうたんが敷いてあり、靴を脱いで中に入る。私は中央寄りに陣取って、上映中は床に寝転がって見上げていた。

上映されていた番組は、まさに八重山のプロモーションのために作られたような内容だが、これは1年ほど前に、一般のプラネタリウム館で上映するのに作られた番組で、実は私はそのときに、海中映像もあるということで興味を持って、サンシャシンシティにあるプラネタリウム満天に見に行っていた。しかし、そのときの感想はというと、あまりぱっとしなかった。南国の鮮やかな風景や海中映像などが全天映像で繰り広げられるのだが、これがどうも実際にスクリーンに映し出される映像は、プロジェクターとドームの性能のせいか、薄暗くコントラストのないしらっとした見栄えで、全然感じが出ていないように感じた。出だしからそう思ってしまってあまり印象がよくなかったからかもしれないが、内容にもあまり感銘を受けたような記憶がない。

ところがである、今回、出てくる映像は前に見覚えのある同じものなのだが、ドームが小さくてプロジェクタの性能がいいのか、非常に鮮やかで美しかった。使われていたのは、Media Globe Σという最新の全天周プロジェクタ。

Media Globe Σ

そして、単に映像の美しさだけでなく、内容自体の方も、もうこれを見たらぜひ八重山に行って星を見たくなる、星マニアでない人にもぜひ見たほうがいいよとお勧めしたくなるような内容と感じた。初日に行ってたら、翌日ぜひ行った方がいいと宣伝してまわっていたところだと思う。さて、この前回との違いはの理由は、果たして今回の番組がこのイベント用に特別に編集しなおしたりして内容が違っているのか、それとも私自身が、星空案内人の講座を受けてものの見方が変わってきたとか、最近パラオで南十字星を見てきたことで感じ方が違ったからなのか、あるいは映像の美しさだけでそんなに印象が変わるものなのだろうか。風景映像以外では見覚えのないシーンもあったが、これは前回見ているときに単に気を失っていただけ (笑) なのか、今回編集が違うせいなのかよくわからない。それで、ちょっと検索してみると、去年の秋に石垣島で移動プラネタリウムで上映するために「リニューアル」(再編集?) したものらしいということはわかった。(「八重山の星空を紹介 移動プラネタリウム」―八重山毎日新聞)

以前に見た時はあまりいい印象がなかったと書いたが、番組で使われていた曲は前回も結構耳に残っていた。HYの「帰る場所」という曲で、HYというバンド名は全然聞き覚えがなかったが、数年前のNHKの朝ドラ「純と愛」の主題歌に使われていたのがこのバンドの曲だったということだ。

ともあれ、これはとても素敵なプラネタリウムだった。終わった後にすぐ近くにいた親子連れの子供がすごく上機嫌だったのも印象的だった。たった2日間だけだったというのはもったいない。ビジネス街なのだから、平日の夜も含めた期間でやればよかったのにと思った。移動式なので、ぜひこれからもあちこちで開催されるといいと思う。

あ、ひとつ残念なことといえば、南十字星を見ようという内容なのに、この時期に宣伝して1~2ヶ月後に行くと、ちょうど南十字星の季節は終わってしまっている点。夏休みシーズンの旅行を狙ってのイベントだから仕方ないのかなー。番組の中では南十字星が見られるのは12月から6月までの間といちおうちゃんと言っていたけれども。

最後に、石垣島ご当地キャラのぱいーぐる。

ぱいーぐる

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プラレア巡り(5) プネターリアム銀河座

プラレア巡り、関東の最後は、プラネターリアム銀河座。「レア」ポイントは、PENTAX 0号機、お寺の中にある、ということだが、一般向けの投影は月に2回、そんなに大きなドームではないので収容人数は1回に22人で、キャパに対して希望者多数のため全回予約制で抽選になるという狭き門なところもレアだ。しかし、メディアで紹介されたりすることも多いので、知名度はかなり高いと思う。

ここは、プラレアに選ばれる前に一度行ったことはあったが、プラレア巡りとしては、期間内に改めて行き直さないといけない。ここに行くには何はともあれ抽選に当たって予約ができなければ話は始まらない。前回は何度も申し込んでは抽選に落ちた後に、やっと当たって申し込めた感じだったが、今回はガイドブックに書かれていたように申し込み時の備考欄に「プラレア巡り」と書いておいたせいかどうかわからないが、一発で当選した。1回の申し込みで2名まで申し込めるので、とりあえず2名で申し込んでおいて、当選したとわかってから星空案内人仲間のうちで、ガドブックを保存用と使用用と2冊買うというほど気合が入ってそうなUさんを誘って一緒に行った。

Uさんと現地待ち合わせで行ってみると、先に到着していたUさん、やはり早目に到着して待っていた別の人と一緒にいる。その人、Rさんは、私のことを見て、前に宇宙かふぇで会ったことがあるという。そういえば顔に見覚えがあるが、宇宙かふぇではたくさんの人と会っているので、一度きりしか会っていない人のことをすぐに詳しく思い出せるほどでもない。後でtwitterやっているかきいたら、前から私のことを一方的にフォローしていると。どうもそのときは、先方は鍵アカだったのでフォロー返ししていなかったようだ。先般のMさんではないが、Rさんも大阪からはるばるやってきているということで、そういえば宇宙かふぇで会ったときも、やはりその後大阪に帰る深夜バスが云々と言っていたのを思い出した。しかし、たまたまRさんが宇宙かふぇに来た時も、銀河座にきたときも居合わせるとは奇遇というか、世の中狭いというか。

ここの様子は他でも紹介されているだろうから、一般的なことはあまり詳しく書くこともないので、プラレア巡りに関することを少し書いておくことにする。プラレア巡りのガイドブックには、各プラネタリウムに行ったらその入場券の半券などを行った証拠に貼り付けるスペースが用意されている。また、スタンプのようなものが用意されているところには、そのスタンプを押すためのスペースもある。銀河座はその両方が用意されているのだが、実は入場券のようなものはない。そのスペースには「施設のカードを貼る」と書いてある。

私は2回目だからか、入場時に、前回はなかった、券面が銀色のリライタブルなポイントカードのようなものをくれて、このポイントが貯まるとどんな特典があるのかよくわからないのだが、まあともかくいただいておいた。ガイドブックの「カードを貼る」っていうところには何を貼ればいいのかと尋ねたら、そのポイントカードを貼るのだという。これ、貼り付けちゃったら使えなくなるので、万が一コンプして提出するときは、一緒に持っていく感じでいいのだろうか。まあ、貼って剥がせるタイプの仮止め両面テープで貼っておくことにするが (実は他のところの入場券もそうしているのだが)。

銀河座カード

スタンプの方は、よく観光地にある施設のようなところに置いてあるスタンプみたいなものが用意されているのかと思ったらそうではなく、住職のサインと銀河座の印鑑が押されていた。そういえば、私はカードをもらったけれども、同伴者として初めて参加したUさんの方は何ももらっていなかったように思う。まあ、サインと印鑑はもらってたから証拠はあるが。

ここではあまり写真を撮っていないので、ほぼ写真なし。

猫の絵

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プラレア巡り(4) 銚子市青少年文化会館

プラレアリウム対象館は関東地方には少なくて全部で5館。そのうち4館は都心近くにあるが既に3館を訪れた。あとひとつはおいておいて、次は、少し遠いが関東地方としては残りひとつの、銚子市青少年文化会館まで行ってきた。

同じ関東地方とはいっても、こちら関東地方の南西部からすれば、関東地方最東端の銚子まではずいぶんな距離である。しかも新幹線が走っているわけでもないので、かなり時間がかかる。プラネタリウムを見に行って帰ってくるだけで丸一日の旅行である。さすがにそれだけでは少しもったいないので、行ったついでに犬吠埼の灯台も見学してきた。

しかし、銚子行きの特急しおさいの本数もそんなに多くなければ、JR銚子駅から先の銚子電鉄の本数も少ないので、銚子駅かラタクシーで犬吠埼に行って、見学している間待っていてもらって、戻る足で青少年文化会館に行ったのだが、おかげでタクシー代がずいぶんかかってしまった。

犬吠埼灯台には、表に、灯台と同じに真っ白に塗った郵便ボストがあり、脇の広い敷地に、DGPS (GPSの補正情報を含んだ信号) の送信アンテナがあった。

犬吠埼灯台  白い郵便ポスト

DGPS信号送信アンテナ

さて、青少年文化会館は、こんな建物だが、プラネタリウムはこの少し不思議な形をした建物の真ん中に納まっているのかと思ったら全然違って、この正面玄関から入ると、奥にはジオパークの展示があった。

銚子市青少年文化会館

プラネタリウムは、右側の階段を手前の方からのぼった上に、独立した建物のようになっている。階段をのぼりきった付近の壁にはなんだか古めかしい案内板。

案内板

ここに記載の通り、一般向けの投影は普段は土曜か日曜に、1日1回しか行われていない。

こちらがプラネタリウムの建物。東京海洋大学よりは前室があるだけ立派。

銚子市青少年文化会館プラネタリウム

少し時間の余裕をもって行ったので、着いたときにはまだ他にお客さんは誰も来ておらず、解説員の方とゆっくりお話をして、いろいろ聞くことができた。

パンフレットなどの置いてあるテーブルには、プラ「レア」リウムに登録されたとのお知らせがあって、ガイドブックも売られていた。プラレア巡りで来たのだと言ったら、そう言って来たのはあなたが初めてだと言われた。

プラレア巡り登録

前室の隅の方にずいぶんたくさん望遠鏡があまり使われていない様子で置かれていた。観望会のようなものはあまり頻繁には行われておらず、月食などのイベントがあるようなときだけ行われるとのこと。

望遠鏡

さて、ドーム内はこんな感じ。この投影機もなかなかに古い機械である。ミノルタのMS-10。ここのプラ「レア」ポイントとしては、常時公開施設では関東地区で最古のものだということだ。

ドーム内

台座の回りに補助投影機的なものがたくさん取り付けてあるが、東京海洋大学でワゴンに乗っていたのと同じように、星座絵などを投影するものだそうで、固定されているので日周・年周運動に追従しないわけで、そのときそのときの解説に合わせて、星座絵を表示するときの天球上の星座の位置に、事前に向きを合わせて固定しておくのだそう。

投影機のアップ。後ろにはちょうど南中位置の太陽が投影されているところ。

MS-10

そして、こちらは季節の太陽の位置の投影機。3本の投影機が角度をずらして設置してあるが、それぞれ夏至、春分・秋分、冬至の太陽の南中位置を向いている。投影の最初の方に、これを使った説明があった。

季節太陽投影機

最近は、プロジェクターで映すのであまりみかけないが、昔のプラネタリウムのドームによくあった、地上風景のシルエット。他のところではどうやって作りこんであったのかあまり間近で見た覚えがないのだが、ここは近づいて見てみると、スクリーンの金属板 (音響効果のために穴あきになっている) をシルエットの形に切り抜いてあって、裏側の黒い壁が見えるようになっている。なくなってしまった建築物もあるのだけど、そのままになっていると言っていた。

地上風景シルエット

コンソールはこんな感じ。コンソールの話ではないが、この写真の右上の方に、ドーム内の方角を示す文字の「西」が赤く光っているが、その下に光っていない緑色の「東」の文字が見える。東京海洋大学でもそうだったが、ここでも南半球での星空を説明するときは、投影機をぐるっと縦に回して、南北の方角を入れ替えるので、この方角表示もスイッチで切り替えるのだという。東京海洋大学で見るまであまり気にしたことがなかったが、これら2ヶ所でそうだということは、何かの制約があってそうしないといけない理由があるのだろう。

コンソール

色々話を聞いている間も全然他にお客さんは現れなかったが、投影時刻が近づくと、最終的に私以外に3組のお客さんが来て、いちおう体裁は整ったという感じになった。実は翌日が千葉県民の日にあわせた無料投影日だったので、きっとこの土日に見に来ようかと思う人は皆そちらに流れたせいで人が少なかったのかもしれない。こちらは、千葉県民でもないし、プラレア巡りをするのに無料にタダ乗りするのも気が引けるし、無料だともしチケットがなかったら訪問の証拠が残らないかもしれないとも思って、敢えて通常の日に訪れたのだった。

お客さんの中の一組の親子は、毎週ずっと見に来ているのだそうでびっくりだ。内容は月替りだからその月の間は毎回同じ内容を聞いているはずだ。何回も聞けば内容もよく覚えられることだろう。

ここの解説員さんはとてもいい感じの人で、ずいぶんいろいろとお話をしていただいた。古い機械ながらも、大事にしながら使っている様子がよくわかり、これからも少しでも長い間この投影機を動かし続けてもらいたいものだと思った。

帰りは、もうタクシーは使わず、最寄り駅の、銚子電鉄の観音駅まで歩いた。この駅はなんだか風情のある駅舎だった。

観音駅

 

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プラレア巡り(3) 東京海洋大学越中島キャンパス

いよいよ今回からプラ「レア」らしくなってくる。東京商船大学越中島キャンパス (旧東京商船大学) にあるプラネタリウムは、昔は天測航法の授業に使われていたもので、現在は普段は使われていないが、1年に一度、海王祭と呼ばれる学園祭の2日間だけ、学生の手によって公開されるというレアもの。

実はここのことを知ったのは1年あまり前、去年の海王祭の少し前のことだったが、当日は都合が悪くて行けなかった。よし、来年はいくぞ、と思って1年間待っている間に、プラレアリウムの企画が出てきて、Z機めぐりに参加したせいだろう、全国のレアなプラネタリウムを紹介して下さいと依頼が来た。他にも珍しいプラネタリウムはあるが、レアという点ではここが筆頭ではないかと、ここを推薦しておいたところ、しっかり33箇所に収録されていた。そんなわけで、ここは私の推薦で選ばれたプラレアリウムである。まあ他にもここを推薦した人もいるかもしれないが (笑)。

その海王祭は、5月にプラレア巡りが始まってほどない6月の6日と7日。前回は整理券があっという間になくなったなどと書かれていたので、どのくらいの人が来るのかはよくわからないが、初日の第1回投影が始まる前に整理券が配られるよりも早い時間に到着するよう現地に向かったところ、先日かわさき宙と緑の科学館でご一緒した神戸のMさんが私より先に着いている。しかし、思ったほど始まる前からたくさん並んでいるというほどではなく、待っている人がちらほらという感じ。整理券配布が開始されると、プラレア巡りのガイドブックを持って係の学生と話をしている少々ご年配の女性がいた。声をかけて話してみると、今は閉館になってしまったプラネタリウムで以前解説をなさっていた方とのこと。既にプラレアもあちこち巡られているようだった。

ブラネタリウムは越中島会館という建物の屋上にあって、2階から一旦外に出て非常階段のような階段を遠って屋上に行く。入り口には「天象儀室」の看板が。

ドーム 天象儀室の看板

プラネタリウムの操作や解説はすべて制服を着た学生さんが行う。

東京海洋大学プラネタリウム

主投影機の手前に、ワゴンのようなものに載せた妙なものがあると思ったら、これはスライド用のマウントに載せたフィルムを投影する装置。事前にひとつひとつに説明用の画像や星座絵などのスライドをそれぞれセットして、必要な方向に向けてセッティングしておくようだ。

スライド投影装置

座席は鉄パイプ製で、背もたれは固い板ながらも、かなり深くリクライニングするもの。

リクライニング座席

南天球と惑星棚。天の川投影機も見える。

投影機アップ

途中から、南半球で見た星空の解説になったが、投影機の北天球側の首が下がって南天球側が持ち上がる方向に動かして南半球で見た星空を再現するのかと思ったら、逆方向に回転しだした。どういうことかと思ったら、ぐるっと約180°回転させた状態までもってきて、ドーム下端の4方向にある東西南北を示すランプが切り替わって方角も180°入れ替わった。もともと北極星が投影されていた付近に、目立った星はないが天の南極がある状態になる。一体どういうわけだろう。

コンソールは目の前でじっくり見られるどころか、投影終了後に希望すればさわらせてくれる。

コンソール

いやぁ、なかなか貴重なものを見せてもらったという感じだった。

帰ってきてから知ったのだが、ここの構内には昔の天体観測所のドームも残されているそうで、また来年の公開時にでも行って、見てみたい。

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プラレア巡り(2) ギャラクシティまるちたいけんドーム

川崎の次に訪れたプラレアリウムは、足立区にあるギャラクシティまるちたいけんドーム。というのも、これ以外に東京付近にあるプラレアリウムは、年に2日間しか公開されないところと、キャパが少なく全抽選制のところだけ。

そんなわけで手近ですぐに行けるところからつぶしていくことにして、都内とは言っても私には普段あまりなじみのない足立区に向かった。ここの「レア」ポイントは、寝そべって見られる桟敷席があること。ここはかなり角度のきつい傾斜型のドームだが、全デジタル式の投影機だけなのでドーム中央に投影機がない。いや、昔はあったようでそのための場所が設けられていた跡が残っているが、その恐らく惑星投影機の設置場所になっていたと思われる場所が、そのまま椅子が設置されずに桟敷席になっている。そこ以外にも、ドームの端寄りの方にも桟敷席があった。

とはいっても、行った時はそれほど混んでなくて、後ろの方の席が見やすいですよと案内される中、いい大人がひとりで桟敷席に寝転がるのもはずかしいので、案内通り、後ろの方の席で見させてもらった。

ギャラクシティまるちたいけんドーム桟敷席

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プラレア巡り(1) かわさき宙と緑の科学館

さて、ぼちぼちプラレア巡りで訪れたプラネタリウムの訪問記を順番に書いていこう。期間が始まって最初に訪れたのはこちら、「かわさき宙と緑の科学館」。

実はずっと昔、ここからさほど遠くないところに10年間ほど住んでいたのだが、その頃には一度もこのプラネタリウムに来たことはなかった。以前は「川崎市青少年科学館」といって、私にはまだそちらの方がなじみがある。名称は今でもそちらが正式名称で、「かわさき宙と緑の科学館」は数年前にリニューアルしてからの通称名。そしてさらに、ドームが入っている建物の形状から「サイエンスプリン」という愛称もある。

さて、ここの「レア」ポイントは、MEGASTAR III FUSIONが設置されていること。プラレア巡りの対象に選ばれることを知る前に、このFUSIONの投影を見るために少し前に行ったところだったし、自宅からは一番近くにあっていつでも行けるので、期間が始まってからも、また適当なときに行けばいいや、と思っていたが、たまたま予定があいているときに、以前のZ機巡りのときに知り合いになった神戸在住のMさんがプラレア巡りでここを見に来ているというのを知って、どうせいつか見に行かないといけないのだし、この機会に合流することにしたのが5月24日。

入り口付近には、以前使われていた五藤光学製の投影機が展示してあって、珍しいのはスイッチが接続してあって、各回転軸を動かせるようになっていること。

通常投影では、観客ひとりひとりに双眼鏡を貸し出してくれて、投影像を双眼鏡で拡大して見ることができる。しかし、そうやって見てみて少し気になったのは、恒星原板で投影されている多くの星と、それと別に投影されていると思われる2等星以上くらいの明るい星が互いに違って揺れてみえるように思えたこと。手持ちの双眼鏡で見ているので果たしてどちらが本当に揺れているのかよくわからないし、あるいは星の見え味の差による目の錯覚のようなものなのかもしれないが、ともかく妙な感じがした。

ここのプラネタリウムでもうひとつ気になるのは、金星。金星だけ他の星と違って緑っぽい妙な輝きに見える。惑星は、恒星球とは独立した惑星投影機から投影されているのだが、他の4の惑星と違って金星だけその最も明るい明るさを実現するためにレーザーを光源に使っているのだが、線スペクトルのレーザーの光を混ぜて普通の星の色のように見せるのがあまりうまくいかないようだ。

この日はせっかくなので通常投影とフュージョン投影を続けて鑑賞。フュージョン投影は前に見た時とは別の新しいプログラム。これがなんと、星空が回る回る。デジタルプラネタリウムだけの映像ならいくら速く星空が回転しても問題ないが、フュージョンシステムでは明るい星を投影するためにメガスターの投影球がそれに追従して回転しないといけないので、ずいぶんな音を立てて動いていたのが印象的だった。

かわさき宙と緑の科学館

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全国プラ「レア」リウム33箇所巡り

全国カールツァイス・プラネタリウム巡り」が始まったのは2年ほど前のことだが、今度は、全国にあるちょっと珍しいプラネタリウム33箇所を、3年3箇月の期間内に巡るという、『全国プラ「レア」リウム33箇所巡り』というのが、やはり明石市立天文科学館の主催で、今年2015年5月から開始されている。

前回は7箇所だったので、中に北海道や九州が含まれているといってもちょっと頑張れば達成できたが、今度は期間が3年余りあるといっても、数は4倍半以上。これはちょっと大変過ぎる、と思っていたのだが、これが思いのほか私の周囲でも話題になっている。カールツァイスの当時から私の身の回りに天文関係の知人が増えたからというのもあろうが、そのほとんどの人たちはカールツァイス巡りに参加していたわけではない。

33箇所の紹介と、訪れた証拠のチケットを貼付したりスタンプを押す場所の用意されたガイドブックは、明石市立天文科学館で購入するか、通販で取り寄せるしかないが、明石の近くの方が送ってくださったり、こちらの知人のひとりが共同購入 (10冊以上まとめ買いすると割り引き価格になるというのもどうかしてる) を募ったらあっという間に30冊分近く集まったりといった勢いである。

もう既に結構回っている人もいるようで、私もコンプリートするかはともかく、できるところから回ってみようと、関東地方にあるところから順に訪れ始めている。先は長いがまあボチボチと行こう。個々の訪問記はまた改めて追い追い、まあ忘れないうち程度に書いていくことにしよう。

Guide Book

 

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