2013年8月 のアーカイブ
OLFAカッター “Silver”
ずいぶん長い間使っていたお気に入りのカッターナイフが壊れた。いつ買ったのかもうよくわからないが、少なくとも25年以上は使っていたはずだ。少し前から刃を出し入れするときのクリックがなんだか弱くなっているなと感じていたが、先日とうとうスカスカになってしまった。分解してみると、中の板バネがポッキリ折れてしまっていた。
まあ、自宅で使っているだけなので、それほど過酷に使用しているわけではないが、それにしてもよく長い間使ってきたものだと思う。たいてい握りの部分はプラスチックでできている普通のカッターナイフに比べて、総ステンレス製でちょっと高級感があると思って買い求めたものだ。
驚くべきは、自分の手元で長持ちしただけでなく、未だに同じモデルが継続して販売されていることだ。少しだけデザインは変更されているが、同じ名前で、基本的に同じ形状の製品が今も売られている。壊れたものの代わりには当然、この同じものを購入。昔に買った当時はいくらしたのか覚えがないが、もともと手軽な文房具でそんなに値段のするものでもなく、高級感があるからといっても、普通のものからべらぼうに高い値段がするわけでもない。
写真の上が古いもの、下が新しいものである。スライダの部分の見た目が変わっているのと、クリップの形状が少し変更されているが、ボディ自体の形状は全く同じままだ。背面に刻印されている文字が少し違っているが。
新しく買ったものをそのまま使えばいいようなものだが、外観上は今まで長年使ってきたものが愛着があるから、新しい方も分解してみるとバネの形状は同じなので、古い方のスライダ部分に新しいもののバネを取り付けて、新しいボディに装着して使うことにした。クリップも古いものの方を使って、見た目はほとんど昔のものそのままに復活した。
実は、以前一度本来の使い方でなく、物をこじるのに先端部分を使ってしまったことがあって、そのときに少しひしゃげてしまって刃の出し入れに少し抵抗がある状態になったまま使っていたのだが、ボディを新しいのにしたことで、これも解消された。
折る刃式のカッターナイフの特徴はもちろん刃先がなまってきたら順番に折り取ることで鋭い刃先を維持できることだが、家で使っている分には、そんなに刃先がなまることもなく、二十何年間ほとんど折った覚えがない。更に購入時に予備の刃が2枚、銀紙に包まれてついてくるが、使わないままだった。
カメラバッグ f.64 TRM 購入・破損・交換
もう、中国、アメリカの旅行から2ヶ月以上になるが、またそちら関連の話題に戻る。
今回の旅行は、綺麗なあるいは雄大な景色を見るのが主な目的のような旅行なので、いつもダイビング旅行にいくときのように動画中心で撮るというよりは静止画で、そして昨年からせっかくデジイチ持ちになったのだしコンデジではなく60Dを持って行こうと考えていた。
そこで困るのがデジイチの持ち歩き方。カメラバッグは60D購入後まもなく、Lowepro Rezo 170 というのを購入しているが、これはカメラと交換レンズと最小限のものが入るだけのもの。本当にそれだけ持ち歩くにはちょうどいいのだが、今回は飛行機に乗る海外旅行なので、まず機内持ち込みバッグにカメラ本体とダブルズームキットのレンズ両方ともを収納しないといけない。現地で行動する際も、カメラ関係以外にも持ち歩く物のバッグと2つ持ちになると煩雑なので、1つにまとめるとすると、結局カメラと他のものが全部うまく収納できるバッグが必要である。
いつものデイパックは、デジイチ一式を入れるにはちょっと小さいし、他に適当なバッグもないので、カメラがうまく収められて、他のものも入れられるようなバッグを物色することにした。ヨドバシカメラのバッグ売り場を眺めていると、おすすめ、として売られているのが目についたのが、エツミが販売しているf.64ブランドのTRMというバッグ。
外見的には出張用の厚めのビジネスバッグという感じで、ただし、中にカメラバッグの中仕切りがついている。そして、メインの蓋をファスナーで閉じた状態で、上面だけ別に小さくファスナーで開ける口がついていて、バッグを肩からかけたままそこからカメラを出し入れできる。その部分は、前のLoweproのバッグでも気に入ったように、外向きにフラップが開く。そこそこの大きさがあるので、カメラに必要な部分だけ中仕切りをつければ、残りの部分は広くとっておいて他の荷物も収納できる。これがちょうどいいと気に入ったので、近くのヨドバシで購入した。
上の蓋からすぐにカメラが取り出せるというのは重要で、私はあまりカメラを裸でストラップでぶらさげたまま歩くのが好きではない。そもそも購入して以来、望遠鏡に取り付けて使う分にはストラップは必要ないどころか邪魔なので取り付けていなかった。Loweproのバッグで持ち歩いている際は、それこそバッグがストラップ代わりに近く、撮影するときにさっと取り出して、使わないときはまたすぐにバッグにしまって携帯する、という使い方をしていた。2本のズームレンズの交換も、バッグの中でレンズのカメラ側のキャップを外して、カメラを半分バッグに突っ込んだ状態でレンズを取り替えられて、レンズやカメラのセンサ部を外にさらさずに、またレンズを落としたりする心配もなくレンズ交換できていい。今回、中国旅行でもこのf.64のバッグで、バッグ自体は大きいものの同じような使い方をしていた。
ところが、あまりにそうやって何度も出し入れするせいかもしれないが、中国に行ってわずか数日で、その上の蓋のファスナーのツマミが写真のように壊れてしまった。このファスナーのツマミはちょと変わっていて、金属製の金具の上に厚手のゴムのツマミがかぶせてある。最初は、ゴムが千切れて金具から外れてしまったのかと思ったが、そうではなくて、金具がゴムのかぶっている端の位置で折れてしまって、残りの金属の部分はゴムの中に残ったままになっている。
道中で壊れてしまったものは仕方ないので、その後の中国旅行中は、千切れてしまったファスナーの下の部分をつまんで使っていたが、さすがに不便でしょうがなかった。
6月8日朝に帰宅して、6月11日にはまたアメリカに出かけるのにもこのバッグを使うつもりだったので、どうしたものかと思ったが、ダメもとでヨドバシカメラに持ち込んでみた。保証書のついているような製品ではないし、購入時のレシートなんかも大物の機器の場合はとっておくが、このくらいのものは捨ててしまっている。しかし、ヨドバシのポイントカードで購入しているので、購入記録はすぐに確認してもらえた。購入してすぐだし新品不良扱いで交換してくれるとのこと。ありがたい。
しかしながら、先日店頭展示品だったものを私が購入して、その後に補充で入荷していないので、在庫がないとのこと。今から注文すると入荷するまで何日かかかかるかもしれない。持って行ったのは8日のお昼頃だったが、翌々日に入手できるかはちょっとあやうい。ならば、ヨドバシの別の店舗に在庫があるだろうから、それを店舗間で取り寄せれば、たぶん1日で届くはずというので、その手配をお願いして、その日は店を後にした。
翌9日にはTECCの試験を受けに行っていたが、試験から帰宅するともう、交換品が入荷したので取りに来て下さいと留守電が入っていた。夜になってからだが、一旦持ち帰ってあった壊れたバッグを持ってもう一度出かけてヨドバシに行き、無事新品と交換してもらってきた。ヨドバシカメラ、よくやってくれる。
そして、中仕切り板を最初のバッグにしたのと同じように配置なおして、カメラと他のものを収納してアメリカ旅行に出発した。まあ、最初のものは本当に不良品ですぐに折れてしまったのかもしれないが、また同じ使い方をしていてすぐに壊れても嫌なので、飛行機に乗る時は機内持ち込み荷物をまとめるために同じようにするが、現地旅行中は、ちょっとスタイルを変えることにした。そもそもアメリカではレンタカー移動なので、あまり荷物はまとまってなくても全部車に積んでいれば大丈夫。車を離れて観光場所を歩きまわる時だけ必要なものを身につけて出ればいいから、このバッグとは別に、例のデイパックを持って行って、そちらにカメラ以外の携行物とダブルズームレンズの装着していない方を入れておいて、カメラ自体は不本意ながらストラップを取り付けて (購入後9ヶ月目にして初めて!) 首か肩から下げて歩くことにした。
まあ、そのおかげかどうが、アメリカ旅行中はバッグのファスナーは壊れることなく帰ってこられた。
星検2級対策
早速解答と解説が発表された。受験者にしか教えてくれないパスワード付きだが。
昨日の自己採点に加えて、ポカミスが2箇所も見つかってあわててしまった。試験時間は余裕があって、あんなに見なおしていたつもりなのに。しかし、合計点を計算してみると、なんとか合格点におさまっていそうだ。
さて、今回の星検2級の受験対策で自分なりにやったことをここにまとめておいてみる。今後受験される方の参考になれば。
過去問
第2回からの過去問全部。以前この記事で過去問を発掘したことを書いたが、私がそんなことを書いたせいか、リンク切れファイル自体が引っ込められてしまったようだ。まあ、問題は持ち帰れるので、過去に受験した人が知り合いにいたら見せてもらうとか、入手方法はなくはないだろう。
公式問題集
「公式問題集3級、2級」の2級部分。3級のときは、受験してから、それ以外の級の問題にも目を通しておいた方がよかったと思ったものだが、今回は既に3級部分は前回にやっている。とはいえ、2級の問題をやるついでに、3級のところもざっと見なおしておきはした。
教材としてはまあこれだけ。あとは、その中からここがポイント、というところを重点的に暗記したりする。
二十四節気
二十四節気の問題はこれまで毎回出ているので、これは白紙に全部書き並べられるように暗記した。24もあって大変かと思うが、規則性がある部分は簡単に覚 えられるので、不規則な部分だけしっかり覚えれば、そんなに大変ではない。ところが、今回は、二十四節気の問題は出題されず、徒労に終わってしまった。
中秋の名月以降の月の呼び名
公式問題集と第2回の問題に出ているの覚えておく。
名月の翌日から、十六夜 (いざよい)、立待月、居待月、寝待月、更待月。
今回は出題されなかった。
星座の並び
3級のときは黄道12星座の順番を覚えた (なのにそれを生かせず間違ってしまった問題があったが) が、今回はそれに加えて南天の日本から見えない星座を除いて全部の星座の並びを記憶するようにした。これも、白紙にまず黄道の波型の上に12星座を描いて、そこから隣接する星座を描き並べて全部の星座を配置できるようにした。一般に、星座の配置はある程度の範囲のかたまりでしか着目しないので、天球全体で星座がどう並んでいるのか、案外頭に入っていない。メルカトル図法の世界地図のような星図を描いて端から端までどう並んでいるかを頭にたたき込むようにした。特に、有名な星座と有名な星座の間にある細かい星座をきっちり覚えるようにした。
試験には、有名な星座と有名な星座の間にある細かい星座の名前を問う問題や、何々座と何々座に隣接する星座を問う問題が出る。
それから、トレミーの48星座に属するかどうかを判断する問題も出るので、それも要チェック。といっても全部丸覚えするのも大変だが、有名な星座はたいていトレミーの48星座なので、南天を除いた星座でマイナーなもののうちトレミー48星座でないものがどれかをチェックしておくのがいい。今回はこぎつね座を選ぶ問題が出た。
春分点と秋分点の位置も要チェックで、今回も春分点の位置が出題された。
惑星の位置
3級のときもしたように、現在の惑星が星座上のどの位置にいるか確認しておく。2級では第2回に出題されたが、それ以後出題されておらず、今回も出題されなかった。
一等星 (特に南天)
全部で21個の一等星 (以上) の恒星を確認。北半球で普通に見える15個は当然過ぎて直接問題に出ないが、南天の星が問題に出たりする。今回は角度の問題にからめて、アケルナルが何座かという問題が出た。また、星の赤緯や銀緯の順番を問う問題が毎回出ているが、先の星座の並びから場所を思い浮かべる。銀緯がわかるためには、天の川の流れがどこにあるかもしっかり把握。今回も銀緯の問題は出たが、わかりやすい場所だった。
メシエ星雲
3級のときによく出る有名な星雲をリストアップして覚えたのを再確認。これには、望遠鏡を買ってから星雲や星団を見るのに参考にしようと買った「初心者のためのウォッチングブック 星雲星団ベストガイド」という本を参考にした。全体の星座の図の中での位置も再確認。したのだが、どうも2級は有名なものだけをチェックしているだけではいけなさそうだ。リストアップしていない、それほど有名でないものに関する問題が出てくる。今回も、リストしていたM27の問題も出たが、一方で、M64、M65、M66、M67で銀河でないものはどれか、といった問題も出て、これは答えられなかった。M31アンドロメダ星雲の2つの伴星雲を問う問題も、番号が続きのM32は答えられたが、もうひとつが出てこなかった、なんとなく100番台ぽい感じがしたので苦し紛れにM100と書いておいたのだが、正解はM110。つい先日M31の写真を撮ってみていたとこなのに。
歳差運動
天の北極の位置は2万6千年で一周。紀元前3千年にはりゅう座のツバーン。西暦1万年にはデネブの近く、西暦1万4千年にはベガの近く。公式問題集と第3回に出題されているが、今回は歳差運動の問題は出なかった。
サロス周期
18年0ヶ月10日8時間。18年という数字は覚えていなくても、ゼロヶ月と10日というところだけ覚えていればまあ大丈夫。公式問題集と第2回に出題されたが、今回は出題されなかった。
惑星の公転半径、公転周期
色々な問題にからめて公転半径や公転周期などが必要になってくる問題が出るのでひととおり暗記。ケプラーの第3法則を使って仮想惑星の半径と周期の計算をさせる問題もあるが、それは書かれている通りに計算すればいいだけなので、特に暗記することはない。今回は、公転周期に関連する問題ながら、ちょっと趣向を変えてきたので、この暗記はあまり意味がなかった。
小さい惑星と、衛星の大きさ
公式問題集と第3回に出題されているので全部順番を覚えておく。
地球 > 金星 > 火星 > ガニメデ > タイタン > 水星 > カリスト > イオ > 月 > エウロパ > トリトン > 冥王星
今回は出題なし。
星の等級
X光年にあるY等星がZの距離にあるとすると何等星かといった問題が出る。2.5倍で1等級違うことと、明るさは距離の2乗に反比例することさえ覚えていれば問題ない。計算を簡単にするためにか、必ず距離の違いが2.5倍で明るさの差が2.0等級という値でしか問題は出ておらず、今回もそうだった。
変光星の種類
- ミラ 一定の周期で、脈動することで変光する
- アルゴル 恒星同士が食を起こすことで変光する
- はくちょう座SS星 平常光度から、急激に増光することがある
- かんむり座R星 平常光度から、突然減光することがある。
の4種類を覚えておく。今回は、はくちょう座χ星の極大という時事ネタにからめて出題された。
恒星の末路
恒星の質量が太陽の何倍かで分類して、
- 8倍以下 白色矮星
- 10~20倍 中性子星 (パルサー)
- 30倍以上 ブラックホール
境界となる値がそんなにはっきりしているわけではないので、テキストの説明の書き方も、「太陽の8~10倍程度以下」などと、境目の値なのかそれが範囲なのかわかりにくい書き方なので注意。その幅のある境目の間の値は問題には出ないはず。今回の設問では5倍と15倍の場合で問われた。
その他
太陽や星の南中時の角度を問う問題も繰り返し出題されているが、2級の問題としては易し過ぎる気がする。今回は、太陽について丸1問出しているのに、更に恒星について2分の1問 (2点分) 出題されていた。おかげで、そこでは稼がせてもらったが。
天文史関係や、宇宙開発関係は、なかなか狙い所がない。既存の知識でなんとかするしかない感じか。宇宙開発関係では割りと時事ネタに近いものが出る傾向があるので、最近のニュースに気を配っておく必要がある。
ざっとこんなところだろうか。あと、神話関係は苦手なので最初から半ば投げていて、今回は2問とも知らなかったが、うち1問は推測が的中して正解できたが、もう1問はしっかり外してしまった。
ちなみに、上記過去問出題状況は、私がざっと見てチェックしただけなので、正確ではないかもしれない。
今回の星検対策を通じて、星検どうこうでなく、星座の全体のつながった並びがだいたい把握できるようになったのは自分としては収穫かなと思う。これで、都会の夜空で星があまり見えなくても、離れた位置の他の星座から、あのあたりには何座がある、とわかるようになると、ちょっとうれしいかもしれない。
第5回星検2級受験
今日は、第5回星空宇宙天文検定の2級を受験してきた。
前回の3級合格に気をよくしての受験だが、直前1週間くらいは、それなりに結構一所懸命勉強した。なので、ゆうゆう合格圏内、のつもりだったが、いざ問題を開いてみると、1問目はもうまかせてよ、という問題だったが、2問目、3問目と、すでに即答できず。途中や最後の方にも結構ヤバいのがあって、ちょっとヒヤヒヤものだったが、その2問目、3問目などはエイヤで書いた (じっくり考えて推測した) のが当たっていて、まあ自己採点ではなんとかなってそうな感じである。
受験者層は、2級になると前回の3級のときと比べて、宙ガール率が少し低めで、その代わりにオッサン率が高めだった感じだ。あと、前回はほとんどみかけなかったオバサンが少々。そんな中、小学生のそれもたぶん高学年じゃなく中学年くらいの子供が何人もいたのには結構感心した。
前回の試験問題には、合否の通知と合格証の発送のことしか書かれていなくて、解答解説をEメールで知らせてくれるということは会場で口頭で知らされただけだったが、今回は試験問題の表紙に、一両日中にEメールで通知しますと印刷してある。ちなみに、この問題用紙、結構紙が薄いので、1問目が夏の大三角形付近の星空の問題、その次のページはアンドロメダ座周辺の問題だな、と開始前からわかってしまう。まあ、その時点でそれがわかったところで、どうなるわけでもないが。
今回のアメリカデータ通信環境
投稿者: Erlang カテゴリー: 2013年アメリカ旅行 投稿日: 2013年8月20日
先日の中国旅行のときのデータ通信環境のことはこちらに書いたが、アメリカの方の話もしておこう。
中国用は今までよく書いているように、有効な現地SIMの入った携帯電話を持っているが、アメリカは、そんなに頻繁に行っていないので、中国用携帯のハードウェア自体はアメリカでも使えることは使えるが、SIMカードがないので、それを使うつもりなら現地SIMを調達する必要がある。繰り返し行くつもりなら、ずっと使えるようにSIMを買ってもいいが、今回きりだとあまり効率的でないように思う。中国SIMの方は継続のためにチャージがたくさんたまっているので、もしそれがアメリカで国際ローミングで使えるとしたら、それがいいので、少し望みをかける。
データ通信の方は、中国と同じく、テレコムスクエアでポケットWi-Fiルーターを借りるのは同じ方針である。中国は1日700円なのにアメリカは1,000円なのがちょっと痛い。ルーターには何タイプかあって、通話の方の心配があるので、電話機もできるスマートホンタイプのルーターを借りることにした。ところが、これが失敗だった。申込時は、ルーター機能のものが4G対応で、スマホタイプは3Gまでしか対応しないと思っていたが、空港で受け取る際には3Gが使えなくて2Gまでになります。と言われた。おやっと思ったが、まあ、そこでどうこう言うのも仕方ないかとそのまま借りて行った。
現地に到着して、まず中国SIMでのローミングを試したが、やはりダメだった。まあ、結局音声通話の電話をしたのは、滞在中で一度だけ、キットピーク天文台に確認の電話をかけたのだけだったが。スマホ型ルータの方は、接続することはするが、速度が全然出てない感じ。やはり2G (EDGE) でしかつながっていないということだろうか。Google Mapsを表示させようとしても、なかなか画面が出てこなくて使い物にならないレベルだ。もちろんスマホ型ルータ本体でやっても、W-Fi接続したiPhoneからやっても同じ。
しかし、中国でとは大きく事情が違うところがある。中国では移動は公共交通機関で、乗っている間や待っているは特にすることがなく手が空いているので、しょっちゅうネットにアクセスしたりしていた。一方、アメリカでは移動は全部自分の運転するレンタカーなので、移動中は手が離せず、ネットすることもない。宿ではどこでもWi-Fiが無料で利用できて、たいてい宿泊時にこればパスワードです、と教えてくれる。旅行記の中でも何度か触れているが、運転中に食事や休憩に入るマクドナルドやデニーズ、あるいは空港などでは登録不要で無料でWi-Fiが使えたので、これもありがたかった。結局、レンタルのルーターはほとんど役に立たなかったが、ルーターがなくてもそんなに困るほどではなかった。逆に、ちゃんと速度の出るルーターだったとしても、それほど出番がなかったということかもしれない。
最後の最後にロサンゼルスでは、都会だから電波がいいのか、Wi-Fiルータもそこそこ速度が出ていたようにも思うが。
しかし、まあ、今度アメリカに行くときは、何をレンタルするかもよく考えてからにしよう。
いるか座の新星
8月14日に、いるか座に板垣公一氏によって発見された新星。発見時は6等星ということだったが、昨日の情報では4等台と報告されているとのことであった。普通、新星発見といっても、もっと暗くて、肉眼ではわからないようなもののことが多いが、この明るさは空のきれいなところなら肉眼でわかる明るさである。光害のひどい我が家でも、望遠鏡を使うか、写真に撮ればわかるだろうと思って夜空が晴れるのを待っていたが、今夜、アルタイルとベガがベランダから見えていたので、写真撮影したみたところ、しっかり写っていた。
肉眼や、カメラのライブビュー画面では1等星しか見えないので、ステラナビゲータで、カメラの画角のシミュレーションをして、55mmで縦位置でアルタイルを画面の下端中央におくように狙えば、いるか座の本体と、新星がうまく画面に収まるのを確認して、実際にアルタイルだけを頼りにカメラを向けてみた。ちょうどベランダからベランダの天井と向かいのマンションのてっぺんとの間にその画面が入るように狙える角度でよかった。
ステラナビゲータにはすぐに新星のデータのアップデートが入っていたので、簡単に場所がわかってありがたかった。今までの星しか載っていない星図と写真を比べて見ると、新星なのがわかる。
写真は、普通に三脚に載せて上記のように撮影したので、画面は天の北極方向が上ではなく、天頂方向が上になっている。
いるか座の新星2013 2013/08/17 00:46 Canon EOS 60D, EF-S55-250mm F4-5.6 IS II (55mm F4), ISO3200, 4sec, Photoshop 7.0
LAX ~ 成田
投稿者: Erlang カテゴリー: 2013年アメリカ旅行 投稿日: 2013年8月16日
6月20日。帰国のための出発日。帰国便は12:45ロサンゼルス国際空港 (LAX) 発のUA9685便。ホテルはグリフィス天文台に近いということで選んだので、空港まではあまり近くないが、まあ小一時間くらいの距離なので、そんなに早く出発しなくても大丈夫。到着したのが夜だったので、朝になってから撮ったホテルの外観。
近くをぐるっと散歩してみる。表のグレンオークス通りと並行して1本裏の通りはヤシの木が立ち並び、ビバリーヒルズのような雰囲気だ。
空港までの道は前日にGoogle Mapsのルート検索で確認していたのだが、当日朝になって再度見てみると、それまで提示されていたのとは違う、一番西側を回るルートが出ている。事前の確認では、下の画面コピーでは灰色で出ているうちの真ん中寄りのルートだった。考えてみれば、朝のラッシュ時間にかかるので、中心部は渋滞で動かなくなるのだ。提示されたルートでも一部赤色になっている。
のんびり出発するつもりだったのを少し早目に出発することにした。上の地図ではつぶれてしまってよくわからないが、ホテルを出てCA134に乗るまでの道が、行ってみると工事中で閉鎖されていて、えらく迂回しないとけなくて、いきなりつまずいてしまった。無事元の道に戻って、予定通りCA134に乗り、西に向かい、自動的にUS101に。そして、赤色になっていたI405へのインターチェンジに近づくと、I405に行くレーンだけがつながってノロノロ運転になった。Google Mapsの言うとおりだ。
I405に入ってから結構な間渋滞状態が続いたが、山越えが終わったくらいか、流れだして、まあだいたい予想通りの時間で、空港の近くに到達した。46番の出口で降り、センチュリー通り (Century Blvd.) に入って空港に向かう。いちおう、車を返す前にガソリンを満タンにしておくためにガソリンスタンドに入る。
更に進むが、しばらくは空港というよりは普通の街並みの感じで、どこからレンタカー返却に行くのかわかりづらい。たいていの空港は、Car Return の看板をたどっていけばいいのだが、ここは看板があまり目立たない。セプルベダ通り (Sepulveda Blvd.) に曲がるところは無事曲がれたが、次にレンタカー会社エリアに入るところを、広い入口なのだが、それがそうとよくわからなくて通り過ぎかけて、ここか、と思った時はもう過ぎていたので、先まで行って引き返し、反対側から Sky Way の立体交差を通って、やっと復帰。しかし、大きな空港なので、レンタカー会社別のエリアもそれぞれ大きくて、目的のハーツまでたどり着くのに一体どこまで行くんだろうと不安になるほど。そういえば、はるか昔に一度出張でロサンゼルスに立ち寄ったときも、空港で車を返すのに道に迷ったような気がする。
で、まあ無事ハーツの返却の駐車場に入って指示されたところに車を停める。こちらはさすがにラピッドシティとは違って、その場で携帯端末を持った係員がやってきてチェック。OKが出たらその後カウンターに行く必要もなく、そのまま荷物を持って出発ロビーに向かうシャトルバスに乗ればいい。
ここで、失敗したのが、シャトルバスの運転手に、乗る航空会社がユナイテッドだと告げてしまったこと。中国旅行のときは西安空港であれだけ国内線だ国際線だと言っていたのに、今回は全然何も考えずに、乗る便がUA便だからユナイテッドと言ってしまって、下りてからユナイテッドの国内便のカウンターだと気づいた。
しかし、まあ乗る場所は違うとしてもチェックインはできるかもと、国際便でもここでチェックインできるかと聞いたら、できるというので、自動チェックイン機 (しかない) でチェックインしようとするが、その便は扱えないとハネられる。やはり国際線ターミナルのカウンターに行かないといけない。
また係員をつかまえて国際線ターミナルはどっちかときくと、ターミナルの前を走っている道路の進行方向と逆に戻った方で、距離もだいぶある。既に道の渋滞と、最後に道を間違えたせいで、結構時間が押しているが、仕方ないので、映画などでよく目にする特徴的なデザインの建物を横目に、延々徒歩で国際線ターミナルに辿り着く。
実は、私の乗るUA9685便はANAのNH5便のコードシェア便だった。最初からANAだと思っていれば、シャトルバスに乗ったときに間違えなかったはずなのだが。ともあれ、なんとか時間に間に合うようにゲートに到着できたが、昼食をとっている時間もなかったので、待合所にいたベーグルの屋台でベーグルを買って、機内食までのおなかの足しにする。
少しバタバタしてしまったが、帰りの便自体は中国の帰りのときのように遅れたりもせず、日付変更線を越えて翌21日に無事成田に到着、帰宅できた。
以上で、今回の一連の旅行の行程は全部終了。
グリフィス天文台 ~ グレンデール
投稿者: Erlang カテゴリー: 2013年アメリカ旅行 投稿日: 2013年8月15日
6月19日。フラグスタッフを出発してロサンゼルスに向かう。街中から出るまでしばらくは、旧US66のルート。その後はまた当分の間I40を走り続ける。最後のこの区間が一番距離が長いが、前日と同じくほぼインターステートをひた走るだけだ。到着は、グリフィス天文台 (Griffith Observatory) で、夕方までに到着すれば大丈夫。この日は本当にひたすら走っていたのか、途中の道草している写真もほとんどない。
カリフォルニア州に入ってから、カリフォルニア区間を半分過ぎたくらいのバーストウ (Barstow) の街で、I40がI15に合流する形で終了。そこからI15を南下して、ロサンゼルスのある平野部に入る前に最後の山越えの後、CA210に入ってずっと進むはずだったが、ジャンクションの分岐を間違えて行き過ぎてしまった。これから都会部に入るので闇雲に走って余計迷っても困るので、すぐ次の出口で降りて様子を見てリカバーすることにする。
降りた道がこれまた旧US66。時間がかかるのを見込んで朝早く出発したおかげで、ここまできてやっと昼食時間を少し過ぎたぐらいで、まだ昼食をとっていなかったので、ここで昼食休憩とネット接続のために、これまたすぐにマクドナルドが目に入ったので、そこに入る。本当にマクドナルドばかり利用している。地図を確認すると、運良くこの付近の道路はきれいに碁盤目で1本先で降りただけで旧US66はCA210と平行に走っている。ずっと先まで行くと、旧US66は少し斜めになってCA210とクロスするのだが、途中信号も多いだろうから、CA210の一番近い入口にクロスしている道をチェックして、旧US66からその道に入ってCA210へと無事リカバー。
CA210は途中からまっすぐ走るとI210になる。更に走って、パサデナ (Pasadena) で、I210は北に逸れるが、方向としてはまっすぐのCA134の方に進む。そして、グリフィス公園 (Griffith Park) のエリアにぶつかるところで、I5に入って南下する。グリフィス天文台はグリフィス公園内の丘の上にあって、登る道は公園の南側から入るので、I5を下った後、出口142を出てロスフェリッツ通り (Los Feliz Blvd.) を西に向かい、ヒルハースト通り (Hillhurst Ave.) に入って坂を登って行くと、グリフィス天文台に到達する。最後に天文台の駐車場に上がっていく手前で、駐車場は満車だという表示があったので、分岐した道に入って、他の車もその道の脇にずらっと停めているので、その空いているところに駐車。到着が午後3時前。割りと早目に到着できた。
そこから最後の少しを徒歩で登る。道の途中から、有名なハリウッドサインがよく見える。グリフィス公園もハリウッドサインも、ロサンゼルス北方の同じ山塊の中にある。
そして、メインの駐車場に到達して、グリフィス天文台の建物が見えてくる。
建物の前にジェームズ・ディーンの像がある。映画「理由なき反抗」の舞台となって世界に知らしめられたからとのこと。
建物の正面を入ったところのホールの中央に、「フーコーの振り子」が設置されている。振り子がやってくると小さな棒が倒れて、どこまで来たかわかる装置が置いてあるが、ちょうど運良くリセットして端から始めるところだった。おじさんが長い棒で置き場所を移動させて、台の枠みたいなレバーを押すと全部きれいに立つようになっている。振り子は天井から吊るされているが、天井にはこんな絵が描かれている。
端の方が倒れたところで、時刻は午後3:12。
まずは、プラネタリウムの時間をチェックする。
一番すぐに見られるのは、一時間後、4:15 p.m. からの、“Light of the Valkyries” という番組。チケットは3:30から発売されるらしいので、それまでの間少しだけ付近の展示を見て待ち、チケットを購入。料金は$7。館内の展示を見たりするだけの入場は無料だが、プラネタリウムだけ有料だ。それからまたしばらく、上演時間まで館内や周囲を見て回る。
向かって右側のドーム。太陽望遠鏡が入っている。
回廊。
双眼鏡と、ロサンゼルスの街並み。
中央部正面とプラネタリウムドーム。
天体望遠鏡の入っている向かって左側のドーム。
ドーム内の、ツァイス製12インチ (30 cm) 屈折望遠鏡。セレストロンのシュミカセも同架されているのが見える。背景の格子状の骨組が Star Trek: The Next Generation のホロデッキみたいだ。
建物の上から見た、建物正面の芝生。コンクリートの部分に、太陽系の惑星の軌道が描かれている。
午後3:54。時間にはまだちょっと早いが、ホールに戻ってきて、振り子をチェック。確かに回転して棒が1/4ほど倒れている。
ホールからプラネタリウムドームの正面の場所で待っていたら、そこは入場場所ではないと言われる。入場は一旦建物の外に出て脇から入るのだった。
そして、時間が来たらドーム内部へ。
投影機は、カールツァイスのユニバーサリウム。
プラネタリウムの演出で珍しいと思ったのは、最初、物語の導入のところまではナレーターというよりは役者がドーム内に出てきて、投影機の前でしゃべっていくところ。今まで国内のプラネタリウムでそういうのは見たことがないように思う。
プラネタリウムの後は、地下の宇宙の展示。
ここにも、バリンジャー隕石孔の隕石が。
巨大な月球儀。比較するものがないのであまりよくわからないが、人の背よりもずっと高い。表面の凹凸もきっちり作り込んであって、片側だけから光で照らしてあるので、クレーターにできる影もリアル。右下にあるのはアポロ計画で持ち帰った月の石。
月球儀の脇には、月面での自分の体重がわかる体重計が。ポンド表示なので、日本人にはピンと来ないが。
また、フーコーの振り子の様子を見に来てみると、2/3くらい倒れている。時刻は午後5:10。最初から2時間ほど経過している。
日時計。
実際の物質を並べてある周期律表。
外からドームだけ見た太陽望遠鏡で受けた光は、ドーム直下にある展示エリアに導かれて太陽像を投影している。露出を太陽像に合わせると、ちゃんと黒点が見えている。他にも、奥に見える分光器などにも導かれている。
テスラコイルの放電実演。
もう一度振り子を見てみる。午後6:01。3時間弱で棒がほぼ全部倒れた。
食堂の脇にある子午儀。太陽が南中したときに、上の穴 (レンズ) を通った光が、弧の上に届く。
日は長いしサマータイムなのでまだまだ明るいが時刻的にはそろそろ夕食時。ここでは夜景を見るまでいるつもりで、他に食事をするところはないので、館内の食堂でサンドイッチと飲み物を買って、テラス席でいただく。
地下のホール、レナードニモイ事象の地平線劇場 (Leonard Nimoy Event Horizon Theater) での実験ショー。お題は彗星を作る。汚れた雪だるまと形容される彗星を、実際の成分と同じものを使って作ってみせるというショーだった。
ショーが終わって外に出ると、だいぶ日が傾いて、空には月もよく見えるようになっていて、もう観望会が始まっている。ここも望遠鏡はセレストロン。
やがて日没。といっても、山の向こうに沈んでいくので、まだ太陽はまぶしい明るさのまま山に隠れるだけ。ちょうど飛行機雲が見えていた。
そして、私が待っていたのは、この後暗くなって見えてくる金星と水星。この日、1ヶ月足らず前に木星と一緒に集合していた金星と水星が、木星は移動して太陽と重なる位置に行ってしまったものの、金星と水星との距離が一番近づくのだった。現場に来るまでどうなのかはよくわからなかったが、先程日没を撮影したように、西の空はきれいに開けていてよく見える。撮影にも最好適だ。ところで、日没は手持ちで撮影したが、金星と水星は手持ちで撮影するわけにはいかない。今回の旅行中に夜中に星景写真でも撮るかと思って三脚を持ってきていたわけだが、結局それまで一度も使わなかった。ここ最後になって初めて三脚を使う場面になった。が、三脚を持ってくるのをすっかり忘れていた。もちろん宿に置いてあるというわけではなくて、車に他の荷物と一緒に積んであるわけだから、坂の降り登りがちょっと大変だが、急いで車まで取りに戻る。
三脚を立てて西の空を狙って暗くなってくるのを待っているが、ほとんどの人々は南方向のロサンゼルスの街の夜景が美しく浮かび上がってくる方を見ている。金星と水星の接近に興味を示している人は皆無だ。まあ、そんな天文に詳しい人ばかり集まっているわけではなく、夜景のきれいなデートスポット的な捉え方の多くの普通の人たちが来ているのだからそれも仕方なかろうか。一人だけ趣の違う人がいて、どうも夕暮れで夜景に変わっていくところをタイムラプス動画に撮影している様子だった。まあ、その人も街の夜景を撮っているという意味では同じだが。
自分ひとりだけ違う方向に向けて三脚を立てているのもそれなりに目立つので、中には何か変わったものでも見えるんですか、と尋ねてくる人でもいたら、喜んで説明しようと思っていたのだが、結局そういう人は一人も現れなかった。
撮影できたのがこちらの画像。一番明るいのが金星、そのすぐ近くで8時の方向、かなり暗くてわかりづらいのが水星。ちなみに、金星の1時方向少し離れたところの星と、そのまっすぐ右の星が、それぞれがふたご座のポルックスとカストルである。最初の方の写真を撮ってから、せっかくなので天文台の建物も入れて撮った方がいいかと場所を変えて撮ったのが2枚目。しかし、ロサンゼルスの空は飛行機が多くて、必ず画面のどこかしらに飛行機が飛んでいるのが写り込んでしまう。1枚目で流星のように見えるのは飛行機雲だし、2枚目で一番明るい光点は金星ではなく飛行機だ。
やがて水星の高度が低下して見えなくなったので、自分も夜景の撮影に切り替える。確かに、グリフィス天文台から見るロサンゼルスの夜景は美しい。
その後、ツァイスの12インチ望遠鏡をのぞかせてもらおうと思っていたが、撮影している間に思ったより時間が過ぎており、21:30で天文台の望遠鏡での観望は終りとのことで、ちょうどそろそろ列に並ぼうかと思った時に終了のアナウンスがあった。
それで、こちらも撤収して車に戻る。道脇に駐車していた前後の車ももうほとんどいなくなっていた。ホテルはロサンゼルス付近ながら正確にはロサンゼルスではなくグランデールというところにある。来た道をI5からCA134に入るところまで戻り、パシフィック通り (Pacific Ave.) からグレンオークス (Glenoaks Blvd.) に入ってしばらく走ったところにある、Extended Stay America。ここで最後の宿泊となる。
スピカ食残念記
昨日、2013年8月12日夕方に、1等星のスピカが月で隠される、「スピカ食」が起こった。しかし、当地では惜しいことに天候の影響で実際に見ることができなかった。
月齢5.5で、影の部分の方が多い月の、影の側からスピカが潜入し、約36分余り後反対側のに光っている端から出現するという経路である。ただし、潜入時はまだ日没後間もなく、空がかなり明るいので、スピカは非常に見えにくそうだった。
日没過ぎの月齢の小さい月ということで、太陽の後を追ってかなり沈みかけに近く、高度が低い。方角の関係もあって、わが家のベランダからも玄関側の廊下や非常階段からもなかなかうまく見えない方角だった。運良く非常階段を一番上まで登って、隣のマンションのある側の隙間をぎりぎり壁に沿って見通すようにすると、潜入時の月の位置は見えることがわかった。一方、出現時の方は、見えやすさ的には、日没から時間が経って空もいくぶん暗くなって見やすいはずだが、このときの位置はうちのマンションからはどうやっても見えなかった。
仕方ないので、見えにくいかもしれない潜入はマンションの非常階段から望遠鏡にデジイチと、ビデオカメラにテレコン併用で。出現はビデオカメラだけ持って自宅から離れて見通しのいい場所に移動して撮影する計画だった。
事前に撮影の練習をしておこうかと思ったが、前日、前々日の土日はどちらも天気が曇っていて練習できなかった。
当日もいまひとつはっきりしない雲加減で、都心の方ではゲリラ豪雨が発生しているようで、その方向の空は黒くなっていたが、まあこちらには来ていないようだった。潜入30分ほど前に確認すると、運良く雲が晴れていて月の位置を確認できた。ちゃんと予想通りの位置に見えている。それで、望遠鏡とカメラ類を運び出してセッティングしようとしたが、望遠鏡を月に向けようとしたら、また雲が出てきて見えなくなってしまった。先日の全惑星制覇のような幸運を期待して待っていると、10分前くらいになってまた月が見えた。これで望遠鏡を眼視で見てアラインすることができた。次に、ピギーバックマウントに、ビデオカメラに3倍テレコンバージョンレンズを取り付けたものを、自由雲台を介してセットして、月に向ける。このカメラ+コンバージョンレンズは、これまでに皆既日食や金環日食や金星の日面経過の際に、普通の三脚に載せて手動で追尾しながら使っていたのと同じだ。今回は自動追尾の望遠鏡のマウントに載せているので、手動追尾の必要はない。
今までの経験で、ピギーバックマウントに直接カメラを載せると、取り付けが少し前後に傾いているので望遠鏡と完全に光軸が平行にならなくて同じものを同時に見られないので、今回は自由雲台を使った。逆に、そのためにきっちり向きを合わせないといけないのだが、なかなかビデオカメラの視野に月がとらえられない、と思ったら月が雲に隠れてしまっていた。
が、しばらくするとまた月が姿を現した。これで、ビデオカメラを月に向けて、もう時間が近いので録画開始。しかし、ビデオカメラのモニタには月は見えるがスピカは見えない。モニタの解像度が低いから小さな点のスピカは見えないだけなのか、そのままの画像では見えないが後で階調調整すれば浮き上がってくる程度には写っているのか、どうなのかよくわからないので、望遠鏡に直焦でデジイチの取り付けをはじめる。
ところが、このあたりから急に強い風が吹き始め、空気が冷たくなった。何やら、こちらにもゲリラ豪雨がいつ来てもおかしくない気配だ。ともあれ、接眼レンズをはずしてカメラを取り付ける。少々手間取りながら、カメラの取り付けができて、ライブビュー画面で月の像を確認しようとするが、また見えない。また月が雲に隠れてしまっていた。と時刻を見ると、もう潜入時刻である。
結局、潜入を確認することができなかった。その後、天気は回復せず空は雲で覆われたままで、出現のときは他所に出かけるまでもなく、断念した。
デジイチでは撮影できなかったので、記録されたのは潜入少し前から回し始めたビデオカメラの映像だけである。潜入の瞬間は撮れてないとしても、少し前のスピカが月のぎりぎりにある絵は見られないかと、ビデオを見てみたがそのままではよくわからなかった。しかし、それにもめげず、動画をキャプチャして、最初の方を少しだけ切り取ってRegistax6にかけて処理してみると、なんとかスピカらしい光点が浮き出てきた。とりあえず、今回はこれでお茶を濁しておくしかなさそうだ。ちなみに、ペルセウス流星群の極大も曇っていて全然見られない。
月に潜入直前のスピカ 2013/08/12 18:45 Canon HV10 + RAYNOX HDP-7700ES, Registax6, トリミング
バリンジャー隕石孔 ~ フラグスタッフ
投稿者: Erlang カテゴリー: 2013年アメリカ旅行 投稿日: 2013年8月11日
6月18日は、いよいよ今回の旅で一番の目的地の、バリンジャー隕石孔 (Meteor Crater) に向かう。ここに行きたいと思った経緯は先に書いたので繰り返さない。今度はまた結構な距離を走るが、ほとんどインターステートを突っ走るだけである。
出発前にまずはホテルの目の前のガソリンスタンドに入って燃料補給。そして、昨夜虫でギトギトになったフロントガラスを忘れずにきれいに掃除。ドアミラーの背面もギトギトになっていた。
本来は西に向かうのだが、東西に走るI40に乗るために、まずはソコロからI25を北上する。そのままアルバカーキ Albuquerque) まで行けば、そこでI40と交わっているのだが、少し鋭角なので遠回りになるし、アルバカーキに寄ってどこか見ていく時間の余裕もないため、手前のロスルナス (Los Lunas) からショートカットして、NM6経由でI40に入る。この区間は昔のルート66の区間で、I40に取って代わられてUS66は廃止になって現在はNM6となっているわけだが、アメリカ人にとってはこのルート66というのには郷愁があるようで、”Historic Route 66″ の看板が立っていたが、ひたすら突っ走っていたので、写真を撮っていなかった。
I40を走っている途中で、ちょっと休憩するためにたまたま降りた出口のすぐ前にあった看板。ここにも大陸分水嶺があった。
やがてアリゾナ州に入るが、ここの州境は特に何もなく通過。更に走って、ホルブルック (Holbrook) という街で昼食。いつもマクドナルドばかりなので、バーガーキングにしてみた。しかし、ここにはマクドナルドのような無料Wi-Fiがなかったので、後で近所のデニーズの駐車場まで行って、ちょっと電波を借りた。
さて、これは映画「スターマン」で主人公たちがクレーターに行く前に寄る喫茶店的なところ。昔流行したものか、ドーム型の特徴的な建物である。事前にGoogle Mapsでチェックしていると、クレーターに行くためにI40を下りる出口、Exit 233を出たすぐのところに、メテオ・クレーターRVパークというのがあって、そこに上部の看板のようなものはついていないが同じ形のドーム状の建物があるのを確認していた。年月が経って映画の撮影された当時とは違うものになっているのだろうと思ったが、いずれにせよ、ここには寄ってみようと思っていた。
ところが、I40を走って、もうそろそろだなというとき、ひとつ手前のExit 239に、”Meteor City” と書かれている標識が目に入った。Cratorと似た綴りの名前を付けて、間違って客を呼び寄せようというあざとい商売の施設か何かかと思って、自分の下りる出口は233番に間違いないので無視して通り過ぎたのだが、ちらっと見えたのは、この映画に出てきたのと同じ飾りのついたドーム型の建物。え? そっちが本物?
まあ、通りすぎてしまったので、そのまま予定通りExit233で下り、RVパークの表にあるガソリンスタンドの売店になっているこの建物に寄ってみる。
写真の通り、建物自体の形は同じといえば同じで、同じ時にこれら2ヶ所に同じものが建てられたのかもしれないが、こちらは映画に出てきたようなてっぺんに看板のようなものはない。店内に入ると、内装も全然感じか違う。大改装してあれば、そうかもしれないが。そんなわけで、映画に出ていたのは、Meteor Cityの方なのだった。今考えてみれば、クレーターを見た後で、一旦少し戻ってそちらを見に行ってみればよかったのだが、クレーターを見た後はもう先に進むことしか頭になくて、まっすぐフラグスタッフに向かってしまった。
RV Parkを後にしたら、メテオ・クレーター・ロード (Meteor Crater Rd.) を9km足らず走ればいいだけだが、こんな砂漠の木も生えてない何もない平原のまっすぐ先にあるにもかかわらず、地面が多少起伏があるために、途中の起伏のピークに差し掛からないと、クレーターは目に入らない。そして、初めて見えたクレーターがこれ。リム (ふちのところ) が少し盛り上がっているのがわかる。
そして、道路はクレーターのフチにある博物館のところに通じている。駐車場に車を入れて、建物に向かう。ちょうど映画で、スターマンを追う科学者のシャーマンが建物に向かうシーンと同じ場所だ。が、しかし、ずいぶん建て増しがしてあるようだ。
しかも、更に拡張工事が進行中で、チケット売り場は道路の上に建てた仮設の建物になっていた (右の紺色の小屋)。入場料は$16。
中に入ると、建物は中庭のようなっていて、まず目を引くのが真っ白いアポロのカプセル。正しくは、実際に月に行くために使われたカプセルでも、そのレプリカとかでもないのだが、その開発に際して、帰還時に実際にパラシュート降下で海に着水するのがうまくいくかを検証するために使われた実験機だとのこと。コードネームで、“BOILER PLATE 29” という名前がついている。なぜそれがここにあるかというと、ここでアポロの宇宙飛行士の訓練が行われたから。なぜここで訓練が行われたかというと、事前の知識では単に砂漠で地形が月面のようだからということで、宇宙服を着て歩く練習でもしただけかと思っていたが、博物館で買ってきた本を読むと、地球上にある実際の衝突クレーターで、宇宙地質学について学ぶのが目的だったということである。
また、この中庭には、アメリカの宇宙飛行士を讃えて全員の名前を記載した、American Astronaut Wall of Fame というのもある。
展示館の中に入ると、ここで見つかったうちの最大の隕石が展示してあって、自由にさわれる。写真だと大きさがいまひとつわからないかもしれないが、長手方向でだいたい50 cmくらいだったと思う。
建物は、ちょうどクレーターのリムのところに建っているので、建物から扉を通って外に出ると、クレーターの内側が見られる。
ここも、ちょうど映画に出てきた場所だ。
左手の方に、クレーターのリムが一番高くなっているところまで登る道がついているので、登ってみる。
そこから先にも、ずっとリムに沿って道がいちおうついているが、閉鎖されている。
そして、クレーターの中を見渡すと、こんな景色。これが、ずっとこの目で見てみたかった地球上の衝突クレーターの内側だ。クレーター自身のリムの上からでは、35 mm換算で28.7 mmのレンズでは全然1枚におさまり切れない。
建物から出たところからクレーターの底に向かって少し降りていった階段の先には、展望ステージのようなものがある。
リムの外側を眺めると、すぐ足元に先程の中庭のようなところが見え、ここに来るのに走ってきた道路も見える。
今度は、先程見えた展望ステージの方に降りて行ってみる。手摺りのところに望遠鏡がたくさん取り付けられている。
近づいてみると、それぞれが何かしらの目標を狙うように固定されていて、そのポイントの名前が書いてある。
目標はたいてい小さくて望遠鏡は結構な倍率で、肉眼で見えるものと対応をつけようとしても難しいくらいだ。その中で、大きな目標物、家くらいの大きさの岩、がこれ。これは、頂上から広角で撮ったクレーターの写真の中でも判別できる。
クレーターの底の少し明るい色の輪になったようなところの左端にある小さな白く見えるところと、右側にある、もっと大きな白く見えるところ。右の方の写真の左端の方にはボイラーが見えたり、右側には星条旗と、宇宙飛行士のハリボテが見える。
展望所は更に右側にもある。
建物の前のところに戻って、デジイチのレンズの最広角で撮っても全体が一度に入らなかったので、iPhoneのパノラマ撮影機能を使って撮影してみた。端から端まで180°あまり。
ここで、クレーターリムのガイド付きツアーの集合時間なので、一旦建物の中に戻って、例の大きな隕石の前に集合。先に出たのとは反対側の出口から出ると、頂上のあったのとは逆方向のリムに沿って歩いて行く。以前は、1時間弱かけてリムを一周することもできたようだが、このときはこのガイド付きツアーでも、建物から数百メートル先まで連れて行ってくれるだけだった。下の写真は先に上から撮ったものだが、ちょうど人の固まっているところまで行く。
こちらは、実際に向かっているところ。ガイドの人が色々説明してくれながら進む。
最終地点で、色々お話をしてくれた後、ガイドの人が皆の記念写真を順番に撮ってくれる。
道はまだ先にも続いている。
これをもっと進むと、映画に出てきたこんな建物の残骸があるはずなのだが、起伏の陰になってか確認できなかった。Google Mapsで見ると確認できる。
トカゲがいた。ここのはもちろん白くない。
建物に戻ったら、後は建物内の展示を見る。それから、シアターで映画が上映されているので見る。先程のガイドさんが出演していた。
ガイドさんは、Barringerを「バリンガー」と発音していて、本当はそう発音するのか、と思ったが、映画のナレーションの音声は「バリンジャー」と発音していた。まあ、どっちでもありってことか。
全部十分見終わったところで、帰りがけに、中庭のところをもう一度通るが、クレーターの外側に向いた壁がこんなふうに長方形に繰り抜かれていて、景色が額縁におさまった絵のように見える。
バリンジャー隕石孔を後にすると、一路フラグスタッフの街に向かう。1時間足らずで到着し、ホテルにチェックイン。
メインイベントのバリンジャー隕石孔訪問は終わったが、この日はまだもうひとつ、ローウェル天文台 (Lowell Observatory) に行く。その前に夕食を今度こそはピザハットで。
ホテルをそういう場所に選んだからでもあるが、ローウェル天文台はホテルから車でほんの数分のところ、街の端の小高い丘を登ったところにある。登り道の途中、フラグスタッフの街がよく眺められるポイントがあった。
そして、ローウェル天文台に到着。先に訪れたキットピーク天文台ほど大きな天文台ではなく、こじんまりとしているが、火星の研究や冥王星の発見で有名な、歴史的天文台である。入場料$16を払って中に入ると、最初に展示してあるのがこれで、古くなってもう使われていない42インチの反射望遠鏡。
まだ時間が早くて空は明るいが、月はもう見えているので、観望会のドブソニアン望遠鏡に行列ができている。
クラーク望遠鏡の入っているドーム。上には月齢10.5の月。
1896年につくられた24インチ (61 cm) クラーク屈折望遠鏡 (Clark Refracting Telescope)。 この望遠鏡は、確か子供の頃見た図鑑に載っていた。今は、実際の観測からは引退していて、ここでも観望会に使われている。こちらでも月を見せていた。
ドームの開口側から。
クラークドームの奥にもうひとつ小さめのドームがあって、41 cmカセグレン望遠鏡が設置されている。こちらも一般公開用の望遠鏡ということだが、このときは開いてなかった。ガラスを通して中の望遠鏡があるのが見られたが、暗いのでストロボを炊いて撮影したため、上の方がガラスの反射で見えにくくなっている。
これは望遠鏡のドームではなく、パーシヴァル・ローウェルの墓。
表でドブソニアンで月を見せていた建物は博物館になっていて、中に色々展示してある。
スライファー分光器。ヴェスト・スライファーは分光観測によって赤方偏移を発見した。
パーシヴァル・ローウェルの最初の望遠鏡
点滅比較器。トンボーが冥王星を発見したときに使った。違う時に同じ場所を撮影した2枚の写真を交互に見ることによって、恒星に対して動いている天体を見つけるのに使う。
そして、冥王星発見の栄誉のあるローウェル天文台としては、冥王星が惑星から準惑星に降格されたことがやはり気になるようで、こんな投票箱を兼ねた寄付金箱が設置されている。
クラークドームとは逆の方に行くと、1930年に冥王星の発見に使われた13インチ (33 cm) アストログラフ (写真撮影用の望遠鏡)の入っているドームがある。こちらも開いてなかった。どうも、昼間のガイド付きツアーでないと中は見られないようだ。ここは窓から覗き込んでもうまく写真が撮れなかったので、ドームの写真だけで。
だいぶ空が暗くなってきた。ドブソニアン望遠鏡のところに戻ると、まだずっと観望会をやっている。よく見ると、月の両脇に土星 (向かって左側) とスピカ (向かって右側) が写っていた (前の写真でも)。
これ、何が言いたいのかよくわからないパネルだが、どうやらパーシヴァル・ローウェルは日本研究家でもあって、日本にいるときに能登を訪れたことから、何やら穴水町が友好関係があるらしい。ローウェルが日本に来ていたという話は初めて知った。このパネルの写真にある大きな碑がローウェル天文台のどこかにあるということか、それとも贈られたけれども設置されてないから代わりにこのパネルを掲示してあるということか??
バリンジャー隕石孔に落ちた隕石の一部のうちのひとつが展示されていた。
そしてここにも重力井戸の募金器。
駐車場の脇にあった何かのアート作品。
翌日は、とうとう最後の目的地、ロサンゼルスを目指す。