2013年10月 のアーカイブ
国立天文台 (三鷹・星と宇宙の日2013)
10月19日は東京の三鷹にある国立天文台の一般公開、「三鷹・星と宇宙の日2013」に行ってきた。普段からも一般公開は行われているが、この日は特に普段は公開していないものも見せてもらえたりする。望遠鏡を買って天文関係の活動が活発になるよりも以前から、行ってみたいとは思いながら、別に遠い場所というわけでもないのに、一度も行ったことがなく、今回が初めての訪問。
時間を気にすると大変なので、公演の類は全部無視して、今回は展示・見学関係に絞ってみた。先日、NHKの「探検バクモン」という番組で紹介されていたところなので、事前に予習がてきていて、ああ、これテレビでやってたやつ、というのがかなりあった。他の見学客もその場でそう口にしている人たちもずいぶんいた。
雨ではなかったものの、あいにくの曇天で、夜はもちろん昼間も晴れていれば太陽の観測が実際に見られるはずだが、残念ながら見られなかった。
第一赤道儀室
太陽観測用に投影板の設置された20cm屈折望遠鏡。投影板の支持以外に、鏡筒に沿って何本もロッドがついていて、何かと思ったら望遠鏡の微動ノブとかのようだ。普通の望遠鏡なら軸の近くに手が届くが、こんな大きな望遠鏡だと、全部手元に引っ張ってこないといけないからこういうことになる。そういえば、ローウェル天文台の望遠鏡なども同じようになってたような。
赤道儀の動力は電動ではなく、おもり仕掛け。時々ハンドルを回しておもりを巻き上げるという。機械式の調速装置で一定速度で動くようになっている。
太陽塔望遠鏡 (アインシュタイン塔)
ここは、普段は外から見るだけだが、今回は内部、それも塔の上まで見せてもらえた (探検バクモンでもやっていた)。
この既に使われていない装置のシーロスタットの鏡がピカピカなので、昔から鏡面だけは普段からちゃんと手入れしているのかと聞いたら、公開のためにきれいにしたのだと (笑)。木製のドームもつい最近張り直したものと思われる。シーロスタット自体はかなりボロボロだが、一部モーターらしきものが新しいものに取り替えられているようだが、これはいつのものか。
台座にはカールツァイス・イエナのロゴ。
上から覗きこむと真下の主鏡と途中のカセグレン鏡がちゃんと見えた。
地下の分光器室には、恐ろしく年代物の機器がたくさん。40何年前からの理科年表が全部並べてあった。天文年鑑なら、自分もこれより10年くらい後からなら揃っているが。
塔望遠鏡が反射式に改造される前に使われていたレンズはツァイス製。焦点距離14.4メートル!
天文台歴史館 (大赤道儀室)
ここは65cmという日本で最大の屈折望遠鏡の設置されているドームで、望遠鏡自体は問題ないのだが、ドームが老朽化したために使われなくなって、展示室として利用されている。
ここにも、カールツァイス・イエナの銘板。
驚くべきが、ドームの床下。回転軸が鏡筒の中央部で支えられているこのような長い望遠鏡は、見る対象の星の角度によって、接眼部の位置が高くなったり低くなったりする。普通は脚立のような台に昇ったりして見るのだろうが、このドームは望遠鏡の傾きに合わせて見やすい位置になるように、ドームの円形の床全体が上下するようになっている。床下部に降りてみると、中央に望遠鏡を支える軸が突き抜けている。そして、床全体の重さのカウンターウェイトとなる巨大なおもりが3ヶ所にぷらさがっている。
子午儀資料館 (レプソルド子午儀室)
内部の写真を撮りそびれたが、この小さめの小屋のような建物には多数の子午儀が収容されている。どこでそんなにたくさんの子午儀を使っていたのかと思うが、現在は新しい建物が立っている場所に、以前はこれと同じような子午儀の小屋がいくつも建っていて、それぞれに子午儀が設置されて観測をしていたようだ。ただの小屋のような形に見えるが、子午儀は子午線に沿ってけ見えればいいので、普通の望遠鏡のようなドームである必要はなく、小屋の屋根が真ん中から少し開くようになっていて、そこから観測したらしい。
ゴーチェ子午環
子午儀資料館の小屋よりももっと大きな子午環の収容されている建物。こらちは回転しなくともいいとはいえ、鏡筒の先端の動く方向に沿って半円形になっていてカマボコ状の建物になっている。
天文機器資料館 (自動光電子午環)
更に大きな子午環の収容されている建物。ここは一体どれだけ子午儀が好きなのかと思ってしまう。これまで見た子午儀よりも新しい時代のものだが、やはりもう使われておらず、建物は資料館として古い機器の置き場になっている。南北の位置確認用の目標の小屋が離れたところにある。
太陽電波望遠鏡跡
天文機器資料館の脇の空き地は、以前10mの太陽電波望遠鏡が設置されていた場所だが、今や跡形もない。説明板に写真が出ているが、電波望遠鏡としては珍しい赤道儀式の架台でディッシュを支えていて、独特の造形をしている。電波アンテナというよりはむしろ化学プラントか何かのようでもある。子供の頃に「気象天文の図鑑」で見て不思議な形のアンテナだと思ったのをよく覚えていて、実物を見てみたかったものだが、撤去されたのは既にかなり昔のようだ。
ここには現在は1.2mの小型のパラボラアンテナが1基だけ置かれていて、太陽電波の受信の実演が行われていた。曇天でも実演できる数少ない天文観測機器だ。
太陽フレア望遠鏡
何かの兵器のような見た目の太陽フレア望遠鏡。付近には他の太陽観測関係の機器もたくさん設置されている。
50センチ公開望遠鏡
グラウンドの端に小さ目のドームがあって、観望会用の50cm望遠鏡が設置されている。
星空ひろば
グラウンドは星空ひろばと称して、望遠鏡メーカーなどが展示を行っていた。
その中には、痛車ならぬ痛望遠鏡も。
おみやげに、国立天文台デザインのチロルチョコを売っていたので買ってきた。
ラバーダック
10月12日の大阪訪問の続き。大阪市立科学館を後にして、ラバーダックの展示してある中之島ゲートエリアに向かう。中之島の西端から更に少し西に進んだ安治川の岸である。大阪市立科学館からは電車に乗って行くほどではないので、中之島を川沿いに散歩がてら歩いていく。中之島の西端に到達すると、向こうの方に黄色いものが見えてきた。
会場の向きの関係から、近づいていく方向から見るとお尻を向けているが、まあ近づくにつれて横方向からもぐるりと見られてちょうどいいのかもしれない。ここの壁を利用して会場で売られているラバーダックのレプリカを一緒に写し込んで写真を撮っている人が何人もいた。
壁越しに。そして、顔のアップ。
会場に到着。昼食を食べていなかったので、まず展示の見られるエリアではなく、食事や物販のあるエリアへ。シーフードカレー500円。比較物がないのでよくわからないが、予想を大きく下回る大きさだった。
ラバーダックレプリカ他、関連グッズの販売のワゴン車の横には、顔を描いたfitが停まっていた。ナンバーは222。後ろにはラバーダックレプリカがまだたくさん積んであった。
食事エリアから見るとこんな感じ。背景中央には中之島センタービル。
展示エリアには、絶滅危惧動物のハリボテが散在している。裏側から見ると真っ黒。
大阪あひる楽団。
ちょっと高い視点から見られる台が用意してあった。そこから撮った絵。
もっと近づいてみる。
みなさん、撮影会。そして、すぐ横の水面では、パドルボードの体験会。
拡大。
背景に梅田スカイビル。
来た道を引き返して対岸の方に回ってみる。
こちらでは、レプリカを5つも並べて撮っている人がいたので、便乗して撮らせてもらった。
このあたりで、ラバーダックはおしまい。
対岸に回るために通った橋の途中に「大小便小僧」(大きな小便小僧の意) があった。仮設トイレが設置してあって、そこで用を足すとそれに合わせて像から水が放出される仕組み。いつ水が出るかなかなかわからないので、撮影するタイミングが難しかった。
大阪市立科学館
10月12日の土曜日には、大阪市立科学館のカールツァイスII型プラネタリウムを見に行った。これは、前に少し触れたことがあるが、自分が子供の頃に四ツ橋にあった電気科学館で生まれて初めて見たプラネタリウムである。自分にとっても初めてだし、日本でも初めての一番古いプラネタリウムだ。
大阪に関しては、プラネタリウムとは別に、以前から何度か行われている巨大ラバーダックの展示を見に行きたいと思っていながらいつも機会を逃していたところ、また今度10月11日(金)から18日(金)まで行われるというので、今回それに合わせて大阪市立科学館に行くことにした。
こちらのプラネタリウムも名古屋と同様に結構人気で、休日は早い時間に売り切れてしまうかもということで、やはり開館時刻に到着するように行こうとおもったが、それどころか連休初日のせいもあってかもっと早い時間の便以外新幹線の予約がとれなかったので、結果、開館より30分も前に到着することになった。さすがに科学館の前にもほとんど誰もおらず、結局開館時間になっても、せいぜい10組くらいが入口周辺でたむろっていただけで、特に行列するほどでもなく入館してすんなりチケットも買えた。ここは名古屋のように指定席ではなく、早く入場した順とのこと。
ここもやはり朝一番の投影は平日は学習投影で、休日はお子様向けのファミリータイムとなっているので、第2回の投影のチケットを買って、時間までに科学館の展示を見ることにする。展示の量はそれほど多いわけでもないが、展示されいるものが結構深いものが多いと感じた。建物は比較的新しいが、展示物には昔から引き継がれたと思われる古いものも多い。
昔のSF映画に出てきそうな巨大な碍子とコイルのかたまりのようなこれは、大阪大学で使われていた粒子加速器。
岡山天体物理観測所の188cm望遠鏡に使われていた制御卓。
またしても重力井戸モデル。えらく年季が入っている。金属球は、下の受け口に出てきたものを自分の手で投入する。
他にも色々おもしろいものがあったが、あまり写真を撮って来なかった。
順路に従って上から下までひととおり見たが、そういえば引退したプラネタリウム投影機はどこにもなかった。1階のミュージアムショップはまだ開店していないので、地階にあるプラネタリウムの入口の前に行くと、プラネタリウムに入る通路の手前のドアの中、つまり通路の横にII型プラネタリウムが置いてあった。次の投影時間の前までには入ってはいけなさそうだし、時間になったらすぐにドームの中まで案内されて投影開始となるのだろうから、これ見るのは投影終了後、ということで、ロビーでしばらく待っていた。
やがて、女子高生の団体がやってきて、整列して待ち始めた。他の観客たちも時間が近づくまで特に列になって並ぶような指示もなく、適当にベンチに座って待ったりしていたが、やがて女子高生の団体が入場していき、まあ団体は先に入れておくんだろうな、と思っていたら、特に係員から声がかかるでもないのに、他の観客の中にも一緒に入って行く人たちもいる。あれれ、と思ったがいつの間にか自分だけ取り残されてしまっていたようなので自分も中に入る。
団体がいた分、そこそこ座席は埋まっている。ここも岐阜と同じく座席は傾斜式。投影機はやはり岐阜と同じくコニカミノルタのインフィニウムだが、こちらの方がかなり新しい機種のようだ。説明にもボケを忘れない。
立て続けにプラネタリウムを見ているので、時期が同じだけに仕方ないが、生の星座解説は岐阜のものと大阪のものは内容的に同じような対象についての話で、ちょっと細かいネタ的にも結構かぶっていて、まあ小ネタもそんなに色々あるわけではなくどこも同じようなんだなあと思った。ここでも、解説中にクイズをやっていたのだが、岐阜のように回答ボタンは設置されていないので、みなさんの拍手で回答してもらっていた。
プラネタリウムの終了後、入場はひとつの入口からだったが、退場は4ヶ所ある出口全てからになる。しかし、自分はII型の投影機を見に行かないといけないので、入ってきたのと同じところから出る。既に次の入場者の列が並んでいるが、入る方と出る方は通路を仕分けてあって、II型はその出る側の方に置いてある。
大阪市の指定有形文化財に指定されているとのこと。右の写真は四ツ橋の電気科学館が南田洋子の出演した映画の撮影に使われたときのもの。真ん中の2つの機械はよく見てこなかったが、左側はミノルタカメラ製の太陽系投影機と書いてある。
この機種ではカールツァイス・イエナのロゴがこの位置に。IV型では恒星球の首のまわりにドーナツ状の板が取り付けられていて、そこに明るい恒星用の独立した投影機が並べられていたが、こちらにはそういうものがない。
どうやらドームの傾斜座席の下の隙間の部分の空間を利用して展示してあるので、なんだか窮屈な感じがするのと、下から照らした照明の影が、段々になっている部分に落ちて、写真で見るとどうも見づらい感じだ。
子供の頃の印象に残っているのは、車輪がついてること。この重厚で奇妙な造形の機械はいかにもしっかり設置されていそうなのに、車輪でころころ転がせるようになっているというのも奇妙に覚えたのだが、考えてみれば大きくて重い機械だからこそ車輪が作りつけになっていたのかもしれない。テーブル状の台は、この展示のために付け加えたものだと思う。
あんまりのんびり写真を撮っていたら、ドア口に立っていた係の人から扉を締めないといけないのでと言われてしまった。いつでも見られるところに展示してくれればいいのに。まあそれでそそくさと退散して、この後はラバーダックを見に行くことに。
岐阜市科学館
名古屋市科学館を後にして次は岐阜市科学館に向かう。岐阜市科学館の最寄り駅はJRの岐阜駅の次の西岐阜駅。名古屋駅からはそんなに遠くない。しかし、その西岐阜駅は駅前に商店街とかほとんどないような駅。そこから15分ほど歩いた場所にあるが、やはり周りにあまり何もないところで、しかも線路沿いに行くとちょっと方向がそれると思ってできるだけ真っ直ぐ向かう道を歩いたら、途中の県道を渡れずに結局回り道する羽目に。おまけに、入り口が駅からやって来た正反対の側にあったり。車で来るしか想定していない立地だったか。
まあ、ほぼ計算通りに到着したので、30分後くらいの投影のプラネタリウムで入場券を買う。プラネタリウムは整理用のプラスチック板を渡される。ちょうど小学生の団体がわさわさと出て行くところだった。階段を上がった2階が展示室で、小学生たちがいなくなると、館内はすっかりさみしくなり、ほんの数名の客しかいない感じ。さっきの名古屋とはえらい落差を感じてしまう。展示室の廊下をずっと奥まで行くとプラネタリウムがあって、その手前付近の展示が宇宙関係。
その展示の片隅に、カールツァイス・イエナ ZKP-1型が展示してある。これは、岐阜市科学館で使用されていたわけではないが、岐阜市水道山にあった「岐阜プラネタリウム」に設置されていたものとのこと。小さい機械だというのは事前に知っていたので驚きはしなかったが、確かに小さい。直接さわれないように透明な囲いの中に展示されているので、写真を撮ろうと思うと反射してしまってあまりよくない。PLフィルタがあればと思ったが、今回はカメラは例の便利ズーム一本で来たので、中国旅行行きの前に買ったPLフィルタはネジ径が小さくて取り付けられないので持ってきてもいない。しかし、囲いの上部は開いていてそんなに高くないので、手を伸ばして上から撮ってみたりした。
よくあるボタンを押すと動作する展示のようなボタンがついていて、押してみると、なんと投影機の軸がゆっくりと回転する。動態保存ということか。(名古屋のIV型も稼働できる状態だそうだが)
ちなみに、ここには全国カールツァイスプラネタリウム巡りのポスターも掲示されていた。
ZKP-1を見た後は、投影時間になったのでプラネタリウムを見る。ここの現役の投影機はカールツァイス製のものではなくコニカミノルタ製のインフィニウム。名古屋の大型ドームに比べればかなり小さく感じたが、全国的なレベルでは割りと大き目な方である。しかし、この回の観客は少なく、全部で6人だけという、かなり寂しい状態だった。客席は傾斜式。普通、ドームは傾斜式でも星空は真上が天頂で、前方の水平線より下には地上の風景が映し出されるが後方の地平線近くの空は見えないというのが一般的と思うが、ここでは、斜めになった投影面のへりに沿って地上風景が同じ薄さで映し出されていた。ということは、星空の投影される天頂は真上ではなくやや前方に位置することになるが、そんなふうに投影されていたのか。考えみるとあまりよく覚えていない。まあ、重力の方向を忘れれば、ちょっと斜めな寝椅子に寝て星空を眺めていると考えればそれでいいのかもしれないし、むしろ見やすいと言っていいのだろうけど。
もうひとつ、ここの客席の特徴は各席の肘掛に質問回答用のボタンがついていること。生解説の途中でクイズの画面が映し出され、客席の回答数が集計されて表示される。解説者が話の中で色々とギャグをかましても客席からの反応は鈍いが、これなら確実に客席とのコミュニケーションがはかれていい。クイズの画面は、Windows以前の時代のパソコンで作った雰囲気がした。
プラネタリウムを見終わった後、館内の展示をざっと見て、訪問終了。
スタンプ押しロボットの「リカ」ちゃん。
岐阜といえばやっぱりギフチョウ。
フーコーの振り子。残念なことに動いていなかった。
名古屋市科学館
渋谷に保存されているカールツァイスIV型プラネタリウム投影機については以前に書いたが、10月9日に、名古屋市科学館に保存されている同じくカールツァイスIV型と、岐阜市科学館に保存されているカールツァイス・イエナZKP-1というプラネタリウムの見学のハシゴをし、続いて10月12日に大阪市立科学館に保存されているカールツァイスII型を見学してきた。
まずは、名古屋市科学館から。
見に行くメインは引退したプラネタリウムだが、ここは現役のプラネタリウムの投影機もカールツァイス製の最新型である。ドームは世界最大の35m。2011年の科学館のリニューアルでこれになって以来大人気で、特に休日は早い時間に最後の上映のチケットまで売り切れてしまうらしい。場所の近い岐阜と同時に日帰りで行く計画だったので時間も無駄にできない。ネットで予約もできるらしいが、数が限られていて抽選になるとも。今回たまたま平日に休んで大丈夫そうな日ができたので、その機会に決行した。平日なら、朝イチで行けば一番早い時間のチケットも入手できるだろう。一番早い時間といっても、平日の最初の時間の投影は小学生の団体向けの学習投影なので、2回目の投影になる。その待ち時間に旧型機の見学もできてちょうどいい。
休日ならば開館時間前から行列ができているらしいが、平日なのでそこまではないだろうと、ちょうど開館時間に到着するぐらいになるように新幹線に乗り、地下鉄東山線で1駅の伏見で下車して科学館に向かった。到着するとちょうど開館したところくらいだった。ちょうど初回投影を見ると思われる小学生の団体が表で集合していて、一般客は建物内のチケット売り場の前に既に行列してチケットを購入しはじめていた。ざっと200人くらい並んでいるように見えた。チケット売り場の大きなディスプレイに各回の残り席数が表示されていて、自分の番が近づいてきた頃には100を切っていたが、無事第2回投影のチケットを入手。ちょうど入場しだした小学生の団体に混じって、エスカレータを上がり、自分はプラネタリウムの一つ下の階の「宇宙のすがた」の展示場へ。
入ってすぐのところにカールツァイスIV型の投影機が堂々と展示してある。渋谷のように建物の空きエリアに置いてあるというだけという感じではなく、展示物のそれも一番目玉の扱いで展示されていて素晴らしい。更に投影機の周囲には使われていたランプだとか、星座絵の原版などが展示してあるが、驚いたのが操作用のコンソールまで展示してあったこと。これは稼働時にだって一般の観客からすると見られなかったものだ。当然といえば当然だが、ツマミの説明文字は全部ドイツ語だ。しかも、星座絵はドーム中心に据えられたプラネタリウムの投影機からではなくこのコンソールのところに投影機があって投影していたということ。そういえば、確かに星座絵はひゅっと横から動いてきて手で星の並びに合わせてるようだったのを覚えている。
投影機自体は渋谷で見たものと同じモデルなので、渋谷でじっくり見たので既にそれほど見珍しいわけではないが、違いはというと、こちらの機体にはZEISSの文字がしっかりとペイントしてあるのが見られた。あと、架台というのか脚といったらいいのか、その形状が大きく違う。渋谷にあったものは、自分が大阪の電気科学館で見覚えのあるのと同じハシゴ状のものを組み合わせたちょっと奇妙な形状だったが、こちらは単純な棒状の脚である。実使用時もこれだったのか、この展示用にこの脚になったのかは不明だが。
ここにはこのカールツァイスIV型だけでなく、もうひとつプラネタリウム投影機が展示してあって、これは金子式プラネタリウムというもの。多面体の各面についた投影口の前に斜めにミラーのようなものがついていて、どういう働きをするのか、いまひとつよくわからなかった。
もうひとつ、実はいる間には全く気付いていなかったのだが、展示場中央の天井にアイジンガー・プラネタリウムという、世界最初のプラネタリウムのレプリカがつくってある。天井からぶらさがった惑星の模型が、同心円状の溝に沿って実際の惑星の運行通りに動くというもの。ツァイス機を撮った写真の後ろに写り込んでいる。
その他、ここの展示は興味深いもの満載だ。科学技術館やアメリカ旅行でも何度も見かけた重力の井戸モデル。みんな募金器を兼ねていたが、ここではボタンを押すと金属球が転がり出るようになっていて、真上にカメラが取り付けてあって、真上から見たところが見られる。
グリフィス天文台の地下にあった凹凸付きの月の模型に片側から光が当ててあるのの、もう少し小型版がここにもあった。
X線望遠鏡衛星の望遠鏡では、X線は普通の光のようにレンズで屈折させたりして集光することができないので、金属面に浅い角度に入射したX線なら反射することを利用して。筒状の金属板を何重にも重ねてつくられていることを初めて知ったり。
ひととおり「宇宙のすがた」の展示を見終わって、投影時間も近づいてきたので、上の階に上がってプラネタリウムの階で待つ。と、ここでそれまでに撮った展示の写真が途中から、またこの前の六本木ヒルズでのときのように、解像度の設定が変わってしまっていることに気付く。切り替わってしまったきっかけはやはり不明。今回は現場で気付いたので、プラネタリウム観覧後、もう一度撮り直しに行った。
さて、時間が来てプラネタリウムドームに入場。直径35mのドームはさすがに広い。席は指定になっているので、椅子の横に書いてある席番号を眺めながら探したが、よく見ると、プロック名のアルファベットはドームのそれぞれに位置にベクタースキャンで描いたらしき文字で表示されていた。投影機はカールツァイスのユニバーサリウムIX型。先日のアメリカ旅行でグリフィス天文台で見たのと同じモデルのようだ。これに加えて、デジタルプロジェクター式のコニカミノルタのスカイマックスDSII型も併用されている。
ドームや投影機も立派だが、プログラムの内容も一風変わっていた。たまたまISS (国際宇宙ステーション) が見られる日だったからもあるが、プラネタリウムの解説でISSが飛んでいくのを見せられたのは初めてだった。通常の星空を写している状態から、天の川の位置がずれて動きだしたかと思うと、それがそのまま自分が銀河系から飛び出して行って見える銀河系の姿に変化していく映像には息を飲んだ。子午線を星が通過したときにその星の赤緯に応じた音程り音を鳴らし、星のオルゴールとして聴かせてみせるというのもなかなかすごい企画だ。このプラネタリウムが本当に人気があるのもうなずける。
この後、先に書いたように急いで写真の撮り直しをして、それから、表にあるH-IIBロケットや「きぼう」モジュールの展示をながめる。きぼうは、わざわざ階段があってハッチのところから覗き込めるようになっているのだが、内部が作り込んであるわけではなく、内部の写真が貼ってあるだけだった。それを写真に撮ったものは案外わからないかもしれないが。
レストランで゛「ブラックホールカレー」を食べて、その後岐阜に向かうために、名古屋市科学館を後にした。科学館の他の展示はあまり見ることができなかったが、他の部分もなかなか立派そうだった。これが中学生以下は入場無料とは名古屋の子供たちは幸せだ。
アイソン彗星初確認
関東地方からは少しそれていたが昨日は台風が通過した後で、今日の未明は空気もきれいに晴れていたので、アイソン彗星の撮影に挑戦してみた。まだまだ光度は暗く、アイソン彗星の見える東の空は都心方向で光害もひどい。幸い火星がすぐ近くにあるので、望遠鏡を使っても眼視では見えないものの、PCを接続してステラナビゲータの位置情報から望遠鏡を向けずとも、火星から周辺の星のパターンをたどって、彗星のある場所を導入して、長時間露光のカメラの撮影画像上になんとか確認することができた。私としての初確認である。暗いからと感度をISO6400に上げて撮ったせいで、かなりざらついた画像になってしまったが、画面中央の他の星より少し青っぽい、なんとなく真上より少し右寄り向きに尾を引いている彗星の像がわかるだろうか。
私はいつも言っているように、流星群と彗星は、今度すごいのが見られるというのは信用しないことにしているのだが、この彗星もどこまで前評判通り明るく見えるかどうか、期待せずに待ちたい。
アイソン彗星 C/2012 S1 2013/10/10 04:10 Canon EOS 60D, Celestron NexStar 5SE (D125mm f1250mm F10) 直接焦点, ISO6400, 15sec×9, StellaImage 7 Metcalf composite, trimming.
DIY的ラミネートカード
アメリカ旅行の前にハーツレンタカーのハーツNo.1クラブ・ゴールド (現在はハーツGoldプラス・リワーズに改名) で予約しようと思ったら、もともと勤務先の会社の契約で無料でゴールドに入っているはずなのに、日本のハーツのサイトで会員番号入れたら、今なら会費無料でゴールドになれますって言われたので、なんだかわからないけどもう一度申し込み直して、ゴールドの会員カードが送られてきた。
そのカードが少し変わっていて、普通のプラスチックカードではなく、しかし、ただ多少厚手の紙に名前と会員番号を印刷しただけというわけでもないものだった。個別に名前と番号を印字する際のコストを下げるためにこんなことになっているのだろうと思うが、何やら複雑な積層構造になった用紙の表面のカードの大きさのエリアに切り込みが入っていて、そのカードの部分の表面に名前と番号が印字してあって、封筒からその紙を取り出した時点では表面は保護されていない。少々難しい指示が書かれてあって、それに従って、カード型の切り込みに添って用紙の表層部分だけをくり抜いて剥がし、それを裏返しにして印字面をそのカードを剥がした同じ場所にぴったりはまるように貼り付ける。それをもう一度台紙からカードの形状に添って剥がすと、表面が透明なシールで保護されてカードが出来上がる、はずであった。
ところが、裏返して貼った時の押さえが足りなかったか、はがそうとすると、その今貼ったところからはがれてしまって、結果、保護されるべき印刷面が逆にシールからはがれてべりべりになってしまった。失敗したと思ってもう一度貼り直してももう後の祭りである。ぐちゃぐちゃになった出来損ないのカードになってしまった。
私は決して不器用な方ではないと思うどころか、どちらかというとこういうことは器用な方だと思っているのだが、果たしてこんな簡単に失敗してしまうようでは、このカードを送りつけられたうちの一体どれだけの人がこのカードを首尾よく貼り付けて組み立てられただろうかと心配になる。このカード、ただ紙に番号が書いてあるだけのもので、別にICチップも磁気ストライプもバーコードもないので、番号がわかりさえすればよく、もともと、以前からのプラスチック製のゴールドの会員カードはあるので、この会員カードをどうにかしないといけないわけでもないのだが、とはいえ、もらったものをダメにしてしまったので、再発行をお願いすることにした。正直に貼り付け作業で失敗してぐちゃぐちゃになってしまったし、また失敗するといけないので、そちらできれいに貼ったものを送って下さいとお願いした。後日、その通りに貼り付け済みのものと剥がしたあとの台紙がちゃんと送られてきた。ちょうどその間に名称が変更したのか、そのためにデザインが変わったものになっていた。
さて、上の説明を読んだだけではわかりにくかったと思うし、実際に自分で指示通りやったとしても、一体何がどうなっているのかわからないかもしれないくらいなので、このカードがどういう構造になっているのか解説してみる。
印刷用紙のカードのデザインになった部分の裏側から3層になった透明のフィルムが貼り付けられている。途中で裏返るので、それぞれの表裏の面を、紙の印刷面側から順に、
紙-A面、紙-B面、フィルム1-A面、フィルム1-B面、フィルム2-A面、フィルム2-B面、フィルム3-A面、フィルム3-B面
と呼ぶことにする。カードの形状の切り込みは、表面からフィルム2に達するところまで入れられていて、フィルム3には切り込みは入っていない。最終的には、紙の両側にフィルム1とフィルム2が貼り付けられた状態がカードの完成形となり、フィルム3は周りの紙と一緒に残る。
まず、紙-B面とフィルム1-A面は強力に接着されていて最初から剥がれない。これで最初からカードの裏側は保護加工がされた状態になっているということになる。フィルム1-B面はシールの台紙の表面のような剥離加工がされていて、向かい合っているフィルム2-A面には粘着剤が塗られているにもかかわらず、簡単に分離できる。①の操作で、この紙=フィルム1の合体したものが取り外されるが。これはフィルム1とフィルム2の間の方が、もう1層下のフィルム2とフィルム3の間よりも剥がしやすくなっているためだ。
次に操作②で先程剥がしたものを裏返しに貼り付ける。すなわち、印字のされている紙-A面がフィルム2-A面の粘着剤に向かって貼り付けられる。紙-A面側は紙のままで剥離機能はないので、そのまましっかり粘着する。ただし、操作③にあるようにしっかりこすって全体を密着させないといけないし、カードの形状にくり抜かれた、カードの剥がした跡にぴったり位置が一致するように貼り込まないといけない。
さて、それがうまくできたとすると、もう他に剥がれやすい層がなくなるので、操作④に従ってもう一度剥がそうとすると、今度はフィルム2-B面=フィルム3-A面間が剥がれる。この面はどちら側にも粘着剤は着いていなくて、最初から密着しているからくっついているだけで、一旦剥がしてしまうともうどこにもくっつかないようになっている。
ということで、両面に保護フィルムの貼られたカードのできあがりである。できあがったカードは、
フィルム2-B面、フィルム2-A面、紙-A面、紙-B面、フィルム1-A面、フィルム1-B面
となっている。
この方式を考案した人は、よくできてるだろう、と思っているのかもしれないが、こんなわけのわからない作業をユーザーにさせるなんてどうかと思う。発行する側の都合だけを考えたシステムと言えるのではないだろうか。
カメラのストラップ
私はあまりカメラや携帯電話などにストラップをつけるのが好きではないのでほとんどつけていない。
その代わり、携帯するにあたってはすぐに取り出せるケースやバッグに入れて身に付ける。携帯電話 (iPhone) の場合は、以前の記事にも何度か書いているようにベルトケース。コンパクトデジカメRICOH CX1の場合は、純正の本体にピッタリのサイズの革ケースに入れている。普段持ち歩くときはそれをカバンの中に入れてあるだけだが、何かのイベントに参加中や旅行にでかけたときなど、立ち歩きながら頻繁に写真を撮る場合は、そのケースをベルトに装着して身に付ける。撮影するときだけ取り出して撮影し、撮り終わったらすぐにベルトのケースに納めてしまう。撮影中はいずれにせよカメラは手でしっかり持っているし、他のことをするときにカメラを持ったままということはない。そういう使い方なので、カメラ本体にはストラップはつけていない。CX1は側面2点吊りの肩掛けタイプのストラップがつくようになっているが、ハンドストラップだとしても、いちいち撮影時に手を通すのはかえってそのときに落としそうだし、手に通したままずっと持っていると、他のことをするとにき手と一緒にカメラもついてくるわけだからかえってそのときにぶつけたりしそうだし、手に通さないなら、ぶらぶらして邪魔なだけでストラップの意味もあまりないと思う。
さて、1年ほど前から新しい形態のもの、すなわち一眼レフカメラを使うようになった。そもそも、天体写真を撮るために買ったもので、望遠鏡に取り付けて写真を撮ったり、三脚に載せて写真を撮ったりする分には、ストラップは全く必要ない。というかむしろ邪魔。なので、購入後、付属してきたストラップは袋からも出さないまま放置して、本体だけで使用していた。少しの距離だが撮影場所まで運ぶときは、他のリモートレリーズなどの小物と一緒に小型のカメラバッグに入れて運んでいる。
この小型のバッグは、上のコンデジのベルト装着ケースと同じ感覚で使うつもりで買ったもので、カメラにはネックストラップは取り付けないで、撮影するときだけバッグの中から取り出して使い、手を空けるときはすぐにバッグに突っ込んでおき、多くの人がするように首から裸でカメラをぶらさげっぱなしにしない。バッグをショルダーベルトでかけているので、カメラの方にはネックストラップは不要だ。この方がカメラを不用意にぶつけたりする心配がなくて安心だ。裸でカメラをぶらさげてる人は、ぶつけたりしないかと不安に思わないのだろうか?
このバッグに上面からカメラを出し入れする状態で、レンズを外して、カメラ本体をうつ伏せにしたまま、バッグの中の仕切りの隣の部分に収納してあるレンズに取り替える、ということがバッグをぶらさげたまま行えるのも、撮像素子の開口部をあまり外にさらさずにレンズ交換できるという観点でも便利だった。
その流れで、中国旅行に際しては、この小型カメラバッグと同様に上面の蓋をあけてカメラの出し入れやレンズ交換ができて、他にももっと荷物の入る大きめのバッグを購入して行ったわけである。しかし、実際この大きなバッグからでは、頻繁にカメラの出し入れをしたりレンズ交換をしたりするのは、バッグ自体が結構邪魔だということがわかった。ここまでくると、コンデジのベルトケースと同じ感覚で、とは行かない。それと、ファスナーの破損の件もあって、アメリカ旅行では、初めて死蔵してあったショルダーストラップを装着して、裸で首、あるいは肩から下げるスタイルを試してみることにした。
結果、荷物は小さくなったが、交換レンズはデイパックの中に入れているので、レンズの交換は更に面倒なことになってしまった。そちらの線からは便利ズームの購入につながる。一方、ネックストラップの使い心地という点でいえば、やはりどうもぶつけてしまいそうな不安感はあって落ち着かない。すぐにまた撮らないでしばらく移動が続いたりするときは、首からぶらさげずに肩からかけたりしたが、肩にかけていると今度はカメラを構えようとしたときに、ストラップのすべり止めの部分が滑らないせいで、そのままカメラを構える位置に持ってきにくい。逆にずっと持ったままのときは、落とさないようにストラップを手のひらに巻く持ち方もしてみたが、それはそれでいいのだがずっと片手がふさがってしまって危険でもある。持ち方を変えるたびにストラップを首や方にかけはりはずしたりも面倒だ。結局、私にとっては、ストラップをつけて使うのはやはりどうもしっくりこないというのが正直なところだ。
といいながら、まだもう少しストラップ付きで使うのを試してみる機会があるかもと、ストラップをカメラに取り付けたりはずしたりするのも面倒なので、アメリカから帰ってきてからはまだ付けっぱなしにしてある。しかし、それで望遠鏡に取り付けたり三脚に載せたりするとやはり邪魔に感じる。特にカメラを縦位置にすると邪魔だし。風が吹いたら、本体が揺られるよりも、ストラップがなびくせいで揺れが増大するし、やはりいいことがない。しかし、天体写真の撮影風景のような写真を見ると結構ストラップがぶらさがったまま望遠鏡に取り付けたりしてあるものも多くて、やはりみなさんそうしているのか。だが、私が買った2冊の天体撮影関係の本の中の写真ではどちらもカメラにストラップはついていない。やはりきちんと天体撮影する人ははずしているのだろうか? カメラバッグにカメラをしまうときも、ストラップがなければただ突っ込めばおしまいだったのに、ぶらさがったストラップを畳んでで納めないといけないのが面倒だ。
やはりさっさとストラップは外してしまおうか。
と、これだけストラップがいらないと書いてきたが、私の場合双眼鏡は別である。まあ、双眼鏡のケースが、Vラインのものもモナーク7のものもストラップがついていること前提で、本体部分を覆うだけで、ケースをベルトに通して身につけたりといった風にはできていないので、カメラの場合のような使い方ができないからというのが主因ではあるが。双眼鏡の場合はそうやってストラップをつけてあるからには、必ず落とさないようにストラップを首にかけてから観察するようにしている。
ストラップに関してもうひとつ。一眼レフを買ってから、旅行先やなんかでも一眼レフを持っている他人をよく観察するようにもなった。自分がキヤノンだからキヤノンのものに目が行くが、たいてい付属のものをそのまま使っているように思う。結構色々な交換用のストラップが売られていると思うのだが、実際にはそれほどそういうものをみかけないように思う。キヤノンの一眼レフのストラップには社名のロゴと並んで機種名も大きな文字で刺繍してある。一眼レフなんて遠目にはみんな似たように見えるが、ストラップを見れば何を使っているかすぐわかる。これも、俺は高いカメラ使ってんだぜという自己顕示のひとつか。高級機はよくみかけるが、私の60Dのような中級機のx0Dの文字のストラップはあまり見かけない。単に本当に使ってる人が少ないだけかもしれないが。Kissはそういう意味ではひけらかすものではないとキヤノン自身も考えているのか、ストラップにKissの文字はなく、EOS DIGITAL と書いてあるだけなのも興味深い。
望遠鏡買ってから1年
Celestron NexStar 5SE を買ったのは去年の9月だから、いつの間にか望遠鏡を手に入れてから丸1年が過ぎたことになる。一眼レフを買ってからはまだ1年に少し足りないが。
夜空に見られる星には季節があるから、丸1年経ったことでそれぞれの季節の天体が見られる機会が一巡したことになる。しかし、一巡したからといって、ひととおり見たかというとそうでもない。望遠鏡を入手した秋から冬にかけては比較的天気のいい日も多く、色々見ていた気がするが、春から夏にかけてはやはり天気が悪いことが多くてあまり見ていないように思う。見られる天体の場所も関係あるだろう。マンションの建物からだとあまり天頂近くは見えないし、南方向は向かいにマンションがあるのでそれよりは高くないといけなくて、だいたい天の赤道付近しか見えない。冬の星座のおうし座やオリオン座はよく見られるのだが、夏の星座でめぼしいもののあるさそり座いて座の付近は全然見えない。夏の大三角形付近も、わし座のアルタイルからいるか座新星のあったあたりは見えるが、こと座やはくちょう座は見づらい。
惑星は季節との関連は惑星によるが、移動速度が遅くてほぼ天球に固定しているのと同じ木星や土星は季節のめぐりにあわせてきちんと見ることができ、どちらもそれなりの拡大撮影もできた。金星や水星は1年の間にも結構移動して西の空に見たり東の空に見たり。東の空に日の出前に昇ってきて他の明るい星と近づく様子は自宅から、西の空は自宅からは見える範囲が非常に限られるので他の場所から写真に撮ったりした。一番困り者が火星で、1年前はちょうど太陽の方に近づいていって見られなくなっていくところだったが、地球と火星の追いかけっこは公転周期が近いためあまり差がつかないので、1周回って追い付くには時間がかかる、最近やっと反対側から見えるようになってきたところだ。しかし、離れているときと接近時の距離の差が非常に大きいので、接近時付近以外は小さくしか見えない。接近は来年の4月まで待たないといけない。しかも、これは接近距離のそんなに近くない「小接近」なので、地球と火星の軌道が楕円形にゆがんでいて近くになる場所で接近する「大接近」までは、そこからもう2周する4年3ヶ月待たないといけない。
望遠鏡を買って望遠鏡で写真を撮るためにデジイチを買ったわけだが、案外望遠鏡を使わずにカメラレンズで天体を撮っていることも多い。ずっと昔は天体写真は望遠鏡にカメラを付けないと撮れないもんだと思い込んでいたのだが、考えてみれば望遠鏡を買う前にデジイチを持っていれば、それだけでも結構色々な天体写真を撮れていたんだなあと思う。
小惑星2014 DA14はうまく撮影できてラッキーだった。小惑星を自分で観測したのはこれが初めてだ。その直前のロシアの隕石の偶然には驚いたが。パンスターズ彗星はこの1年間の最大のイベントだったと思うが、予想より明るくならなかったにもかかわらず、なんとか撮影できて、これもよかった。望遠鏡を使ってうまく撮影できなかったのがちょっと残念だが。スピカ食はちょっと残念。いるか座新星というのも、生まれて初めて新星というものを観測した。
他には、星検を受けてみたり、天文に関係するところの多いアメリカ旅行に行ってみたり。まあ、何やかや、1年間色々充実していたといっていいだろうか。そして、これからいよいよアイソン彗星。
さて、望遠鏡の話だった。以下、NexStar 5SE についてこれまで書き漏らしていたようなことをいくつか。
電源
結局、最初に何度か乾電池を使った以外はずっと、推奨されていないエネループを使っている。8本セットを2組用意して、自分がデシカメなどでしているのと同じ運用で、1セットは常に充電して予備として待機させておき、装着している電池がなくなったら取り替えてまた充電しておく。部屋からコードを引っ張るのも面倒なので、結局ACアダプタを買ったりしていないし、エネループもそんなにすぐになくなってしまうわけではないようなので、大容量の外部電池を使う必要も、この望遠鏡単体で使っている分にはなさそうだ。
ファインダー
主鏡との並行の調整があまりうまく行ってなかったが、結局、取り付けネジを締めるときの加減もあわせて、調整ノブを目一杯回したところでなんとか合っている状態なので、それ以上のことはしていない。
電源の切り忘れは、最初の頃は頻発していたが、だんだん慣れてきたせいか頻度は減った。とはいっても、まだときどきやってしまう。たぶん、購入以来もう7、8個ぐらい電池をダメにしているのではないか。しかし、目いっぱい明るくしないで、なるべく見えるぎりぎりの明るさにするようにしたせいか、つけっぱなしになっていても、翌日まだなくならずに点いていたりすることもある。
三脚
脚のうち1本の、伸び縮みする部分にかぶさっているプラスチックが上側のパイプに接着してあるのが剥がれてすっぽり抜けてしまうようになった。とりあえず境目のところをテープで貼って止めてある。長さを調節して止めるネジをちゃんと締めてあれば、急に縮んだりする方向にはならないのでそれほど問題ではないが。
蓋
鏡筒口の蓋は、プラスチック製で、周囲の3箇所についているツメの弾力で止まるようになっているが、これが弱くて、移動するときに脇からちょっと触れただけではずれてしまったりするのでちょっと厄介だ。納戸に収納してあるときは蓋をしてあるが、移動するときはその場で蓋ははずしてから持って出るようにしている。一度外れそうになったのを押さえようとしたら、ズレた蓋のフチが、補正板の表面をこすって、すごく跡がついて、コーティングを削ってしまったかと思ったが、カメラ用のレンズクリーニングペンでこすったら、いちおう跡はきれいに取れた。蓋の方のプラスチックの材質がこすりつけられただけだったということか。