スコープテック ユニバーサルクリップアダプタ

観望会などで望遠鏡で見てもらっている天体を、自分のスマホのカメラで撮りたいという方は少なからずいるのだが、望遠鏡にスマホを取り付けてコリメート撮影するアダプタは各社から色々出ていたり、あるいは自作でこうやるとうまくできるといった話も結構聞くが、どれもなかなかこれというのがないというのが感想。多くのメーカー製のスマホをプレートに上下左右から自由な位置ではさみこんで、カメラの位置を合わせて接眼部に取り付けるタイプのものは、しっかり取り付けが完了すればうまく撮れるかもしれないが、観望会で次々と人が交代していく場面では、取り付け位置合わせに時間がかかって実際的でない。自作タイプは位置合わせが万能でなかったり、そのスマホ専用のケースを改造してつくるなどで、これもいろんな人が来る観望会ではあまりうまくない。結局、手持ちコリメートの職人芸で撮ってさしあげたりということになる。

そんな中、これは今まで見た中で一番さそうと思って発売直後に買ったのが、スコープテックのユニバーサルクリップアダプタ。実はもう1年以上前の話だが、自分で試して見た後は、ついつい持っていくのを忘れたりで実際にたくさんの人に使ってもらう機会を逸したままだったが、つい先日やっと自分以外の色々な人に使ってもらって、みなさんすんなりと真ん中に天体を入れて簡単に撮影できていたので、これは大丈夫と確信した次第。

ユニバーサルクリップアダプタクリップ+iPhone

アダプタは2つの部品からできていて、片方をあらかじめ望遠鏡のアイピースに取り付けておく。撮影するスマホ側には、スマホ用のコンバージョンレンズによくあるようなクリップ式でカメラの部分をはさみこむようになっていて、レンズ部分はただの穴と、わずかな円筒形のでっぱりがあって、これがアイピース側の穴にピッタリはまるようになっている。位置合わせはクリップをはさむときに、ちょうどカメラが穴の中央に位置するようにはさむだけ。撮影時は、クリップごとアイピース側にあてがうだけで、手で支えていないといけないが、そこが簡便にできるところでもある。撮影しないときはアイピース側のアダプタはつけっぱなしでも眼視でのぞけというのもポイントが高い。

購入時は上の写真のように、ずいぶん長いネジがついていたが、このネジを奥の方まで締めないといけないほど細いアイピースはないので、ネジのがあまりに飛び出しているのは邪魔なだけなので、短いネジを用意して交換した。

ネジ交換

逆に、アイピース側のアダプタはあまり大きくないので、今どき流行りの太いアイピースには取り付けられないことが欠点ではある。私が観望会で主に使っているNexStar 5SEに付属の25mmのアイピースは幸いそういう太いタイプでないので、問題なかった。むしろ、見口の折返し式のゴムが擦り切れてちぎれかかっているので、もうこの専用にしてしまってもいいくらいだ。

Celestron Plössl 25mmCelestron Plössl 25mm 取付後

さて、実際に観望会に投入となると、更に交代を手早くできるようするためには、アイピース側は取り付けたままで、クリップを複数用意して、順番待ちをしている人に事前にクリップを取り付けていてもらえばいいという。残念ながら、クリップだけの販売はしていないので、もう1セット買うと、アイピース側が余ってしまうのだが、実はこの「ユニバーサル」アダプタの前にアイピース部にはめる部分がスコープテックの望遠鏡で使われているアイピース専用になっていてクリップにくっついているタイプのものが存在した。実は、それのアイピースにはめる部分はクリップ部にねじ込んで取り付けられているだけで、それを取り外すと、ユニバーサルタイプのもののクリップ部と全く同じものであるという。そちらの方が値段が安いので、追加クリップの代わりとして、その専用のクリップアダプタを、追加購入した。

クリップアダプタクリップアダプタ分解後

で、これを見てみると、どうも自分のコルキット用のアイピースにうまくサイズが合いそうである。私がコルキットを星空案内人講座で入手した際には、標準で付属の12mmのアイピースの他に、低倍率用の20mmのアイピースもつけてくれていて、これは天体導入がすごく楽になってよい。これが、専用クリップアダプタが対象としているアトラス60、ラプトル60、ラプトル50に付属のK.20mmのアイピースと同じK.20mmタイプなので、おそらくモノは同じものなのだろう。コルキットでも使えることがわかって、更にお得感が増した。

K.20mmK.20mm+アダプタ

コルキット付属のK.12mmのアイピースだとどうかというと、アイピースの筒の太さはほぼ同じようだが、焦点距離が短い分、アイピースのフランジ部からレンズ先端までが短いのに、アダプタ側の懐が深いので、カメラがレンズに近づけず、正しいアイレリーフ位置から離れたところから撮影するこになり、写せないわけではないが、かなり視界が狭くなってしまうようだ。倍率が低くなるのとどっちがいいかという話ではあるが。

K.12mmK.12mm+アダプタ

ちなみに、NexStar 5SE + Plössl 25mm にiPhone 6s で試し撮りした月がこちら。あまり露出が適正でないけれど。

Moon

 

 

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AVX赤道儀の基準星の選択

AVX + EdgeHD 800 を使い始めてから、ほとんど惑星を撮ってばかりいて、アライメントもほぼ惑星アライメントしか使っていなかったが、そろそろ火星も小さくなってしまったし、他の天体を撮るのに、きちんとTwo-Starアライメントとかしようかと思ったのだが、以前、Advanced VX 赤道儀諸々の記事のアライメントのところで書いた2つの問題に再びぶち当たってしまった。それは、

  • 基準星を2つ選ぼうにも、あまり星の見えない都会の、それも視界が限らているベランダや非常階段からでは、基準星を選ぶ余地があまりないのだが、その数少ない見えている明るい星を選ぼうにも、たとえ1等星であってもリストに出てこないものがよくある。
  • 仕方ないから少し暗い星でも、選べばだいたいの方向に望遠鏡は向いてくれるし、ファインダーは素通しのNexStarと違って口径50mmの望遠鏡なので、肉眼で見えなくともファインダーで導入はできるのだが、選ぶにあたって、マイナーな2等星以下の星はリストに出てくる固有名を見てもどこにある星なのかさっぱりわからないので、障害物に遮られずに見えている視界にある星なのかどうかわからない。調べたければ、名前をひとつずつSkySafariで検索でもしないといけない。

という2点。先日もベランダから見えているアルタイルをまず選んで、次にもうひとつ見えているデネブカイトス (ディフダ) を選ぼうとしたらリストに出てこなくてめげてしまった。フォーマルハウトは正面のビルで隠れて見えない。ベガやデネブはベランダの天井の上。

ちょっとこれは真剣に何がおかしいのか調べないといけない。と思って、室内で腰を据えて、リストに出てくる星はどんな星が出ているのか、そのときと同じ日時に設定して試してみた。それで、調べた結果が、リストに出ているのは、全部空の西半分に見える星だということ。

そこで、コントローラの表示をよく見ると、右上隅に“W”と表示されているのが気になる。

基準星の選択

とりあえずリストに出くる星を2つ選んでアライメントを進めると、更に基準星を追加するかと聞いてくるので、追加することにすると、今度は“W”のところか“E”の表示に変わった。リストに出てくる星も変化して、めでたくディフダがリストに登場した。その後、更に基準星を追加してもやはり“E”の表示のままだった。

これでわかったのは、Two-Starアライメントでは、最初にアライメントするのに使う基準星は子午線から西半分に見える星に限られ、追加の基準星は東半分に限られるという仕様になっているということ。そんなことは日本語版のマニュアルには書いてなかったが、英語版のマニュアルをよく見ると、一通りの操作の説明の後ろに、導入精度向上のためにそうするようになっていると書いてあった! そして、これはその記述を見つける前にコントローラを色々さわっていてみつけたのだが、この画面でMENUボタンを押すと、この“W”と“E”と空白 (両方の星がリストに出てくる) が切り替えられるということ。これで自分の好きな星を選んで基準星に使える。東西の組み合わせをTwo-Starに使うと導入精度が悪くなるのかもしれないが、One-Starよりはいいだろう。

AVX赤道儀をお使いのみなさんは、みなさんこんなことはご存知で使っているのだろうか、それともうまく基準星が選べなくて不便だなあと思いながら使っているのだろうか。

そして、上記のMENUボタンの機能をみつけるのに色々さわっているときに、実は先に他に見つけたのが、基準星候補のリストを表示しているときにOBJECT INFOボタン (数字の0) を押すと、固有名ではなく何座の何星と表示される。これなら、固有名では何の星かわからなくてもだいたいどこらへんの星かわかるので、SkySafariで星の名前を入力して検索をしなくても、星図からどの位置にあるかすぐにわかる。更にスクロールすると赤経・赤緯や等級なども表示される。これなら、肉眼で見えない暗い星でも基準星として選びやすくなる。

もうひとつ、やはり英語のマニュアルには書かれている (こちらは通常の手順の流れの中) のに日本語マニュアルには書かれていない機能で、ボタンをさわっているうちに見つけたのは、基準星の選択の際に表示されるリストは上下スクロールボタン (数字の6, 9) ではなく、BACKボタンを押すと、最初に表示されている一番明るい星から、明るさの順に表示されていって、あまり暗い星にならないうちに最初の星に戻るということ。結構わからない星がたくさん含まれるアルファベット順のリストをスクロールして探すよりも、BACKボタンで選べばたいがいの基準星に使いそうな星は出てくるはずだ。そもそも英語のマニュアルでは、最初に表示された一番明るい星が基準星として使えなかったらBACKを押して次に明るい星に…と書いてあって、その後に6, 9のスクロールキーでも選べると書いてあるのに、日本語のマニュアルではハナからスクロールキーで選ぶように書いてあってよろしくない。英語のマニュアルの方だけを読んでおけばよかった。

今日はこれだけわかったので、これでやっとまともにTwo-Starアライメントが使えるようになったと思う。それから、やっとそこから次に北極星の見えない南向きのベランダでポーラーアライメントがどのくらい使い物になるのか試してみるというところに進めそうだ。

 

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2018年の火星まとめ

7月31日に大接近した火星も、もうずいぶん地球から離れてきた。とはいえ、見えたら撮るつもりではいるのだが、このところ天気の悪い日も多く、撮影間隔がずいぶん空くことが多く、現時点で10日間撮影できていないし、まだしばらくお天気の悪い日が続きそう。実はこれまでずっと撮影した画像を貯めたものを下のように並べたものを作成していたのだが、大接近の日を中心に、撮影開始した日から対称になる日数も超えたことだし、このへんで打ち止めにしようかと思う。最後の10月7日の時点での視直径は14.8″で、これは次の2035年の大接近が訪れるまでの間で一番距離が遠くで起こる2027年の小接近での最接近時の視直径13.8″よりはまだ大きい。

5/21から10/7までの火星

画像が少し縦長になり過ぎてしまったきらいはあるが、スクロールしながらでもご覧いただければと思う。途中で撮影機材が何度か変化しているが、画像の拡大率は一定になるようにリサイズしてある。

こうやって見ると、遠くにいるときから接近してきてまた離れていくにつれて、視直径が変化していくのがよくわかる。そして、最初は模様が濃かったのに、途中で砂嵐が発生して模様が全く見えなくなり、模様が見えだしてからも、ずいぶん模様が薄くしか見えない時期が結構続き、火星が離れだしてちょっと小さくなってきた頃にやっと本来の濃い模様が見えるようになってきた、というのがわかる。

そういう経時的な変化とは別に、日によって、こちらは地球上の主に大気の状態の違いのせいで、模様がくっきり写っていたりボヤボヤにしか映らなかったりの違いがずいぶん大きいのもわかると思う。本当に好条件で模様の細かいところまでくっきりした画像が得られる日は、本当に数えるほどしかない。

全部の中で私としてのベストショットと思えるのは、9月3日のもの。だいぶ小さくなってからなのが残念だ。次が8月22日のものだろうか。前の記事に取り上げた8月18日のものも悪くない。大接近の前2週間くらいもまあそこそこ模様がよく見ている。ここで本来もっと模様が濃く見えていればありがたかったのだが。

Mars 2018/09/03
Mars 2018/09/03 20:26 ZWO ASI290MC, Celestron EdgeHD 800 (D203mm f2,032mm F10), Celestron X-Cel LX 3x Barlow Lens, ZWO ADC, ZWO UV/IR Cut Filter, FireCapture2.6, AutoStakkert!3, Registax6, PhotoShop CC, Trimmed. Duration=180s, Shutter=15ms, Gain=280 (46%), 50% of 5,505frames

Mars 2018/08/22
Mars 2018/08/22 21:22 ZWO ASI290MC, Celestron EdgeHD 800 (D203mm f2,032mm F10), Celestron X-Cel LX 3x Barlow Lens, ZWO ADC, ZWO UV/IR Cut Filter, FireCapture2.6, AutoStakkert!3, Registax6, PhotoShop CC, Trimmed. Duration=180s, Shutter=15ms, Gain=285 (47%), 50% of 4,669frames

ところで今回の火星大接近で気になったことをひとつ。私の小学生の頃からの理解では、火星大接近というのは、地球と火星の接近する位置が地球の軌道上で約2ヶ月分ずつズレていって、太陽のまわりを一周するうちで、一番近くで起こる回のことだけを大接近と言うという明確なものだったのだが、今回、複数の天文のえらい人が、火星大接近という言葉は正確には定義されていないとわざわざ言っていたのを耳にしたので、おやっと思ってしまった。視直径いくつ以上だとかそんなのが基準にすればいいんじゃないか、みたいなことも言っていて、なんだか広まり始めた頃は天文学用語じゃない云々といって揶揄されたスーパームーンみたいじゃないか? 私が天文活動を今ほどやり始めてから初めての火星大接近なので、単に私が上記のように思い込んでいただけでこれまでもそんな話はあったのかもしれないが、私にとっては今回これは初耳で驚いている。前回2003年の大接近ではまさにちょうどぴったり地球と火星の軌道が近いところで起きた大接近で、前後の2001年や2005年の接近とは、接近距離の違いは結構あったが、今回の大接近は割と外したところでの大接近なので、次回2020年の接近も今回と比べて少し遠いだけの接近となるわけで、次回も大接近と呼んで話題にしたいという布石かと勘ぐってしまうが、どうだろうか?

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火星撮り比べ

昨夜はそこそこシーイングよく、砂嵐でわかりにくくなっている火星の模様もずいぶん細かいところまで写っているようだったので、ついでに過去の機材で撮っていたらどのくらいに写っていたのかを比較すべく (費用対効果がどのくらいあったのか確認するために) 撮り比べてみた。順に、

  • (1) 20cmシュミカセと惑星用カメラを使用した現在の標準セット
  • (2) 鏡筒だけ12.5cmシュミカセに戻したもの
  • (3) 12.5cmシュミカセにアイピース拡大で一眼レフのクロップ動画モードを使ったもの。

それぞれ元画像は画像サイズが違ってしまうが、ここではサムネイルは見た目の大きさが同じになるように拡大率を合わせてある。リンク画像は元のサイズのものにしてあるので、(1) 以外は開いた方がむしろ小さい画像になる。

こうやって比べてみると、鏡筒の口径の違いはもちろんその通りの違いが出ているが、カメラの違いの方もずいぶんある。カメラの違いなのか、拡大率の違いなのかもわからないが。ちなみに、惑星用カメラと付属光学系一式の値段と、望遠鏡の鏡筒+赤道儀の値段は少なくとも3倍以上違う (笑)。

EdgeHD + ASI290MC
(1) EdgeHD 800 + X-Cel LX 3x Barlow + ADC + ASI290MC

NexStar + ASI290MC
(2) NexStar 5SE + X-Cel LX 3x Barlow + ADC + ASI290MC

NexStar + 60D
(3) NexStar 5SE + 8-24mm Zoom eyepiece + EOS 60D

そして、2年前の中接近の際はもちろん、一番古い組み合わせでしか撮影していないわけだが、そのときの画像を砂嵐の比較のために載せておく。模様の向いている場所が違って、いちばんわかりやすい大シルチスがこちらを向いているところなので、ちょっと不公平かもしれないが、濃淡がずっとはっきりしていたのがよくわかる。拡大率は同じにしてあるので、火星の大きさが少し小さいのもわかるだろう。

NexStar + 60D 2016
NexStar 5SE + 8-24mm Zoom eyepiece + EOS 60D, 2016

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Advanced VX 赤道儀諸々

このところほとんど惑星の撮影ばかりで、Advanced VX (AVX) 赤道儀もほぼそれに使っていだけなので、まだあまり赤道儀としての細かいところは使い込んでいない感じではあるが、これまでのところで使っていて諸々気付いた点などを少し書いてみる。

設置

経緯台のNexStarの場合は三脚は水平をとればどのように置いても構わなかったので、ベランダに設置する場合は水はけ用の傾きがあるので、だいたい2本の足を高い側に窓に平行に置き、1本の足だけを外側に向けて、少しだけ伸ばして高さを調節するという置き方をしていた。

赤道儀では極軸を北に向けないといけないのでそうはいかない。ベランダは南向きなので、極軸望遠鏡は使えない。建物は真北に対して30°余り振れているので、ちょうど上記とは90°回転させた状態、2本の足を窓側と外側を結ぶ直線上に並べて、残り1本を横向きに出るように設置し、「余り」の分の角度を床面の模様の数を目安に少し調節する。足の長さは、窓よりのものを除いてそれぞれに調節する。一度水平を確認すれば、以後はだいたいその長さを見当をつけて伸ばすぐらいでよい。そのぐらいの目安でだいたい極軸の方向はおおまかには合う。

惑星の撮影の場合は追尾中ビクリとも外れてはいけないわけではなく、画面におさまっている範囲で揺れていてもスタッキング時に位置合わせをするため構わないので、追尾が多少ズレても、眺めながらちょこちょこと合わせ直していれば十分である。なので、アライメントもだいたい惑星アライメントで合わせただけで済ませる。ポーラーアライメントをするには事前にTwo-Starアライメントをしないと正確に合わせられないと思うが、ベランダからではなかなかうまく2つの基準星をとらえることができない。

NexStarよりも三脚の開きが大きく、さらに縦方向に広げるわけで、外側の足は外側の壁ぎりぎりということで、排水溝の中に置いていた。三脚の足の先端は、NexStarではゴムがかぶさっていたので、AVXも同じだろうとあまり気にしないでいたが、明るいときによく見ると、排水溝の防水膜がちょっと傷んでいるようだった。NexStarでも場合によって排水溝の中に足の先を置くことはあったがそんなことはなかったのでよく見ると、AVXの三脚の先端は尖っているわけではないが硬い金属製のままであった。排水溝に直接三脚の足を置かないように気をつけないといけない。ベランダの床面の部分の防水シートはしっかりしていて、そのくらいでは傷ついていなくて大丈夫だ。

アライメント

アライメントのやり方は経緯台のNexStarの場合と同じようなものか思っていたが、実は結構違う。経緯台では、設置した状態で方位がどちらを向いているかは全くわからないので、そもそも全くわからない状態から始める。最初の基準星はまずは自力で直接合わせる。一方赤道儀では、正確に合っていないにしろ、北の方角は正しく向けて設置していて、極軸の高度もほぼその地の緯度に合わせて向けてあるはずという前提がある。赤道儀の回転部にも向きがあるので、インデックスの印がついていてそれを最初に合わせておけば、アライメントをせずともおおまかには座標軸は合っているはずで、アライメントの作業はそれを正確に追い込んでいく作業でしかない。なので、インデックスを合わせてからアライメントの基準星をコントローラのメニューから選ぶと、まずはマウントが自動的にだいたいその星のある方向に向いてくれる。そこから正確に基準星に合わせるだけだ。そこがNexStarとの大きな違い。実は、NexStarで自動導入だというと、望遠鏡の経験者からは、自動導入って最初に鏡筒の向きを合わせて云々でしょ、とか言われることがよくあったのだが、なるほどこのことかと今さら納得した。

そして、NexStarにはお手軽かつ正確な、SkyAlignというモードで、星の名前はわからずとも2等星以上程度の星を3つ選んでアライメントすると、自動的にどの星かを認識してアライメントしてくれるというものがあったのだが、AVXにはそのモードがない。もともと極軸がだいたい合っているならTwo-Starで十分で、必要なら基準星を追加して精度を上げるという考え方だろうか。しかし面倒なのは、これから入れる基準星をいちいちメニューから選ばないといけない点。基準星候補は全部固有名で出てくるが、1等星ならともかく、2等星の固有名はなかなか聞き慣れないものが多く、どこにある星なのかわからない。しかも、これはNexStarの場合も同じだが、基準星候補には惑星は含まれない。これも基準星選びに困る理由のひとつだ。NexStarのSkyAlignの場合には3つの星に惑星が含まれても構わないというのに。しかも、今そこに見えている1等星の名前さえも候補リストに出てこなかったり、どういうわけかよくわからない。視界の狭いベランダやマンションの非常階段からでは、これがとても困る。

極軸合わせ

極軸合わせはまあまだあまりそれほど真剣にやっていない。

AVXにはポーラーアライメントという機能があって、北極星が見えなくても極軸が正確に合わせられるという。基準星でTwo-Starアライメントした後、何かの星を自動で導入した後、ポーラーアライメントを選ぶと、鏡筒が「極軸が正しければ向いているはずの角度」に動くので、そこでコントローラの操作ではなく架台の極軸調整のツマミを動かして架台の向きを合わせると、極軸が正確に合っているはず、ということ。

これを確認のために、北極星が見えるところで試してみたのが、これまでのところでは、

・極軸望遠鏡で正確に北極星を入れた後、普通にアライメントをした後、ポーラーアライメントをすると、マウントの向きを合わせよと言われるところで最初からズレは全くなかった。当然か。

・極軸は正確でないままアライメント後、ポーラーアライメントをしてマウントを調整してから、極軸望遠鏡を覗いてみると、全然合っていなかった。これじゃダメではないか。最初のアライメントで精度が出ていなかったのか、架台の水平は正確には確認していなかったが、正確でないといけないのか。

といったところ。まだもう少し色々やってみないといけなさそう。

もっと簡便には、他所のどこかのblogで読んだのだが、惑星アライメントやOne-Starアライメントで合わせる際に、最初に自動的にその星の方向に向いたところで、実際の星とのズレを、コントローラで合わせるのではなくマウントの極軸調整ツマミで合わせてやれば、極軸が正しく合っている状態に近づくはず、というもの。最初のインデックスの位置が正確でないとうまくいかない気もするが、確かにコントローラでズレを合わせただけよりは追尾ズレが少なくなるような気もする。

また、最近は電視極軸望遠鏡といった製品もあるようだが、惑星撮影ではなく電視観望に使ったSharpCapには、極軸合わせの機能もあるようなので、せっかく惑星用カメラがあるのだから、それも試してみたい気がするが、適当な焦点距離の対物レンズをつけないといけなさそう。同じく惑星用カメラを使ったガイド撮影用の鏡筒などもあるので、そういうのを使えばいいのか。

クランプ

赤緯軸のクランプレバーが、鏡筒の方向によって、モーターケースがでっぱっている付近に来ると、しっかり締めた状態では、レバーとモーターケースの隙間がなくて指が入らず、とてもクランプが緩めにくくなってしまう。コントローラを使って別の場所に回転させてからクランプを緩めればいいのだが、それでは本末転倒だ。

クランプ
元のクランプを締めた状態

クランプレバーのネジを緩めて外してみると、中の軸は写真のような四角形で、90°ごとにしか向きを変えられないのかと思ったが、レバーの裏側は細かくミゾが切ってあって、18°ごとに向きが変えられる模様。

クランプ クランプ
クランプレバーを外した状態と、外したレバーの裏側

一段ズラして止め直すと、ちょうど指が入るようになって使いやすくなった。緩めた側は、レバーのでっぱりが本体の盛り上がったところに当たって止まるようになっているので、同じところまでしか動かない。結果、レバーの動く範囲が狭くなったことになるが、緩めた方はそこまでいくまでに十分緩んでいるので、まあ問題ない。

クランプ クランプ
調整後のクランプを締めた状態と、緩めきった状態 (調整前後同じ)

三脚

三脚の真ん中の赤道儀の取り付け用兼アイピーストレイ固定用のシャフトが、赤道儀を取り外した後は外れないようにひっかかってはいるが固定はされていないので、ぶらぶらしてしまう。三脚を畳んで運ぶときに、これが揺れて三脚のパイプに当たって、カランカランと大きな音を立ててしまう。片付けるときに100円ショップのマジックテープのベルトで三脚の脚の1本に縛りつけて音が出ないようにすることにした。

PowerTank Lithium

赤道儀本体の話ではないがついでなので。PowerTank Lithiumの蓋の部分が、元から妙なつくりだなとは思いながらも厚い軟質プラスチック製の蓋をめくりあげるようにして使っていたが、根本の方の蓋をつなぎとめている細い部分が、2本あるうち片方はすでにちぎれていて、もう一方もちぎれる寸前だ。ここを引きちぎるような力をかけないと蓋は開けられないつくりになっている。細い部分がもっと長くて、蓋が完全に本体から外れてぶらんとした状態になるのならともかく、そうでもなく、一体どうしてこんなつくりなのかよくわからない。そのうち残っている方もちぎれてしまうのは必至のように思えるが、蓋自身は本体上部に結構きつめにはまるので、まあそのまま使っていてもそれほど不都合はないかもしれないが。

PowerTank Professional

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ジャコビニ・ツィナー彗星

前の記事で星の写り方のサンプル写真として利用した写真、中央に写っていたのは、ジャコビニ・ツィナー彗星 (21P/Giacobini-Zinner)。地球に近づいていて、これからもう少し明るくなるはず。現在、カシオペヤ座の端の方に見えて、だんだんぎょしゃ座の方に向かって動いている。地球に近いと彗星の見かけの動きもが早く、5分間やそこらの間でも、前の記事の写真のように普通にコンポジットすると彗星だけ流れてしまう。

以前紹介したことがあるように、メトカーフ・コンポジットという手法を使うと、彗星の動きに合わせて画像をズラし、恒星は流れた像になるが彗星だけはきれいに重ねた像になる。StellaImageにはこの機能があってこれまでも利用してきたが、バージョン7までは彗星の位置や移動量を別途StellaNavigotorなどから読み取って計算し、画面内で天の北がどちらを向いているかなども入力しないといけなかった。バージョン8で、これがStellaNavigatorと連動して自動的に設定してくれるようになった。しかし、これはバージョン8から追加された自動処理モードの場合のみで、旧来のバージョンと同じ詳細編集モードのときは、メトカーフコンポジットも旧来と同じパラメータを手入力しないといけない。NexStar 5SEで連続撮影した写真をStellaImageの自動位置合わせに食わせると、どうもいつも失敗してしまう。たぶん追尾ズレというより、架台が華奢なのでカメラのシャッターショックでコマごとにあちこちにブレているせいかなと想像している。仕方ないので、いつも手動で基準星を指定して重ね合わせていたので、バージョン8でも自動処理モードが使えず、メトカーフコンポジットも自動処理の恩恵にあずかれなかった。

今回AVX赤道儀に載せて撮った写真は、自動処理に食わせてみるとエラーなく位置合わせしてコンポジットしてくれた。そこでメトカーフコンポジットも自動モードでできるので、彗星名を選び、カメラ名と焦点距離を入れるだけでOK。とても楽になった。軌道情報をひっぱってくるだけでなく、撮影画面の向きまでパターンマッチングで決定してくれるようでとても楽だ。

というわけで、レデューサなしで撮影した画像をメトカーフ・コンポジットしたものを、更に画像を半分にトリミングしたものをこちらに載せておく。

他で見る写真では、青っぽい色がちゃんと見えるのだが、この写真ではなぜかほぼ真っ白。尾はぼんやりと右向きに出ているが、頭の部分はなんだか少し前に吹き出しているような妙な形に写っているが何だろう。恒星の軌跡が少し途切れているのは、連続撮影した中に1枚だけたまたま人工衛星が通ったのか光の筋が1本盛大に入ってるものがあったのを除外したため。

21P
21P/Giacobini-Zinner 2018/08/14 01:47~ Canon EOS 60D, Celestron EdgeHD 800 (D203mm f2,032mm F10), prime focus, ISO3200, 30sec x 10, StellaImage8 Metcalf composite, Photoshop CC, trimming

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Celestron EdgeHD 800用 .7x Reducer Lens

セレストロンのシュミットカセグレン鏡筒のレデューサはCシリーズのものは各サイズ用共通なのだが、EdgeHDのシリーズはそれぞれ専用になっている。Tアダプターの方は、9¼”, 11”, 14”用は共通だが、8”のEdgeHD 800用だけ専用のものになっている。レデューサを使わないときと使うときのそれぞれの適正な焦点位置に合わせるために、Tアダプタは途中でTネジで2つに分離するようになっている話は前の記事で触れた。

レンズ筒 (というのか?) は全部が肉厚の金属製で、ずっしり重い。望遠鏡への取り付け側は、EdgeHDシリーズに付属のビジュアルバック (通常のシュミカセ鏡筒用のものと異なる) やTアダプタと同じ、10角形のデザインになっているが、締め付けリング式ではなく、本体ごとネジ込む。お尻の方は同じオスネジになっていて、Tアダプタの、望遠鏡に取り付ける部分が同じように取り付けられる。前後のレンズ蓋も総金属製で、キャップ式ではなくネジ込み式。

Reducer Lens .7x - EdgeHD 800 Reducer Lens .7x - EdgeHD 800

望遠鏡への取り付け状態はこのようになる。

まずは、眼視用にビジュアルバックを取り付けてアイピース (天頂プリズム) を取り付けた状態。

EdgeHD w/ Eyepiece

レデューサなしでの直焦点撮影のために、Tアダプタを介して一眼レフカメラを取り付けたところ。

EdgeHD w/ DSLR Camera

レデューサを取り付けて、延長部分を取り外したTアダプタを介して一眼レフカメラを取り付けたところ。

EdgeHD w/ Reducer & DSLR Camera

このように、レデューサの使用/非使用によってTアダプタの長さを調節するのだが、その割にはピントを合わせるには同じ主鏡位置ではなく、ピントツマミをぐるぐると相当回さないとカメラにピントが来ない。そういうものなのか。

撮影例は、いちおうファーストライトの記事で載せているが、月の写真だったので、今回は星の写真を試しに撮ってみた。主目標は彗星で、本来はメトカーフコンポジットをするところだが、星の写りをみるためにまず通常のコンポジットをしてみた。彗星の部分は無視して見てもらいたい。

w/o Reducer
without Reducer 2018/08/14 01:47~ Canon EOS 60D, Celestron EdgeHD 800 (D203mm f2,032mm F10), prime focus, ISO3200, 30sec x 10, StellaImage8, Photoshop CC

w/ Reducer
with Reducer 2018/08/14 02:08~ Canon EOS 60D, Celestron EdgeHD 800 (D203mm f2,032mm F10), 0.7x Recucer Lens, prime focus, ISO3200, 30sec x 15, StellaImage8, Photoshop CC

フラット処理はしないで、同じ程度に階調強調しているが、レデューサの方は隅の方に結構周辺減光が出ている。一方、レデューサなしの場合は、これよりも相当階調強調をしても周辺減光はわからない。星像は確かに周辺でもあまり劣化はないが、左下の方だけちょっと変なコマのようなものが出ている。

今回はタイマコントローラのプログラムをせずにカメラ本体で設定できる最長シャッター速度の30秒で撮影したが、追尾の流れはみられなかった。NexStar 5SEでは、15秒や8秒でもぴたりと止まらないハズレの発生確率が結構あったのに比べると、さすがにちゃんとした赤道儀だけのことはある。実は比較的赤緯の高い場所だったせいもあるが。ガイドしないで何秒まで平気か試してみればよかった。

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