高層ビルの狭間のISS天頂通過

Heavens Above
Heavens Above より

先日、関東地方でかなり天頂近くを通過するISSのパスがあった。休日で予定もなく、お天気もよかったので、これはどこかに撮りに行かねばと思ったが、一体どこで撮ろうか。天頂近いので、普通に地上と一緒に撮ると、ほぼ垂直に昇っていくか降りてくるかの絵になるが、せっかくの天頂なので、魚眼で真上を向けて撮ったらどうか。そのまま上の予報図のような軌跡が撮れるはずである。といっても、それだけでも芸がない。一緒に写す地上風景にもひとヒネリを加えたいところで、もうひとつ魚眼で天頂を向けて撮りたいと思っていた対象のことを思いついた。

武蔵小杉。ここ最近開発が進んで、高層ビルが林立するようになった。映画「シン・ゴジラ」の舞台にもなったところだ。ビルの密集しているところで真上を見上げると、周囲それぞれの方向からビルが中心に向かってそそり立っている絵になる。そんな空に星の軌跡を描いた比較明合成星景写真を撮ったらどうかなと思って、以前に下見もしていたのだが、建物が空をふさぎすぎて肝心の星が見える空の面積があまり多くないという感じでもあった。

しかし、目的がISSならば、そのパスさえ見えていればいい。うまくビルとビルの隙間を通るようにすると面白いと思って、急いで計画を立てた。ISSのパスは南北に対してほぼ45°くらい。運のいいことに、予定の場所の一番大きな2つのビルは斜め45°の道をはさんだ両側に向かい合わせに立っている。ということは、その道の上のどこかに陣取ればそのビルの間を通過して、かなり低い位置まで見られるということ。反対側は割りと開けているが、1つのビルは結構ぎりぎりの方向にあるものの、すこし外れているので、ビルのすぐ脇を昇っていくように見えそう。といっても、ぎりぎり見えるはずが、ぎりぎり隠れてしまったにならないように、Googleマップの地図とストリートビューを駆使して慎重に撮影場所を見定めた。

元々星景写真を撮ろうと思ったときは、あまり明るい街灯の光などが入らないようにと、歩道と建物の間とった空き地が小さな公園のようにしてあるところを考えていたが、そこではISSの見え方がよくなかった。先に言ったビルの間を見通せる車道のど真ん中が場所的にはいいが、いくらなんでもそういうわけにはいかず。歩道でも人の通行の邪魔になる。交差点の角の、2つの向きの横断歩道の間の角の部分で、自動車交差点から歩道に突っ込まないように柱が立っているところ。その柱の上にかぶせるように三脚を立てた。これなら誰の邪魔にもならない。目の前を自動車はどんどん通過するし、左右後ろは歩行者がいっぱい通るが、自分の頭の位置で真上を向けて撮影しているので、それらは写り込まない。

しかし、街灯やビルの照明が明るくて、迷光だらけで露出を少なめにせざるを得ない。ISSは天頂通過で十分明るいからと思って、魚眼で超広角なので破線状の軌跡があまり細かくなってしまわないようにと1コマの時間を長めにしたが、もともと露出小さめなためあまり明るく写っていなかった。もっと短くして感度を上げて明るく写るようにすればよかった。そして、ISS以外の星はもっとさびしい写りなので、ISSの通過中だけでなく、もっと長い間撮影して軌跡を伸ばしておけばよかった。

さて、撮影開始すると、ちょうど予定通り北西のビルに沿ってISSが昇ってきた。天頂を通過するあたりでは見上げていると方向感覚がわからなくなるので、進む方向がちょうど2つのビルの間に行くのかどうか不安になってどきどきしたが、無事片方のビルの角をかすめて行ったときは心の中でガッツポーズだった。そして高度を下げていって下の方の低い建物にかかるかと思ったら、その前に地球の陰に入って見えなくなるところまで見えて、これは予想外にうれしかった。昇ってくる方は、写真では低いビルの向こうから姿を現すところが画面外に切れてしまって残念だ。写真の対角線方向をISSの軌跡にあわせれば画面内に入れられたのだが、画面の南北の向きを合わせておきたかったのでこうなった。

20170415ISS高層ビルの狭間のISS天頂通過 2017/04/15 19:08~ Canon EOS 60D, SAMYANG 8mm 1:3.5 UMC FISH-EYE CS II (F5.6), ISO100, 8sec×27, Photoshop 7.0

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月がいつも同じ面を向けている説明

「月の裏側が地球から見られない理由」として月が自転していないとテレビで言ったとして話題になっている。

フジテレビ「月は自転しない」で視聴者からツッコミ殺到 「スタッフの確認不足から生じたミス」と謝罪

そして、正しい説明が「公転と自転の周期が一致しているため」で、自転していないわけではないという。以前からこの、月がいつも同じ面を向けている理由が公転周期と自転周期が一致しているから、という説明に引っかかるところがあったので、この機会にちょっと書いてみる。

まず最初に問題の件から言うと、そんなに目くじら立てなくてもいいんじゃないの、ということである。まるで科学的大間違いのように騒ぎ立てられているが、これはちょっとした言葉の言い方の問題で、現象について間違った理解をして言っているわけではないようであるから構わないんじゃないか。天文学的な定義の上で話をする場合には自転というのは恒星基準で考えるので公転を一周する間に自転も一周することになるのは確かだが、そんなことまで気にかけない一般の方々が自転と聞いたときに、(無意識ながらも) 地球からみて、回転しているかどうかというふうに考える方が直感的には自然なことで、そういう意味では自転してないと言っても間違いとは言えないと思う。地球の自転周期だって、恒星日と太陽日というのがあって、地球の自転周期は太陽日の24時間ちょうどではなく、恒星日の約23時間56分なわけだが、地球は24時間に一周自転していると言ったからといっていちいち突っ込まれてはかなわない。

そして、公転周期と自転周期が一致しているからという説明。これは、月が地球にいつも同じ面を向けている「理由」の説明にはまるでなっていない。これは単に現象を別の言葉で言い換えているだけのことである。自転を恒星基準で定義すれば、月が地球に同じ面を向けて公転しているのならば、その間に1周自転するのは当たり前の話である。理由とか原因とかではない。自転を地球基準で定義すれば、月が地球に同じ面を向けているのと月は自転していないというのは同じことだということと同じでもある。

周期が一致しているというのは、互いに勝手な値をとれるはずなのに「偶然」一致しているかのような物言いだが、そういうわけではない。静止衛星がいつも地上から見て同じ位置に見えるのは、たまたま地球の自転周期と衛星の公転周期が一致しているわけではなく、そうなるような軌道にわざわざ制御して入れているわけであるが、月の自転を人工的に制御しているわけでもないのに、自然の摂理として地球にいつも同じ面を向けるような動きをしているのには、それ相応の理由があるのだということを言わないと説明していることにならない。潮汐力によって月の向きが地球に対してロックしてしまっていること、それに関連して月の表の模様と裏の模様の違いや内部構造のアンバランス、他の天体での尽数関係のこと、あるいは秤動の話など、いろいろと話を膨らませていけるだろうが、そこまで踏み込まずに周期の一致だけで済ましている説明が多い。

しかし、周期の一致の話だけ聞かされた初心者はどうだろう、たいがいはピンと来ずにぽかんとしているのではないか。へぇ、なるほど、そういうことか! と、物事を理解した喜びを感じられないと思う。なんだか言葉のトリックで言いくるめられただけのような感じだ。自転周期というのは恒星基準で考えるのだということをまず説明した上で、やっと言っていることがわかるはずだが、それにしても先に言ったように本当の理由が説明されなければ説明している意味がない。天文学上の数値の扱い方を説明しただけのことになる。そんなことは天文学者に任せておけばよくて、そちらの説明を省いてでも、本当の理由の方を説明してもらいたいものだ。

しかしこの公転周期と自転周期が一致しているからという説明は非常によく目にする。偉い先生であってもこういう説明をされているのが多いのもどういうことだろうかと思う。それで天文に少し馴染みのある人ならば子供の頃から何度もこの説明を見聞きして、もうその考えは頭に染み付いていることだろう。そしてそうやって覚えた人は、また次に同じような説明をする方になる。直感的には自転してないと思う感じなのに天文学ではそうではなく自転していると言うのだというという少しヒネった知識であることも、なんとなくちょっと蘊蓄を知っているぽくて、他人が月は自転していないと言おうものならすぐさま突っ込みたくなるのかもしれない。突っ込んでいる人の中には、「周期がほぼ一致してる」なんて言っている人もいた。この場合「ほぼ」なんてことはなくてぴったり一致しているわけで、僅かに一致していなくて徐々にズレてきて裏が表に見えてくるなんてことがあったらびっくりだ。つい自信がなくてほぼなんて言ってしまったのかもしれないが、言葉づらだけの説明を覚えていると、本質を理解しないでこういうことになるのかもしれない。

そもそも月がいつも同じ面を向けている説明がされるのは、どういうわけかQ&Aの形をとってなされることがよくあるように思う。上のリンクの中で更にリンクされているJAXAの説明というのもそうである。しかし、そんなに多くの子供がまず月がいつも同じ面を向けていて不思議と自発的に思うものだろうか? むしろ、オルバースのパラドックスのように、言われてみれば確かに、という類のことのひとつではないだろうか。そう思うと、公転周期と自転周期が一致の説明だけを回答しているQ&Aは、一見直感に反するように思えるその事実を語りたいがために設定された質問のように思える。もちろん、語りたいことをQ&A形式をとって語ることはよくある話だが、語るならば、ぜひ知的好奇心を満たせるような本当の理由の方を語ってもらいたいものだ。

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NexStar 5SEの三脚を修理

先日、観望会にNexStar 5SEを持ち出して、結局天候が悪くて使わずに持って帰ってきただけだったが、帰宅した後、また在宅時に使うために梱包を解いて組み立てようとしたら、三脚の脚の付け根の部分といったらいいのか、パイプを上部プレートとつないで開閉する部分にヒビが入っているのに気がついた。

NexStar 5SE 三脚

運搬時には三脚ケースに入れて運んでいるが、どこかに立てかけた状態で不注意で倒してしまったりすることも時々あり、確かに今回の運搬中に一度倒した。今回の転倒だけが原因か、前から割れていたのに気が付かなかっただけか、これまで何度も倒しているうちにじわじわダメージがたまっていたのか、また、三脚を開いて固定するアイピースホルダーのプレートを止めるネジをこれでもかときつく締め過ぎなのか。

まあ、もう購入してからいつの間にか4年半も経っているし、観望会だなんだと結構持ち出しているし、電車移動がほとんどなので、先述のように倒したりしてダメージを受ける機会も多いのかもしれない。ともあれ、結果としてこのように割れてしまった。

写真には、パイプと黒い部分の境目の両側に糊の跡が見えるが、実はここは以前から、このパイプを差し込んであるところが緩んで抜けてしまっていたところだった。パイプを中に突っ込んで接着剤で固めてあるらしいのが剥がれてしまったようだったが、ぴったり差さっている分には、抜けてしまいさえしなければ大丈夫だろうと、境目を上からパーマセルテープで巻いて止めてあった。糊の跡はそのときのもの。発見時はテープも割れ目に沿ってちぎれていたが、写真はそのテープを剥がした状態。とりあえず、千切れたテープを剥がして、応急処置として、割れ目の上から口がひらいてしまわないようにしっかりとテープを貼り直してみたが、さすがにこの状態で使い続けるのは心許ない。

NexStar 5SE 三脚

さて、それではこれにどうやって対処するか。修理に出すといっても、海外メーカー製品なので簡単にメーカーに送って修理というわけにもいかない。交換可能単位としては架台+鏡筒を除いた三脚まるごとということになるだろう。それだけ部品として注文して買えるものか。買えるとしても、値段やはり数万円はかかるだろうか。オークションなどで、架台や鏡筒がダメになっていてジャンク品扱いで出ているのもがあったら入手して三脚だけうまく使いまわすか。しかしそんな都合のよい品が出て来るのは気長に待たないといけなさそうだが、自分の望遠鏡はこれ1台なので、それが使えない状態はあまり長引かせたくない。

ともあれ、ちょっと相談にと、に秋葉原のシュミットさんへ行ってみた。ちょうど店内にはNexStar 5SEが展示してあり、ここにヒビが入って… と説明していると、ちょっと待っててと言って、店外に出て倉庫かどこかから、三脚を持ってきた。NexStar 5SEの三脚そのものならよかったのだが、出てきたのはNexStar 6/8SE用のもの。たまたまその三脚だけの余分の在庫があったようだ。

NexStar SEシリーズには4, 5, 6, 8とあり、4と5に共通のものと、6と8に共通のものと、三脚には2種類ある。4/5用のものは上に載るものが軽いためか、簡易ウェッジ (赤道儀のように傾ける装置) 付き、6/8用は簡易ウェッジの機能がない、という違いがある。そんなわけで、全く同じものではないが、それでなんとか代わりになるか。店員さんが確かめくれたところでは、架台を三脚上部プレートに取り付ける3本のボルトの位置は、架台の大きさの違いにもかかわらず同じだったので、取り付けられることはわかった。簡易ウェッジ機能をあきらめてその三脚に載せることにするか。

脚だけ取り替えれば、元と同じものにできるのでは? ということで、4/5用のものと6/8用のもので脚が置き換え可能か確かめようとして気づいたのが、今回ヒビの入った部品はプラスチック製なのだが、6/8用のものはさわるとひんやりして金属製である。6/8用は荷重に耐えるためにしっかり作ってあるが、4/5用はコストを抑えるためにプラスチック製だったがゆえにヒビが入ってしまったのだった。しかし、材料は違っても形状は同じに見えるので、ボルトを通して留めてある脚側の部品の幅をノギスで測ってもらったところ、ほぼぴったり同じということなので、入れ替えられそうだった。うまくいく保証はないが、試してみてうまくいけばそうやって使い、ダメなら簡易ウェッジ機能をあきらめて元のまま使う、ということで、その三脚をいただいて帰ることにした。お値段をちょっと心配していたのだが、なんとびっくり、ジャンク品扱いということで、予想していたよりゼロがひとつ少ない値段だった。ラッキー!

下の写真が、ヒビの入った状態の元の三脚と、買ってきた6/8用の三脚。そういえばアイピースホルダー用のプレートはついてこなかった。

NexStar 5SE 三脚 NexStar 6/8SE 三脚

さて、これら三脚の脚を入れ替えることで壊れていない4/5用の三脚をつくる。

まずは、4/5用の三脚から、ヒビの入った脚を取り外す。取り外したプラスチック部品がこれ。あと、以前からパイプの中からカラカラ音がしていたが、この部品にパイプを固定していた接着剤の破片らしいものが出てきた。

ヒビの入った部品接着剤のカケラ

次に、どこも壊れていない、6/8用の三脚の脚を外してみる。すると、4/5用の三脚とは違って、摺動部分にドーナツ状の薄いプラスチックのシートが貼られていて、まわりに何かの潤滑剤が乾いた跡なのか妙なものがまとわりついていた。4/5用のように金属とプラスチックだとそのままですべりがいいが、6/8用は金属どうしこすれあうのを避けるためだろうか。

NexStar 6/8SE用の三脚の脚

これをこのまま4/5用の三脚の脚を外したあとにはめようとするが、ドーナツ状シートの厚みの分だけ厚くてうまくはまらない。どうも、パイプの端についている黒い部品の幅の方はぴったり同じなのだが、ドーナツ状シートが付く分だけ、6/8用の方の上部のプレート側の寸法が少し大きいようである。仕方ないので、ドーナツ状シートを剥がして、周囲にまとわりついているものも溶剤できれいに掃除した。剥がしたドーナツ状シートの厚みは0.1mmくらいあって、両面にあるので、確かに結構な厚みの差だ。それで、再度4/5用の上部プレートにはめると、細くなりすぎいうこともなく、ガタなくぴったりはまった。後は、元通りボルトを通して、適度にしっかり締めて取り替え完了。脚を開閉してみても、特に支障なさそうである。残りの2本も壊れているわけではないが同様に交換。これで、4/5用三脚なのに、パイプの固定部分が金属製になった強化型(?)三脚が完成した。

修理後の三脚

ぱっと見は元とまるで違わないようだが、脚の1本にセレストロンのロゴが入っている。あと、先の写真をよく見てもらうとわかるが、脚の下の方というか、伸縮のジョイント部。ここは4/5用も6/8用もプラスチック製なのだが、こちらも実は3本のうち2本で接着剤がはがれてすっぽ抜けになっているのをテープで留めてあって、まあこれはそれで問題なく使えてはいたが、これも新品になってありがたい。

プラスチックだった部品が金属になって少し重くなったかも知れないが交換修理してむしろ丈夫になってよかった。ところでこの金属部分は鉄かなアルミかなと思って磁石を当ててみてびっくり。その部品ではなく、同じだと思っていた脚のパイプそのものの方の材質が違っていた。4/5用は磁石に付かないのに、6/8用は磁石に付く。どちらもステンレスぽいが、成分の違うステンレスなのか。表面の光沢感とかは見た目にはまるで区別付かない感じなのだが。

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タットル-ジャコビニ-クレサーク彗星

41P M97 M108
Comet 41P Tuttle-Giacobini-Kresak 2017/03/22 00:38~ Canon EOS 60D, EF-S55-250mm F4-5.6 IS II (250mm F6.3), ISO1600, 30sec×29, StellaImage 8 Metcalf composite, FlatAide

タットル-ジャコビニ-クレサーク彗星 (41P) が光度を増してきている。3月22日の夜 (から23日未明にかけて) には、おおぐま座β星 (北斗七星の升側から2つ目の星) の近くにある銀河M108に非常に接近して見えるということだった。近くにはふくろう星雲ことM97もある。残念ながら、当地ではその日は天気が悪そうだったので、その前夜、22日に日付が変わった頃に、前日からの雨が晴れ上がって春霞も洗い流されたであろう空で撮影した。2つのメシエ天体からはまだ少し離れていたが、おおぐま座β星とあわせて望遠レンズの視野にちょうどおさまる。β星は2等星なので、これをめやすに導入も簡単にできるし、ピント合わせもそのままできて便利。

そんなわけで、彗星を撮るには、カメラレンズで撮るときもNexStarに同架して自動導入することも多いが今回はポラリエに載せて撮影。望遠撮影なので、テレスコ工作工房さんのポラリエ雲台ベースPCB-EQ2の出番。カメラの取り付け向きの関係で縦位置になってしまうが、珍しく北が真上の構図となった。実際は北天で子午線を少し過ぎたあたりなので、見た目とは逆さま近くなっている。

望遠鏡でなく、この程度の画角での撮影でも、15分間分撮影した画像では彗星の動きがあるので、彗星の動きに合わせたメトカーフコンポジットにしないと彗星の像が流れてしまう。一方、そうするとせっかくの銀河と惑星状星雲が流れてしまう。恒星基準でコンポジットした方の画像も下に載せておく。そういえばM97、M108はこれまで撮影したことがなかった。そこそこには写ったので、今度はこれらを単独で望遠鏡でもっと拡大して撮ってみようか。

41P M97 M108
Comet 41P Tuttle-Giacobini-Kresak 2017/03/22 00:38~ Canon EOS 60D, EF-S55-250mm F4-5.6 IS II (250mm F6.3), ISO1600, 30sec×29, StellaImage 8, FlatAide

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本田-ムルコス-パイドゥシャーコヴァー彗星 (その2)

「その1」はないのだけれど、昨年末の「彗星3題」の中でこの彗星について触れた。年明け後の1月2日にも、まだ夕方の西空にあって、再度前回と同じ場所で撮影。かすかに尾が見えている感じがする。

45PComet 45P Honda-Mrkos-Pajdušáková 2017/01/02 17:57~ Canon EOS 60D, Celestron NexStar 5SE (D125mm f1250mm F10) prime focus, ISO3200, 8sec×40, StellaImage 7 Metcalf composite, FlatAide

その後、見かけ位置は太陽に近づいていって観測できなくなり太陽と地球の間を通過して2月に入ってから明け方の東の空に見えるようになってきた。地球との距離は近づいてきていて、もっとよく見えるのではないかと思っていたが、2月6日に自宅から同じように望遠鏡で撮影してみたところ、まるで写っていなかった。

情報では光度は変わらず7等くらいのようなのだが、近づいてきていてみかけの大きさが大きく見えるようになってきているのと、太陽最接近を過ぎて実際に彗星のコマも拡散してきているのか、あまり望遠鏡で拡大してしまうと像が広がった分だけ薄くなってしまって光害地の背景にとけこんでしまっているのではないかと考えた。

2月11日の未明に天気がよかったのでまた撮影に臨んだ。今度は望遠鏡ではなく、カメラレンズで250mmで撮影してみた。6日よりも地平線からの高度が上がって条件もよくなってきている。狙っていたわけではなくたまたまだが、11日が地球最接近だったようだ。

西の空にいたときは、撮った直後にカメラのモニタで写っているのがはっきり確認できるくらいだったのだが、今回もやはり何も写っているように見えない。何かもやっとしたものがあるような気がしなくもないくらいだった。しかしとにかく枚数を撮影して処理してみることにした。

処理してみると確かに彗星らしい像は出てきたが、それでもなかなかかすかにしか見えず。背景が破綻するくらいきつく階調を引き伸ばしてやってわかる程度。あまり階調を引き伸ばすと、ノイズでざらざらになるのはともかく、周辺減光が強調されてしまって見られない絵になる。いつも面倒なのでフラット画像などは撮ったりせずフラットエイドのお世話になっているが、それをもってしても同心円状に補正の波ができてしまってうまくいかなかった。

それで試行錯誤しているうちに編み出したのが次の方法。これまでは一度階調の調整で色を合わせてある程度階調を引き伸ばして天体の像をあぶり出し、同時に周辺減光が目立つようになってしまったところで、フラットエイドにかけてそれを平坦にし、その後はPhotoShopで多少見た目を調整する、という手順をとっていた。それを、今回はまず色を合わせただけで階調は引き伸ばさず、見た目には周辺減光もそれほどわからない状態のうちに一度フラットエイドにかけた後に、階調を引き伸ばして天体の像をあぶり出す。すると前の方法のように周辺減光がひどく目立つようにはならないが、最初のフラットエイドできれいに補正しきれてない分のムラが強調されて目立ってしまう。それを、もう一度フラットエイドをかけることによってならすと、きれいな背景になる。色々やっているうちに、フラットエイドで星像除去する際のしきい値の設定も、以前は割りと適当にやっていたが、だいぶ適切にできるようになってきた気がする。フラット画像をPhotoShopでボカして、StellaImageでフラット補正の適用をする手順はこれまでやっていたのと同じ。

そんなことをやって完成したのが下の画像。何も見えない元画像から、なんとかちゃんと見られる彗星の像が得られた。

年末から年明けにかけては、彗星の軌道がちょうど留の位置付近にいたので、望遠鏡で撮っていてメトカーフコンポジットしていてもほとんど背景の恒星が流れていなかったが、今回は地球に近づいているので、焦点距離5分の1で撮っているのに、こんなに背景の星が流れている。

45PComet 45P Honda-Mrkos-Pajdušáková 2017/02/11 04:03~ Canon EOS 60D, EF-S55-250mm F4-5.6 IS II (250mm F5.6), ISO800, 30sec×22, StellaImage 7 Metcalf composite, FlatAide

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プラレア巡り(23) 宇部市勤労青少年会館

VENUS S-3

北九州市立児童文化科学館、スペースワールドと訪れた日は、小倉に宿泊し、翌日の1月8日は関門海峡を渡って山口県の宇部市勤労青少年会館に向かった。

ここは、学校の休み期間中など以外では、日曜日にしか投影を行っておらず、それも昼間に1度だけなので、それに合わせて行くしか無い。まあ実はこの前々日は冬休みの投影日だったのだが、こちらは普通に仕事をしていた。今年の年末年始はちょっと曜日の巡りが悪かった。

移動時間を考えても午前中は少し余裕があるが、スペースワールドをこの日の午前中に入れるにはちょっと余裕がない感じだったので前日の夜に行くことにしたわけで、そのまま特に考えていなかったが、ちょっと調べると、ゼンリン地図の資料館というのが泊まっていた小倉駅前から歩いて行けるところにあって、そこに伊能忠敬の大日本沿海輿地全図の原寸大レプリカが展示してあるということで、ぜひ行ってみたいと思ったら、土日祝日は休館だった。残念。しょうがないので、その近所の小倉城を眺めてから宇部に向かった。

移動中に、以前小野田のプラネタリウムに行ったときに現地合流したSGさんも宇部に向かっているという情報が入る。そして、33館達成者たちからは、投影が終わってから解説員の人に色々話を聞ける、いやむしろそちらが本番、というので帰りの交通には余裕を持っておくことという助言をいただくが、帰りはもう飛行機を予約してある。

ともあれ、現地に到着。外から見えるドームはプラネタリウムのではなく望遠鏡のドーム。プラネタリウムは展望フロアっぽく見える階にあって、ドームはそんなに大きくないので、建物のその上の部分の中に収まっていて、外に球状の形は露出していない。

宇部市勤労青少年会館宇部市勤労青少年会館

ここのプラレアポイントは、1967年設置の国産機では最古参プラネタリウム。手動操作で肉声による生解説。とある。今年でちょうど50周年とのこと。ここの投影機は五藤光学のVENUS S-3。まあ確かに古い機械である。そして、小さなドーム用なので、結構小ぶりだ。木製の家具のような台の上に載っている。

VENUS S-3VENUS S-3

投影機を見てまず驚いたのが、投影機中心部にむき出しになっているスリップリング。投影機の回転部分への電気の供給を全部電線でつないでしまうと、くるくる回しているうちに巻き付いてしまって困るので、回転盤をブラシがこすって電気通じるようなしくみになっているのだが、普通はカバーの中に入っていて目にすることはないものだが、ここはまるまるむき出しになっている。こんな投影機を見たのは初めてだった。

スリップリング

次は恒例の地上風景チェック。昔ながらのシルエットに切り抜いた黒い板がスクリーンの前に置いてあるタイプ。50年前に作ったままなので、実際の風景とかなり食い違ってきているところがあるとのこと。そしてここにも2方向切り替え式の方角表示灯。ドームの投影面はパネルや布地を貼ってあるのではなく、そのまま壁になっている。最近塗り直したそうで結構きれいだった。吸音とかは考えられていないせいか、声が反射して結構響く。

スカイラインと方角表示灯

コンソールの隅の方に星座絵スライドなどの補助投影機が少し。スライドのフィルムは35mmフィルムよりずっと小さい感じ。コンソールの手前の窪みは、おそらく以前は大きな矢印ライトが置かれていた場所だと思うが、レーザーポインターが置いてあった。

コンソール

投影開始時刻になって集まっていたのは、私と、もうひとりの巡礼者と、宇部天文同好会のメンバーの方1名と、男女連れ1組と、親子連れ1組。ここは投影時間が1時間15分あるというのも珍しい。1時間を超える投影時間のところというのは他ではみかけない気がする。

投影が始まるが、解説のスタイルはもう自由そのもの。ずっとコンソールから解説するのではなく、客席のところにやってきて、子供に直接語りかけたりしながらの解説で、ときどきコンソールに戻って投影を動かしたり、という感じ。

投影中の投影機を見て目についたのが、惑星棚の更に先端部に結構明るく光っている部分があること。投影が終わってから見ると、天の川の投影機だった。結構小さいせいか、ぼんやり光る感じではなく明るく見えるのだろう。投影後にまたドームを暗くして天の川投影機だけ撮らせてもらったのがこれ。これだけ撮ってもなんだかわからないな。

天の川投影機

神楽洞夢の回に少し触れたが、土星の形状が本来肉眼ではわからないくらいの大きさなのに、プラネタリウムでは肉眼でもよく見るとわかるくらいの大きさに投影しているものがある。ところが、ここはよく見るとわかるどころではなくて、それは立派な大きさの土星像が投影されていたのにもびっくり。そういえば、沈む太陽の大きさも実際に見える大きさよりも大きかった。

その惑星投影機だが、惑星棚にひとつずつおさまっているのは一般的なモリソン型や鉄アレイ型共通の仕組みと同じだが、渋谷に展示してあるカールツァイスIV型で見て学んだように、支持柱に隠れて惑星像が見えなくなってしまわないように投影機が2つ並べてあるものだが、これは小型だからかそれぞれ1つしかない。これも投影後に尋ねたら、やはり実際にときどき柱で隠れて見えなくなるそうだ。

惑星棚

恒星原板で投影するのとは別に、特に明るい星だけ別にブライトスター投影機で投影することが多く行われるが、ぱっと見見当たらない気がしたのに、ベテルギウスやアルデバランが他の星と違って赤っぽく投影されていたので、これも質問してみたら、私の見落としでブライトスター投影機はちゃんとあって、ベテルギウスとアルデバランはそれで個別に色をつけてあるのだが、アンタレスはなぜか赤い色がついていないのだそう。

下の写真ではどちらも画面の端で少し切れてしまっているが、本体主要部分の恒星球と惑星棚に劣らぬ存在感で飛び出て取り付けられている、パンパンになった手袋みたいなものが何かわからなかったので尋ねたら、これは天の赤道と黄道を投影する装置。そう言われると、架台の端のところに、同じような形をした子午線投影機もある。

黄道赤道投影機

投影機は小型ながらも、恒星球の各レンズの前には、地平線以下に星の光が行かないようにする重力式のシャッターはちゃんとついている。そうでない個別の投影機には、それぞれ水銀スイッチがついていて投影機が地平線以下を向くと電気が切れるようになっているが、その使われているスイッチの交換部品がもう製造されていなくてストックが切れたらおしまいらしい。箱のスヰッチの表記が時代を感じさせる。

水銀スヰッチ

まあ、こんな話を投影が終わった後も延々話してくれた。確かに事前情報の通り。解説員の方は、若い頃にここにプラネタリウムができるときいて、ぜひ自分でさわってみたいと思って、開設時の講習に参加したのだというから驚き。ずっとここで開設をやっていたわけではないが、歳を取ってからまたここで解説をすることになったが、市の職員としてやっていると勤務時間とかの関係で都合がよろしくないということで、宇部天文同好会を指定管理者にして請け負っている形にしているのだという。普通の科学館が指定管理制度を利用しているのとはなんだかちょっと違う。

飛行機の時間まではそんなに時間がないわけではないものの、それに間に合うようにJRに乗って行くには、距離は近いのに本数が少ないのでそれに合わせると結構早く出ないといけなかったのだが、宇部天文同好会の方が車で送ってくださるということで、時間に余裕ができて、ゆっくりお話をうかがうことができた。

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スペースワールド

スペースワールド

今回、まだ行っていないプラレア館の中からまず北九州を選んだのは、実は同じ北九州市にあるスペースワールドが今年いっぱいで閉園となるという話を聞いて、今まで一度も行ったことがなかったので、閉園までには一度は行っておこうと思ったからというのも理由のひとつ。まあまだ丸一年近くはあるのだが。

飛行機の時間、プラネタリウムの投影時間、移動時間の都合で、昼間に行く時間はうまくつくれなかったが、イルミネーションで夜の営業もしているので、北九州のプネタリウムを見た後に訪れることにした。まあ、遊園地をめいっぱい楽しもうというのではなく、中にある宇宙博物館と、スペースシャトルの実物大模型(?)を眺めるくらいだからそれでいいだろう。

北九州市立児童文化科学館の最寄り駅の黒崎から、鹿児島本線で2駅隣り、その名もスペースワールド駅を降りるとすぐ目の前にそのシンボルのスペースシャトルがそびえているのが見える。そこから入場ゲートまでは結構離れていて敷地の外側を延々と歩いて行く。チケットは、夜だけなので、乗り物乗り放題のパスホートではなく入場券のみのものを購入。まずは、園内をまた来た方向に戻ってスペースシャトルを目指す。

お正月なので、スペースシャトルの貨物室の扉のところに「謹賀新年」の文字が投影されている。わざわざ正面に足場を組んだ上にプロジェクターを設置して投影していて、静止画ではなくて花びらが舞ったり、文字がネガポジ切り替わったりする動画で、たまに一瞬文字が消えるので、その瞬間を狙って写真を撮った見たりもしたのだが、最初に載せた写真では、ライトを点灯させながらシャトルの周囲を走るジェットコースターの光跡を撮るために長時間露光したので、謹賀新年の文字は消しようがない。ライト付きのジェットコースターでこんな絵が撮れるとは予想していなかったので、三脚なんか持ってきていなかったので、そんなときのためにいつもカバンの中に入っているマンフロットの超小型三脚に活躍してもらった。

宇宙博物館はそのすぐ近くにあって、そこそこいいものが並んでいる。閉園した後はこれらの展示物はどうなるのだろうか。

宇宙博物館とは別に、月の石や隕石が展示してあるところがあったようだが、気付かずにスルーしてしまっていた。

シャトルの写真をさんざん撮った後、そうだ観覧車で上からシャトルを撮ろうと思ったときには、もう時間が遅くて観覧車は終了していた。あとは園内のイルミネーションを眺めてからスペースワールドを離れた。

帰りに駅のホームで、スペースワールドが閉園したらこの駅名はどうなるんだろうかと思って記念に撮影しておいた。

スペースワールド駅

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