2007年5月 のアーカイブ

旗袍

中国鉄道大紀行通訳の陈捷さんが旗袍で登場していたが、旗袍の話も書いたことがなかったと思うので、今回はその話でも。

旗袍(qípáo チーパオ) とは、いわゆるチャイナドレスのこと。私が自分で着たり買ったりするわけでもなく、知り合いの女性と一緒に中国に旅行に行って買うのにつきあったりした、なんとことがあるわけでもないので、そういう話ではない。

中国に行ったら女性が皆チャイナドレスを着ているのかというと、もちろんそんなわけではない。日本で着物をめったに見かけないのと同じようなものか。しかし、ちょっと観光旅行に行っても、日本で着物を見かけるよりはよく目にすることだろう。最もよくみかける場所は中華レストランだ。日本にある中華レストランでも店員の女性がチャイナドレスを着ているのはよくあるが、ちょっと様子が違う。中国の中華レストランでチャイナドレスを着ているのは店頭に立って「ホヮンイングヮンリン」(歓迎光臨) と言って客引き(?)をしたり客をテーブルまで案内したりする担当の女性だけで、店内で注文を取ったり料理を出したりする店員は別の制服である。どういうわけかたいていそうである。客引きのためには派手なチャナドレスを着て目立つのがよくて、料理を出すには汚したり、歩きにくかったりしてはいけないからか。そういうわけで、店頭でチャイナドレスのおねいさんを見かけても、中が全員それだと思ってはいけない。

裾は長くてそんなに寒くはなさそうに見えるが、結構寒いらしい。両脇が上の方までスリットになっているので、結構風がスースー通って寒いのだそうだ。北京あたりでは冬はチャイナドレスのままではとても寒くて店先に立っているわけにはいかないので、みんな上に (これまた結構派手な色の) コートを着ているので、ちょっとつまらない。

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中国の鉄道

そういえば、中国の鉄道の話を書いたことがなかった。私が中国で鉄道に乗ったことがあるのは1往復だけ。蘇州と上海の間で、片道1時間もかからない距離ではある。

日本では地下鉄、通勤列車、中・長距離列車はそんなに分け隔てはないが、中国では、というか割と他の国でもそうではないかと思うが、都市交通のための地下鉄類と、長距離の鉄道はかなり明確に扱いが別だ。地下鉄は、まあ北京のように切符の自動販売機や自動改札がないにしろ、日本の地下鉄とほぼ違いない感覚で乗れるが、中国で鉄道に乗るのは日本で鉄道に乗るのとはちょっと違う。どちらかというと飛行機に乗るのに近いと言ってもいいと思う。

まず、切符を予約するのが大変らしい。列車はほとんど指定席なので、切符を予約しないと乗れないが、事前に入手しておかないと満席で乗りたい列車に乗れないことも多いようだ。私が乗ったときはどちらも現地の会社の人に手配してもらった。

さて、駅で列車に乗るには、日本のようにただ改札を通ってホームに行けばいいというわけではない。まず駅の入り口で空港にあるようなX線の荷物検査機に荷物を通して入場する。まあX線検査はテロが騒がしくなってきた最近の話かもしれないが。入った先は候车室と呼ばれる待合室である。そこで自分の乗る列車の出発時刻が近づくまで待つ。飛行機の出発案内のように、時間が近づくとアナウンスがされて、ゲートが開いて乗客がぞろぞろとプラットホームに向かって移動する。つまり、プラットホームには直近に発着する列車の乗客以外いないということになる。たった1時間足らずの乗車のためとしては、日本で鉄道で同じ距離乗る場合に比べると、ずいぶん面倒ではある。

座席の種類は软座(軟座)、硬座、软卧(軟臥)硬卧の4種類。軟座、軟臥がクラスが上で硬座、硬臥がクラスが下。軟座、硬座は普通のシートだけの車両で、軟臥、硬臥は寝台車。中国は長距離を時間をかけて走る列車が多いので、寝台車も多い。私が乗ったのは蘇州→上海が軟座、上海→蘇州が硬座だった。軟座の車内は日本の新しい目の特急車両とそんなに変わらない感じで、かなり清潔な感じだ。硬座の方は、私が乗った車両は2階建てだったのだが、座席番号が1階2階通しでついているもんだと思い込んで、1階のその座席番号のとことろに別の乗客が座っていたので私の席じゃないのかと言ったら、逆にそれは上の席だと言われてしまった。よく見ると座席番号の前に「上」と書いてある。こちらは座席は向かい合わせずつの固定で、乗客の客層も違う気がするし、食べ物も食べ散らかされていたりしてちょっと小汚い感じだった。

3年前に撮影した写真を何枚か載せておく。切符は中国中どこでもこの体裁のようだ。

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通訳の陳さん

元の記事からの引用「関口知宏の中国鉄道大紀行」の記事を書いて以来、アクセスログに、「陳捷」のキーワードで検索してくる人がたくさん残っているようになった。実際に検索してみると、NHKの番組のページ以外には、ほとんどヒットしない。そのせいでみんな私のところにやってくるのか。それにしても、この番組で通訳をつとめている陳捷 (陈捷 Chén Jié) さんに興味のある人がたくさんいるということか。

番組ではそもそも通訳の役割だから、一般的には通訳は裏方であまり表には出ないもので、確かに日めくり版と、生中継中で映されるビデオの部分では、通訳している声は聞こえても、本人の姿はほとんど映らないのだが、生中継の場面ではもう通訳ではなく、番組アシスタント扱いで出演しているように見える。確かにカメラの後ろに置いておくにはもったいない、なかなか素敵なキャラではないかと思う。ちなみに、今週の生放送中のビデオで薬を塗る場面で陳さんが画面に登場したが、これが初めてではないだろうか?

せっかくなので、NHKの番組のページから、番組の感想でそんなことを書いてコメントを投稿しておいた。NHKの人もここを見に来てくれるだろうか。

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色の残像現象

今日たまたま見たTBSの「ドッカ~ン!」という番組でやっていた。最近、都市伝説のネタでよくTVで見かける、スティーブン・セキルバーグこと、ハローバイバイ・関暁夫が都市伝説先生として紹介していたもの。このネタそのものはこじつけもいいところなのだが、元になっている現象の付随した性質がちょっと面白かったので、書いてみる。

1枚の白黒の風景写真が見せられて、真ん中上方の空にUFOらしきものが浮かんでいる。そのUFOと交信できるという。さて、その写真のネガだという、色の反転した写真が見せられる。元は白黒写真だったのに、ネガはカラーのネガである。そのUFOをじっと見つめることによって、UFOと交信できると、元は白黒だった写真がカラーになるという。で、カラーネガをしばらみ見つめさせた後で、写真が元の白黒に切り替わる。

すると、切り替わった瞬間、正常な色のカラー画像が見える (ような気がする) が、一瞬後には最初に見せられた白黒写真に戻っている。

カラーネガの写真を見続けていたので、画面上のそれぞれの位置で見えていた色を打ち消すような補正がかかり、残像として、白黒に切り替わった瞬間にネガの逆で、正しい色が見えるというだけの話だが、確かに切り替わった瞬間は完全に正しい色のカラー写真を見ているのと同じに思えるくらいで、なんとなく色がついているくらいではない。

わざわざカラーネガから白黒を切り替わる画像をつくって見せているのだから、そこに正しい色の画像を1コマだけ入れて見せられていたとしてもわからないわけだが、まあいくらなんでもそんな捏造はない。録画してコマ送りで見ればすぐにバレるわけである。念のため自分でも確認した (笑)。で、驚いたことのひとつは、残像の色がそんなにもきれいに見えることである。これは、ネガの後に白黒の同じ画像を見せるという見せ方がポイントかもしれない。単に何もない画像に切り替えても残像はそんなには見えない。

もうひとつ驚いた現象は、普通はこれをやったときに一瞬カラーに見えた後はすぐに元の白黒画像に戻ってしまうわけだが、そのまま視線を動かさずに見続けていると、色は薄くはなるものの、かなりの時間色がついたままに見えていることだ。視線を逸らせると一瞬にして色はなくなって元の白黒写真になるのだが、視線を固定し続けている限り、何秒もの間色がついたままに見える。

パソコン上で、画像編集のできる方なら、白黒画像とカラーネガ画像を作って、画像ビューアなんかで連続して表示できるようにして切り替えて見ると簡単に実験できる。

人間の目というのは、なかなか不思議なものだ。

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中国語の展覧会や博覧会の案内メール

「中国語の展覧会や博覧会」を案内するメールではなく、展覧会や博覧会を案内する「中国語のメール」である。最近、迷惑メールに混じって妙なメールが立て続けに来ている。いずれも、海外、それもアフリカや南米で行われる展覧会、博覧会の案内のメールである。

  • 西非最大的展览会–2007年第24届安哥拉国际贸易博览会
  • 南美地区规模最大的消费品类博览会–2007年南美国际家庭用品及礼品博览会

一体なんだろうこれは? 本当の真面目な案内なのか、何かの詐欺の類の迷惑メールの一種なのか? 書き方の形式が同様なことからみても、発信元は同じだ。

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「探検ロマン世界遺産」

先日のケータイ的中国語の記事鎌倉千秋アナウンサーが番組で中国語をしゃべればと書いたが、先日の「探検ロマン世界遺産」の殷墟の回の放送では、レポーターが彼女で、少しながら中国語でしゃべている音声が入っていた。ちゃんと中国語を生かしているのであった。

しかし、これ以外にも「世界ふれあい街歩き」だとか、やはり先に紹介した関口知宏の中国鉄道大紀行」とか、なんだかこの手の海外を紹介する番組が多く、その中でも中国が取り上げられる比率も多いように思う。

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海洋調査船「かいよう」

独立行政法人海洋研究開発機構(JAMSTEC) の横須賀本部の施設一般公開で、海洋調査船「かいよう」の体験乗船に抽選に申し込んで当選したので、行ってきた。

施設公開では、映画「日本沈没」にも「わだつみ」という名前で出ていた潜水調査線「しんかい6500」や「しんかい2000」なども展示されていたり、潜水訓練用のプールでは職員が趣味で行っていると思われる相当マニアックな水中ラジコンの展示などもあった。

「かいよう」は半没水型双胴船というかなり変わった形の船である。双胴船というだけでも多少珍しいが、普通の双胴船が普通の船を2つ並べて上に板をわたしてつないだような形になってるのに対して、こちらの場合は、潜水艦のような水中の船体部分が2つあって、上部の船体とはくびれたかなり細い部分でつながっている。波の影響を受ける部分が少ないので、双胴船というだけでも安定はいいのだが、それがさらに揺れが少なくなる。また、双胴船であるため甲板が広く取れる。

実際は今日は天気が穏やかで波もほとんどなかったので、揺れに対する強さについては特に実感できなかったのだが。

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生放送“考試” ケータイ的中国語 ― 結果

前に紹介した通り、日付変わって昨日、NHKテレビで、「生放送“考試” ケータイ的中国語 ~リスニング真剣勝負~」が放送され、予定通り私も携帯を手にして参加してみた。

まず結果から言うと、100問中86問正解で、全国7088人参加中544位だった。

ただし、ちょっと言い訳じみてもいるが、操作がうまくできていなくて間違いになってしまった問題が合計で8つもあって、本人の解答としては94問正解のつもりだった。ちょっと進行のスピードが速すぎて、解答するタイミングをはずしてしまうことがあったり、うまく入らなかったから押しなおそうとすると、カーソルが1番に戻ってしまったまま押してしまったりとか。携帯電話のアクセスで画面が更新される時間に比べて、解答開始から締め切りまでの時間があまりにも短い気がした。また、特に最初のうちは、うまく入っていないことがあることに気付いておらず、声調の問題は25問全問正解したつもりなのに結果を見ると21問正解になっていて、メゲてしまった。その後も気をつけるようにして中盤はあまりミスがなかったが、最後の方でまた少しダメだった。まあ、これは他の人も同じ事情だったろうから、他の人も同じように救済するとすれば、結局全国順位はそんなに変わらないのかもしれない。あとは、参加者のレベルの分布がどんなだったかが知りたいところだ。って、参加登録時に年齢と都道府県以外に何かきかれたっけか? さて、ブログサーチで検索してみると、他の参加者たちには携帯の操作については不平を言っている人はそれほどはおらず、みなさんそれなりに結構いい得点を取っているようだ。いい得点を取るような人だけが書いているのかもしれないが。しかし、検索で参加者がたくさん引っかかってくる。さすがに「ジャスミン茶を飲みながら」とは視聴者の数が違う。

さて、そんなわけで意図せず誤答となったもの以外で、自分の中国語の実力 (のせいだけではないものもあるが) で間違ってしまったのは以下の6問。

子音の問題で、chをzhと間違え、もうひとつzhをchと間違えた。倦舌音の有気音と無気音の区別が不得意らしい。

子音の問題ではもうひとつ、伝言ゲームの問題を間違えたが、これは、お前、そんなふうに間違うなよ、ってところがあるので勘弁してもらいたい。運かヤマ勘の問題であった。

母音の問題はkunをkongと間違えてしまった。zuとziの違いの問題では、母音の問題なのに、違っている発音を一人みつけよと言われて、どれかひとつがcuなんじゃないかと思って適当なのを選んでしまった。というか、母音が違っているのがあるのが聴き取れていなかったということだろう。

総合問題では、4声-1声の発音のものを選べと言われているのに、なぜか勘違いして、4声-2声を選ぶと思ってしまい、正しく4声-2声のものを聴き取って選んだので間違ってしまった。

寸劇仕立ての問題は、あまり発音の問題になっていなくて、意味で想像する問題になってしまっていたように思う。林家いっ平が間違った発音をして、何と間違われたのでしょう、というのだが、きれいに正解の間違った単語の発音をしているわけでもないので、どれを選ぶかは意味から考えるしかない。林家いっ平に引き換え、鎌倉千秋アナウンサーは、それほど多くはしゃべらなかったけれどもすごく発音がよさそうに思った。もっと番組で中国語をしゃべるらせるようにすればいいのに、NHKさん。

レポーターを選ぶ投票は、私は1番の呉さんを推していたのだが、前半は (中国語は最悪の) 4番がトップを走っていたのが、発音の評価のところで、2番がダントツで大逆転。発音は1番も2番と大差なかったと思うのだがなあ。最後の投票でもそのまま2番が逃げ切り。1番でなかったら次は2番だったから、まあいいか。

そういえば、コント (?) に出演の陳涛さんのセーラー服姿は、昔のアダルトビデオとは言わないが、ちょっと厳しいものがあったかも (笑)。無理に高校生の設定にしなくてもよかったのでは? それとも、テレビ中国語会話の前田知恵のメイドコスプレに続く視聴者サービス??

ま、結構楽しめた (何を?) ので、また来年も同様の企画が更に改良されて行われることを期待したい。

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環境問題はなぜウソがまかり通るのか

昨今、環境問題に関心を持って環境にいいとされる行動をとる人はいい人で、そうしないことはいけないことと認識される。しかし、私は常々その内容について不審に感じるところも多く、斜に構えて見る方だった。ある意味、科学的に考えて決して正しくないことも多く、宗教のようなもので一旦ああだと信じてしまったら、実は役に立たないことを無意味にやっていたりして、異を唱えても環境のため地球に優しいためと信じている人たちは理解しようとしない。さらにそういう単に無知でおめでたいだけの人に加えて、そんなことは承知で自らの利益のために環境の御旗を掲げて私腹を肥やす者たちもいる。

たまたま書店の店頭で「環境問題はなぜウソがまかり通るのか」という本が平積みになっているのを見てまさに我が意を得たりという内容が書かれていた。まあ行き過ぎに見える記述もあるが、今の環境問題の矛盾点をよく指摘していると思う。

別に宣伝料をもらっているわけではないが、興味のある人はぜひ買って読むといい。「たかじんのそこまで言って委員会」という読売テレビの番組でも取り上げられて話題になったようだが、この番組は私の住んでいる関東圏では放送されていないので知らなかった。YouTubeで検索すると出てくる

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日本橋 HD DVD プラネタリウム (その2)

さて、そんな日本橋 HD DVD プラネタリウムだが、なかなか盛況のようで、昨日は12:00の回を観にに行ったのだが、11:40頃に到着した時点で18:00の回まで売り切れであった。事前にローソンで予約して行ってよかった。これから行ってみようという方はご参考に。ちなみに、営業期間は6月いっぱいまでなので、お早めに。

で、実際に観ての感想だが、確かに降るような星空は迫力だ。星が多すぎて星座がどれかわからないくらいだ。普通のプラネタリウムよりはずっと本当の星空に近く感じられる。天の川も本当にそれらしく見える。天の川が個別の光点でできているというのを確かめようと、ちょっとおかしいがプラネタリウムを観るのに双眼鏡を持って行って覗いてみた。確かにひとつひとつの星でできている。ところが、ちょっとよろしくないのが、ドームのスクリーンのせいか、投影機側の問題かわからないが、全ての星の像のまわりにぼんやりとした光の滲みが見えている。天の川の部分では隣り合った星の滲みどうしがつながりあって、領域全体がぼんやりと光っている状態になっている。その方がかえって天の川が雲のように見えるのかどうだかわからないが。

もうひとつ、こちらはすごく気になったのが、空の見え方の歪みである。全席指定で、ローソンでの予約時にはどんな位置の席かわからずに席が決まってしまうので (窓口で買う場合はどうかわからない)、今回の席はかなり壁際の方の席だった。プラネタリウムは半球状のスクリーンに中央にある投影機から星を投影するわけで、物理的に同じ中心位置から見た場合に星座が正しい形に見え、投影機から離れた位置から見ると、自分に近い側にある星座は大きく、遠い側に投影されている星座は本来より小さく見える。自分が普通にプラネタリウムに行くときはできるだけ真ん中寄りの席を選んで座るので、その場合と比較するのは不公平だが、それにしてもひどく歪んで見えるような気がした。

そこで、ふと気がついたのだが、天井の中心の位置が低いのである。ドームの投影面はできるだけなめらかに作ってはあるが、スイカの皮の模様の方向に継ぎ目の線が見える。特に仮設のせいもあろうが、普通のプラネタリウムのドームに比べて継ぎ目の見え方が気になった。そして、その継ぎ目が全部集まる天頂部はどうしても目立つ。ドームの壁際からそのスクリーンとしての天頂部の位置を見ると、普通のドームで見るより遠くにあるように思えたのだ。これはある意味、錯覚によるもので、天頂部は間違いなくドーム内の円形の床面の中心の真上にあるのだが、頭の中で一旦自分中心の天球に投影して判断してしまうせいで、実は天頂部が遠くにあるのではなくて、角度として低く見えるということだ。

ドームが正しい半球形なら、人の頭の高さのよる差を無視するとして、ドームの端の部分から天頂部を見ると45°の角度に見えるはずだが、ここで概測してみると30°くらいしかなさそうだった。ちなみに、空の角度を概測で測るには、手を真っ直ぐ遠くに伸ばして指をそろえたときの手のひらの幅がだいたい 10°である。その前提で計算すると、簡単な三角比で、ドームの高さが正しい半球形の1/√3、すなわち60%以下の高さだということになる。ここのドームは正しい半球状ではなく、もっと平べったい形をしていたのだ。

このドームの建物、外から見ると、ちゃんとした半球形に近似した多面体の形状をしていて、そんなことはなさそうなのだが、実は中のスクリーンだけがそういう形状になっている。建物は二重構造になっていて、外から見えるのはあくまでも建物の外壁としての構造物である。内部には投影会場の円形の領域の外側に廊下があり、スクリーンは、ちょうどこの通路と会場を隔てる壁に縁の乗った内側のドームである。廊下の部分にも天井はないので、外部ドームと内部ドームの隙間が見えるのだが、内部ドームを外側から見た天頂部と外部ドームの内側の天頂部の間の距離が、確かにずいぶんあいている。本来なら廊下の幅と同じでなければならないはずなのに。

まあ、仮設建築物ということもあって、構造上、予算の範囲内で正しい半球形のものが作れなくて苦肉の策なのだろうかと想像するが、平べったいドームのプラネタリウムというのは前代未聞だと思う。投影機のピントだって、場所によって距離が違うのではきちんと合わせられないのじゃないかと思う。予約の際に席を選ぶことができる方法があるのかどうかわからないが、できるだけドーム中央に近い席で見た方が、歪みの効果が少なくなっていい。

最後におまけ、ほとんど寝た状態にまでリクライニングさせて見る必要のあるプラネタリウムの座席だが、ここの座席は今まで体験したプラネタリウムのうちで最上級のものだったと思う。

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