2015年7月 のアーカイブ

冥王星初撮影成功

2015年7月14日、探査機ニューホライズンズが冥王星をフライバイしたその当夜、自宅からいつもの機材で冥王星の撮影に挑戦、なんとかその像をとらえることに成功した。

そもそも冥王星の撮影を試みようと思い立ったのは、1ヵ月以上前、星ナビの7月号のニューホライズンズの接近を控えての特集記事の中で、冥王星を撮影するという記事があったことからだ。冥王星は14等級という暗さだ。惑星の中では天王星や海王星が肉眼で見えないといってもたかだか6等級、8等級程度なので、市街地でも望遠鏡を使えばさほどの困難なく見ることができる。それに比べて14等級というのはケタはずれに暗い。私の望遠鏡の極限等級を超えているので、眼視で見ることは不可能だし、写真に撮ることもハナから考えていないかった。

しかし、記事を読んでみると、結構アマチュア機材でも写真に撮るなら十分撮れるようである。もちろん私よりいい機材を使ってのことであるが、もっとかすかに写る程度なら、しかも多数枚撮ってコンポジット処理すれば、なんとかなるのではないか。そこで、まずは過去に撮った写真を調べて14等級の星が写っているかどうかチェックしてみた。例えばこの前M27を撮った写真の背景に写っている恒星を、ステラナビゲータと照らしあわせてみると、うれしいことに14等級台の星はしっかり写っていた。ということは、このときと同じくらいの空の状態で、少なくとも同じくらいの枚数コンポジットすれば、間違いなく写るということだ。

そう思って撮影に臨もうとしたのだが、この梅雨空続き。それ以来、いて座がよく見える時間に晴れて、自分も撮影可能なときが一度も訪れなかった。ところが、いよいよ探査機がフライバイというその日になって奇跡的に晴れた夜空となり、この機を逃してはいけないと、撮影にかかった。

眼視でも見えない天体は、いつものように自動導入で望遠鏡を向けるが、運良くすぐ近くにいて座の比較的明るい星、ξ1 Sgr (5.02等) と、ξ2 Sgr (3.52等) があって、同一視野におさまるので、対象が正しく狙えているかの確認や、ピント合わせも簡単だった。

ところが、実際に撮影してみてその場でカメラのモニタ画面で見てみると、冥王星の左上にある少し明るめの11等級の星ははっきりわかり、それと冥王星の間にある13等級の星がなんとかわかる程度だが、肝心の冥王星は背景ノイズと区別がつかないくらいでもやっと像があるような、ないような、という感じだった。これはダメかと思いつつも、まあ、カメラのモニタ画面ではわからなくても後で画像処理すればわかるかもしれないので、とりあえず枚数だけたくさん撮っておいた。

後でM27を撮った画像とヒストグラムを比べてみると、山になっている位置がずいぶん違う。高度の高い北の空と、街明かりの影響の大きい南の空のあまり高くない高度では背景の明るさがかなり違って、同じように14等まで写すのは厳しかったようだ。

しかし、たくさん撮った画像を一枚一枚見ていくと、中にほんのわずかだけ冥王星が写っているコマがあった。おそらく大気のゆらぎの影響でたまたま冥王星が明るく写ったのだろうと思う。他の写ってるとしても気持ち程度の多数のコマと一緒にコンポジットしてもそんなに浮かび上がってくることは期待できなさそうなので、このたまたまばらつきの中で明るく写ったコマをもって、冥王星の撮影できた画像ということにしておく。下がその写真。階調強調をして周辺減光が顕著になっているが気にしないことにする。

Pluto
Pluto 2015/07/14 22:40 Canon EOS 60D, Celestron NexStar 5SE (D125mm f1250mm F10) prime focus, ISO3200, 15sec, Photshop 7.0

この星の写っている画像だけ見せられてこれが冥王星だと言われても、はいそうですか、と言うしかないと思う。いちおう ξ1 Sgr と ξ2 Sgr を画面に入れてあるので星空のどこかはわかる。その中で冥王星がだいたいどこにあるかは、自動導入時に使った SkySafari 4 Plus でもわかるが、左上の11等の星は出ていたが13等の星までは出ていなかった。正確に同定するためには付近の細かい星の位置と見比べて正しい位置にあるかどうかを確認しないといけない。PC上でステラナビゲータで見ても、標準の状態ではやはりそこまで細かい星が表示されない。恒星の詳細のダイアログボックスの恒星データのところで、拡張データにUSNO-A2.0サブセットというのを選ぶとあきれるくらい細かい星まで表示される。このデータはインストール時にオプションになっていて標準だけインストールしていると使えないので、追加でインストールしておく必要がある。

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