2018年10月 のアーカイブ

2018年の火星まとめ

7月31日に大接近した火星も、もうずいぶん地球から離れてきた。とはいえ、見えたら撮るつもりではいるのだが、このところ天気の悪い日も多く、撮影間隔がずいぶん空くことが多く、現時点で10日間撮影できていないし、まだしばらくお天気の悪い日が続きそう。実はこれまでずっと撮影した画像を貯めたものを下のように並べたものを作成していたのだが、大接近の日を中心に、撮影開始した日から対称になる日数も超えたことだし、このへんで打ち止めにしようかと思う。最後の10月7日の時点での視直径は14.8″で、これは次の2035年の大接近が訪れるまでの間で一番距離が遠くで起こる2027年の小接近での最接近時の視直径13.8″よりはまだ大きい。

5/21から10/7までの火星

画像が少し縦長になり過ぎてしまったきらいはあるが、スクロールしながらでもご覧いただければと思う。途中で撮影機材が何度か変化しているが、画像の拡大率は一定になるようにリサイズしてある。

こうやって見ると、遠くにいるときから接近してきてまた離れていくにつれて、視直径が変化していくのがよくわかる。そして、最初は模様が濃かったのに、途中で砂嵐が発生して模様が全く見えなくなり、模様が見えだしてからも、ずいぶん模様が薄くしか見えない時期が結構続き、火星が離れだしてちょっと小さくなってきた頃にやっと本来の濃い模様が見えるようになってきた、というのがわかる。

そういう経時的な変化とは別に、日によって、こちらは地球上の主に大気の状態の違いのせいで、模様がくっきり写っていたりボヤボヤにしか映らなかったりの違いがずいぶん大きいのもわかると思う。本当に好条件で模様の細かいところまでくっきりした画像が得られる日は、本当に数えるほどしかない。

全部の中で私としてのベストショットと思えるのは、9月3日のもの。だいぶ小さくなってからなのが残念だ。次が8月22日のものだろうか。前の記事に取り上げた8月18日のものも悪くない。大接近の前2週間くらいもまあそこそこ模様がよく見ている。ここで本来もっと模様が濃く見えていればありがたかったのだが。

Mars 2018/09/03
Mars 2018/09/03 20:26 ZWO ASI290MC, Celestron EdgeHD 800 (D203mm f2,032mm F10), Celestron X-Cel LX 3x Barlow Lens, ZWO ADC, ZWO UV/IR Cut Filter, FireCapture2.6, AutoStakkert!3, Registax6, PhotoShop CC, Trimmed. Duration=180s, Shutter=15ms, Gain=280 (46%), 50% of 5,505frames

Mars 2018/08/22
Mars 2018/08/22 21:22 ZWO ASI290MC, Celestron EdgeHD 800 (D203mm f2,032mm F10), Celestron X-Cel LX 3x Barlow Lens, ZWO ADC, ZWO UV/IR Cut Filter, FireCapture2.6, AutoStakkert!3, Registax6, PhotoShop CC, Trimmed. Duration=180s, Shutter=15ms, Gain=285 (47%), 50% of 4,669frames

ところで今回の火星大接近で気になったことをひとつ。私の小学生の頃からの理解では、火星大接近というのは、地球と火星の接近する位置が地球の軌道上で約2ヶ月分ずつズレていって、太陽のまわりを一周するうちで、一番近くで起こる回のことだけを大接近と言うという明確なものだったのだが、今回、複数の天文のえらい人が、火星大接近という言葉は正確には定義されていないとわざわざ言っていたのを耳にしたので、おやっと思ってしまった。視直径いくつ以上だとかそんなのが基準にすればいいんじゃないか、みたいなことも言っていて、なんだか広まり始めた頃は天文学用語じゃない云々といって揶揄されたスーパームーンみたいじゃないか? 私が天文活動を今ほどやり始めてから初めての火星大接近なので、単に私が上記のように思い込んでいただけでこれまでもそんな話はあったのかもしれないが、私にとっては今回これは初耳で驚いている。前回2003年の大接近ではまさにちょうどぴったり地球と火星の軌道が近いところで起きた大接近で、前後の2001年や2005年の接近とは、接近距離の違いは結構あったが、今回の大接近は割と外したところでの大接近なので、次回2020年の接近も今回と比べて少し遠いだけの接近となるわけで、次回も大接近と呼んで話題にしたいという布石かと勘ぐってしまうが、どうだろうか?

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