2017年3月 のアーカイブ

NexStar 5SEの三脚を修理

先日、観望会にNexStar 5SEを持ち出して、結局天候が悪くて使わずに持って帰ってきただけだったが、帰宅した後、また在宅時に使うために梱包を解いて組み立てようとしたら、三脚の脚の付け根の部分といったらいいのか、パイプを上部プレートとつないで開閉する部分にヒビが入っているのに気がついた。

NexStar 5SE 三脚

運搬時には三脚ケースに入れて運んでいるが、どこかに立てかけた状態で不注意で倒してしまったりすることも時々あり、確かに今回の運搬中に一度倒した。今回の転倒だけが原因か、前から割れていたのに気が付かなかっただけか、これまで何度も倒しているうちにじわじわダメージがたまっていたのか、また、三脚を開いて固定するアイピースホルダーのプレートを止めるネジをこれでもかときつく締め過ぎなのか。

まあ、もう購入してからいつの間にか4年半も経っているし、観望会だなんだと結構持ち出しているし、電車移動がほとんどなので、先述のように倒したりしてダメージを受ける機会も多いのかもしれない。ともあれ、結果としてこのように割れてしまった。

写真には、パイプと黒い部分の境目の両側に糊の跡が見えるが、実はここは以前から、このパイプを差し込んであるところが緩んで抜けてしまっていたところだった。パイプを中に突っ込んで接着剤で固めてあるらしいのが剥がれてしまったようだったが、ぴったり差さっている分には、抜けてしまいさえしなければ大丈夫だろうと、境目を上からパーマセルテープで巻いて止めてあった。糊の跡はそのときのもの。発見時はテープも割れ目に沿ってちぎれていたが、写真はそのテープを剥がした状態。とりあえず、千切れたテープを剥がして、応急処置として、割れ目の上から口がひらいてしまわないようにしっかりとテープを貼り直してみたが、さすがにこの状態で使い続けるのは心許ない。

NexStar 5SE 三脚

さて、それではこれにどうやって対処するか。修理に出すといっても、海外メーカー製品なので簡単にメーカーに送って修理というわけにもいかない。交換可能単位としては架台+鏡筒を除いた三脚まるごとということになるだろう。それだけ部品として注文して買えるものか。買えるとしても、値段やはり数万円はかかるだろうか。オークションなどで、架台や鏡筒がダメになっていてジャンク品扱いで出ているのもがあったら入手して三脚だけうまく使いまわすか。しかしそんな都合のよい品が出て来るのは気長に待たないといけなさそうだが、自分の望遠鏡はこれ1台なので、それが使えない状態はあまり長引かせたくない。

ともあれ、ちょっと相談にと、に秋葉原のシュミットさんへ行ってみた。ちょうど店内にはNexStar 5SEが展示してあり、ここにヒビが入って… と説明していると、ちょっと待っててと言って、店外に出て倉庫かどこかから、三脚を持ってきた。NexStar 5SEの三脚そのものならよかったのだが、出てきたのはNexStar 6/8SE用のもの。たまたまその三脚だけの余分の在庫があったようだ。

NexStar SEシリーズには4, 5, 6, 8とあり、4と5に共通のものと、6と8に共通のものと、三脚には2種類ある。4/5用のものは上に載るものが軽いためか、簡易ウェッジ (赤道儀のように傾ける装置) 付き、6/8用は簡易ウェッジの機能がない、という違いがある。そんなわけで、全く同じものではないが、それでなんとか代わりになるか。店員さんが確かめくれたところでは、架台を三脚上部プレートに取り付ける3本のボルトの位置は、架台の大きさの違いにもかかわらず同じだったので、取り付けられることはわかった。簡易ウェッジ機能をあきらめてその三脚に載せることにするか。

脚だけ取り替えれば、元と同じものにできるのでは? ということで、4/5用のものと6/8用のもので脚が置き換え可能か確かめようとして気づいたのが、今回ヒビの入った部品はプラスチック製なのだが、6/8用のものはさわるとひんやりして金属製である。6/8用は荷重に耐えるためにしっかり作ってあるが、4/5用はコストを抑えるためにプラスチック製だったがゆえにヒビが入ってしまったのだった。しかし、材料は違っても形状は同じに見えるので、ボルトを通して留めてある脚側の部品の幅をノギスで測ってもらったところ、ほぼぴったり同じということなので、入れ替えられそうだった。うまくいく保証はないが、試してみてうまくいけばそうやって使い、ダメなら簡易ウェッジ機能をあきらめて元のまま使う、ということで、その三脚をいただいて帰ることにした。お値段をちょっと心配していたのだが、なんとびっくり、ジャンク品扱いということで、予想していたよりゼロがひとつ少ない値段だった。ラッキー!

下の写真が、ヒビの入った状態の元の三脚と、買ってきた6/8用の三脚。そういえばアイピースホルダー用のプレートはついてこなかった。

NexStar 5SE 三脚 NexStar 6/8SE 三脚

さて、これら三脚の脚を入れ替えることで壊れていない4/5用の三脚をつくる。

まずは、4/5用の三脚から、ヒビの入った脚を取り外す。取り外したプラスチック部品がこれ。あと、以前からパイプの中からカラカラ音がしていたが、この部品にパイプを固定していた接着剤の破片らしいものが出てきた。

ヒビの入った部品接着剤のカケラ

次に、どこも壊れていない、6/8用の三脚の脚を外してみる。すると、4/5用の三脚とは違って、摺動部分にドーナツ状の薄いプラスチックのシートが貼られていて、まわりに何かの潤滑剤が乾いた跡なのか妙なものがまとわりついていた。4/5用のように金属とプラスチックだとそのままですべりがいいが、6/8用は金属どうしこすれあうのを避けるためだろうか。

NexStar 6/8SE用の三脚の脚

これをこのまま4/5用の三脚の脚を外したあとにはめようとするが、ドーナツ状シートの厚みの分だけ厚くてうまくはまらない。どうも、パイプの端についている黒い部品の幅の方はぴったり同じなのだが、ドーナツ状シートが付く分だけ、6/8用の方の上部のプレート側の寸法が少し大きいようである。仕方ないので、ドーナツ状シートを剥がして、周囲にまとわりついているものも溶剤できれいに掃除した。剥がしたドーナツ状シートの厚みは0.1mmくらいあって、両面にあるので、確かに結構な厚みの差だ。それで、再度4/5用の上部プレートにはめると、細くなりすぎいうこともなく、ガタなくぴったりはまった。後は、元通りボルトを通して、適度にしっかり締めて取り替え完了。脚を開閉してみても、特に支障なさそうである。残りの2本も壊れているわけではないが同様に交換。これで、4/5用三脚なのに、パイプの固定部分が金属製になった強化型(?)三脚が完成した。

修理後の三脚

ぱっと見は元とまるで違わないようだが、脚の1本にセレストロンのロゴが入っている。あと、先の写真をよく見てもらうとわかるが、脚の下の方というか、伸縮のジョイント部。ここは4/5用も6/8用もプラスチック製なのだが、こちらも実は3本のうち2本で接着剤がはがれてすっぽ抜けになっているのをテープで留めてあって、まあこれはそれで問題なく使えてはいたが、これも新品になってありがたい。

プラスチックだった部品が金属になって少し重くなったかも知れないが交換修理してむしろ丈夫になってよかった。ところでこの金属部分は鉄かなアルミかなと思って磁石を当ててみてびっくり。その部品ではなく、同じだと思っていた脚のパイプそのものの方の材質が違っていた。4/5用は磁石に付かないのに、6/8用は磁石に付く。どちらもステンレスぽいが、成分の違うステンレスなのか。表面の光沢感とかは見た目にはまるで区別付かない感じなのだが。

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タットル-ジャコビニ-クレサーク彗星

41P M97 M108
Comet 41P Tuttle-Giacobini-Kresak 2017/03/22 00:38~ Canon EOS 60D, EF-S55-250mm F4-5.6 IS II (250mm F6.3), ISO1600, 30sec×29, StellaImage 8 Metcalf composite, FlatAide

タットル-ジャコビニ-クレサーク彗星 (41P) が光度を増してきている。3月22日の夜 (から23日未明にかけて) には、おおぐま座β星 (北斗七星の升側から2つ目の星) の近くにある銀河M108に非常に接近して見えるということだった。近くにはふくろう星雲ことM97もある。残念ながら、当地ではその日は天気が悪そうだったので、その前夜、22日に日付が変わった頃に、前日からの雨が晴れ上がって春霞も洗い流されたであろう空で撮影した。2つのメシエ天体からはまだ少し離れていたが、おおぐま座β星とあわせて望遠レンズの視野にちょうどおさまる。β星は2等星なので、これをめやすに導入も簡単にできるし、ピント合わせもそのままできて便利。

そんなわけで、彗星を撮るには、カメラレンズで撮るときもNexStarに同架して自動導入することも多いが今回はポラリエに載せて撮影。望遠撮影なので、テレスコ工作工房さんのポラリエ雲台ベースPCB-EQ2の出番。カメラの取り付け向きの関係で縦位置になってしまうが、珍しく北が真上の構図となった。実際は北天で子午線を少し過ぎたあたりなので、見た目とは逆さま近くなっている。

望遠鏡でなく、この程度の画角での撮影でも、15分間分撮影した画像では彗星の動きがあるので、彗星の動きに合わせたメトカーフコンポジットにしないと彗星の像が流れてしまう。一方、そうするとせっかくの銀河と惑星状星雲が流れてしまう。恒星基準でコンポジットした方の画像も下に載せておく。そういえばM97、M108はこれまで撮影したことがなかった。そこそこには写ったので、今度はこれらを単独で望遠鏡でもっと拡大して撮ってみようか。

41P M97 M108
Comet 41P Tuttle-Giacobini-Kresak 2017/03/22 00:38~ Canon EOS 60D, EF-S55-250mm F4-5.6 IS II (250mm F6.3), ISO1600, 30sec×29, StellaImage 8, FlatAide

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