2014年10月 のアーカイブ

コルキット+USBカメラで撮影した木星

太陽黒点と前後してしまったが、その前夜に撮影していた画像。かねてよりコルキットスピカに天体用改造USBカメラC270を接続して画像を見られるようにしているが、それで何を見ると言って、まあ月以外にはそれほどめぼしいものはない。あとはせいぜい惑星で、木星や土星ぐらいか。土星は日没後すぐに沈んでしまって見られないので、深夜に昇ってくる木星を狙ってみた。

そのまま画面キャプチャしたのがこれ。ちょっと画面中央からはずしているが、画面に入っていれば後の作業にはあまり影響ないのでご容赦を。

木星

いくらUSBカメラの撮像素子のサイズが小さくて望遠気味に写るからといって、f=420 mmのコルキットでは全体の画角に対して木星はこのくらいの大きさにしか写らない。眼視の場合は12 mmのアイピース (35倍) で見ても全体の視界に対してこれよりまだ小さく見えるわけで、円盤像なのははっきりわかるが、縞模様はなんとかわかるかどうかという程度に思える。この画像では木星本体がよく見えるくらいの露出に調節しているが、やはり縞模様はよくわからない感じだ。そうやって暗くしたせいで、ガリレオ衛星は写っていないが、USBカメラの露出を上げれば写ることは写るし、眼視ではよくわかる。

さて、これを数十秒間動画記録して、RegiStax6にかけると、あーら不思議。

木星
木星 2014/10/25 03:22 Logicool C270, Orbys KOL-Kit Spica (D40mm f420mm F10.5), RegiStax6, トリミング, 拡大

こんなにしっかり縞模様が現れた。RegiStaxしてもサイズが直径二十ドットにも満たないのは変わりなくてちょっと小さくて見づらいので、上の画像は木星付近だけ切り出したものを、縦横それぞれ3倍に拡大してある。

眼視の場合も心の目で見れば、2本の縞がこのくらいくっきり見えてくるだろう。

パソコンがあれば、コルキットに1,000円あまりのカメラとフリーソフトで、これだけの写真が撮れる。といいたいところだが、そのまま固定撮影すると日周運動のために、数十秒なら画面から出て行くほどではないものの結構な速度で移動していくので、RegiStaxしたときにうまく位置合わせしきれずに移動した分の筋のような画像になってしまったため、これはポラリエに載せて追尾して撮影したものである。かけた費用が一気に1桁上がってしまう (笑)。固定撮影でも、短か目の時間でやればうまくいくかもしれないが、短くする分出来上がりの画像の質は下がるだろう。うまく木星の位置だけ切り出してRegiStaxに食わせるとかできればうまくいくだろうか?

ちなみに、USBカメラの前の記事でf=1,250 mmのNexStar 5SEで同じUSBカメラで撮影した木星の画像があるので、参考までに。そちらは画像サイズそのままだが、焦点距離がほぼちょうど3倍なので、画像的には同じくらいの大きさになっている。

まあいずれにせよ、NexStar 5SEにアイピース拡大撮影で60Dのクロップ動画で撮ったものとは比ぶべくもないが、こんな画像が撮れますよ、ということで。ただし、拡大撮影にこのUSBカメラを使えば、ドットピッチは細かいのでドット数的にだけはより高解像度の画像が撮れそうだが、どうだろうか。

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アストロソーラーフィルターと巨大太陽黒点

バーティノフマスクに続いて似たような工作だが、今度はバーダープラネタリウム社のAstroSolar Safety Filmを使って、NexStar 5SE用に太陽フィルタを作成した。

今日ISSの太陽面通過が近くで見られるのを、今度はビデオカメラにテレコンとNDフィルタだけではなく、月面通過のときのように望遠鏡と一眼レフで撮影するためである。そんなつもりをしていたところに、太陽に巨大黒点が発生しているのが話題にのぼっているが、もちろんこちらの観察にも使える。

望遠鏡用の太陽フィルタは、ガラス製のしっかりしたものもあるが、ずいぶんな値段がする。一方、このバーダープラネタリウム社のものは、ペラペラのフィルムで、自分で枠を作って貼り付けるなどの工作も必要だが、それほど高価ではないので、これを使っている人は多い。

以前、望遠鏡用のバーティノフマスクを作成したときは、100円ショップでうまく枠に流用できるようなプラスチック製の製品を買ってきて分解して貼り付けたが、今回はそのときのようの載せるだけではいけなくて、鏡筒にすっぽり被せて簡単にはずれないようにしないといけない。カメラレンズやコルキット用のバーティノフマスクのときに比べて大きいので、ふにゃふにゃになってもいけないので、画用紙ではなく、「厚紙」と称したボール紙のようなものを100円ショップで買ってきた。

きれいに円形に切り抜くために、コンパスカッターも100円ショップで買ってきたが、これは試してみると、紙が厚すぎて、力を入れるときれいに円形に切れないことがわかったので、結局コンパスで描いた線に沿って普通のカッターで丁寧に切り進んだ。コンパスカッターはもっと薄手の紙用ということのようだ。

フィルムを下手に貼ると、ぐちゃぐちゃになって収拾がつかなくなるかと思ったので、まず望遠鏡にはめるための枠を作り、フィルタは別に厚紙をドーナツ状に切り抜いたものに両面テープを貼って、平らに置いたフィルムの上にそっと載せて貼り付け、周囲を切り取った。それを、先に作った枠に内側から貼り付けて完成。

フィルムはまだ余っているので、後でコルキット用のフィルタなども作ってみるか。

太陽フィルタ製作 太陽フィルタ完成

気にかけた割には結局少しシワが出ているがまあこんなものか。実際に望遠鏡に取り付けてみるとこんなふうになる。

NexStar 5SEに装着した太陽フィルタ

巨大黒点の方は、まずは太陽の端から見えてきて巨大黒点と報じられたとき、まだこのフィルタを作成していなかったので従来のND400フィルタ2枚重ねで、カメラレンズで一眼レフで撮影したのがこちら。

太陽黒点太陽 2014/10/19 13:51 Canon EOS 60D, EF-S55-250mm F4-5.6 IS II (250mm F8), ISO100, 1/500sec, ND400フィルタ×2, トリミング

その後天気が悪い日が続き、昨日まで太陽の撮影はできなかった。そして昨日、今回作成のフィルタを望遠鏡に装着して、一眼レフで直焦点で撮影したのがこちら。フィルターの色合いがずいぶん違う。黒点は、太陽が回転している間にずいぶん成長した。

太陽太陽 2014/10/25 10:39 Canon EOS 60D, Celestron NexStar 5SE (D125mm f1250mm F10) 直接焦点, ISO400, 1/2000sec, AstroSoler Safety Film

そして、ズームアイピースで拡大撮影して黒点部分をクローズアップしたものがこちら。黒点のフチのケバケバ状の様子がなんとか見て取れる。

巨大太陽黒点太陽 2014/10/25 10:52 Canon EOS 60D, Celestron NexStar 5SE (D125mm f1250mm F10), 8-24mm eyepiece projection (8mm), ISO400, 1/125sec, AstroSoler Safety Film

肝心の今日のISSの太陽面通過は、曇天のため見られなかった。残念。またの機会に期待したい。

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バーティノフマスク (その4) ― コルキット用

これまでバーティノフマスクについて記事を何回か書いてきた (123) が、今回はコルキット用のものを作成してみた。というのも、コルキットのピント合わせは単に筒を摺動させるだけなので、つまみを回しながら山を探すよなうことがやりにくく、しかもwebカメラで見ているときは拡大度も結構あるので保持が不安定なために手で持って摺動させる際に画面を揺らしてしまって動かしている間はよく画像が見えない。ますます山をつかまえるのが難しい。そこでバーティノフマスクである。

その前に、一昨年カメラ用に作ったものは、どこかにやってしまったと思っていたら、冬用の上着のポケットに突っ込みっぱなしだったことが去年の冬に発見され、紙製なためくしゃくしゃになってしまっていたので、もう一度作りなおしていた。記事にはしなかったが下の写真がそれ。枠を黒い画用紙で作ったので、白いプリンタ用紙で作った前のものより少し格好がよくなったと思う。

カメラレンズ用バーティノフマスク

今回はそれとほぼ同様の素材で、ただし筒が細いので、バーティノフマスクのフチの筒になっている部分を長くしたのと、花弁状にして貼り付けてある部分を上から黒パーマセルテープで巻いておいた。出来上がりと装着状態がこんな感じ。黒くてよくわからないかもしれないが。

コルキット用バーティノフマスクコルキット用バーティノフマスク

さて、ここまで作成したのは4日ほど前だったが、天気が悪くてなかなか実際の星で試してみることができずにいたが、今日やっと晴れたので、テスト画像を撮影してみた。ピント合わせに使うのは明るい恒星ということで、0等星のカペラで試してみた。画面全体の画像をそのまま見せるとこんな感じになる。光量が足りなかったりするのではないかと心配したが、長い立派な干渉パターンではないものの、そこそこ写っている。望遠鏡用のバーティノフマスクで一眼レフの直焦点でモニタで見ているときもまあこんな感じだった。

カペラのバーティノフマスク画像

この画像を並べるとちょっとわかりにくいので、以下は星の部分だけ切り出して拡大してお見せする。

順に、合焦時、少しだけズレた時、だいぶズレたときの、それぞれ干渉パターン像と、マスクをはずしたときの実際の恒星像である。

A干渉パターンA恒星像

B干渉パターンB恒星像

C干渉パターンC恒星像

恒星像だけ見ていると、一緒に並べて比べてみないとわからないくらいの違いも、ちゃんとパターンのズレとして判別できるのがわかる。ただ、バーティノフマスクの干渉パターンだかかなり暗くなるのでカメラの感度最大で撮影したが、恒星像の方もそのままの設定で撮影してしまったため、像が肥大してしまっているのはちょっと失敗だった。

もっと暗い星だとどうだろうかと、近くの同じぎょしゃ座のβ星の2等星で試してみたが、それでもまあちゃんとわかる程度には写っていたので、1等星が見当たらなくてもなんとかなりそうなくらいだ。

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S120カメラ内にゴミ?

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先日夕空の月を撮影した写真に、月のそばに斜めに黒い帯のようなものがうっすらと写っているのが気になった。なんとなく月から伸びているように見えるし幅も月と同じくらいなので、月の光だけ周囲よりかなり明るいために、何かデジカメ内の画像処理的に破綻して変な絵になったのかなとも思ったが、それにしては向きとかが妙だ。

そのときはそれだけで見過ごしていたが、後日夕空の写真を撮ると、また同じような場所に同じような形状の影が写った。で、これは写した画像の内容によるのではなく、カメラの光学系のどこかにゴミでもついているっぽいと認識した。普通にごちゃごちゃとした絵を撮っている分には全然気にならないのだが、こういう空のようなのっぺりした部分だと目立つ。

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また後日、カメラを横位置で撮った写真にも、画面的に同じ位置にしっかりと写っている。

IMG_2850

今までコンパクトデジカメでこういう経験をしたことはない。レンズ交換式カメラなら外から簡単にゴミが入り込むが、コンデジではいちおう密閉されているのであまりゴミの入る余地はないと思うのだが、繰り出しレンズの摺動部の隙間から入り込むのか、もともと内部のどこかにあったゴミが見えるところにやってきたのか、使っているうちに内部に何かが削れてゴミが発生するのか。

カメラで真っ白いところを映してもこの通り。ズームを最広角と最望遠にした同じように撮ってみたところ、微妙に影の位置がズレるので、ゴミは撮像素子面にくっついてるのではなく、レンズのどこかにくっついているような気がする。

IMG_2846IMG_2847

もうずいぶんの間こうなったままということは、また簡単にいなくなってしまったりしなさそうなので、影入りの写真を量産する前にさっさと修理に出すことにした。これが修理に当たるのか単なる清掃メンテナンスに当たるのかよくわからないが、まあまだもう少しのところで保証期間内なので、いずれにしろ無料で片付く。

ということでカメラを預けてきたのだが、今週の土曜日に星の撮影会があるのに、このカメラを出してしまったら60Dは星の撮影そのものに使ってしまうので、撮影中の様子のスナップを撮ったりするカメラがなくなってしまったことに後から気付いた。周囲の暗い観望会などの場面の撮影にはF1.8のS120は活躍してくれるのだが、まあ致し方ない。そのために修理に出すのを遅らせたら、今度は上がってくるのが遅れて、また別の観望会のときに手元にないということになるのかもしれないし。まあスナップは暗いと荒い絵になってしまうがとりあえずiPhoneで。

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第4回天文宇宙検定解答速報発表

予定通り昨日解答速報が発表されたので、早速最終的な自己採点を行った。自分で予想していた正解と異なるものがいくつかあったので、事前に答え合わせしていた点数よりは下がったが、それでもまあそこそこのマージンをもって合格点数に入っているようで、ひと安心した。あとは正式の合否通知を待つだけだ。

ただし、少し問題とその回答に疑問のあるものもあるが、まあ結果に影響しなさそうだし、とりあえずよしとしておくか。

問題集や過去問をやっているときから気になっていたが、正しいものを選ぶ問題と、間違っているものを選ぶ問題が混在していてまぎらわしい。もちろん4つの選択肢の正誤を全部正しく判断できていればおのずとどちらかわかるわけだが、時間が足りないからと該当すると思った方をひとつ見つけたらあとは深く吟味せずに答えてしまったりすると間違う羽目になる。これで何問か落とした人は多いようだし、自分もそうだ。一般的な試験ではこういう設問がまぎらわしそうなところには、「間違っている」というところだけ太字になっていたりアンダーラインが引いてあったりするもので、ぜひそういう配慮が欲しいと思った。

あと気になったのは、選択肢の3番が正解のものがやけに多かったこと。3がいくつも連続することも多く、こんなに3ばっかり続いていいのかと、回答者を不安にさせる。

さて、1級の問題を試しに解いてみたが、もう全然わからないので当てずっぽうで答えたものがたまたまかなり当たっていたせいもあって、合格点に達しはしなかったものの、かなり迫る勢いの点数だった。さて、しかしこのレベルの問題に多少勉強したからといって、当てずっぽうの分も含めて合格点まで持ち上げられるかというと、なかなか大変そうだ。

 

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NexStar 5SEの運搬

前後するが、先日のISSの月面通過の記事で電車で望遠鏡を運んだ際の話。

望遠鏡の運搬用には、購入時に入ってきた、鏡筒の入っていたダンボールの中箱と、その中に入っている鏡筒の形に繰り抜いた緩衝材を一緒に保存してあるので、それに入れて、折 り畳みカートに載せる。三脚は本当は何かケースに入れたいところだが、いまひとつちょうどいいサイズのものが見当たらない。先日よさそうかと思って注文し たものが、製造元でもうないといわれてキャンセルされたところだった。スキーケースに入れて見ようかとも思ったが、これはケースの方がかなり長すぎて、肩にかけるベルトのついている中間で折り返すことになり、うまく使えなかった。そんなわけで、とりあえず裸で手に持って運ぶこととした。アイピースホルダ兼用の三脚の押え板が収 まるところがないが、周囲の突出した金属板を裸のままだと危険なので、これも入ってきたダンボール箱に入れて一緒に積む。カメラや付属品一式は、いつもの大きい方のカメラバッグに入れて肩からかけるか、カートに一緒に載せる。鏡筒の箱が大きいので、電車の車 内では少々居心地が悪かったが、まあなんとか目的地まで普通に行けた。しかし、これより荷物が増えたら一人で運ぶのはちょっと持て余しそうだ。そのままでも、満員電車のときに乗るのは無理そうだ。まあとりあえず、電車が混雑していない時間帯限定で、なんとか望遠鏡の電車移動もできることがわかった。

スキーケースを試している途中に、三脚の脚のパイプが一ヶ所すっぽ抜けてしまった。以前も三脚の長さを調節する部分のプラスチックと金属パイプの接合部分が抜けたことがあった が、今度は上の端だ。どうも接着剤でくっつけてあるだけのようなのがちゃんとついてなかったのか。前のところもずっとテープを巻いたままの状態で使っているが、そのときと同様に応急措置としてパイ プを突っ込み直した状態で境目の両側にまたがるようにテープを巻いて止めておいた。運ぶときにすっぽ抜けさえしなければ、実際の使用には力のかかる向きは押し込む方向なので、前のところと同様にまあ問題ないだろう。

三脚の補修

今回は他にも壊れて、架台を鏡筒から外したときに、架台だけでテー ブルの上などに置いて倒れにくいようについているゴム足 (上の写真の上端両側に見えるもの) が、一ヶ所ベロっと取れてしまった。こちらは相手がゴムなせいか粘着性が残っていたの で、また押し付けて元に戻しておいた。使用時には三脚にネジ止めされたときに三脚のプレートと架台の間に挟み込まれてしまうので、まあ問題ない。以前鏡筒を運搬するのに、プロテッ クスのキャリーケースに入れようとしたがぎりぎり入らなかったが、いっそのことこのゴム足を取り去ってしまえば、実はうまく収まるかもしれない。そうすれ ば、ダンボール箱よりかなりコンパクトかつ運びやすくなる。

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天文宇宙検定2級受験

昨日、予告通り、天文宇宙検定2級銀河博士を受験してきた。会場は学習院大学。はじめて足を踏み入れた。

学習院大学天文宇宙検定試験会場

星検と同様に1級は2級に合格していないと受験できないので、同時受験をする人はいないため、試験時間は4級、3級と行われた後、最後に2級と1級が同時に行われる。

試験会場を見渡すと、年配の男性率が結構高い。ひとのことは言えないが。そして、それ以外の半分が女性、半分が年配でない男性、という感じか。

前の記事の書いたように、問題数が多くて時間との戦いになる。時間が足りなくなって最後の方の問題に手を付けられなかったという事態だけは避けなければならない。ところが、1問目から考えこんでしまうような問題。その後も結構悩む問題が多く、前半でかなり時間を食ってしまった。後半、あまり考えこまないようにしてペースを上げ、なんとか試験時間2分前に最後の問題にたどりついた。従って、見直ししている時間などは全くなし。

直前の勉強でチェックしていてラッキーと思った問題もあれば、新規問題で全然見当のつかないものもあった。

自己採点はしてみたが、正解の判断の難しい問題もあり、公式の正解発表を待ちたい。

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フレアスタック

承前。曇天によりほぼ全く見えなかった皆既月食を見るために用意してあった機材を片付けているところで気付いた、東の地平線の見慣れない明かり。望遠鏡を使って撮影するとこんな大きなな炎だった。

Flare Stack

周囲の建物がよく写るくらいにすると、炎の光が明るすぎて飛んでしまって形がわからないので、露出を変えて撮ったものをもう1枚。

Flare Stack

巨大な炎の形がわかる。この炎が、めらめらと形を変えながら大きくなったり小さくなったり、ゆらめいている。

手前の建物の向こう側から炎が上がっているように見えるので、実際にどこから炎が上がっているのかよくわからない。 月食を見ている最中 (見えないで待っている最中) に、どこだかでマンション火事があって、外で月食を見ていた人たちがみんなそっちを見てるみたいな情報を見たので、もしやその火事かとも思った。しかし、建物の火災でこんなに大きな炎が上ることもないように思うし。方角的には川崎の工業地帯の方なので、よくプラントで余ったガ スを燃やしたりするあれ (フレアスタックというとのこと。今回初めてその用語を知った) かもと思ったものの、あまりにも炎が大きいし、普段うちからよく夜景を眺めているのにこんなすごいのは見たことがなかった。もしかしたらプラントの事故で巨大な炎が上がっているのかもと も少し心配した。

ネットで調べてみると、何とわざわざ何が起こっているか現場まで見に行った人がいて、結局、通常よりは炎がすごく大きいが、特に事故などではなく、東燃ゼネラル石油で行われていたフレアスタックだったのだそうである。ここにまとめが出ている。

【現場画像】皆既月食の観測で見えた川崎の火事はフレアスタック 現地確認 10月8日

はるか私の家からも見えたくらいなので、かなり広い範囲で炎を目撃、あるいは空が赤く染まっているのが見られたようだ。

皆既月食よりもこちらに興奮した一夜であった。

そして、翌日もまた炎があがっているのが見られた。

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皆既月食残念記

昨夜は全国で皆既月食を楽しまれた方も多いと思うが当地では終始曇天で、ほぼ全く見られなかった。

今回の皆既月食では、各地で観望会も開催されていたが、いちおう自分の機材で写真を撮ったりもしたかったし、自宅で見ることにしていた。普段はマンションの自分の階付近で星を見ているが、今回は、裏の駐車場脇からだと東の空が開けていて地平線付近は除いて全過程を地上からでも見られることもあり、月食の時間帯も一般の人にとって常識的な時間帯に全部おさまっていることもあり、そこに機材を持ち出して、マンションの住人や道行く人達にも見てもらう「にわかご近所観望会」にしてみたいという計画だった。

まあそうすると、自分で真剣に連続撮影とかはしにくくなるが、まあそういうのは他にもたくさんの人がやるだろうから、いいことにして、天王星が近くに見えるのだけは興味深いから撮りたいなくらいに思っていた。天王星は月に近づいているのだが、月が皆既の間で一番近づいているときでも、望遠鏡の直焦点ではちょっとおさまらない位置にあるので、カメラレンズの最望遠で狙うことにしてポラリエに載せ、望遠鏡の方はみなさんに眼視してもらい、あとついでに人がたくさんいたら同時に見てもらえるようにコルキットも。という計画だった。

雲模様を気にしながら、会社を少し早く上がって、帰宅し、道すがらちょうど黄色い色をして昇ってきた満月がちらりと見えたが (このとき写真を撮っておけばよかった)、家に着いたら既に雲に隠れて影も形も見えず。どうもその後も前夜前々夜にコルキットで月を見ようとしていたときほどにも雲の隙間から姿を表す気配がないくらい曇っている。

全く見えもしないのに、道の前で望遠鏡出して待っててもアホみたいなので、雲行きがよくなるまでは、一応全部の機材は持って、自分の階の非常階段のところで待機。iPhoneでネットの情報を見ていると各地でよく見えているらしい。職場のある都内にいたら見えていたのにと思うが、致し方ない。こちらでは待てど暮らせど全く姿を見せず。

しかしやがて一瞬雲が薄いところから光が見えたので、急いで望遠鏡の自動導入のアライメントを取る。これで姿は見えなくても常に月のある場所は狙っていられるようになったが、月の姿はすぐに見えなくなって、また全然見えない状態が続く。

その後もほんの時たま姿を表すが、カメラを準備する間もなく隠れてしまうということが数度あったのみ。皆既も終わったなあと思いながら、月の方向から目を落として東の地平線を見ると、遠くに見えるマンションの明かりくらいの光が見えたりなくなってりしている。双眼鏡でのぞいてみると、なんと打ち上げ花火だった。今まで見たことはなかったが、後で方角等も確認してみると、東京ディスニーランドの花火のようだ。六本木ヒルズの屋上から何度か見たことはあるが、自宅からも見えるのはこれまで気付いていなかった。

その後また一瞬月が姿を現して、なんとか1枚は月の姿をカメラに収めることができた。

2014年皆既月食
皆既月食後 2014/10/08 20:36 Canon PowerShot S120 5.2mm, F1.8, ISO3200, 1/13sec

まだ部分食は終了しきらないが、雲が更に厚くなってもう隙間から見える気配もなさそうだし、見えたとしても今さら部分食の後半の一瞬だけ撮っても仕方ないので、もう撤収することにする。こんなことなら都内のどこかの観望会に行っておけばよかったのだが、まあお天気のことは致し方ない。

撤収作業をしながら東の地平線をよく見ると、また別の見慣れない明かりに気が付いた。上の写真にも写っている。これまた双眼鏡でのぞいてみると、大きな炎がめらめらしている。あわてて片付けかけた望遠鏡にデジイチを取り付けて撮影した。これも後で調べてわかったが、フレアスタックといわれるもの。これについてはまた別記事で詳しく。

そんなわけで、フレアスタックの方に興奮した、残念な皆既月食であった。ご近所観望会ができなかったのも残念だが、また何かの機会にやってみたいところだ。

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USBカメラ天体用改造 (その8) ― コルキットに装着

前の記事に書いたように、コルキットスピカに天体用改造USBカメラを装着して使ってみた。そもそもずいぶん以前に少し試した後放置していたUSBカメラ天体改造に再びとりかかったのは、コルキットで使うためであった。

ここまでは、自分の望遠鏡で使うために、31.7mmのスリーブを取り付けて試していたが、コルキットは接眼レンズが規格サイズで取り替えられるようになっているものの、最近の一般的な望遠鏡で使われている31.7mmのアメリカンサイズではなく、昔よく使われていた24.5mmのツァイスサイズといわれるものである。簡単に両方に使い分けられるように、カメラには太い方の31.7mmスリーブを付けたままで、そこに取り付けて24.5mmに変換するアダプタを使ってコルキットに装着すればいいと考えた。太い方から細い方に変換するので、あまりうまくないができなくはなさそうである。市販品もないことはなさそうだが、ただの筒にいい値段がするので、望遠鏡、カメラとも安価な今回のセットには相応しくない。塩ビ製の水道管ジョイントのようなもので、ぴったりの太さのものはないので適当な太さのものを買ってきて、片方は31.7mmスリーブの内側に、片方は25.4mmより少し細くなるように (後で現物合わせするため) パーマセルテープを巻きつけて太さを調整。パイプの内側にも迷光を避けるために、パーマセルテープを貼っておいた。

これで、当日組立てたコルキットのアイピース部に、太さ合わせをして差し込めばOKと思っていたが、太さ合わせをする前はスカスカのつもりが既に非常にきついくらいだった。後でよく調べたら、ツァイスサイズは1インチの25.4mmかと思い込んでいたが、実際は24.5mmだった。元のパイプがそれより太くなくてよかった。

ともあれアイピース部にカメラは装着できて、窓の外の建物に向けてみるが、実はこちらは少々予想して心配していた通り、コルキットの接眼筒を一番奥まで入れてもピントが合わない。カメラの撮像素子はカメラの本体の表面より奥の方にあって、本体の表面に31.7mmスリーブが付いて、その先に24.5mmのアダプタがついているので、ずいぶん長くなっている。結像面が接眼筒の口からかなり離れたところになってしまうので、そういうことになる。それで、アダプタ使用による31.7mmサイズとの共用はあきらめて、パーマセルテープで貼り付けてあった31.7mmのスリーブを剥がして、アダプタにしていたパイプを直接カメラの本体に貼り付け直した。

24.5mm用改造USBカメラ

これでピントも合うようになったが、前に書いたように、ピントをきっちり合わせるのも、目標物にきっちり向けるのも、少々難しい。とはいうものの、講座で課題の看板の文字も、東京タワー先端部のアンテナエレメントもきっちり確認できた。と、ここまでが、講座の当日。本当は晴れればポラリエとしっかりした三脚を持って行こうと思っていたが、観望会はなさそうなので、荷物になるので持って行っていなかった。

講座翌日も台風接近の影響で天気が悪くてなかなか実際の夜空に向けられず、一昨夜はときたま雲の隙間から月が顔を見せるのでがんばったものの、見えたと思って作業し始めたらすぐに隠れてしまうのを繰り返すばかりで、結局全然撮れなかった。昨夜も雲が多いなか、隙間を縫ってもう少しよく月が見られたので、なんとか皆既月食前夜の月をコルキット+改造USBカメラで撮影することができた。下はその様子。パソコンを床近くに置いているので、月の写っているパソコンの画面を入れながら実物の月までは一緒に撮れなかった。

KOL-Kit Spica w/ USB Camera

そして、このとき撮影した動画の1コマ切り出したものがこれ。

Moon by KOL-Kit Spica w/ USB Camera
2014/10/07 Logicool C270, Orbys KOL-Kit Spica (D40mm f420mm F10.5)

結構前を雲が流れていて、なるべく雲の薄いコマを取り出したが、それでも動画で見ていると結構雲がかぶっているのがわかるのだが、静止画にしてしまうと、重なっている雲が模様のようにはっきりと見えるわけではないので、なんとなく全体にぼやけてるように見える。

もともと満月近くなので、全体にのっぺりした絵になってしまうのが、余計にぼんやりしてしまった感じだ。

画面左半分に黒い点が3つあるが、これは撮像素子面についたゴミ。後で掃除したらなくなった。元のカメラのレンズを取り外してむき出しになってしまっているので、ゴミが着くのはある程度仕方ない。

また、画角はこんな感じで、短辺が月の直径の半分くらいか。迫力がある感じはするが、月全体が見えるわけでもなく、細かいクレーターが仔細に見えるわけでもなく、ちょっと中途半端な感じもする。

月が欠けた頃に、そしてもっときれいに晴れてるときに、欠け際のクレーターがどのくらいに見えるか、また見てみたい。

元の動画はこちらに。こちらも、動画再圧縮のせいで、余計にのっぺりしてしまっている感じがする。

あと、動画のキャプチャには (その5) の記事で紹介したSharpCapを使っているが、圧縮コーデックの選択ができないのかよくわからなくて、全部生で記録されているので、ファイルサイズが非常に大きくなってしまって困る。もうちょっと調べるか、別のキャプチャソフトを探してみよう。それもあって、この動画は最高解像度ではなく、640×480で記録した。CPU性能ということもあるが。

それから、高解像度の設定だとモニタしている画面がはみ出てしまうことを (その7) の記事に書いたが、それは、SharpCapに表示のズームの機能がちゃんとついていて、縮小すればいいことがわかった。

最後に、USBカメラとは関係ないが、コルキットスピカにPowerShot S120でコリメート撮影して撮った画像。低倍率のアイピースでカメラ側を望遠にするのと、高倍率のアイピースでカメラ側はあまり望遠にしないのとどちらでもできるが、これは後者の方。

Moon by KOL-Kit Spica w/ S120
2014/10/07 23:06Canon PowerShot S120 (10.8mm F3.5 ISO 100, 1/50sec), Orbys KOL-Kit Spica (D40mm f420mm F10.5), 12mm eyepiece, collimate, trimming

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