2016年5月 のアーカイブ

火星の大きさの見え方の変化

前回の火星小接近から2年余りが経ち、再び火星が地球の近くに巡ってきて、まもなく最接近を迎えようとしている。今回の接近は、更に2年後の大接近のひとつ手前で、そこそこの距離に近づく「中接近」といっていい。今回は、接近の少し前から撮影していた画像を並べて、地球に近づくにしたがってみかけの大きさが大きくなっていく様子を比べてみたい。たまたま、ちょうど17日間隔で撮影できていた。

Mars

画像がボケていてちょっとはっきりしない感じもあるが、確かに順次大きくなってきているのがわかる。既に、土星の本体の部分よりも大きく見えるようになってきている。

再来年の大接近では、今回の接近より更に1.3倍くらい大きく見えることになり、楽しみである。

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土星の環の見え方の変化

火星の接近が近づいているが、土星も火星の近くに見えて、衝が近づいている。大接近の1周前の中接近の火星の明るさに比べて、土星は暗くて、なかなかよく撮れない。それでも撮影した毎年の画像がたまってきたので、環の見え方の比較のために並べてみた。

土星の輪の変化

最初の2013年ではまだ土星の極の部分は環よりもはみ出して見える。普通土星の絵を描くときはこういう角度だろう。2014年~2015年にかけて環が本体の端を超えていき、今年2016年では完全に環が本体より開いて見えている。これでほぼめいっぱに近く、来年もまあそんなに違わないくらいかもしれないが、その後はまただんだん見え方が細くなっていく。とはいえ動きはゆっくりで、環の消失は2025年とまだずいぶん先の話だ。

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空のきれいなところで初望遠鏡撮影

私はたいてい自宅や市街地で星を見て写真を撮っている。空のきれいなところに出かけたことも幾度かはあるが、荷物になるのが大変で望遠鏡は持って行かなかったり、星仲間の合宿でみんなでわいわいしながら観望はしてもじっくり写真を撮ることはしなかったりで、これまでそういうところでカメラレンズで撮ったことはあっても、望遠鏡での撮影をしたことがなかった。

今回初めて、撮影メインで空のきれいなところにでかけて望遠鏡での写真も撮ってきた。しかし、結論から言うと、空のきれいなところに行って写真撮影するには、NexStar 5SEでは力不足。そもそも写真撮影に不向きなのは承知ではあるが、都会で撮るのに使っていてちょうどいいのだということを再認識した。

何がダメかというと、やはり長時間露光できないということ。空のきれいなところに行っても、天体の明るさが増えるわけではなく、背景が暗いだけだから、長時間露光してナンボである。購入前に気づいていたように、経緯台では視野回転のためにある程度以上の露出時間はかけられないが、それは簡易赤道儀モードにすることでNexStar 4/5SEでは回避できる。しかしながら、それ以前に、架台がちゃちなので、長時間シャッターを開けているうちに必ず振動でブレてしまう。これが不思議なのは、少しずつブレが増えていくのではなくて、30秒にしてもぴったり止まっているときは止まっているが、8秒くらいでもブレるときは大きくブレている。時間内にときどき大きくブレるときがあって、それがその回のシャッター時間内に入ってくるかこないかの確率が増える、という感じである。

いずれにせよ、都会では背景が白くなってしまうので、そんなに長時間露光することはないので、そんなに問題にならずに、その範囲で撮れる対象だけを撮っていたわけだが、せっかく空のきれいなところに行って、淡い天体を撮ろうとしても、結局この架台ではうまく撮れないというわけである。しっかりした赤道儀が欲しくなる。

そんなわけで、せっかく空のきれいなところに行ったのにたいした写真が撮れてないのだが、ともあれ撮ってきた写真を乗せておこう (前置き長過ぎ)。あまりうまく撮れないので惑星も撮ったが、これは自宅で撮ったものと変わりばえしないので割愛。

M104 ソンブレロ銀河 (おとめ座)

春の空ということで、おおぐま座あたりの銀河などを狙おうと思っていたが、NexStar架台の制約で、カメラが台座にぶつかるので、あまり天頂付近のものは撮れず、そのあたりは夜中過ぎて西に傾いてくるのを待って、まずは南の空のこちらから撮ってみた。これはブレないコマ数を稼げたおかげで、今回撮った中ではいちばんまともに思う。

M104M104 Sombrero Galaxy 2016/05/04 22:11~ Canon EOS 60D, Celestron NexStar 5SE (D125mm f1250mm F10) prime focus, ISO12800, 15sec×24, StellaImage7, trimming

M13 球状星団 (ヘルクレス座)

これはブレなし画像が2枚しか取れなかった。

M13M13 Hercules Cluster 2016/05/04 22:50~ Canon EOS 60D, Celestron NexStar 5SE (D125mm f1250mm F10) prime focus, ISO6400, 15sec×2, StellaImage7, trimming

リニア彗星 (252P)

少し前に最大光度を過ぎて、今は暗くなりつつある彗星。現場で見たときはモニタではまるで写っていない感じであきらめたのだが、よくみるとかすかに写っていたので、少し無理をしてあぶり出してみた。それならもっと数を撮っておくんだった。

彗星はもうひとつC/2013 X1 PanSTARRSを狙おうと思っていたが、東の地平線は見通せない場所で、見ることができなかった。

252PComet 252P/LINEAR 2016/05/04 23:01 Canon EOS 60D, Celestron NexStar 5SE (D125mm f1250mm F10) prime focus, ISO12800, 30sec, StellaImage7, trimming

M101 回転花火銀河 (おおぐま座)

これは最高感度でも120秒も露出をかけないと姿が現れず、それではいくら撮っても流れていたが、唯一1枚だけ流れていない画が取れた。なんとか形状の輪郭がわかるかなという程度。

M101M101 Spiral Galaxy 2016/05/05 01:14 Canon EOS 60D, Celestron NexStar 5SE (D125mm f1250mm F10) prime focus, ISO12800, 120sec, StellaImage7, trimming

南の空の天の川と土星・火星・アンタレス

望遠鏡ではなくカメラレンズでも撮影した。荷物になるのでポラリエは持って行かなかったので、広角の撮影ならブレの問題はないと、NexStarの架台にカメラを乗せて撮影したが、視野回転は画角の広さにかかわらず起きるので、周辺だけ日周運動とは違う方向に流れた変な画になってしまった。

Milkyway, Saturn, Mars and AntaresMilkyway, Saturn, Mars and Antares 2016/05/05 01:39 Canon EOS 60D, SIGMA 10-20mm F3.5 EX DC HSM (12mm F4), ISO800, 180sec, Kenko PRO SOFTON-A(W), Canon DPP

夏の大三角と天の川

こちらもNexStar架台に乗せて撮影したが、昇ってきた東方向なので視野回転の影響はほとんどない。

Summer Trianble and MilkywaySummer Trianble and Milkyway 2016/05/05 02:03 Canon EOS 60D, SIGMA 10-20mm F3.5 EX DC HSM (12mm F4), ISO800, 240sec, Kenko PRO SOFTON-A(W), Canon DPP

昇るカシオペヤ座

ちょっと焦点距離を長目にして撮った、昇るカシオペヤ座

Cassiopeia

Rising Cassiopeia 2016/05/05 02:52 Canon EOS 60D, EF50mm F1.8 II (F1.8), ISO800, 30sec, Kenko PRO SOFTON-A(W), Canon DPP

全天ぐるぐる

そして最後にリコーTHETA Sで撮った星空を比較明合成したもの。今回の収穫はこれが一番かもしれない。

全天ぐるぐる全天ぐるぐる 2016/05/04 21:24~ RICOH THETA S, 1.31mm, F2, ISO400, 60sec×70, KikuchiMagick, Photoshop 7.0

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プラレア巡り(16) 黒部市吉田科学館

プラレア巡り、このゴールデンウィークの2日目、4月30日には黒部市吉田科学館に行ってきた。しばらく前からリニューアル工事のため閉館していたが、いよいよGWに合わせて4月29日にオープンしたもの。オープン初日は国立天文台の渡部先生の講演があったのだが、思いつきで行くことにしたため計画が間に合わず、始発電車ででかけないといけなさそうなのに朝早起きしなかったのでパス。2日目に行くことにした。

なぜ始発で行くかというと、近くに一緒に行けるプラレア館はないものの、以前から行ってみたいと思っていたコスモアイル羽咋 (はくい) という施設がさほど遠くないところにあり、そちらもあわせて行くには時間がきつくなるため。始発で行くと初回投影の時間に間に合って時間に余裕ができる。そんなわけで、始発電車に乗ってでかけ、一番早いかがやきに乗って富山に向かう。

かがやき

富山からあいの風とやま鉄道で生地 (いくじ) 駅へ。駅から科学館まで歩いて10分ほどの道の途中でYKKが見える。この科学館はYKKの創業者吉田氏の寄付でつくられたもの。

YKK

科学館に到着。

吉田科学館

初回投影の25分前には到着したのだが、既に整理券が配布終了。この日の初回投影は子供向けの妖怪ウォッチの番組だったせいもあって、子供連れがたくさん来ていた。仕方ないので2回目の投影の整理券の配布を待つことにして、まずはプラレアのチェック。

ここのプラレアポイントは、今回リニューアルした投影機ではなく、展示してある魚津市立西部中学校に吉田氏が寄贈して使われていた後、校舎新築を機にこちらで保存・展示されることになった、五藤光学の、五藤光学としては珍しい鉄アレイ型の、しかも恒星球はピンホール式の投影機、マーキュリー。

マーキュリーマーキュリー マーキュリー マーキュリー

小さな箱の上に2つだけ載っている星座絵投影機は、東京海洋大学でたくさん並んでいるのを見たのと同じものか。矢印型ポインターが手前に置いてあったのに、写真では半分切れてしまって残念。ピンホール球には、1等星以上と2等星の一部の明るい星だけ小さなレンズをつけて明るい点に映すようになっている。普通のプラネタリウムならブライトスター投影機は別の場所に取り付けられているが、直接その星の位置に取り付けられているのはピンホール式ならでは。

さて、私の他にも第1回の投影を見に来ようとしてあぶれてしまった子供連れが多数いて、ドームの周囲の通路スペースにある実験の展示などのエリアは子供たちでいっぱいな状態。そんな中のんびりしていたら、第2回の整理券の配布開始といっていた時刻のずっと前からいつの間にか整理券待ちの行列ができていて実験展示を見ている子供たちと区別がつかなくなっていた。あわてて列の最後らしきところに並ぶ。

そして、整理券の配布がはじまって、手にした整理券の番号は、全部で200枚のところ、133番。整理券の配布が終わるともう入場の列ができている。整理券があるので席が確保されているといっても、あまり端の席になったりしても嫌なのでまた並んでおく。

第2回の投影は星空案内と3D宇宙旅行。3D宇宙旅行はリニューアルで導入されたMitakaの3D投影で、入場時に偏光メガネが配られる。

ドーム内は、前方が今回のリニューアルで設けられた寝転がって見られるスペース (最近の流行り?)。

寝転がれるスペース

ドーム内の照明がともっていると、ドーム天井の継ぎ目が目立つが、実際に星空を投影しているときは気にならない。

ドーム天井

MS-20ATの投影機自体は、リニューアルされているが外見的にはあまり変わらない。ガワはそのままに、内部のプロジェクター部分をLED光源の新しいものに取り替えたりといった改造が行われたとのこと。

MS-20AT MS-20AT

そして、今回追加されたMedia Globe Σ。単眼式のデジタルプラネタリウムのプロジェクターが、3D投影用に2台並べて設置されている。

Media Globe Σ Media Globe Σ

プログラムは前半が光学式投影による星空案内。後半からデジタルに切り替えて、Mitakaの3D投影。デジタル投影の際には、光学式投影機が影になるので、下に沈んでいく。先日の和歌山では、恐ろしく大きな音を立てて沈んでいったが、こちらはとても静かだった。終了後、お客さんがはけていくまで沈めたままだったので、沈んでいるところを上から撮影することができた。

沈下格納される投影機 沈下格納される投影機

今回は、リニューアル記念の特別期間ということで、観覧料が無料になっていて、チケットがないので、プラレア巡りの人は半券を渡すので事務室に来てくださいと張り紙がしてあった。事務室に行ってみると、くれたのは招待券だった。まあこれをガイドブックに貼っておく。スタンプは何種類かあったが、ガイドブックに薄墨で描いてあるのと同じ柄のものを押しておいた。

リニューアル記念のイベントとして、前日に続いてこの日は午後から地元出身の星景写真家の大西浩次氏の星景写真教室とギャラリートークがあったのだが、午後は羽咋に行く予定なので、大西さんの話はCP+なんかで聞いたこともあるし、まあ聞けなくてもいいやと思ってていたが、チケットをいただいた係の人からも勧められ、午後は別の予定が…、と言ったら、もういらしてるのでじゃあ挨拶だけでも、と連れていかれて、大西さんに挨拶することに。まあ、列車の時刻の関係で最初の方少しだけなら聞くことはできたが、途中から抜けるというのも失礼なので、挨拶の後は、館を後にして、羽咋に向かった。

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