点対称位置に結像するゴースト

最近、たて続けに、全く別々の知り合いが撮った写真で2件、点対称位置に結像したゴーストの写っている写真を目にした。


一応パンスターズ彗星 – 47才の春だから


morning sun Photo by 758758 – Instagram

前者は直管蛍光灯の街灯の光が、後者は太陽が、それぞれゴーストとなって画面中央の点をはさんで点対称の位置に光源と同じ形状の像を結んでいるのが特徴だ。(光源自体は明るすぎてハレーションを起こして本当の形状が見えなくなってしまっているが。) 後者は、点対称の中心が少し画面中央からズレているようだが、Instagramに載せるのに正方形にトリミングする際に少し寄せたためと思われる。

カメラレンズ内の意図しない光の反射で偽の像が写るのがゴーストだが、きっちり対称位置に像ができるのはどういう理屈だろうと、ふと思った。これまでそういう理屈を考えたこともなかったし、何かそんな解説を読んだり聞いたりしたこともなかった。もしかしたらカメラに詳しい人には常識なのかもしれないが、まずは自分なりに考えてみた。

ゴーストの説明は、たいてい、カメラ内に入った光が内部のレンズ面などで何度か反射して発生する、とまでくらいしか書かれていない。レンズは普通複数のレンズで構成されているので、その色々な面で反射は起こり得るが、曲面で反射すると話はあまり簡単にならない。きっちりした位置に、きっちり像を結ぶためには、平面が必要である。

レンズの一番外側に平面のガラスがはまっているものを考える。全光路を重ねて書くと、同じところを通る光もあってややこしいので、3つに分けて描いてみる。実際のレンズ部分は複数枚で構成されているが、ここでは簡単のために1枚の凸レンズで等価として説明する。

ghost1

まず最初に、無限遠からの平行光線としてやってきた点光源がレンズによって像を結んでいるところである。撮像素子に届いた光は、素子に吸収されて電気信号となるものもあるが、一部は素子表面で反射してしまう。

ghost2

こちらの図はその反射した光の進んでいく様子である。像を結んだ位置が端に寄っているので、全部の光が戻っていくわけではないが、レンズに向かった光は、入射してきた光路を逆にたどるように同じ角度に屈折するので、レンズを出たところでは平行光線になっている。この平行光線は、実際はほとんどはそのまま平面ガラスを通過して、光源の方向に向かって外界に戻っていくが、一部は反射してまたカメラ内に戻る。

ghost3

平行光線が平面で反射したので、あたかも別の方向の外界からやってきた平行光線かのようになって再びレンズを通る。当然、レンズは無限遠にピントが合っているので、撮像素子面に像を結ぶのだが、反射の角度の対称性により、元の像の位置とはちょうど反対側の位置になるというわけである。

上の図をながめながら、反射する場所が平面でなく、レンズの曲面だったと考えてみる。撮像素子から反射した光が、レンズの撮像素子に向いた凸面で反射したとすると、結果として光は大きく広がってしまい、結像しない。画像のコントラスト低下の原因にはなるが、ゴーストの像はできないだろう。何枚ものレンズで構成されていると、凸面や凹面の反射の組み合わせで、うまく像を結ぶこともあるかもしれない。しかし、点対称の位置にきっちり像を結ぶといえば、やはりレンズの外側にある反射を起こす平面の存在が重要ということになる。実際、最初に示した2枚の写真で、最初の方は本人も書いているように、プロテクタを装着している。2枚目の方の写真は、iPhoneで撮影したものだということである。iPhoneはカメラのレンズの最前面には平らなガラスがはまっている。

さて、ネットを検索してみたところ、「ゴーストの話(2) 恒星(彗星)状のゴーストの発生条件と位置」というところで、明快に考察されていた。また、ここに盛大なゴーストの例があった。特に2枚目の方の写真は対象位置になっているのがわかりやすい。解答にはプロテクタが原因と指摘しているものもあれば、そうでないというものもあるが、どうだろう。

  1. コメントする

コメントを残す