お気軽撮影ズームアイピースアダプタ

テレスコ工作工房さんで作っている、「お気軽撮影ズームアイピースセット Power Shot S120専用」の、アダプタ部のみを購入した。コンデジでのコリメート撮影をお手軽にしようという機材。コンパクトデジカメを望遠鏡に取り付けてコリメート撮影するためのアダプタとしては、汎用の色々なカメラが取り付けられるようになったアダプタはビクセンなどから販売されているが、カメラごとに位置合わせが必要できっちり合わせるのは面倒そうだし、取り付けにも不便そうである。このアダプタは、アイピースに短い筒状のアダプタを取り付けるだけで、アイピースで眼視している状態から簡単にカメラで撮影できるようにしようというもの。ただし、それぞれに直接取り付けるようにするため形状が専用になってしまう。どんなカメラでも、どんなアイピースでも、というわけにはいかない。そのPowerShot S120用が新しく出たので購入した次第。

もともとセレストロン8-24mmのズームアイピースとアダプタをセットにして販売されているものだが、私は以前の記事に書いたようにこのアイピースを持っているので、必要なのはアダプタ部分だけである。融通のききそうなところなので、アダプタ部分だけ欲しいのだがと問い合わせてみると、セットの購入申込者多数のため、その後回しになるとのこと。まあ気長に待つか、と思ってそれで発注したが、結局最初のロットで届けてくれたようだ。

届いたのは、これだけ。

お気軽撮影ズームアイピースアダプタ

写真で上側がカメラを装着する部分。S120の繰り出し鏡筒の太い部分 (コントロールリングではない) にぴったり合う内径になっていて、望遠鏡のアイピースを止めるようなネジで止めるようになっている。ただしカメラを傷付けないように柔らかいプラスチック製である。下側にはTマウント用のメスネジが切ってある。その部分をズームアイピースの見口のゴムをはずした部分と組み合わせるとこうなる。

お気軽撮影ズームアイピースアダプタ+ズームアイピース

カメラに取り付けると、こうなる。実際は、先にアイピースを望遠鏡に取り付けておき、撮影時にカメラを差し込むという使い方になる。

お気軽撮影ズームアイピースアダプタ+ズームアイピース+S120

昨日、六本木ヒルズでのラブジョイ彗星観察会から帰ってきた日のお昼頃に届き、とりあえず自分の望遠鏡にセットしてみて使えるか一応確認してみた後、その夕方に表参道の宇宙かふぇで観望会が行われるので、それにアイピースごと持って行った。そこで、自分の望遠鏡でよりも先に、コボーグやビクセンのA80Mfにセットして試し撮りをした。みなさんが眼視でみておられる合間を縫っての試し撮りだったのと、自分がS120の操作にまだ慣れていないのでなかなかテキパキといかず、あまりサンプルとして出すような写真が撮れてなかったので、撮影画像はまた後ほど載せることにする。

使ってみて気付いたことをいくつか。まあ、もともとわかっていたこともあるが、実際に現物でそうだと確認したことも。

レンズの繰り出し

まず、カメラをズームすると繰り出し鏡筒が回転するが、アダプタを締め付けていると、一緒に回転してしまうので注意。更に、アダプタの筒は内側に段差があって、ある深さより奥は内径が小さくなって筒が厚くなっている。口から段差までの長さは、カメラのズームを伸ばしたときの長さより短いので、ある程度以上のズームにするとアダプタがカメラの根元まで差さらない。また、ズームにあわせて前後するので、伸び出た位置で締め付けて、レンズが縮むようなズーム操作をすると無理な力がかかることになるので要注意だ。長い間放置すると、オートパワーオフとともにレンズが縮んでしまうが、これも要注意だ。オートパワーオフの時間をなるべく長くしておくか、撮影したらなるべくすぐに取り外すように心がけた方がよさそうだ。

ケラレ

コリメート撮影だし、S120は広角側は24 mm相当とかなり広角なので、そもそもズーム全域でケラレないということは期待していなかった。では、どこまでケられて、どこまでが画面いっぱいに写るのか。もちろん望遠鏡側の視界にもよるかもしれないが、とりあえずアイピースとの組み合わせだけで試してみた。そのときの取り付け加減で多少の違いもあるだろうし、あまり細かく調べても仕方ないので、コントロールリングにズーム機能を割り当てたときのステップズームのズーム値ごとに調べてみた。

アイビース側の焦点距離が24 mmのとき、カメラのズームが50 mmではケられて、85 mmではケられない。アイピースが8 mmのときは、35 mmではケられて、50 mmでケられない。先の、アダプタの筒の内側が厚くなっているところに当たるのも50 mmを越えて85 mmまでの間なので、まあ特に拡大したいわけではないときは50 mmで使っておくのがいいのではないだろうか。

アイポイント

アイピースを望遠鏡に取り付けて眼視で天体を見たまま、すぐにカメラを装着して簡単に撮影できる、というのがこのアダプタセットの売りだが、実際にはアイピースにアダプタを取り付けたままアイピースを覗くと、かなりアイポイントが離れてしまうので、視野全体を見ることができない。もともとの見口のゴムよりもアダプタの方が1センチ半くらい長いので仕方ない。メガネをかけていない人なら目をアダプタに密着するくらいにして見ればそれほどでもないのかもしれないが、私はメガネをかけているのでそうもいかず余計に見にくいのかもしれない。しかし、多少覗き込む位置をずらして、空中にある仮想の穴から眺め回すようにすると、アイピースで見える視界を全部見ることは、一度にではないが、できることはできる。