ASI290MCで惑星撮影 (その2)

前の記事は、新しい機材を導入したといいながら、撮影した木星の写真だけで、どんな機材かの紹介を全然していなかったので、撮影時の状態を紹介しておく。

その前に、まずはこれまでの状態から。

Zoom Eyepiece + 60D

8-24mm Zoom Eyepieceを購入したときの記事で、カメラにTリングを介してアイピースを接続している写真は載せているが、望遠鏡に装着した全体像は紹介したことがなかったように思う。一般的なアイピース拡大撮影の場合は、アイピースの外側を囲うような筒で望遠鏡本体とカメラが接続されることになるが、ここでの構成では、アイピースの見口側についているTネジで直接カメラのTリングに接続できる。望遠鏡側には、ビジュアルバックというのがついていて、これは、鏡筒本体の大きな穴から、31.7mm径のアイピースを取り付けられる穴に変換するもので、通常、アイピースで眼視観測する場合はこれを装着した状態で、普通のアイピースを挿入して使用しているもの。ここでは、その眼視用のアイピースのかわりにズームアイピースと一体になったカメラを挿入している。

一般的な直焦点の撮影では、このビジュアルバックを取り外して、Tネジのついたアダプターに取り替えた上で、カメラのTリングと接続する。その場合の様子は、カメラ購入時の記事にある通り。

直焦点の場合ですらカメラ側が重くて前後バランスが悪そうなのだが、アイピース拡大撮影の場合は、アイピースの長さが加わって余計に前後バランスを崩している。鏡筒はアリガタレールの一番端まで寄せたところでクランプしているので、これ以上鏡筒を前にずらしてバランスは取れない。しかも、アイピース差込口の部分はスリーブを挿入して横から小さなネジで押さえるだけの構造なので、その後ろにあるアイピース+カメラの全重量を支えるにはいささか心許ない。

とまあ、こんな状況だった。

そして、今回の状態。

3x Barlow + ASI290MC

一眼レフの場合と比べると、ビジュアルバックを使ってアイピース同様の装着の仕方をしているのは同様だが、まあだいぶ軽くて負担が少なくはなっていそうである。

ASI290MCというカメラは赤色をした部分。このカメラを使って撮影と言っているが、実はこのカメラだけではない。間に3倍のバローレンズが入っている。これは惑星撮影ではとても一般的な構成だ。基本形としては、USBカメラは直焦点として使用されているわけだが、そのままでは対象が小さくてあまり大きく写せないので、バローレンズで拡大するわけである。他の機材がだいたいセレストロンなので、バローレンズもセレストロンのX-Cel LXというものを購入したが、実は、今回は使用していないが、ADC (大気分散補正プリズム) というものを使うときに、間にそれを入れたときと入れないときで、拡大率の変わらないテレセントリックというタイプのバローレンズがいいのだそうだが、これはどうもそうではないようだ。

一眼レフの場合と大きく違うのは、カメラの部分までで完結するのではなく、画像を保存するために、ケーブルでつないだ先にパソコンが必要なこと。それが、昨夏に買ったオプションキーボード付きのWindowsタブレット。ところで、カメラとパソコンはUSBケーブルで接続するわけだが、カメラに付属してくるUSBケーブルがやけに太いもので、そのまま接続するとケーブルにカメラが引っ張られてしまいそうなので、細めのUSBケーブルを別途購入してきて使っている。一眼レフで使っているリモートレリーズのケーブルくらいしなやかならいいのだが、このUSBケーブルでも細いとはいってもそこまでではないが、まあこのへんで我慢しておく。

USB Cables
カメラ付属のケーブル(左)と別途購入したケーブル(右)

そしてパソコンというかWindowsタブレットだが、まあキャプチャするための性能的には問題なくて、USB3.0の付いたパソコン相当のものが安く買えたのはよかったが、使い勝手からするとちょっと失敗だったかなとも思う。Windowsタブレットで、タブレット専用のアプリを使う分にはいいかもしれないが、やはりタブレットだけで普通のWindows用のソフトを操作するのは困難だ。結局タブレット単体ではなく、一緒に買ったオプションのキーボード+タッチパッドを使って操作することになる。ところが、タブレットのオプションのキーボードは折りたたみ式のケース一体型のタイプで、キーボードを取り付けたからといって通常のノートパソコンのように画面とキーボードがしっかりしたヒンジでつながった状態になるわけではなく、画面はケース外側の半分を折りたたんで三角形にして支えるタイプのものなので、せっかく小型なのに接地面積はたくさん必要だし安定も悪く、屋外で望遠鏡の脇で使うにはあまり快適ではない。画面が本体にしっかりくっついている普通のノートパソコンの安いものを探した方が、外で使うにはよかったかもしれない。

また、内蔵記憶が64GBのeMMCしかないので、残り空き容量があまりない一方、USBカメラからのデータは非圧縮のAVIファイルなどになるので、ちょっとキャプチャしただけであっという間に大きな容量をくいつぶしてしまう。これは、マイクロSDスロットに容量大きめのSDカードを入れて、直接そこにキャプチャし、そのカードを抜いてデスクトップ機に挿入して読み込むことにした。

最後に、今日未明撮影した火星。

Mars
Mars 2018/05/27 02:28 ZWO ASI290MC, Celestron NexStar 5SE (D125mm f1250mm F10), X-CelLX 3x Barlow Lens, AutoStakkert!3, Registax6, Trimed.  Duration=180s, Shutter=15ms, Gain=250 (41%), 25% of 7483frames

  1. ASI290MCで惑星撮影 (その6) ― ADC(大気分散補正プリズム) | 世事不可强求

コメントを残す