H-IIAロケットによる夜光雲を撮影

なかなかblogに書くのが遅く、時系列的にも前の記事と半分前後するが (リュウグウの撮影よりは後、はやぶさ2の撮影より前)、2020年11月29日に種子島から打ち上げられたH-IIAロケット43号機の打ち上げによって発生した夜光雲を平塚の海岸から撮影することができた。

H-IIAロケットによる夜光雲
H-IIAロケット43号機による夜光雲 2020/11/29 17:25 Canon EOS 60D, EF-S55-250mm F4-5.6 IS II (109mm F5), ISO800, 4sec, Topaz DeNoise AI, Photoshop CC

関東地方からはるか離れた種子島から打ち上げられるロケットだが、特定の条件を満たすと、その航跡にできる雲が夜光雲として見えることがある。2017年の1月の32号機でも同様の現象が見られたが、この日は平日で普通に仕事をしていたので見ることができなかった。条件とは、まず、打ち上げるロケットの軌道が東方向に向かって打ち上げられ、関東南方上空を飛んでいくものであること。極軌道という地球を縦に周る軌道の衛星を打ち上げる場合などには、こちらから見える方向に飛んでこないので見られない。もうひとつは、地上では日が沈んでいて暗く、上空高くでは太陽の光が当たっているという状況になる夕方の日没後か未明の日の出前であること。これは人工衛星が見える条件とも似ている。

今回の打ち上げが、そういう条件に合いそうだということで事前に情報が飛び交っていた。運良く日曜日でもあるので、ぜひ見ようと思い、最近自宅の近くに開拓した南西方向が比較的地平線近くまで見える場所で見ようと思っていたが、当日になってみると天気があまり思わしくなく、見られなさそうであった。SCWを見ると、西の方なら曇ってなさそうである。小田原あたりまでいけば天気は大丈夫そうだが、地形的に西方向が山になってくるのでうまくない。酒匂川河口あたりならどうだろうかと思ったが土地勘のない場所なのでどうしたものかとか考えていたが、遠くに行くには時間がかかる。悩んでいるうちに、打ち上げ時刻に到着するには間に合わなさそうになってきた。方針を変えて、お天気は少し微妙でももう少し東で早く行けて南西方向がよく見通せる場所で、たまたま今年一度行ったことがあって勝手のわかる場所ということで、平塚の海岸にあるひらつかビーチパークに向かうことにした。

到着時の空

高速を飛ばして無事打ち上げ時刻前に現地に到着し、ネット中継を聞きながら、すでに店じまいした建物の壁の前でカメラをセッティングした。種子島も天気は曇りで、打ち上がったロケットはすぐに雲に突っ込んでしまった。こちらは現地到着時にはすでに日は沈んではいるもののまだまだ空は明るかったが、空は結構雲で覆われているものの、多少晴れ間は見える。実際は打ち上げ時刻に間に合う必要はなくて、ロケットは飛んでいった後だが、空が暗くなってこないと見えないので、そのくらいの時刻には酒匂川にも到着できたかもしれないが、まあやはり時間の余裕もあった方がいいので、ここにしてよかっただろう。

あとは、暗くなって夜光雲が見えてくるのを待つだけだが、なかなか見えてこない。天体現象のように、ピンポイントでどの場所に見えるというのがわからないので、おおむね南西方向を探しているが、なかなかみつからない。雲はどんどん増えてくるが、地平線との隙間には晴れ間が残っている状態。17:05に種子島からのツイートで現地で夜光雲になっている雲が見えているという情報が入ったがまだこちらでは認められず。17:18に思っていたよりも少し西よりの位置にやっと見えだした。そこからだんだんはっきり見えるようになってきて、17:25に撮った一番よく写っていると思えるのが最初に載せた写真。空はかなり雲で覆われていたが、南西の方の伊豆半島の稜線との間にわずかな晴れ間にちょうど夜光雲が見えて実に幸運だった。高度にしてほんの数度である。

その後しばらくしてからだんだん空に溶け込み始めて、17:38頃にほぼ見えなくなっている。駐車場の時間が18:00までだったので、ちょうどタイミングがよく、そこで撤収して車に戻り、帰途についた。

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